大御所アニメ制作会社・マッドハウスの歴史を名作とともに紹介!

2018年1月29日更新

業界内においてトップクラスの作品数を誇るアニメ制作会社・マッドハウス。大ヒット作やアニメ史を揺るがす話題作も多く、幅広いファン層を抱える人気メーカーとして高い知名度を誇っています。ここでは、その波瀾万丈な老舗スタジオの歴史を繙きたいと思います。

マッドハウス、数々の名作を世に送り出してきたアニメ制作会社に迫る

アニメ好きで、「マッドハウス」という名前を目にしたことがない人はいないのではないでしょうか?マッドハウスは、『カードキャプターさくら』『ワンパンマン』『サマーウォーズ』など数多くの人気作・話題作を生み出してきたアニメ制作会社です。 本記事ではそんなマッドハウスの設立からの歴史を数々の名作とともに振り返っていきます。作品の裏側を知ればアニメがもっと楽しめるかも!?

「マッドハウス」の由来は千葉のお店!?

マッドハウスは、虫プロダクション出身の丸山正雄、出崎統、りんたろう、川尻善昭が中心となって1972年に設立されました。 「マッドハウス」という名前の由来については、「○○スタジオ」のようなありふれた名前を避け目立つ為に、千葉県に実在した松戸ハウスというお店から頂いたとのこと。語呂の良さや尖ったニュアンスを狙っての命名だったようですね。 ちなみにこの由来について語った丸山氏は、アニメ『SHIROBAKO』に登場するムサニの社長・丸川正人のモデルになった方で、作中同様に業界内におけるレジェンド的存在として多くのアニメーターから尊敬されています。 設立当時の正式名称は「有限会社マッド・ハウス」でしたが、2004年より中黒が取れて「マッドハウス」となりました。

映画・OVA作品が主軸だった初期

設立当初、マッドハウスはテレビアニメを手掛けていましたが、それは自社制作ではなく元請スタジオからの外注という形での参加が主でした。 しかし1980年に丸山氏が代表取締役社長に就任して以降は方針が変わり、テレビではなく映画やOVAの制作に着手することになります。 映画は共同制作や外注での参加が主で、OVAは当時まだまだニッチ市場だった為、この頃のマッドハウスはコアなファンこそ獲得していたものの、決して知名度の高い制作会社ではなかったようです。

『YAWARA!』から始まった新たな旅

マッドハウスがテレビアニメの世界に帰ってきたのは1989年。当時ビッグコミックスピリッツで爆発的な人気を誇っていた柔道マンガ『YAWARA!』のアニメを手掛けたのがきっかけでした。 アニメ『YAWARA!』は最高視聴率19.7%を記録するなど大ヒット作品となり、1992年まで放送されました。更に1995年4月~1998年3月にはNHKで放送された『あずきちゃん』も手掛け、この2作品の実績によりマッドハウスの名はアニメ業界に知れ渡るようになりました。 そして1998年4月、多くの視聴者を“その道”に引きずり込むあの作品を世に送り出すことになります。

マッドハウスとアニメ業界の運命を変えた「CCさくら」

1998年4月よりNHKで放送された『カードキャプターさくら』。いわゆる「魔法少女モノ」の決定版で、萌えブームの立役者としても有名な超人気アニメですね。2018年には続編となる『カードキャプターさくら クリアカード編』も放送され、話題になっています。 思わず勿体振ってしまいましたが、この「CCさくら」を制作したのは勿論マッドハウスです。「CCさくら」の影響は凄まじく、この時期を境にマッドハウスの知名度と制作本数は激変。毎年膨大な数のテレビアニメを手掛けることになります。 社名のイメージとはかけ離れた「CCさくら」でのブレイクとなりましたが、2000年代には『BLACK LAGOON』『DEATH NOTE』『魔人探偵脳噛ネウロ』など尖った作品や『電脳コイル』などのオリジナル作品も多数手掛け、その間口の広さに多くのアニメファンを驚愕させました。

アニメ映画『時をかける少女』が大ヒット!細田守が一躍有名監督に

「CCさくら」以降、非常に多くのテレビアニメを制作するようになったマッドハウスですが、それまで主軸としていた映画に関しても更に注力するようになりました。 特に大きな契機となったのは2006年公開の細田守監督作品『時をかける少女』です。 公開当初は興行規模の小ささもあって目立ちませんでしたが、口コミなどで徐々に人気に火が点き、第39回シッチェス・カタロニア国際映画祭アニメーション部門・最優秀長編作品賞など国内外で数多くの賞を授与される話題作になりました。 細田監督は次回作の『サマーウォーズ』で本格ブレイク。その後も次々とヒット作を生み出し、日本を代表するアニメ監督として周知されるようになりました。

今敏の死、経営難、そして『オーバーロード』

21世紀に入って華やかな面が目立ったマッドハウスでしたが、実はその裏で厳しい現実と直面していたようです。 独特の感性で国内以上に国外で高い評価を得ていた鬼才・今敏監督の早すぎる死。銀行の経営破綻に起因する当時の親会社の経済損失。そして自社の赤字。これらが2010年頃に集中した不幸もあって、マッドハウスはかつてない過負荷状態となり、経営危機に陥ります。 その後、日本テレビが出資比率を大幅に引き上げマッドハウスを子会社化(買収)するという形で落ち着き、スタッフの入れ替えがありつつも会社は存続。アニメ『オーバーロード』など多数のヒット作を生み出し、健在ぶりをアピール。 まさにマッドハウスはオーバーロード(過負荷)状態からの生還を果たした、と言えるのではないでしょうか。

マッドハウスが挑み続ける『宇宙よりも遠い場所』

マッドハウスは命名の由来からもわかるように、一筋縄ではいかないアニメ制作会社です。セル画へのこだわりで作画のデジタル化を渋る、才能を見込んだ監督に粘り強くオリジナル作品を作らせる等、「CCさくら」以降も独自のスタイルを貫いてきました。 しかし経営の立て直しが急務となって以降は、そのスタイルも少しずつ変わってきています。 例えば、以前は下請けに任せる形で過剰な制作本数をこなしていましたが、近年では本数を抑え一作一作のクオリティを大事にしている印象を受けます。2018年放送のオリジナル作品『宇宙よりも遠い場所』も作画・ストーリー共に秀逸で、高い評価を得ています。 時代の流れを汲みつつも、アニメ制作会社としての初心を忘れない。決して簡単ではなく、今後も試行錯誤の日々は続くのでしょうが、その着地点こそがマッドハウスの目指す“宇宙よりも遠い場所”なのかもしれませんね。