2017年9月8日更新

クレイジーボーイ!?アニメ監督・水島努から目が離せない【ガルパンの人】

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水島努、「クレヨンしんちゃん」劇場版予告編から始まった伝説の名監督

それぞれに個性が強いアニメーション監督の中でも、とくにユニークなキャラクターとして知られるのが水島努監督。「劇場版クレヨンしんちゃん」シリーズの予告編にまつわる逸話は、未だにファンの間で語り草となっています。 キツめのブラックユーモアや残酷な描写にも果敢に挑む姿勢など、妥協もあきらめも言いわけもないダイナミックな作品作りには定評あり。「次はいったい何をやるんだろう」という、いい意味でも、ちょっと変化球な意味でも毎回作品が期待されている監督です。 そんなちょっと目が離せない水島努監督ならではの危険な魅力を、代表作とともに紐解いてみたいと思います。

ホラーから青春スポコン物語まで、監督としての才能はボーダーレス

水島努のアニメーション道におけるキャリアのスタートは、シンエイ動画での制作進行担当からでした。『美味しんぼ』や『クレヨンしんちゃん』に関わった後、1999年に「クレヨンしんちゃん」シリーズの短編映画で監督デビューを果たしました。 主な作品としては『xxxHOLiC』(2006年)、『おおきく振りかぶって』(2007年)、『侵略!イカ娘』(2010年)、『よんでますよ、アザゼルさん。』(2011年)、『BLOOD-C』(2011年)などが挙げられます。 2004年に退社して以来、フリーの監督としてミステリーからホラーにギャグ、青春ストーリーまで様々なジャンルに取り組んできましたが、水島努監督ならではのこだわりは変わりません。

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水島努は美少女たちの群像劇『ガールズ&パンツァー』でブレイク

なかでも代表作として広く知られているのが、2012年から取り組んできた「ガールズ&パンツァー」シリーズです。個性的な美少女高校生たちが、乙女のたしなみである「戦車道」に青春を賭ける姿を描いた美少女スポコン×バトルは、まずテレビアニメとして大ヒットしました。 オリジナル作品としてのユニークな発想や緻密なメカニズム設定、ダイナミックな演出などでも高い評価を受けて、アニメーション神戸賞の個人賞も受賞しました。 同じくオリジナルアニメーションとして制作され、アニメ業界の舞台裏をリアルに描いたことで話題になった『SHIEOBAKO』(2014年)など、複数のキャラクターの人物像をそれぞれに巧みに際だたせる水島努監督のテクニックには定評があります。

原作モノのアニメ化に関してはとことんこだわる水島努

作品に関するインタビューの中で特に水島監督が強調しているのが、「できる限り原作に忠実に作りたい」とういう一貫した姿勢です。たとえば人気コミックを原作としたテレビアニメ『じょしらく』(2012年)のインタビューでは、「私の中では原作の絵を忠実に再現する以外の選択肢は持っていません」とコメントしています。 同じく2007年の『おおきく振りかぶって』の製作時には、もっとも気を配ったポイントとして「原作ファンに嫌われないこと」と語っていました。そうしたある意味生真面目なルールを守った作品作りは、原作を提供する側からもファンからも納得してもらえるような、高い完成度につながります。 一方で原作に濃厚な毒気や過激な表現が含まれている場合には、時にテレビなどの厳しい放送コードとのせめぎあいが起こります。それでも水島努監督は、決してひるみません。

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水島努の「『やり過ぎない』という文字は私の辞書にはない」という言葉の真実

2015年に公開された『監獄学園』は、まさに原作に忠実にあろうとする水島努監督の流儀と放送コードのぶつかり合いでした。青年向きの漫画雑誌に連載されていた原作は、身体のパーツも含めて性的表現が思い切り濃密かつ変態的でしたが、水島努監督はここでもとことんあるべき姿にこだわり抜きました。 その制作現場での葛藤は、顛末そのものがコミック化されているほど興味深いものだったとか。監督本人も、「『やり過ぎない』という文字は私の辞書にはない」という名言を残しているそうです。 もっともこの場合の「やり過ぎ」とは、あくまでもファンサービスとして見せ方などにこだわる!妥協はしない!という意味合いです。たとえばエッチなシーンで見せ過ぎ、ヤリ過ぎ、生々し過ぎ、ということではなさそうです。

「クレイジーボーイ」と呼ばないで欲しい……ワケでもない水島努

「やり過ぎなくない」水島努監督に関するエピソードとしてよく知られているのが、2011年に制作した『よんでますよ、アザゼルさん。』にまつわるもの。出演した人気声優、小野坂昌也が言い出しっぺとなった「クレイジーボーイ」というニックネームです。 これは水島努監督が原作の面白さやテンポ感を損ないたくないために、とんでもない量のセリフをキャストに強要したり過激な内容まで忠実に盛り込もうとするなど、人間と放送コードの限界を越える注文に対する素直な「抗議」をこめたもの。 もっとも水島監督自身はこのアダ名がまんざらでもないらしく、ファンイベントなどで自らもそう名乗る場面があるようです。

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水島努の「総集編になりますよ」は魔法の言葉か、それとも禁句か

「クレイジーボーイ」には他にも、いろいろ独創的なこだわりがあります。名付け親である小野坂昌也の人気WEBラジオ『よんでますよ、アザゼルさん。』によれば、「監督が某作品作りでモーレツにストレスがたまっておりまして、アザゼルさんに噴火させてしまっているんですよ今」とのこと。 制作進行担当出身ということでスケジュールには厳しい水島監督ですが、変なダンスの振り付けに没頭したり、やらなくてもいい絵コンテ書きを始めようとしたりして、自ら仕事を増してしまう自爆志向があるようです。 スタッフ的に勘弁して欲しい時には、「(このままだと)総集編になりますよ」というひと言が効果的なのだとか。某作品で進行が遅れて、二度ほど総集編になってしまった回(「第○.5回」とつけられていました)は、今でも監督的にはトラウマなのです。

水島努の「ガルパン最終章」がついに始まる!次はどんな衝撃が!?

さてそんな水島監督の渾身の映画『ガールズ&パンツァー 最終章』が、いよいよ2017年12月9日から劇場で公開されます。言わずもがな、劇場版の続編であり物語のラストを飾るエピソードとなります。 全6話で再び繰り広げられる水島ワールドは、果たしてどんな「やり過ぎなくない」体験をさせてくれるのでしょうか。さらなる新境地に、期待大!です。