2023年1月23日更新

ペニーワイズの正体とは 「IT/イット」の殺人ピエロには元ネタが存在した?

『 I T/イット THE END “それ”が見えたら、終わり。』
©2019 WARNER BROS. ENTERTAINMENT INC. AND RATPAC-DUNE ENTERTAINMENT LLC. ALL RIGHTS RESERVED.

1986年にスティーブン・キングが発表した小説『IT』に登場するペニーワイズ。本作は2度実写化されており、ピエロのような恐ろしい姿に見覚えがある人も多いのではないでしょうか。 ペニーワイズは人々に恐怖を与える存在ですが、その反面、彼の生まれたきっかけやスティーブン・キング作品における立ち位置など、多くの謎を持つ存在として今もファンを魅了し続けています。 この記事ではペニーワイズが持つ謎や魅力について徹底解説!また1990年に制作されたオリジナル版と、その後リメイクされた映画版におけるペニーワイズの違いについても解説していきます。 ※本記事では「IT」シリーズのネタバレを含んでいます。ご注意ください。

AD

ペニーワイズの概要

本名 ロバート・グレイ
正体 人間を襲う邪悪な存在 (悪魔・宇宙人・異次元生命体など様々な説がある)
住処 デリーの地下用水路
身長 192cm (リメイク版でペニーワイズを演じたビル・スカルガルドの身長)
俳優 ティム・カリー(オリジナル版) ビル・スカルガルド(リメイク版)

ペニーワイズはデリーの街に潜む、超常的な力と邪悪な意思を併せ持った危険な存在です。本作の主人公たちはその存在に気付き、ペニーワイズに立ち向かいますが、その恐ろしい力により恐怖のどん底へと突き落とされることになってしまいます。 ペニーワイズはマインドコントロールや幻覚を見せる能力をはじめ、デリーの街の全容を把握しどこにでも移動できる能力など、人智を超えた多くの特殊能力を所持。私たちの予想を大きく裏切り、様々な角度から恐怖を与えてくる存在です。

ペニーワイズの正体とは?「IT」とは何者なのか

イット
(C)2017 WARNER BROS. ENTERTAINMENT INC. AND RATPAC-DUNE ENTERTAINMENT LLC. ALL RIGHTS RESERVED.

ペニーワイズは普段ピエロの姿で登場しますが、実はこの姿はあくまでも擬態であり、現れる時々によりその姿は大きく変質します。ペニーワイズは自らを「お前が恐れるものすべてだ」と語っており、その姿は見る人々の「最も恐いもの」に変化するようです。 実際に劇中では主人公たちがそれぞれトラウマを抱える存在としてペニーワイズを知覚しており、子どもたちの精神をじわじわと追い詰めていく描写が存在します。 ペニーワイズは弱点が銀であるため悪魔に似た存在とも考察されていますが、スティーブン・キングの小説『ダーク・タワー』によると、その正体は数多の世界を破壊して宇宙から太古の地球へと降り立った超常的な生物という示唆があるのです。 実はペニーワイズはホラーよりも、むしろSFの要素が詰まった存在と言えるでしょう。ペニーワイズの理解できない不気味さの根元には、その存在自体が人間ではない高位の存在であることに由来しているのかもしれません。

AD

ペニーワイズにはモデルが実在する

イット
©NEW LINE CINEMA

実はペニーワイズにはモデルになったと言われている人物が存在します。その人物の名はジョン・ゲイシー。1972年から1978年のあいだに、少年ばかりを狙って33人もの人を殺したアメリカの恐ろしいシリアルキラーです。 彼は平時にはピエロの扮装をしてパーティやイベントに出席し子どもたちを楽しませており、そのことからキラークラウン(殺人ピエロ)という異名をつけられアメリカ全土を震え上がらせました。この子どもばかり狙うという点と、ピエロの格好。この2つの点からペニーワイズは着想を受けたと言われています。

ペニーワイズが子どもにしか見えない理由を考察

IT/イット
©NEW LINE CINEMA

ペニーワイズは子どもたちにしか見えない存在と言われています。作中ではペニーワイズが多くの事件を起こしても、物語の舞台となる街では騒ぎになっていません。 またベバリーの家の洗面所から血があふれ出した際にも、父親にはペニーワイズが引き起こしたとされるその様子を認識できていませんでした。つまりペニーワイズは狙われた子どもにしか、その存在を認識することができないのです。 ペニーワイズには前述したように人々の精神を操れる能力を有しています。大人に知覚されないことも、その能力の一端と言えるでしょう。 そして大人には見えないペニーワイズの存在は「問題から目を背ける大人たち」へ警鐘を鳴らす意味も込められていると言う説があります。主人公たちの親は子どもへの過干渉や虐待など、自身の問題から目を逸らし身勝手な行動をとり続けるひとたちばかりです。 スティーブン・キングはそんな大人があふれていく社会、そしてそれにより害を被っている子どもたちを嘆きながら、ペニーワイズを描いたのかもしれません。

AD

なぜ排水溝からジョージを襲った?

ペニーワイズはデリーの街の地下に敷き詰められた地下用水路を住処にし街のいたるところに出没。主人公の弟であるジョージは排水溝から現れたペニーワイズに、彼の住処へと引きずり込まれ捕食されてしまいます。 街に残る様々な記録によると、ペニーワイズは27年周期でデリーの街に現れ多くの人々の命を奪っていることが判明。その記録によるとかつては子どもたちばかりでなく、ギャングの若者や大人も被害者となっていることがわかります。 現在は子どもばかりを狙っているペニーワイズ。その目的は「子どもの方が精神操作をしやすく捕らえやすい」、「ペニーワイズは子どもたちの純粋な恐怖を捕食しているから」など、今も様々な考察がなされています。

ペニーワイズの誕生秘話

スティーブン・キング
©Dennis Van Tine/Future Image/WENN.com

スティーブン・キングがペニーワイズの存在を思いついたきっかけは、ノルウェーの童話『三びきのやぎのがらがらどん』だったと言われています。 この童話はトロールに襲われそうになった小さな山羊が「この後大きな山羊が来る」と言って見逃してもらい、その後に来た大きな山羊にトロールを倒してもらう物語です。 彼は徒歩で帰宅する途中、木の橋に差し掛かったときこの物語を思い出し、自身のいる橋の下から化け物が出てくるシーンをイメージ。足元の怪物。そして小さな山羊が後から来る大きな山羊に怪物を退治してもらう童話。 そこから彼が「子どもが大人になる途中に現れる怪物」としてイメージを膨らませた結果、誕生したのがペニーワイズです。またスティーブン・キングはピエロに対して無意識の恐怖を抱く「ピエロ恐怖症」であり、彼の恐怖の根源の象徴としてペニーワイズはピエロの姿になったと思われます。

AD

ペニーワイズを演じた俳優一覧

作中で恐ろしい姿をしているペニーワイズ。ここでは映画内ではメイクをしているために、なかなか素顔がわからない俳優たちを紹介します。

90年版ではティム・カリーが演じた

90年版は、1946年4月19日生まれのティム・カリー。恐ろしい殺人ピエロとなって子どもたちを震え上がらせました。 ミュージカル『ロッキー・ホラー・ショー』で主演に抜擢され絶賛を受けた彼は、1975年の同名映画でもフランク・フルタ―博士を演じました。 歌手でもある彼は持ち前の特徴的な声で、『ホームアローン2』(1992年)では特徴的なホテルの接客係を演じたことでも有名です。またアニメ作品にも声優として多く参加。2012年の脳梗塞以降は車椅子に乗り、声以外の出演は控えているようです。

リメイク版はビル・スカルスガルド、「THE END」でも続投!

ビル・スカルスガルド
WENN.com

リメイク版では続編も含め、1990年8月9日生まれのビル・スカルスガルドがペニーワイズを演じます。同じく俳優のステラン・スカルスガルドを父に持ち、2人の兄も俳優という俳優一家で育ちました。2017年の『アトミック・ブロンド』などに出演しており、これからの活躍が期待される俳優です。 見ただけで恐怖を感じるペニーワイズの顔ですが、それには秘密があります。ペニーワイズの目は焦点が合っておらず、両目とも外側を向いています。 この離れた目はCGやメイクではなく、ビル・スカルスガルドの特技によるもの。こういった細かなこだわりが、彼の演じるペニーワイズの怖さに繋がっていると言えるでしょう。

AD

オリジナル版とリメイク版の違い

【オリジナル版】90年版の怖さは豊かな表情にあり

色は赤で毛先は全体的に垂れ下がり気味
獣のように尖った形状
赤いつけ鼻
黒い眉毛
黄色ベースに紫を使ったいかにもピエロのような服装

【リメイク版】不気味な笑みの中に真の恐怖を秘めている

ブラウン系で毛先は逆立っている
人間と同じ形状
鼻に直接赤いインクをペイント
一切なくすべて剃っている
白を基調にクールで狂気的な服装

ペニーワイズは各時代それぞれの怖さがある

顔を白く塗っている点は90年版とリメイク版どちらも同じ。涙のメイクはリメイク版だと口の端から伸び、より強調されたものとなっています。 さらに90年版では睨みつけたような怖い顔をしていることが多かったですが、リメイク版では口角の上がった笑顔でいることが多く、より不気味に感じます。またリメイク版では子どもたちの殺害方法が90年版と比べるとやや過激になっています。 細部は違っても、どちらのペニーワイズも時代に合わせて世界中の人々の恐怖心を煽る姿をしているといえるでしょう。

「IT/イット」ペニーワイズの恐怖に魅了される

ペニーワイズは恐怖の象徴でありながら、多くの謎を持つミステリアスで不可思議な魅力を持った存在です。 これを機にもう1度オリジナル版とリメイク版を見比べて、それぞれの違った魅力を味わってみてはいかがでしょうか。