2019年4月9日更新

「バットマン」の悪役ジョーカーって何者?最もかっこいいヴィランだと言われる理由

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恐ろしすぎることをいとも容易くやってのける真の悪・ジョーカー

「バットマン」シリーズでおなじみのジョーカー。緑色の頭に真っ白な顔、裂けた口といった恐ろしい風貌にもかかわらず、人々を惹きつけ熱狂的なファンを持っています。 コミック界、映画界の中で非常に印象的なヴィランですが、そもそも彼はどんな人物なのか。また、各実写映画版でのジョーカーや、演じた俳優について紹介したいと思います。

ジョーカーは何故、あの見た目になったのか

ジョーカーは1940年に発刊された、記念すべきバットマンコミックの一作目「Batman #1」に初登場したヴィランです。当時から、冷酷でサイコパスな性格でしたが、50年から70年の間はコミックス倫理規程委員会の規定によって、残虐さを抑えた“いたずらキャラ”に。70年代より、再びダークなキャラクター性に戻ったのです。 彼は、超人的な存在ではなく普通の人間なのが特徴。作品ごとに異なる設定のジョーカーがいますが、白い肌に避けた口、緑色の髪は共通しています。何故、彼があのような風貌になったのか、というのも共通して「工場の化学薬品の溶液に落ちて色素変化が起きた」と語られています。 もともとはレッドフードと呼ばれる、赤いヘルメット、赤いタキシードにケープを纏った犯罪者でした。ただし、バットマンに追い詰められた際薬品の中に飛び込んだことで、発狂。口が裂けた所以は、薬品の影響であったり、ブルース・ウェインの恋人を傷つけたことで、憤慨したバットマンにつけられた傷など諸説あります。

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超能力はないキャラクターだが、狂気がすごい

バットマンは先述の通り、人間の犯罪者です。そのため、戦闘能力は並の人間のごとくバットマンと対峙すれば、すぐにやられてしまいます。しかし、薬品の影響で完全にイかれてしまってからは非人道的な行動、思考を尽くすため、まるで人間ではないように思えるのです。 そんな彼は、パワー勝負ではなく、主に策士として暗躍ことがほとんど。ただ、衣服に仕込んだガスや酸、電気などを使って攻撃することもあります。彼の手にかかれば、なんでもないものも武器に変わるのです。コミックでのあるエピソードでは、ジョーカーは小型の飛行船に毒を持ったガラスの破片をのせ、空からそれを降らしたくさんのゴッサムの市民を殺してしまいました。 また、薬品による変化なのか痛みに強い印象も。コミック「The New 52!」で、ジョーカーはドールメーカーという人体改造を得意とする博士に、自分の顔の皮を剥がさせました。そして数年行方をくらまし、再びゴッサムシティに戻ってくるのです。 コミック「Death of the Family」で再登場したジョーカーは、数年前に剥いだ腐った自分の顔を、針などで再び自分の顔に貼り付けていたのです。

バットマンの正義感を試す存在?

ジョーカーといえば、長年に渡ってバットマンの宿敵存在として描かれてきましたが、先述の通り実はジョーカーを生み出したのはバットマン自身でした。それから、ジョーカーは時に滑稽におどけて、時に残虐非道な犯罪を犯し、バットマンに追われる身となります。 ジョーカーにとっての犯罪は「ジョーク」であり、それに常にレスポンスをしてくれるバットマンのことを、最高の観客、最高のツッコミ役、最高の遊び相手と捉えているのです。 バットマンに対する気持ちは執着心に近く、彼を自分と同じ狂人と考えています。映画『ダークナイト』(2008)では、ジョーカー自身が「なぜジョーカーは現れるのか」という問いに対して、「バットマンがいるから」と答えました。特にこの作品では、ジョーカーがバットマンの正義を測る印象が強いです。

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『スーサイド・スクワッド』に登場するハーレイ・クインとの関係

さて、バットマンと同じくらいジョーカーに密接に関わるキャラクターがいます。ハーリーン・クインゼルこと、ハーレイ・クインです。彼女はもともと、ジョーカーが頻繁に収容されるアーカム精神病院に務めていた精神科医でした。しかし、ある日ジョーカーが担当患者として現れ、問診をするたびに巧みな話術と彼の陽気さに惹かれていき、恋に落ちるのです。 「ハーレイ・クイン」とは、恋に落ち自分と共に歩むことを決めたハーリーンに対してジョーカーがつけた名前。映画『スーサイド・スクワッド』では、その様子が少し描かれており、ジョーカーが“ジョーカー”になったのと同じ過程でハーレイが誕生していました。 ハーレイはジョーカーに対して恋愛感情を持っていますが、実はジョーカーは持っていません。むしろ、基本的に疎んだり、鬱陶しく思っており、利用しているだけなのです。非情な扱いをすることも多いジョーカー、ハーレイの愛情はそれでも尽ず、不思議な関係を保っています。

ジョーカーを演じてきた歴代俳優たち

シーザー・ロメロ

シーザー・ロメロは、実写版初代ジョーカーを演じた俳優。60年代に始まったテレビシリーズ版と、映画『バットマン』(1966)にてジョーカーを演じました。 先述の通り、コミックの規定によって60年代は『バットマン』がコメディ路線だった時代。シーザー・ロメロ演じたジョーカーも、ふざけた印象が強く、あまり現代のジョーカー像とは一致しない点が多いです。 演じたロメロは長きに渡ってジョーカーを演じた俳優として親しまれ、1994年にこの世を去りました。

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ジャック・ニコルソン

2代目俳優は、ジャック・ニコルソン。彼の演じたジョーカーこそ、現代のジョーカー像に繋がるものでした。彼はティム・バートンが監督した1989年の『バットマン』に登場。当時、『シャイニング』などで狂気溢れる怪演ぶりを披露したジャック・ニコルソンだからこそ、演じきれた役柄でした。 80年代以降、ジョーカーというキャラクター自体はシリアス方向に向かっていましたが、本作は監督の意向で少しコメディ要素が含まれていました。また、ロメロ演じたジョーカーに比べ、口の裂け具合が強くなったり、メイクも不気味になっている印象があります。

ヒース・レジャー

クリストファー・ノーラン監督が手がけた『ダークナイト』(2008)に登場し、歴代のジョーカーの中で最も評価が高いと言われているのが、ヒース・レジャー演じたジョーカーです。このジョーカーは、これまでの作品と違って、明らかに悪の塊として描かれています。バットマンの正義を試した、一番残酷なジョーカーだったと言っても過言ではありません。 ジャック・ニコルソンの狂った演技とは、また一味違った狂気を感じさせるヒース・レジャー。完全に役になりきり、完成度が凄まじい点でも評価されています。彼は本作でアカデミー助演男優賞を受賞。しかし、演じたヒース・レジャーは、映画が公開される前に急死してしまいました。

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ジャレッド・レト

4代目となるジョーカーを演じたのは、ジャレッド・レト。これまた狂気を放つ演技に定評のある役者です。ヒース・レジャーの後のジョーカー、ということでプレッシャーのかかる中、役作りのために精神病院患者に面会に行ったり、肉体改造をして挑みました。最終的には役作りにのめり込みすぎて、奇行を繰り返していたというエピソードも。 ジャレッドのジョーカーは『スーサイド・スクワッド』(2016)に登場し、本作にはハーレイ・クインも初の実写として出てきます。これまでのジョーカーの“気持ち悪さ”とは少し変わって、イケメンなジョーカー像を作ったのは彼です。メイクも、これまでと違って口が裂けていないのが特徴的。

ホアキン・フェニックス

そして、5人目となるジョーカー俳優はホアキン・フェニックス。ジョーカーのオリジンを描いた映画『ジョーカー』(2019)で、主演を務めました。本作には、映画では初めて“普通の人間の姿”のジョーカー(アーサー・フレック)が登場。彼が、一体どうして「ジョーカー」になったのかが描かれます。

悪役ぶりがわかる原作コミックのエピソード

①子供たちに毒入り綿あめを配った

保護監察官から逃げ出し、ショーの観客を全員殺したジョーカーはその後お祭りへとやっていきます。そして、毒入りの綿あめをボーイスカウトの少年たちに渡したのです。 バットマンが到着したときには、彼らは全員息絶えていました。子供が亡くなるというショッキングな内容は、DCコミックスの歴史でも最悪なストーリーのひとつのため、映像化は敬遠されるでしょう。

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②ゴードンの妻を酷いやり方で殺した

バットマンの数少ない理解者で刑事のジェームズ・ゴードン。彼の2番目の妻、サラ・エッセン・ゴードンは、ジョーカーが起こした暴動に巻き込まれて死んでしまいました。しかし、実はジョーカーによって殺されていたのです。 ゴッサムシティが地震に見舞われたとき、暴徒たちが暴れだし、その状況下でジョーカーは町中の赤ちゃんを誘拐していました。その中にはサラの赤ちゃんもおり、落ちてくる赤ちゃんををキャッチしようと動いたサラの頭を、ジョーカーが撃って殺したのです。

③2代目ロビンを殺した

2代目ロビンことジェイソン・トッドは、ジョーカーに殺されていました。 行方不明となっていた母親がジョーカーにさらわれ、母親を助け出そうと単身乗り込んだトッドでしたが、ジョーカーにバールで殴られた挙句、母親と共に爆弾で殺されてしまいます。 主要キャラクター、それもバットマンの相棒の死ということで、非常に残酷なエピソードとして知られています。

ジョーカーが、かっこいいヴィランと言われる理由

これまでに5人の俳優が演じ、いつの時代でも人気が高いヴィランのジョーカー。なぜ彼がここまで「かっこいい」と言われているのか、考えてみたいと思います。 まず一つ挙げられるのが、カリスマ性。普通のヴィランは、何らかの理由があってヴィランになることが多く、彼らの中には“正義”や“信念”がある場合があります。しかし、このジョーカーにはそれがない。ただ、ふざけているのです。犯罪を犯すことは、彼にとって深い意味がありません。そういった、固執しない態度が純粋な邪悪さを際立たせているのです。彼が真のヴィランと言われる所以は、恐らくここにあるのではないでしょうか。 重くるしすぎずに、いつもどこかにユーモアがあって、飄々としていて、風来坊のような存在。これが彼のカリスマ性なのだと考えられます。

もう一つは、ヴィジュアル面です。特に、ヒース・レジャーとジャレッド・レトが演じたジョーカーは、元の俳優がイケメン俳優であるため、かっこいいと言われています。 確かに、メイクをしていて髪も緑で気持ち悪いはずなのに、どこか色気を感じさせる。そんなジョーカーだからこそ、多くの人を虜にしてしまうのかもしれません。

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ジョーカーは時代を通して変化していく

これまで紹介した、様々なジョーカーは時代ごとにキャラクター性が少しずつ変化していきました。2019年公開の映画『ジョーカー』(2019)では、また新たなジョーカー像が描かれました。 何年にも渡って、我々に「悪」について問題提起してきた彼が、今後どのような変化を受けるのか気になるところです。