2017年7月6日更新

渡瀬恒彦が演じた10人の狂ったキャラクター【追悼】

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鉄砲玉の美学 渡瀬恒彦

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“芸能界史上最強の男”渡瀬恒彦の魅力がさく裂した映画10選

渡瀬恒彦
2017年3月14日に72歳で亡くなった俳優の渡瀬恒彦は、1970年の俳優デビュー以降、演技派俳優として今日の地位を築きました。その中でも70年代に出演した作品では、狂気に満ちた役を多く演じています。 一方でプライベート面では、ケンカをさせたら適う相手がいない“芸能界最強の男”という異名も持ち合わせており、様々な武勇伝が遺されています。 今回は、そんな若かりし頃の渡瀬が演じた凄い役 (キャラクター)を、作品とともに紹介します。

栄えある渡瀬恒彦の映画初出演&初主演作【1970年】

殺し屋人別帳 渡瀬恒彦

流れ者の真一

北九州一帯の暴力団の勢力争いに巻き込まれた流れ者の真一が、殺し屋たちとの腕の競い合いに駆り出されていくという、渡瀬が俳優デビューにして初主演を果たした作品となりました。 渡瀬は主役の真一を演じつつ主題歌の『殺し屋人別帳』も歌っています。本作は長らく未ソフト化状態でしたが、2017年8月にDVDが発売されます。

沖縄を舞台に勃発した血で血を争う抗争【1971年】

関進

本土復帰前の沖縄で一旗挙げようと上陸した横浜の元ヤクザ郡司が、地元ヤクザと対立しながらも順調に拡大させていきます。しかし東京で幅を利かせていたヤクザが沖縄に攻め込み、血生臭い抗争が繰り広げられるのでした…。 郡司を鶴田浩二が、舎弟となる関進役を渡瀬が演じます。終盤で渡瀬が見せる、マシンガンを食らいつつも車で突っ込んでいく鉄砲玉ぶりが凄まじいことこの上なしです。

鉄砲玉に抜擢されたチンピラの儚い人生【1973年】

鉄砲玉の美学 渡瀬恒彦

小池清

その日暮らしをしていたチンピラ小池がある日、九州進出を目論む地元暴力団の鉄砲玉に抜擢されます。大金と拳銃を手にした彼は、意気揚々と九州・宮崎へと向かいますが…。 1970年代の東映映画の監督として活躍していた中島貞夫が、独立系会社の日本アート・シアター・ギルド(ATG)で撮った青春ヤクザ映画。渡瀬がうだつのあがらない小池役を排他的に演じています。 主題歌となった頭脳警察の『ふざけるんじゃねえよ』も印象的です。

東映の人気実録路線映画のシリーズ第3弾【1973年】

southpumpkin 前作『広島死闘編』が2作目にして既に外伝的であったのに対して、本作は1よりもより複雑になった組織の抗争が描かれます。テーマはオチがああであったように、抗争で真っ先に失われるのは下っ端の若者の命である…、ということなのですが、前作ほど絞れていません。それよりも菅原文太演じる広能が見事な世渡りをする様子にフォーカスされますが、これがなかなか面白い。例えるならば『半沢直樹』ヤクザ版、というあたりでしょうか。事実はもっと複雑なのでしょうが、それが深作の手腕によってむしろスッキリと描かれていると言えるでしょう。 その他多彩な登場人物のキャラクターも面白い。無茶苦茶に多い登場人物と固有名詞により、なかなか名前が思い出せませんが、それぞれがインパクト大なので問題ありません。あ!北の国からの人だ!やや!さっき右手失った人だ!小林旭かっこいい!レベルで大丈夫。エンターテイメント性は抜群です。セットで扱われることも多い次作も楽しみです。

倉元猛

戦後の広島で発生した暴力団抗争を描く東映の実録路線映画の金字塔『仁義なき戦い』シリーズの第3弾。広島最大の暴力団、村岡組の幹部殺害事件発生を機に、組の跡目を巡り抗争が勃発します。 渡瀬は血気盛んな性格ながらも母親思いの面を持つ広能組構成員の倉元猛を演じており、車に引きずられての銃撃戦といったスタントも自らこなしています。

暴力団の元祖となった「銀座警察」の興亡を描く実録映画【1973年】

southpumpkin 戦後間もない銀座で芽吹いた暴力団の先駆けとなる「私設銀座警察」なる組織の盛衰を描いた物語。梅宮辰夫が三枚目ながら味のある役者として出演しており、現在のバラエティで活躍する姿は全く想像できません。かっこいい。 本作の見どころは過激なバイオレンス描写、性描写にあります。オープニングからすごい。戦地から戻った男が妻の元に戻ってみると、米兵と行為中。問いただし泣き崩れる妻の傍には肌の色の違う赤ちゃんが。怒り狂った男は赤ちゃんを窓からポイ。赤ちゃんは水たまりにバシャン。追って出てきた妻を男はボコボコに殴る。そこで「実録・私設銀座警察」というタイトルがドーンです。凄まじい映画だ。その後も指を素揚げしたり、金をばら撒きながら遊女と致しまくったりとなかなかひどい。 とはいえいわゆる”やくざもの”というジャンル映画。苦手な人は苦手かと思います。超濃縮・濃厚『アウトレイジ』だと思っていただければ。

渡会

戦後間もない昭和21年の銀座で生まれた、暴力団の先駆けともいえる組織「私設銀座警察」を描いた東映お得意の実録バイオレンス映画__。と見せかけて強烈なハイテンションぶりが他を寄せ付けないエログロカルトの傑作ムービーとなった本作。 渡瀬は銀座一帯を牛耳ろうとする池谷を狙う元学徒兵にして、シャブ中のヒットマン・渡会菊夫役を文字通り"狂演"。シブとくネチっこく演じています。人間モグラのあのシーンが忘れられません。

逃れようのない逃走に充実感を覚える2人の男女【1974年】

ジーンズ・ブルース 明日なき無頼派

片桐次郎

情夫から大金を盗み逃走したバーの女主人と殺人を犯したチンピラが偶然出会い、殺し屋や警察からの逃亡を図ろうとする様を荒々しいタッチで描く青春ドラマ。 製作当時『女囚さそり』シリーズで人気を博していた梶芽衣子が主人公の聖子を好演しました。彼女と行動を共にするチンピラの片桐次郎を渡瀬が暴走的に演じます。

腹ちがいの兄弟ヤクザ同士の哀しい対決【1974年】

唐獅子警察 渡瀬恒彦

松井拓

組長の座に就く兄の片岡直人と奔放な性格の異母弟の松井拓が、全国制覇を背景に骨肉の争いへともつれこんでいきます。 冷静沈着な直人役の小林旭に対し、拓を演じた渡瀬のトラブルメーカーな役どころの対比が面白く、兄弟同士の哀しい果たし合いは必見です。

パトカーや暴走族、ラジオ中継車も交えた日本初のカーチェイス映画【1976年】

山中高志

ブラジルでの新生活を求めて3人の男女が銀行強盗を重ねるも、うち1人が事故死したことにより身元が発覚。警察や暴走族、ついにはラジオ中継車も加わり大パニックに発展します。 『仁義なき戦い』シリーズの深作欣二監督による、"日本初のカーチェイス映画"と評されています。 渡瀬は強盗の一人でバーテンの山中高志を演じており、一般車両や通行人をものともしない荒れ狂ったドライビングテクニックを披露しています。

渡瀬自らバスを駆り出しカーアクションをこなした暴走映画【1976年】

bonkuraman69 70年代東映映画の中でも傑作ではないでしょうか。 この時期ノリノリの中島貞夫監督と渡瀬恒彦とピラニア軍団とくればハズレなし。 深作の「暴走パニック大激突」と双璧を成す快作です。70年代の中島貞夫と深作欣二は本当に面白い、ハズレなし。 いつみても面白い。この映画には京都映画祭の中島貞夫特集上映で「狂った野獣」→「鉄砲玉の美学」→「893愚連隊」とみてエネルギーが凄くてふらふらになった思い出が(笑)

速水伸

事故で仕事をクビになったテストドライバーの速水が、ヤケになって大阪の宝石店に強盗を働き、路線バスで逃走を図ります。ところがそのバスに銀行強盗に失敗した2人組が乗り込んだことで、状況がさらに悪化することに…。 速水役の渡瀬自身がこなした、終盤での危険すぎるバス大横転スタントが圧巻の一言。このために彼は、わずか1週間で大型免許を取得しています。

【番外編】危険なスタントにより降板を余儀なくされた幻の出演作【1977年】

竹井義光

福井や金沢といった北陸地方の暴力団争いが、大阪のヤクザも絡み熾烈さを極めていた時代に。“北陸の帝王”と呼ばれた福井の川内組組長、川内弘をモデルにした実録映画となる本作。 この作品で渡瀬はエキセントリックな性格の竹井義光役で出演していましたが、ぶっつけ本番で行った雪中でのジープ運転シーンの撮影中に発生した転倒事故でケガを負い、降板を余儀なくされました。 代役を伊吹吾郎が務めましたが、東映の公式Youtubeチャンネルの予告編には渡瀬の出演シーンが映っています。