ディストピア、ロボ、尻!アニメ映画『楽園追放』はなぜ評価されたのか?【あらすじ】

2018年1月26日更新

2014年にわずか13館での公開ながら、興行収入1億円突破したアニメ映画『楽園追放 -Expelled from Paradise-』。公開後、Twitter上では尻アニメとして盛り上がりを見せましたが、今回は尻だけじゃない本作の魅力に迫ります。

わずか3週で興収1億円突破!アニメ映画『楽園追放』ヒットの理由に迫る

『楽園追放 Expelled from Paradise』(以下『楽園追放』)は2014年に公開されたアニメ映画で、全編3DCGによるアニメーションや、『鋼の錬金術師』(1度目のアニメ化)の監督・水島精二と『魔法少女まどか☆マギカ』の脚本・虚淵玄のタッグで注目を集めた作品です。 東映×ニトロプラスによる製作となった本作は、全国13館という小規模での公開ながら、わずか3週で興行収入1億円を突破し、Twitter上ではヒロイン・アンジェラの尻を絶賛するコメントが盛り上がりを見せるなど、大きな反響を呼びました。 今回は『楽園追放』がなぜ評価されたのか、あらすじや登場人物を振り返るともに紐解いていきます。

電脳世界に生きるアンジェラ×地上に住むディンゴの名タッグ『楽園追放』のあらすじ

地球はナノハザードにより荒廃し、人類のうち98%は電脳世界ディーヴァでデータとして暮らしていました。 西暦2400年、ディーヴァはフロンティアセッターと名乗るハッカーによる地上からのハッキングを受け、捜査官の女性アンジェラはその調査の任につきます。 自身の遺伝子をもとに作られたマテリアルボディに意識を移し、地球に降り立ったアンジェラは現地の凄腕捜査員ディンゴの協力を得て、捜査を開始します。ディーヴァに忠実なアンジェラは素行不良と評されているディンゴに振り回されながらも、フロンティアセッターの正体に近づいていき……。

少ないながら濃いメンツ!『楽園追放』の登場人物

アンジェラ・バルザック / CV:釘宮理恵

アンジェラ・バルザックは電脳世界ディーヴァの保安要員を務める金髪碧眼の美人女性。ディーヴァからフロンティアセッターの調査を命じられ、地上に降ります。その際に、ほかのエージェントを出し抜くためにマテリアルボディの培養時間を十分に取らなかったため、身体は16歳相当です。 機動外骨格・アーハンを使った戦闘を得意としています。

ディンゴ / CV:三木眞一郎

現地調査員としてアンジェラをサポートするエージェント・ディンゴ。Sランクの評価を誇る凄腕ながら、ディーヴァのやり方に賛同しないことも多く、素行不良と評されています。ロックミュージックをこよなく愛し、フロンティアセッターとも音楽を通して仲良くなります。

フロンティアセッター / CV:神谷浩史

フロンティアセッターはアップデートによって自我が芽生えた人工知能。ディーヴァにハッキングを仕掛けたため、アンジェラたち保安局員に追われることとなります。実は敵対の意志はなく、とある目的からディーヴァに住む人類にメッセージを送り続けていました。 人間より人間らしい存在として描かれています。

ポイント1:バディものとしての成功と、アンジェラの魅力

『楽園追放』のストーリーを分類すると、反目し合う二人がコンビを組み難事に立ち向かう、いわゆる「バディもの」になります。 身体を捨て最適化された生活を送るアンジェラと、実存するものに執着するディンゴは、データとなった98%の人類と地球に残された人々それぞれを代表する存在であり、テクノロジーを使いこなす現代人はどちらにも共感することができます。 特に製作側のアンジェラの描写へのこだわりが随所に感じられ、バトル以外のパートでは、いろいろな表情を見せるアンジェラを前面に押し出しています。アンジェラの声を担当したのは釘宮理恵で、原点回帰するような王道な釘宮ヒロインが最高です。

ポイント2:日常シーンから迫力のロボットバトルまで全編CG!

本作は東映のCG技術研究として端を発した企画ということもあり、セルアニメを意識しつつ全編3DCGで作られた挑戦的な映画となりました。映画公開後のTwitterでは「いいお尻だった」といった尻絶賛コメントに溢れましたが、アンジェラのお尻以外のCGも見ごたえ十分。 中でも『交響詩篇エウレカセブン』の監督として知られる京田知己監督が演出・コンテを手掛けた迫力のバトルシーンや、アンジェラの可愛らしく細やかな表情の変化は今観ても素晴らしい完成度です。2014年当時スクリーンで体験した観客の感動は想像するに難くありません。 映画としても山場となるラストバトルのアクションは、脚本を務めた虚淵玄も「ジャパニメーションの真骨頂」と太鼓判を押しています。同じ年のアニメ映画には『STAND BY ME ドラえもん』もあり、2014年はCGアニメーションの可能性を感じられる1年でした。

ポイント3:ディストピアを描いたSFストーリー

ビジュアル的な部分ばかりではなく、脚本を務めた虚淵玄が得意とするSF設定と骨太なストーリーも評価されています。 電脳、マテリアルボディ、自我を持ったAIなどなど、SF全開な未来感にワクワクしながらも、ディンゴ、アンジェラ、フロンティアセッターと段階的に身体性を失っているキャラクターのグラデーションに、改めて人間とは何なのか考えさせられます。 不自由な地球と管理されたディーヴァ、果たして楽園はどっちなのかは、観た人に委ねられているのではないでしょうか。

二人のその後が気になる、続編『楽園追放2』はあるのか!?

小規模の公開ながらヒットを記録し、反響も大きかった『楽園追放』。その続編を期待する声は多く上がっていますが、公式サイトやTwitter含め、続編製作の知らせは2018年1月現在ありません。 映画ではないですがが、小説の方では本編のスピンオフ『楽園追放 2.0:楽園残響 -Godspeed You-』と、前日譚にあたる『楽園追放 mission.0』がそれぞれ発売されています。作者は虚淵玄ではないのは残念ですが、もっと『楽園追放』の世界を味わいたい、という人にオススメです。 今回は全編3DCGによるアニメ映画『楽園追放 -Expelled from Paradise-』を紹介しました。続編製作決定の発表を期待しつつ、改めて見直してみてはいかがでしょうか。