2017年9月15日更新

映画『怒り』あらすじ徹底ネタバレ・キャスト

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怒り

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超豪華キャストで送る映画『怒り』

『悪人』『横道世之介』などの著者・吉田修一の同名小説をもとにした映画『怒り』が2016年9月17日に公開されました。 監督を務めるのは、『許されざる者』『フラガール』などを手掛けた李相日。2010年の『悪人』に続き2度目となる吉田修一とのタッグに加えて、渡辺謙、森山未來、松山ケンイチ、綾野剛など、日本映画界を代表するオールスターキャストが結集します。 「怒」という血文字を残して未解決となった殺人事件を巡って、千葉、東京、沖縄の3つの舞台で描かれる群像劇となっています。

『怒り』のあらすじ【記事後半にネタバレあり】

ある夫婦が惨殺された現場に「怒」の血文字を残して未解決となった事件から1年後。犯人は「山神一也」という人物だと判明するものの、彼は整形手術をして逃亡を続けています。 疑わしいとされるのは3人の男。千葉県・房総の田代哲也、沖縄の離島にいる田中信吾、東京都内の大西直人。 それぞれの地で、それぞれの男に出会う人々の葛藤を描く群青劇です。

『怒り』のキャスト【千葉編】

槙洋平/渡辺謙

映画『許されざる者』に続き、2度目の李監督作品の主演となる渡辺謙。2003年公開のアメリカ映画『ラストサムライ』以降、世界で活躍する俳優・渡辺が、宮崎あおい演じる愛子の父・槙洋平を演じます。 千葉の漁港で働く洋平は、正体不明の男と付き合う娘の身を案じ、苦悩します。

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田代哲也/松山ケンイチ

洋平と同じ漁港で働き始める正体不明の男・田代哲也役を松山ケンイチが演じます。田代哲也は千葉パートで犯人「山神一也」と疑われる男。洋平の娘、愛子と親しくなっていく中で、徐々に前歴不詳な部分が露呈していきます。 松山ケンイチはデスノートのL役としてブレイク。その後『ノルウェイの森』や『GANTZ』など話題作に数々出演してきました。プライベートでは小雪と結婚し、3人の子供をもうけるなど公私ともに充実しているようです。

槙愛子/宮崎あおい

『ソラニン』、『神様のカルテ』などで知られる、宮崎あおいが扮するのは、家出から連れ戻される洋平の娘・愛子。年齢の近い田代哲也と付き合い始めます。本作で渡辺謙と親子を演じることが話題になりました。 宮崎あおいは2016年5月14日公開の『世界から猫が消えたなら』、2016年10月公開予定の『バースデーカード』への出演も決定しています。

明日香/池脇千鶴

『そこのみにて光輝く』で第38回日本アカデミー賞優秀助演女優賞を受賞した池脇千鶴は愛子の友人・明日香役を担当します。 よしもとクリエイティブエージェンシーに所属し、『舟を編む』や『潔く柔く』などの話題作にも多く出演しています。

『怒り』のキャスト【東京編】

藤田優馬/妻夫木聡

大手広告代理店で働く、同性愛者の藤田優馬。同居人の大西直人(綾野剛)に心を開いていく反面、日中の不審な行動に疑念を持ち始めます。 妻夫木聡は、第34回日本アカデミー賞で最優秀主演男優賞を受賞した『悪人』に続いての吉田修一原作、李相日監督作品の出演になり好演に注目が集まります。

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大西直人/綾野剛

藤田優馬と同居を始める、東京パートで事件の犯人「山神一也」と疑われる住所不定の男・大西直人を綾野剛が担当します。ミステリアスな雰囲気の綾野にぴったりの役柄です。 また綾野剛は2016年6月25日公開の映画『日本で一番悪い奴ら』で主演を務めることが決定しています。

薫/高畑充希

高畑充希

高畑充希は大西直人との密会を藤田優馬に目撃される、薫という謎の女性役です。 6年間にわたりミュージカル・ピーターパンで主演を務めた高畑。最近では月9ドラマやCMなどでメディア露出が増えてきています。2016年6月公開の映画『植物図鑑』では主演・河野さやかを演じます。

藤田貴子/原日出子

優馬の母で末期ガンを患う母・貴子役を原日出子が演じ、物語に深みを与えます。

『怒り』のキャスト【沖縄編】

田中信吾/森山未來

『モテキ』『苦役列車』『北のカナリアたち』などで数々の映画賞に輝く実力派俳優・森山未來。沖縄パートで犯人「山神一也」と疑われる男・田中信吾役を担当します。 田中信吾は無人島でサバイバル生活を送っている謎の男で、広瀬すず演じる小宮山泉と出会ったあと、ある事件と遭遇します。

小宮山泉/広瀬すず

母親の奔放な行いのせいで離島に引っ越すことになった小宮山泉。離島で田中に出会い心を開いていきますが、同級生の辰哉(佐久本宝)と訪れた那覇で事件に巻き込まれます。 映画『ちはやふる』での映画単独初主演が話題となっている、広瀬すずが演じます。雑誌、テレビ、映画、CMと引っ張りだこな若手女優・広瀬が本作で魅せるシリアスな演技に注目です。

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知念辰也/佐久本宝

泉の同級生・辰哉役は、1200人が参加したオーディションを勝ち抜いた新人の佐久本宝が大抜擢されました。 泉と訪れた那覇で事件に巻き込まれ、田中にある疑いを持つ重要な役柄です。

『怒り』のキャスト【刑事たち】

南條邦久/ピエール瀧

ピエール瀧が扮するのは殺人事件を追う刑事の南條邦久というキャラクターです。 テクノバンド「電気グルーヴ」に所属しながらも、俳優、タレントと幅広く活躍。映画『そして父になる』や『凶悪』で見せた演技が認められ、複数の賞を獲得しています。

北見壮介/三浦貴大

ピエール瀧と共に事件の真相を追う刑事・北見壮介を演じる三浦貴大。2015年には『進撃の巨人』でジャン・キルシュタインを演じ注目されました。

日本アカデミー賞で妻夫木聡が最優秀助演男優賞を獲得!

本作は第40回日本アカデミー賞にて13部門を受賞、それぞれの部門で最優秀賞の受賞が期待されていました。 2017年3月3日に開催された最優秀賞発表式では、見事、妻夫木聡が最優秀助演男優賞を獲得。綾野剛と共に同性愛者を体当たりで演じ、『悪人』に引き続き最優秀賞に輝きました。

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メガホンをとるのは『フラガール』、『悪人』の李相日監督

監督を務める李相日は、村上龍原作、宮藤官九郎脚本の映画『69 sixty nine』で2004年に頭角を現し、2006年の『フラガール』で第80回キネマ旬報ベストテン・邦画第1位、第30回日本アカデミー賞最優秀作品賞、文化庁芸術選奨新人賞を受賞するなど高く評価されている映画監督です。 役者に対する演技指導が厳しいことでも有名で、『怒り』の撮影が終了したことをブログで明かした広瀬すずは、李相日監督からの厳しい指導に「悔しくて泣いたこともありました」と明かしています。

原作は『悪人』『横道世之介』の吉田修一

今作の原作は、作家・吉田修一によるベストセラー『怒り』。李監督による実写化は、『悪人』以来2度目となります。 吉田は映画化にあたって、「楽しみで仕方がありません。李監督は、“3人の中で誰が犯人なんだろうと思いながら観始め、3人とも犯人じゃなければいいのに…と思いながら観終えてもらえるような映画にしたい”と言っていましたが、僕もまったく同じ気持ちでいます。あとは、李監督の目に見える“怒り”というものを楽しみたいですね」と語っています。

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妻夫木聡と綾野剛がゲイカップルに挑戦!

東京編で共演している妻夫木聡と綾野剛。綾野演じる大西直人は本作のキーパーソン「山神一也」と疑われる人物ですが、捜査の過程からゲイなのではないかという疑惑が浮上していました。2人は役作りのため撮影中は同棲生活を送り、リアルなゲイカップルを演じています。 その他の主演キャストも、それぞれ厳しい役作りに向きあった本作。以下の記事ではそんな俳優たちの役作りにフォーカスしています。

【ネタバレ注意】容疑者3人の正体と、真犯人は?

千葉県の港町に現れた田代哲也という男【千葉編】

かつては家出を繰り返し、歌舞伎町の風俗店で働いていた愛子。男手一つで育てた父・洋平は娘を連れ戻し、千葉県の港町で穏やかに暮らしていました。そんなある時、洋平が働く漁協に勤めていた田代哲也という男が、愛子と恋に落ちるのです。 警察が整形後の山神の写真を公開すると、洋平は山神に似ている上に身の上をあまり知らない田代への不信感を募らせます。田代と同棲を始めた愛子の話では、親の借金を背負わされ、各地を転々としているとのこと。しかし、愛子も疑問を抱くようになり、警察に通報してしまいます。 すると田代は姿を消しますが、警察の捜査で彼の正体は山神ではなく「柳本康平」だと判明。疑ったことを後悔した愛子と洋平の説得で、田代が2人の元に戻るような描写で終わります。

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藤田優馬の元に現れた大西直人という男【東京編】

東京都の大手通信会社に勤める藤田優馬。ゲイである彼は、男同士の出会いの場で大西直人に出会い、行く宛がない彼を家に泊めます。2人は同棲を始めるも、優馬の友人宅で窃盗被害が発生し、無職の直人に疑いを持ちます。 さらに、優馬は直人が謎の女性・薫とカフェで密会しているのを目撃。その後、山神の写真を見た優馬はホクロの位置が直人と一致すると気付きます。優馬に直接問い詰められた直人は家を出て行ってしまうのですが、窃盗犯も山神も別の人物でした。 後悔に苛まれる中、カフェで例の謎の女・薫に出会った優馬は、直人が公園で倒れそのまま死亡したことを知らされます。薫によると、直人は同じ施設出身の苦労人で、持病の悪化で会社を退職したばかりでした。

無人島の廃墟に住み着く田中信吾という男【沖縄編】

母親の男性遍歴が原因で、沖縄県に引っ越して来た高校1年生の小宮山泉。ある日、仲良くなった知念辰哉と無人島を訪れ、泉は廃墟に住む田中信吾と出会います。その後、映画デートのため那覇を訪れていた泉たちは偶然街で田中と再会し、居酒屋に行くことに。 田中と別れた後、辰哉が酔い潰れて、泉を無視して1人で歩き出してしまいます。彼を見失った泉は、探しながら道に迷ってしまい、米兵が集うバー街に入ってしまいます。走って公園まで向かうも、後から彼女を尾けてきた米兵2人に、泉はレイプされてしまいます。実はその公園に辰哉もいたのですが、怖くて彼女を助けることができませんでした。その後、警察を呼ぶ大声がどこからともなく聞こえ、米兵は去っていきます。後日、辰哉は自分の実家が営む民宿でバイトをはじめた田中から、助けを求めた大声の主は自分だと告げられます。 やがて、田中を実の兄同然に慕うようになった辰哉。一方で、田中の乱暴な一面が見えるようになり、困惑しはじめます。

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山神一也の正体は田中信吾!『怒り』の結末は?

民宿である日大暴れしたのち、逃亡した田中の正体を確かめるために、彼の住む廃墟を訪れました。そこで壁一面の「怒」の文字を発見し、田中に遭遇します。そこには襲われる泉を嘲笑う落書きもあり、田中から事件の真相を聞かされます。壁の落書きから、田中が山神であったことが判明。 つまり泉を救ったのは田中ではなく、彼は陰から傍観していただけなのです。むしろ、彼女が襲われることを望んでいたと嘲笑う彼にたいして、信頼を裏切られた辰哉は憤慨。田中を刺殺してしまい、夫婦殺害の犯人・山神が死亡。 真実を知った泉が、海に向かい絶叫するシーンで幕を閉じます。

原作小説『怒り』と映画の比較

優馬の勤務先が広告代理店など細かい違いはあるものの、映画は原作を忠実に再現。山神と思わしき3人の男と周辺の人々を軸に、"人を信じる"ことが描かれます。 大きな違いとしては、山神が辰哉に刺された後の描写が一切無い点です。 原作では辰哉のために暴行の被害者だと告白し、再び引っ越すことになる泉。それでも辰哉への罪悪感から手紙を送り続け、「田中を刺したのは裏切りが許せなかったから。泉は本当に関係ない」という返信が届いて終わりました。 山神を追う北見の物語や、「山神一也」の背景も詳細に描かれているので、映画と併せて楽しんでみてはいかがでしょうか。