2018年9月11日更新

芸術の秋!秋に見たい、テーマが深いおすすめ映画8選

夏も終わり、いよいよ芸術の秋です!映画も総合芸術の一つとして数えることもできますが、その中でも特に芸術的で深淵な物語をもつおすすめの映画を8本ご紹介します。

映画は芸術だ!深淵なテーマを持つ映画をご紹介!

秋といえば食欲、スポーツ、そして芸術の秋!今秋は芸術の秋を堪能してみませんか? 芸術といえば映画も芸術のひとつとして数えられますが、中でもテーマが深く一見して難解に見られるようでも噛み砕いていくと深淵な意味や寓意が隠されている物語があります。 今回は、洋画から邦画まで、そんな深いテーマのおすすめ名作映画を8本、選出しました。

1. ハリウッドの光と闇を大胆なイメージの連続で綴った、2000年代を代表する一本

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k1ller_aka_tKo 4.5

オープニングからエンドロールに至るまで用意周到に徹底的に計算し尽くされた完璧さ。難解だという事前情報を得ていたのでかなり注意深く見ていたがそこまで難しい話でもなく、ハリウッドに夢と希望を抱き上京した一人の若き女性の夢と現実と回想が幾重にも重なり合って一つの物語となっていた。独特の色遣い、奥まった空間性や小物の配置、巧妙な伏線、効果的なPOV、サウンドのオン/オフなど圧倒的なセンスで観る者を飽きさせない造りは素晴らしいの一言。小説などの文字情報だけでは表現仕切れないまさに映像表現の極みのような作品であった。リンチの作品が数多くのホラーやサスペンスに引用される所以が理解できた。

ハリウッドの山道、マルホランド・ドライブで起こった自動車事故をきっかけに、新進気鋭の女優の夢と現実、希望と絶望を、悪夢のようなビジュアルの数々で綴ったサスペンス。 アメリカの雑誌「タイム・アウト」やイギリスのBBCによる映画ランキングで1位を獲得した本作は、デヴィッド・リンチ監督の最高傑作との呼び声も高い一作です。 その一見すると支離滅裂とも言える物語は、一度見ただけでは到底理解不能。しかし、二度三度と観るうちに、その底知れぬ物語の魅力に取り憑かれることでしょう。

2. 白い線を引いただけのセットで繰り広げられる、オトナのための『シザーハンズ』

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やられました。映画好きな友人の推薦ですが、その賞賛に偽り無しです。随分パンチのある映画ですが僕もみんなにお勧めしたいですね。今年観た一本に。 閉鎖的で寂れた街に一人の女が迷い込む、というお話なのです。根源的な悪に我々人間はどう立ち向かっていくのか、そもそも立ち向かう人間すらも根源的な悪にまみれています。絶対悪というのでしょうか、どこぞの哲学者が言っていた言葉のまさに体現。日本人の”わかっていながら駄目なところ”をピンポイントで突いてきます。コレ観て人生代わる人多いのではないでしょうか。 演劇のような設定の少し変わった映画です。大きな部屋で15,6人が白線を家の仕切りなどに見立てて演技しています。ここにもなにかメッセージは込められてるのでしょう。考えながら観てください。 同監督であれば「ダンサー・インザ・ダーク」の方が有名でしょうか。もちろん秀作に違いないですが個人的にはこちら方が好きです。

アメリカの炭鉱町ドッグヴィル。保守的なこの町に、ギャングに追われてきた女性・グレースが逃げ込んできます。彼女は、二週間以内に住人全員と打ち解けられればドッグヴィルでかくまってもらえる、との条件を飲み、町の人々のために献身的に動きますが……。 デンマークが誇る鬼才・ラース・フォン・トリアー監督による、3時間の大作。とはいえ、全編録音スタジオに白い線を引いただけの舞台のようなセットで撮影された本作は、一見するとかなり前衛的な映画のようです。 しかし、「外から入ってきた異形の者をいかにして受け入れるか」、という『シザーハンズ』と近いプロットが展開される本作は、いつまで経っても目が離せない奇妙な魅力を持っているのです。

3. ソラリスを覆いつくす海、そこには知的生命体が存在するのか……

Qua_moon 難解だが面白い。ただ一度観ただけでは消化不良。間、退屈な時間が長いことが難点だが、映像の美しさで目が引きとめられる。さすがにタルコフスキーで海の表現が素晴らしく美しい。

謎の惑星ソラリスの軌道上で宇宙ステーションからの通信が途絶え、科学者のクリスが派遣されます。そこで見たのは、荒廃と狂気、そして記憶の実体化でした。 人間の意識や記憶を具現化させるというソラリスの海がもたらす、記憶とノスタルジーについての物語。水や炎、雨、そして人体浮遊といった観念的で静謐なイメージの数々によって物語られる本作は、ソ連が生んだ巨匠・アンドレイ・タルコフスキーの最高傑作です。 記憶のなかで生きることへの憧憬と危うさ、それをも超越した愛を考えさせらることでしょう。

4. 寺山修司、一世一代の怪作!奇妙な魅力に満ち溢れた映画

Kei_Miyazato 寺山修司のアバンギャルドで実存主義なイメージの連続 、こういう作品は独りよがりで退屈になりがちだけど この映画は不思議な魅力を持った作品になっています 過去を拒否している感じに共感しました。

少年時代に恐山の麓に住んでいた「私」は、見世物小屋で見た人々に衝撃を受け、外の世界への憧憬を抱きます。現在の「私」は過去の記憶を映画にしようと考えていましたが、ある時少年時代の自分に出会うのでした。 一貫して「母殺し」を扱ってきた寺山修司の集大成とも言える一作です。妖しい見世物小屋のイメージや恐山の情景なども印象的ですが、何よりもその衝撃的な「ラスト」に注目です。

5. 馬を走らせ、水を汲み、芋を喰らうだけの二時間半。その心は?

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モノクロで、2時間半ほとんどセリフがなく、ただ男とその娘と馬の単調な生活を見守るのみ。面白かったと言えば嘘になるが、非常に興味深く画面に吸い込まれた。毎日同じ物を食べ、同じ事を繰り返す。そして最後には絶望が残る。不思議。

人里離れたとある小さな家で暮らす年老いた父と娘。彼らは馬を飼い、井戸から水を汲み、ふかした芋を食べるだけの日々を送っています。しかし、徐々に小さな変化が現れ、世界の終焉を予感させていきます。 ハンガリーの鬼才・タル・ベーラ監督による本作は、哲学者のニーチェがイタリアのトリノで馬の首を抱き、そのまま発狂したという伝説を基に、ニーチェ的な厭世主義に包まれた世界における世界の終焉を、実に静かに描いています。 ほとんどセリフもなく、モノクロの映像の長回しで綴られるため、観る者の忍耐力が試されることでしょう。なお、タル・ベーラ監督は本作をもって引退を宣言しました。

6. 巨匠・スタンリー・キューブリックが映画史に放った、永遠の名作

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自分の中で納得ができるまで評価しない。 俺は死ぬまでこの映画と戦い続ける。

映画史に名を残す鬼才・スタンリー・キューブリックが、人類の進歩に影響を与えた石版・モノリスの謎と宇宙への進出を壮大なスケールで綴った映像詩。 アーサー・C・クラークの原作小説はありますが、物語性を廃したその内容は、一見すると理解が難しいかもしれません。 しかし、1968年に公開されたとは思えない美しい宇宙空間の表現、『美しき青きドナウ』や『ツァラトゥストラかく語りき』をはじめとするクラシック音楽の名曲とのコンビネーション、今見ても前衛的な室内のセットの美術など、視覚芸術としての映画を極限まで追求したその姿勢には、目を見張るものがあります。

7. 自分の片割れの存在を知覚したベロニカの運命とは…

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古くはイザベル・アジャーニとかソフィー・マルソーやシャルロット・ゲンスブールとかのように、当時のイレーヌ・ジャコブありきで、彼女を観るためにあるような…。いや、油絵のような色彩や質感で撮られた街並や、時にダイナミックに動くカメラワークにもうっとりするが、何よりもドラマティックなのがイレーヌ・ジャコブだ。時に物憂げに時に溌剌と、歌ったり泣いたりつまづいたり、その繊細で儚げな表情と一挙手一投足を追うだけで映画になる。ポーランドとフランスに存在する2人のベロニカ、謎めくシンクロニシティはファンタジーというよりも、生々しい肉体を伴った身代わりの幻想。赤と緑が映えるし、既にイレーヌ=赤のイメージは強い。

同じ年の同じ日にポーランドとフランスでそれぞれ生まれたベロニカ。彼女たちは同じ容貌と才能を持っていながらも、互いの存在を知らずに成長します。しかしある日、ポーランドのベロニカが急死してしまったことから、フランスのベロニカは自分の片割れの存在を認識し始め……。 「トリコロール」三部作で知られるポーランドの巨匠・クシシュトフ・キエシロフスキ監督による本作は、「自分の片割れの喪失」というファンタジックな題材を扱いながらも、最終的には人間の運命がいかにして決まるのか、という普遍的なテーマに向かいます。 いかにして撮ったのか、と問いたくなるような幻想的な映像の数々と余白を残した結末は、いつまでも脳裏に焼き付きます。

8. 少女に話し聞かせた物語は、誰のためにあったのか……作中作も味わい深い、眼福の一作

HMworldtraveller まず、圧倒的な映像美には賞賛を贈りたい。旅行が好きで暇さえあれば世界各国に出かけている私にとって、この映像美はさらなる旅への誘いを煽るものでした。自分の目で見た実物にはかなわないけれど、インド、中国、トルコ、ギリシャ、エジプト、USのグランドサークルのナショナルパークなどの風景を彷彿とさせてくれました。storyも着眼点は悪くないです。スタントの仕事で半身不随となり自殺志望のロイが、動けない自分にかわって幼い少女に薬を盗んでこさせるために話して聞かせるおとぎ話が、聞き手の少女との関わりによって、いつしかロイ本人に生きる力を与えるものとなる、というものだけど、途中までは、その構造がわかりにくいですね。映像が素晴らしいだけに、話して聞かせる物語は、空想とはいえ、あそこまで陳腐なものではなく もう少しまともなものであってほしかった。テーマの割に重厚な空気はあまり感じず、むしろ軽妙な感じさえするのは、映像と、ぽっちゃり少女のキャラのおかげかな。

半身不随となり、恋に破れたスタントマンのロイ。彼の病室に、腕を骨折した少女アレクサンドリアが入院してきます。ロイは自殺をするためにアレクサンドリアを利用することを目論見、作り話を聞かせ始めます。しかし、その物語はやがてどんどん壮大なものになっていき……。 『ザ・セル』や『白雪姫と鏡の女王』で知られるインド出身のターセム監督が、26年もの構想の末、24ヶ国のロケ地で撮影して作り上げた幻想的な映像叙事詩。 「物語」が持つ力によって登場人物の運命が変わっていく様は、この映画を見て感動する我々とも重なり、人類がその歴史を通して物語を紡いできたことの意味を考えさせられます。

秋の夜長にこそ、映画を通した思考の時間を

映画は娯楽であり、エンターテインメントです。理屈抜きに楽しめる映画の数々は、多くの人々を魅了してきました。しかし、そういった映画とは一線を画す深淵なテーマを持つ映画も、世の中には多数あります。 人間は、思考することで人生に意味を見出す生き物です。時にはそういった映画を観て、哲学的な思索に更けるのもいいのではないでしょうか。