2017年7月6日更新

ハリウッドでリメイク権争奪戦!必ず騙される“マインド・ファック・ムービー”とは?

ドイツで大ヒットを飛ばし、ハリウッドリメイクも決定した独サスペンス・スリラー映画『ピエロがお前を嘲笑う』が、2015年の9月12日に日本公開されます。映画ファンを挑発するような宣伝にも関わらず「100%見破れない!」「騙された!」という感想が多く見られる本作。一体どんな映画なのでしょうか。

106分間、画面に見える全てがトリック?あなたの「鑑賞力」が試されます

天才ハッカー集団"CLAY"のメンバーであるベンヤミンが警察に出頭したところから始まる、彼の回想を辿る物語です。 銀行や大企業、そしてドイツ連邦情報局まで、世間を震撼させたハッキング事件を次々と起こし名をあげていた彼らに訪れる転機とは…。そして、かつて「透明人間」でいることを望んでいたベンヤミンが迎える結末とは。

『ピエロがお前を嘲笑う』は、「ハッカー」を題材としたドイツのサイバー・スリラー映画であり、ドイツ映画における最高の名誉と言われるドイツ映画賞において6部門ノミネートされ、3部門で受賞するという快挙を成し遂げています。観る物を翻弄する"マインド・ファック・ムービー"の決定版。物語・そして画面のいたるところに散りばめられたトリックから、あなたは真実を見極めることが出来ますか?

マインド・ファック・ムービーとは?

マインド・ファック・ムービーとは、映画全体に巧妙にトリックが仕掛けられ、あっと驚くようなラストが待っている映画のことを総称して言います。往々にして観客が騙されることになるため、いわゆる「どんでん返し映画」とほぼ同じような意味でつかわれています。古くは『エンゼルハート』から、最近の映画だと『複製された男』や『鑑定士と顔のない依頼人』等があります。

マインド・ファック・ムービーの中には、『インセプション』や『プリデスティネーション』等のSF映画から、『シャッター・アイランド』『プレステージ』『ゲーム』といったミステリー、ラブストーリーである『エターナル・サンシャイン』など、ジャンルをまたいで多くの作品が存在します。共通して言えるのは重厚な脚本と、ラストの大きな衝撃によって見ごたえがバッチリなところ。本作『ピエロがお前を嘲笑う』は、そんな数々の名作たちを観てきた映画好きに対する挑戦状でもあるのです。

実在する国際的ハッカー集団、アノニマスとは?

実在するハッカー集団として有名な「アノニマス」。名前の"Anonymous"は、「名前が無い」という意味です。ハッカーと聞くと、反射的に「悪」を想像しませんか?しかし、彼らが成し遂げることは必ずしも悪とは限りません。2015年には、「ISISのサーバに侵入してシステムを監視する」と明言しています。

『ピエロがお前を嘲笑う』の原題は「Who am I - No System is safe」です。誰だかわからない=名前が無い。タイトルからも、明らかに彼らを意識して作られている映画だということが分かりますね。ハッカーとは一体何なのか?本作は、ミステリーという枠を超えて、一つのドラマとしても楽しめる映画です。

ブラッド・ピットの製作会社で映画化予定

2014年4月には、ブラッド・ピットが有する映画製作会社「プランBエンターテインメント」が映画化権を獲得したと報じられました。本作『ピエロがお前を嘲笑う』はアノニマスを直接に描いた作品ではありませんが、どのように共通点が見られるのでしょうか。詳細は未定ですが、今から楽しみですね。

今後の活躍間違いなし!新進気鋭の監督・俳優の最強コンビ

『ピエロがお前を嘲笑う』は、未だ日本やアメリカでは有名とは言えない新進気鋭の演者と監督によって作り上げられた映画です。ビッグバジェット映画と違って知った顔が余りないことによって、キャストのイメージに惑わされずに物語にのめり込むことが出来るのではないでしょうか。それで謎が解けるかは、また別の話ですが。

監督を務めるのは、ドイツの鬼才バラン・ボー・オダー

日本においては未だ非常に知名度の低く、米国においても本作『ピエロがお前を嘲笑う』が公開され、一躍注目を集めることになった新進気鋭の映画監督です。彼は、米バラエティ誌で「世界で注目すべき監督10人」に選出されるほどの今後の映画界を背負って立つであろう期待株。短編を含め5作品を制作しており、どれも空虚な世界観と救われない現実を描くサスペンスです。前作『23年の沈黙』は、少女惨殺事件を描いた高クオリティサスペンス・スリラーでした。

彼が本作で描き出したのは、目に見えない「サイバー」の世界。ネット社会になればなるほどに、目に見えないものこそ恐ろしくなって行きます。そんな、水面下での争いをエンターテイメントとして昇華し、画で観客を楽しませてくれるところも、この作品の大きな魅力の一つなのです。

気弱な主人公ベンヤミンを演じる、トム・シリング

本作の主人公ベンヤミンは、気弱で影が薄い青年です。そんな彼が得意なのはPCでのハッキング。段々と変わっていく彼を演じるのが、『コーヒーをめぐる冒険』で有名なトム・シリングです。男性的な魅力と言うよりは、少し中性的な可愛さを備える彼は、前作での彼の演技とはまた違った、新たな「ダメな若者」を演じ切っています。

主人公と一緒にハッカー集団"CLAY"を立ち上げる男を演じるエリアス・ムバレク

ドイツ在住のオーストリア俳優であるエリアス・ムバレクは、日本では知名度が低いものの、ドイツ映画を中心に『THE WAVE ウェイヴ』等、既に20作品以上の映画に出演しているベテラン俳優です。彼のこの男らしい魅惑的なビジュアルが作品の中で主人公ベンヤミンと対比的に描かれます。彼らの絶妙な掛け合いにも注目です。

あなたは果たしてこのトリックを見破れますか?

yuki12241 所謂、張り巡らされた伏線と脳の回転を試すような鑑賞力の試されるマインド・ファック・ムービーの一つであり、それにも増して演出や音楽面のお洒落さが際立つ2重の意味で満足感のある作品でした。劇中には、丁寧すぎるほどに結末を連想させる演出が幾つもあり、勘のいい人はキャラクター像を見ただけで「分かった」つもりになってしまう。しかし、それだけでは終わらない。そういう意味では、映画好きほど楽しめる作品であり、日頃どれだけ映画を観ているかが鑑賞満足度に如実に表れてしまうと思います。 物語は主人公のベンヤミンによる回想から始まります。彼は、イケてない方のメンズであり、透明人間のようにひっそりと生きているが、PCをいじる才能にかけては天才的。そんな彼に目を付けた3人の仲間たちと共に、現実社会で自らの居場所を見失う彼が何者かになるために選んだのは、サイバー・スペース。しかし、ネット社会の中にも自分よりも上の存在が。そうして彼らの人生は、段々と狂って行ってしまうのです。数々のアメコミヒーローを引用している事からも、『キックアス』を連想したのは間違いではないと思います。 時代ゆえにサイバー・スペースを描く作品が増えてくる中で、いつも不満なのは、PCを使った水面下の戦いの描写が余りにも退屈な所。しかし、本作はそれを画だけで面白く魅せてくれている。それだけでも非常に価値のある映画だと思います。それでいて、ミステリーとしても申し分ない。ただ一つ思ったのは、ミスリードを超えた真実の伏線があったのかどうか。緻密に計算された展開に見せかけたパワープレイが目立ったのは、自分の伏線回収力の欠如なのかも知れません。 果たして、「大胆にやれば世界はひれ伏す」か?ハリウッドがリメイク権の取り合いになるのも当然のこの快作。見てのお楽しみ。

映画を好きな人ほどこそ騙されるというこのマインド・ファック・ムービー『ピエロがお前を嘲笑う』。画面の中に散りばめるヒントを紐解きながら、あなたは真実に辿り着くことは出来るのか?お洒落なテクノ・ポップに乗せて描かれる個性派サイバー・スリラーは、2015年9月12日に、日本に上陸します。