2018年2月13日更新

特撮に関する基本の「キ」!知っておきたい8つのトリビア【特撮ファンが語る】

ゴジラ

特撮は特殊撮影技術の略称であり、特殊効果が売りの怪獣映画やヒーロードラマなどを指す単語としても使用されています。今回は子どもから大人まで万人を魅了する、特撮の基本的なトリビアをご紹介します。

特撮の歴史から豆知識まで、たっぷりお届け

「特撮」は海外ではSFX(Special Effects、特殊効果と訳されることもある)と呼ばれており、元々は通常であれば撮影不可能な映像を制作する技術「特殊撮影技術」を指す単語です。現在では特撮が売りの作品、特に怪獣作品やヒーロー作品を意味する単語でもあります。 特撮は炎の映像を「合成」して火災現場を再現したり、「ミニチュア撮影」で過去の都市を再現したりと、意外なところでも活躍しています。身近な所では天気予報で、気象予報士と定点カメラの映像を合成している映像がよく見られます。 2016年には『シン・ゴジラ』が大ヒットし、特撮の魅力が再認識されました。今回は特撮の歴史から意外な逸話まで、知ってるようで知らない基本の「キ」となる豆知識をご紹介します。

1.世界最古の特撮映画は『メアリー女王の処刑』

1895年、史上初の特撮映画が機械を覗き込んで見る「キネトスコープ」の形式で発表されました。タイトルは『メアリー女王の処刑』で、スコットランド女王だったメアリー・スチュアートの斬首刑の瞬間を描いた20秒ほどの作品です。 本作ではメアリーが斬首台につくまでを役者が演じ、一度カメラを止めて同じ姿の人形を斬首台に起き、執行人が斧を振り下ろすという方法で撮影されました。この手法は「中止め」や「置き換え」と呼ばれ、素顔の役者がヒーローに変身するシーンの演出などに多用されています。 対して日本最古の特撮映画ですが、こちらは現存しない作品が多いため判然としていません。『ゴジラ』で知られる特撮監督、円谷英二の師匠、枝正義郎や日本映画の父と呼ばれる牧野省三が特撮を多用した忍術映画で子どもの人気を得たと伝えられています。

2.GHQも本物と勘違いした円谷英二の特撮

日本が誇る特撮の神様、円谷英二(つぶらや えいじ)。『ゴジラ』などで知られる円谷のエピソードの中でも特に異彩を放つのが、『ハワイ・マレー沖海戦』にまつわる事件です。 『ハワイ・マレー沖海戦』は第二次世界大戦中の1942年に公開された国策映画・戦争映画で、1941年12月の真珠湾攻撃とマレー沖海戦を描いています。軍部からは殆ど資料が貰えない中で、円谷は特撮を用いて真珠湾攻撃を緻密に再現しました。 事件が発生したのは戦後間もなくのこと。敗戦に伴い日本の占領政策を行っていた連合国軍の司令部GHQが、本作の制作に使用されたフィルムを接収したのです。 その理由は、GHQが本作の戦闘シーンを実写記録フィルムだと信じて疑わなかったからだと言われています。現役の軍人さえも本物と見まごう、円谷特撮のクオリティの高さがよく分かる一件です。

3.特撮の代表作『ゴジラ』は海外でも大人気

特撮映画の代表作『ゴジラ』。1954年に公開された本作は1953年に行われたビキニ環礁での核実験と、この実験による漁船・第五福竜丸の被曝事件を受け、核兵器への警鐘を鳴らす社会派の作品として制作されました。本作は当時の興行レコードを次々更新する大ヒットとなりました。 2016年に『シン・ゴジラ』で改めて存在感を示した本シリーズですが、世界的にも絶大な人気を誇っています。『ゴジラ』を海外用に再編集した『怪獣王ゴジラ』は米国他世界各国で上映され、邦画としては異例の大ヒットを連発、日本特撮の力を世界に知らしめることとなりました。 海外における支持の厚さは黒澤映画にも匹敵すると言われ、2度のハリウッド版のほか、アニメやゲームなど様々な作品が独自に製作されています。一時期は日本作品よりも海外作品の数の方が多い時期もあったほどです。

4.巨大ヒーローの代名詞『ウルトラマン』が誕生した理由

巨大特撮ヒーローものの草分け『ウルトラマン』。特撮ドラマ『ウルトラQ』の続編として1966年に放送され、同作に登場する巨大ヒーロー・ウルトラマンは半世紀以上に渡り愛されています。 ですが、ウルトラマンが怪獣を引き立てるために用意されたキャラクターであることはあまり知られていません。 『ウルトラQ』では個性豊かな怪獣が毎週のように登場する展開が子供の心を掴みました。しかし、怪獣は毎週人間によって退治されていったため、メインの怪獣が弱く見えてしまうという欠点がありました。 毎週登場する個性豊かな怪獣を目立たせるためには、前の怪獣を退場させなければなりません。そこで物語の前半では人間の手におえない怪獣の強さを描きつつ、後半になれば怪獣が倒されるというストーリーが作れるように、3分間しか活躍できない正義のヒーロー・ウルトラマンが考案されたのです。

5.サスペンスの神様、ヒッチコックは特撮の名手だった!

『サイコ』などで知られ、サスペンスの神様の異名を取るアルフレッド・ヒッチコックは特撮の名手でもありました。鳥に占拠された町を豊富な合成で演出した映画『鳥』のような特撮らしい傑作もありますが、彼の真骨頂は違和感のない特撮シーンの挿入にあります。 ヒッチコックの特撮の中でも代表的であり、なおかつ見るものに絶大なインパクトを与えたのが『めまい』に登場する「めまいショット」。本作で初めて使用された「めまいショット」では、ズームとカメラの上下移動を組み合わせて螺旋階段の高さが演出されています。 当時は螺旋階段のような狭い場所でカメラを上下移動させる技術がありませんでした。そこでヒッチコックは螺旋階段のミニチュアを作成し、これを横に倒したのです。 これにより、カメラは水平移動を行えば良くなります。「めまいショット」はヒッチコックの特撮の名手ならではの発想の転換により完成したのです。

6.『スター・ウォーズ』の意外なところで活躍していた日本の技術

世界的な人気を誇るスター・ウォーズシリーズの第1作『スター・ウォーズ エピソード4 新たなる希望』はシリーズの中でも特撮色の強い作品となっています。多額の予算が確保できなかったため、迫力の映像を撮るためにはSFX技術、すなわち特撮が必要不可欠だったのです。 同作の特撮として特に好評を得たのがミニチュアを用いて描かれる空戦シーンだったのですが、本作のミニチュアには日本のプラモデルが多用されています。しかも、使用されているのは組み立てられたプラモデルではなく、その部品のみです。 当時のアメリカ映画では架空兵器のプロップ(模造品)やミニチュアの作成に、繊細な造りが世界的に評価されている日本のプラモデルの部品を多用していました。日本の意外な物が作品のディティールアップに貢献していたのです。

7.「特撮ヒロイン」を産んだ戦隊ヒーローシリーズが誕生した意外すぎるきっかけ

戦隊ヒーローシリーズは、主役級のヒーローが複数登場し、特撮ヒロインが活躍することが特徴的なシリーズです。戦隊ヒーローシリーズ第1作『秘密戦隊ゴレンジャー』はNET(現テレビ朝日)が東映と共に制作したテレビ番組で、1975年に放送開始されました。 個性豊かな5人のヒーロー・ヒロインが活躍し大人気を獲得した本作ですが、実は仮面ライダーシリーズの穴埋めとして誕生した作品だったことは意外と知られていません。 1970年代中盤、仮面ライダーシリーズを制作していたテレビ局・毎日放送がNET系列からTBS系列に鞍替えする事となりました。仮面ライダーシリーズもTBSに放送が移行されたため、NETは代わりの子ども向け特撮番組として『秘密戦隊ゴレンジャー』を制作したのです。

8.特撮ヒーロー番組が若手俳優の登竜門である理由

特撮ヒーロー番組、特に東映特撮は松坂桃李や福士蒼汰ら人気俳優を産んだ「若手俳優の登竜門」です。特撮ヒーロー番組で若手俳優が成長する理由には以下の2つがあります。 1つは1年間という長期間の仕事であること。役作りや現場での立ち居振る舞いなど、役者にとって必要な仕事への向き合い方をじっくり学べる環境が整っているのです。 2つは激務であること。特撮ヒーロー番組は1話30分ですが、アクションシーンや特撮の撮影、アフレコ(変身後の戦闘シーンに声を当てるため)等の特殊な収録も多く、更にはヒーローショーへの出演なども重なり、俳優にとって非常にヘビーな仕事となっています。 じっくりと、そして厳しく鍛えられるため、巣立った若手俳優が大きく羽ばたいていくのです。 特撮の基本の「キ」は如何でしたでしょうか?特撮の魅力あふれる逸話はまだまだたくさんありますので、気になる方はぜひ調べてみてください!