2019年3月14日更新

アニメ『カウボーイビバップ』はなぜ評価されているのか そのカルト的人気に迫る Netflixで実写化!?

カウボーイビバップ

1998年に放送されたアニメ『カウボーイビバップ』は、未だ国内外で根強い人気を誇っている名作で、2017年にはアメリカで実写TVシリーズ化することが発表されました。今回はそんな『カウボーイビバップ』がなぜ評価され続けているのか、その魅力に迫ります。

『カウボーイビバップ』、海外でも評価が高い傑作アニメの魅力に迫る!

1998年に放送された『カウボーイビバップ』は「ガンダム」シリーズで有名なアニメ制作会社サンライズによるSFアニメ。放送から十数年が経った作品にもかかわらず、その唯一無二の作風で未だにアニメファンに愛されています。 『カウボーイビバップ』の監督を務めた渡辺信一郎は、2017年10月に公開された名作SF映画の続編『ブレードランナー2049』において、その前日譚を描いた短編アニメの監督に抜擢され話題を呼びました。本作はそんな渡辺監督の原点ともいえるアニメ初監督作品です。 さらに、アメリカでは『プリズンブレイク』で知られるアメリカのテレビ製作会社Tomorrow Studiosによる実写化ドラマ企画が立ち上がり、今後の展開も気になるところ。今回はそんな世代を超えて評価され続けているの『カウボーイビバップ』の魅力に迫ります。

『カウボーイビバップ』のあらすじ

2071年、位相差空間ゲートによる惑星間航行を可能にした人類の生活圏は太陽系全域まで広がり、その治安維持に指名手配犯を捕まえる賞金稼ぎ「カウボーイ」たちが大いに貢献していました。抜群の戦闘能力を持つ元マフィア・スパイクと左腕が義手で元警官の相棒・ジェットの二人もまた、ボロボロの宇宙船ビバップ号で宇宙を飛び回るカウボーイでした。 そんなビバップ号に転がり込むのは、過去を失った美女・フェイと子供ながらの天才ハッカー・エド、知能が高いデータ犬・アインなど個性豊かな面々ばかり。出自も目的も違う4人はビバップ号の生活の中で徐々に絆をはぐくんでいきますが、そんな中スパイクの身にも逃れられない過去の宿命が忍び寄っていました……。

大人も楽しめる骨太な世界設定、バリエーション豊富な各話完結のストーリー

『カウボーイビバップ』が熱い支持を集めている理由の一つは、厚みのあるSF設定とバリエーション豊富なエピソードの数々。シリーズを通して各話完結のオムニバス形式で構成され、各回によってサスペンスやコメディなどジャンルさえも変わります。 アクションシーン全開の派手な回はもちろん、スパイクやフェイの恋愛を描いた回からジェットが主役のハードボイルドな回まで実に様々で、視聴者を飽きさせることなく劇的な結末まで導いてくれます。 またバックを彩る音楽もジャンルを問わず、ジャズのタイトル曲をはじめとしてブルースやロックといったクールなBGMが、ハードボイルドタッチの本筋にマッチしています。 シリーズ構成の信本敬子は、実写の世界で活躍する脚本家。脚本・舞台設定を担当した佐藤大をはじめ、後に売れっ子脚本家として活躍する人物も多数参加しており、各エピソードは大人をも満足させる内容となりました。

『カウボーイビバップ』の主要キャラクター・声優

劇中でそれぞれの心情が掘り下げられていくビバップ号のメンバーは全員が魅力的。信頼しながらも互いに干渉しすぎないメンバーの距離感は、大人が観ても憧れる絶妙な塩梅で、観ているうちに自然とビバップ号に感情移入してしまいます。 そして、愛すべきビバップ号のメンバーに命を吹き込んでいるのは贅沢過ぎるキャスト陣です。そんなメインキャラと豪華な声優を紹介します。

スパイク・スピーゲル/山寺宏一

ビバップ号の乗組員で賞金稼ぎのスパイク。ジークンドーの使い手で、かつては火星のチャイニーズ・マフィア“レッド・ドラゴン”に属していたことも。ニヒルで危険を好む、凄腕の“カウボーイ”です。 スパイクの声を担当したのは「七色の声を持つ男」と呼ばれる山寺宏一。言わずと知れた声優界の雄で、ナレーションや俳優、司会もこなす多才な声優です。

ジェット・ブラック/石塚運昇

スパイクの相棒で、ビバップ号の船長ジェットは、元I.S.S.P.(太陽系刑事警察機構)の警察官。ある事件をきっかけに賞金稼ぎに転職しました。体の一部はサイボーグ化しており、見た目は豪快なのに家事全般が得意です。 ジェットの声を担当したのは舞台出身の声優・石塚運昇。「ポケットモンスター」シリーズのナレーションとオーキド博士の声でお馴染みですが、2018年に食道癌のため死去しています。

フェイ・ヴァレンタイン/林原めぐみ

元イカサマ師の賞金首だったフェイ。浪費家で享楽的、しかも金には強い執着を持っています。実はコールドスリープによって未来に目覚めた前時代の人間。いきなり多額の借金を背負って、記憶も失っていました。 フェイの声を担当したのは人気声優で、歌手としても活動する林原めぐみ。代表作は『新世紀エヴァンゲリオン』の綾波レイ役です。

エドワード・ウォン・ハウ・ペペル・チブルスキー4世/多田葵

13歳の天才ハッカーであるエド。ビバップ号の噂を知り、そのまま居着いてしまいました。名前や外見からは少年にしか思えないエドですが、実は女の子。地球出身で、長いフルネームは自分で適当に考えたものだとか。 エドの声を担当したのは元子役・声優の多田葵。2005年からはシンガーソングライターとして活動し、多くのテレビアニメ主題歌を歌っています。

『カウボーイビバップ』を知るための3つのキーワード

主人公のスパイクが元マフィアのカウボーイ、相棒のジェットが元警官の賞金稼ぎという経歴を持ち、宇宙を舞台にしているのにどこかローテクで、アメリカの多民族国家の様相も映し出している点が独特。こういったミスマッチとも思える設定の面白味が、人気の秘訣なのかもしれません。 そんな独特な世界観を構成している、3つのキーワードを解説します。

位相差空間ゲート

本作の世界では、2022年に月で行われた“位相差空間ゲート”の実験が大事故を引き起こし、地球は死の星と化しています。その結果、地球人は火星や金星などの外惑星に移住し、位相差空間ゲートは宇宙航海になくてはならないものとなりました。これはいわゆる宇宙の“高速道路”のようなもので、ゲート間を高速移動できます。

カウボーイ法

月のゲート事故から20年間ほど、地球は無政府状態に陥り治安は悪化。大量の犯罪が蔓延し、警察の手も及ばないほどになったため、犯罪者を賞金首にする“カウボーイ法”が施行されることになります。アメリカの西部開拓時代のように、一般から賞金稼ぎを公募し、“カウボーイ”として犯罪者を摘発させるものです。

I.S.S.P.

I.S.S.P.は「インターソーラー・システム・ポリス」の略で、太陽系全体の警察組織として機能しています。I.S.S.P.独自の捜査官がおり、惑星や国家を超える規模の事件を取り扱う大組織です。もちろん惑星や国家単位での警察もあり、ジェットは地元のガニメデ警察からI.S.S.P.に移っています。

OP曲が人気バラエティ番組のオープニング曲に!

監督の渡辺信一郎と脚本・舞台設定を担当した佐藤大はともに音楽に造詣が深いことでも有名です。渡辺信一郎は『サムライ・チャンプルー』でヒップホップを取り入れた独自の世界観を作り上げ、ジャズを題材とした青春を描いたアニメ『坂道のアポロン』でも監督を務めました。 本作ではさらに『攻殻機動隊 STAND ALONE COMPLEX』や『マクロスF』などの音楽担当として知られている菅野よう子を加わり、ジャズを基調にした色とりどりの楽曲が物語を盛り上げています。 『カウボーイビバップ』のOP曲である「Tank!」は2017年11月現在も放送されているバラエティ番組・ホンマでっか!?TVのオープニング曲としても有名です。サウンドトラックも多く発売されている『カウボーイビバップ』、その音楽にもぜひ注目してみてください。

『カウボーイビバップ』は放送までに2年もかかっていた

制作はサンライズの第2スタジオが担当し、渡辺監督と南雅彦プロデューサーが中心になってスタッフが集められました。企画の発端は、宇宙船のプラモデルが売れるようなアニメをバンダイに発注されたことから。その際渡辺監督が思いついたコンセプトは、アメリカの賞金稼ぎが近未来の宇宙で活躍する無国籍アクションというもの。 ところがジャズをベースにした音楽も独特のクールな作風にも周りの反応は芳しくなく、スポンサーも降板して放送すら危うかったとか。なかなか放送枠も決まらず、オンエアまでになんと2年もかかったそうです。 結局、他の作品の穴埋めとして急遽テレビ東京での放送が決定。1998年4月から6月の間に半分のエピソードで13回分が放送されました。同年10月から翌年4月にかけて、改めてWOWOWで全26回が無事にオンエアされています。

アニメ映画には劇場版ならではのアクションシーンが盛りだくさん

アニメ本編でも作画への力の入りようが見て取れますが、2001年に公開された劇場版『カウボーイビバップ 天国の扉』では、さらに迫力を増したアクションシーンを満喫することができます。 中でも主人公・スパイクとゲストヒロインのエレクトラがモップで格闘するシーンは、アニメファンの間ではしばしば語られる名シーン。キャラクターデザインや総作画監督にクレジットされることも多いアニメーター・馬越嘉彦のまばたきを許さない派手なアクションは見どころのひとつです。 アニメの劇場版といえば一見さんお断りのファンムービーであることも多い中、映画単体でも面白い『カウボーイビバップ 天国の扉』は、見逃し厳禁の傑作となっており、まだ観ていない人は要チェックです。

高い評価を受けている海外で実写化!Netflixで全世界に配信

その独特な設定や音楽性ゆえに、日本での知名度より、欧米での人気が高いようです。特にアメリカではビデオとDVDが先行発売され、劇場版が公開された2001年からはアニメ専門局で全米放送もされています。 アメリカでの人気を受けて、2009年にはキアヌ・リーブスの主演でハリウッドでの実写映画化が噂されましたが、その後は資金難に直面していることも報じられました。 2017年にはアメリカでの実写テレビシリーズ化が発表され、さらに2018年、テレビ製作会社Tomorrow StudiosがNetflixと共同制作し、Netflixが配信も行うことが決定。原作アニメの渡辺信一郎監督が監修として参加し、サンライズも製作で携わることが決まっています。

お蔵入り寸前だった『カウボーイビバップ』は知る人ぞ知る良作アニメだった

初めはジャズなんて売れないといわれていた本作の音楽CDも、日本ゴールドディスク大賞で「アニメーション・アルバム・オブ・ザ・イヤー」を受賞。映像パッケージの売り上げも国内外でヒットしました。 特に海外での人気が高いのは周知の通りで、主題歌の「Tank!」は2016年のカナダフィギュアスケート選手権でケヴィン・レイノルズ選手のショートプログラムで使用されたり、楽曲に合わせてスパイクのコスプレまで披露しています。 一時はお蔵入り寸前だった名作アニメ『カウボーイビバップ』。徹底した設定作りとジャンルを問わない無国籍なテイスト、クールな音楽と映像などなど魅力あふれる作風がいまだ愛され続け、国を問わず多くの人の心を掴んでいるようです。