2018年6月15日更新

結末ネタバレ!『そして父になる』の答えとは何だったのか徹底考察【子役キャストの演技はアドリブ!?】

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『そして父になる』の結末ネタバレ・感想を紹介!【是枝裕和監督作】

映画に重厚感をもたらした実力派キャストも紹介!

2013年に公開された『そして父になる』は、『誰も知らない』や『ワンダフルライフ』、『海街diary』などでお馴染み、是枝裕和監督のオリジナル作品。昭和40年ごろに頻発していた赤ちゃん取り違え問題を参考に、取り違えられた両家の家族の苦悩を描いたヒューマンドラマです。 主演である福山雅治が父親役に初挑戦した事でも話題となり、興行収入は32億円を記録。さらに福山は日本人の受賞は26年ぶりとなるカンヌ国際映画祭審査員賞を受賞し、全世界で高評価を得た作品となりました。 今回はあらすじからラストのエンディングまで、ネタバレありでご紹介していきます。まだ観てない方はご注意ください。

是枝裕和監督最新作『万引き家族』が大ヒット!映画をネタバレ考察

映画『そして父になる』あらすじ【ネタバレなし】

大手建設会社に勤める野々宮良多とみどり夫妻は、6歳になる一人息子・慶多と3人で高級マンションで優雅な暮らしをしていました。しかしある日、慶多を出産した病院から連絡があり、出生時に取り違いが発生し慶多は実子ではないという事が判明。 実子は、小さな電気店を営む斎木家のもとでわんぱくに育つ琉晴だという事が明かされました。取り違えという事実に混乱する両家でしたが、日本では血の繋がりを重要視するという事例に従い、子どもには「ミッションだ」と説明し徐々に実の両親のもとで生活をさせる事に……。 しかしこれまで共に過ごしてきた6年間は長く、そう簡単にはいきません。これまでの時間を取るか血縁を取るか……。そして最後には一つの結論に辿りつくのです。

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主演キャストは福山雅治!父親役に初挑戦し話題に

野々宮良多/福山雅治

再開発プロジェクトを進める大手建築会社のエリート社員。家の事や息子の育児は妻みどりに任せきりで、家族よりも仕事に没頭するタイプです。 息子の慶多が自分とは違い、社会の競争とは無縁な優しい性格の持ち主であることに不満を感じており、子どもの取り違えが発覚した際には「やっぱりな」と自分の子ではなかった事に妙に納得しています。 本作で初めて父親役に挑戦した福山雅治(1969年2月6日生)。本作公開の2年後、2015年には女優の吹石一恵との結婚で世間を大いに賑わせました。

福山演じた良多の妻・みどりに扮したのは尾野真千子

野々宮みどり/尾野真千子

みどりは良多の自己中心的な考えに苛立ちつつも、中々口を出せない典型的な専業主婦です。6年間育ててきた息子が実は他人の子だという事にとまどい、“交換”することに抵抗を感じていましたが、お試し期間で実のわが子と対面すると次第に情が湧いてくるのを自身でも感じていました。 妻みどり役を演じたのは奈良県の田舎町で育った女優・尾野真千子(1981年11月4日生)です。本作で第37回日本アカデミー賞優秀主演女優賞を受賞しましたが、真木よう子演じる斎木ゆかりの肝っ玉母さんのような役柄の方が合うのでは?と演じる真木と話し合っていたそうです。

野々宮家と対照的に描かれた斎木夫婦を演じたキャスト

斎木雄大/リリー・フランキー

雄大は家族や子どもとの時間を大切にする、良多とは正反対な父親です。小さな電気店を営み、貧しいながらも大家族で賑やかに暮らしています。 取り違えが発覚した際には病院側に賠償金を払わせようなどとヘラヘラしていましたが、良多の「どちらもうちで育てても良い」という身勝手な発言を聞いた際には、父親らしく良多に一喝するシーンも見られました。

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斎木ゆかり/真木よう子

ゆかりは3人の子どもを育てるしっかりした肝っ玉母さん。野々宮夫妻のような良多が主導権を握る亭主関白タイプとは違い、斎木家はゆかりが主導権を握っているようです。 真木よう子(1982年10月15日生)は中学卒業と同時に、仲代達矢主宰の俳優養成所「無名塾」に入所し芸能界入り。その後女優としてのキャリアを徐々に積み重ね、2014年には『さよなら渓谷』で日本アカデミー賞最優秀女優賞と、今作で最優秀助演女優賞をダブル受賞する快挙を成し遂げました。

子役の演技はすべてアドリブ?!名演技を魅せた子役キャスト

野々宮慶多(けいた)/二宮慶多

良多とみどりの元で6年間育てられた一人息子。エリートタイプの良多と違い、おっとりした優しい性格のため、良多からは度々怒られています。“交換”で斎木家に泊まった際には賑やかな家庭への憧れもあってか、楽しそうな表情も見せますがやはり良多とみどりの元へ帰りたいという想いがどんどん強くなっていきます。 そんな複雑な心境の役柄を見事に演じたのが子役の二宮慶多(2006年8月13日生)です。愛媛県出身で、ドラマ『半沢直樹』や『BORDER』など民放連続ドラマに多数出演。そのほかデビュー年から9歳までの3年間で計6作もの映画に出演した売れっ子子役です。

斎木琉晴(りゅうせい)/黄升炫

雄大とゆかりの間で6年間育てられた野々宮夫妻の実子。斎木家では伸び伸びと育てられた琉晴でしたが、“交換”で野々宮家に泊まった際には決まりごとが多い事に嫌気が差し、斎木家に戻ってしまいます。 琉晴役に抜擢された黄升炫(2005年6月18日生)はファン・ショウゲンと読みます。中国人のような名前ですが東京都出身とのこと。 今作では子どもたちに台本は用意されず、シーンごとに気持ちを説明されただけであとはアドリブだったそうです。しかしそうは見えないしっかりとした大人顔負けの演技を披露しています。

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吉田羊がちょい役で出演していた?!

良多が休日出勤している社内で、チームに食事の号令をかけている女性・波留奈を演じているのが吉田羊です。良多の元カノという設定のようですが、時間の関係上カットされ、ちょい役での出演となってしまいました。 うしろ姿で画面の方は向かず、台詞も少ししかないので気づかなかった方も多いでしょう。今作ではほんの少しの共演でしたが、その後共演した映画『SCOOP!』ではその際のリベンジを果たす為出演を決めた、と舞台挨拶で語っています。

ヒット作を量産!海外でも高く評価されている是枝監督とは?

是枝裕和(1962年6月6日生)は東京都練馬区に生まれ、早稲田大学卒業後番組制作会社に入社しADとしてドキュメンタリー番組の演出などを手掛けていました。 1995年の映画『幻の光』で監督デビューした後、映画『誰も知らない』や『ワンダフルライフ』など、手掛けた作品が次々と映画祭の賞を受賞していった事から、国内外で高く評価されています。 そして今作『そして父になる』では過去最多となる14もの映画賞を受賞し監督としての確かな地位を確立した是枝監督は、2018年公開の映画『万引き家族』でカンヌ映画祭の最高賞パルムドールを受賞しました。『万引き家族』でも、引き続き「家族」をテーマに問題提起をし続けています。

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『そして父になる』の結末をネタバレ!

6年間の時間か血縁か。子どもを交換すべきか否か迷う両家でしたが、何回かのお泊りを経験するうちに実子に情が湧いてくるのを感じていきます。話し合いの末、なるべく早く元の家庭に戻すべきだという結論に達し、子どもたちを交換することに。しかし大人が勝手に決めた決断に当人の子どもたちは納得できません。琉晴は新しい家庭環境に馴染めず、元の斎木家に家出をしてしまいます。一方慶多は賑やかな斎木家での新鮮な生活を楽しみつつもどこか寂しげな表情を浮かべていました。 これでよかったのだと自分に言い聞かせる良多でしたが、ある朝カメラをいじっていると、慶多が撮ったと思われる父・良多の写真がたくさんある事に気がつきます。内気であまり思った事を口にしない慶多でしたが、良多やみどりと離れたくないという気持ちを密かにカメラに残していたのです。それを見た良多はこれまで一緒に過ごしてきた6年間を思い出し号泣。血の繋がりに固執してきた良多でしたが、これまで慶多が自分にしてくれた事を振り返り、大切なのは血の繋がりではないと考え直し慶多を迎えにいきます。しかし斎木家を訪れた良多を見るたび、慶多は家を飛び出してしまうのです。 良多が追いかけると慶多は初めて感情を表に出します。「パパなんかパパじゃない!」その声に良多は「できそこないだったけど、(これでも)パパだったんだよ。もうミッションなんか終わりだ」と慶多に伝え、共に斎木家に戻ったのでした。

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『そして父になる』結末の考察【ネタバレ注意】

本作のラストは明確な答えを明記していません。血の繋がりか、過ごした期間か?その答えは観る側に委ねられており、どちらが正解か、というものは無いのではと考えられます。 さらに今作はその答えを追求するものでなく、家庭を顧みず仕事に没頭していた良多が「子どもの取り違え」という問題に直面して初めて子どもと向き合い、そして「父」となっていく過程を描いた物語です。 父親としての良多の心の変化、大人たちが勝手に決めた事への子どもたちの反発心、そしていろいろな家族の形というものを感じられる映画だといえるでしょう。

スティーヴン・スピルバーグが惚れ込んだ!アメリカでリメイクが決定!

カンヌ国際映画祭で今作を見て惚れ込んだというスティーヴン・スピルバーグが是枝監督と対談。その結果、アメリカの映画会社ドリームワークスで今作をリメイクする事が決定しました。 これまで『ジュラシック・パーク』シリーズや『インディ・ジョーンズ』シリーズ、『ジョーズ』や『プライベート・ライアン』など数々の名作を世に打ち出してきた巨匠スティーヴン・スピルバーグ。 彼が作るリメイク版はどんな作品になるのか、そしてどんな俳優陣がキャスティングされるのか、とても期待が高まっています。

映画『そして父になる』感想・評価まとめ

ストーリーだけでなく芸術性も高い

子どもがいなくても共感できる!

タイトルの意味を知れば知るほどグッとくる

是枝監督をベタ褒めする方も

父になるとはどういう事か…考えさせられる映画

期待を超えた衝撃作!

感じ方は人それぞれ。酷評も…

さすがはカンヌ受賞作品、低評価は少なく、「感動した」、「グッときた」という声が多くありました。主人公良多の変化は視聴者にも分かりやすく伝わり、観終わった後「そして父になる」というタイトルを改めて噛み締めた方も多いようです。 ラストがラストなだけに、人それぞれ感じ方は違うものになる作品でした。あなたならどんな選択を決断しますか?

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『そして父になる』他、新生児取り違え事問題に切り込んだ作品

本作のように、新生児取り違え問題をテーマにした作品は、これまでいくつか作られてきました。以下の記事では、『そして父になる』の参考文献となった『ねじれた絆』など6作品をご紹介しています。

この問題に直面したとき、あなたならどうしますか?