2018年3月20日更新

海外映画に欠かせない名脇役12人。【名作の影にこの人あり】

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ときに主役を食う存在感!海外映画の名バイプレイヤーたち

映画にスパイスを添える脇役キャラクター。なかでも、個性派俳優たちが演じるキャラクターは、ときに主役以上の存在感で観る者に強烈な印象を与えます。幅広い役柄を演じ分ける彼らバイプレイヤーについて、名前は知らないけれど、顔は見たことがあるという人も多いのではないでしょうか。 こうしたバイプレイヤーの多くは、彼ら無しには名映画は成立しないと言えるほどの実力を持ち、多くの作品で活躍しています。 主役級ではないからこそ、イメージに縛られず様々な役に挑戦できる、ある意味恵まれた立場にいる名バイプレイヤーたちをご紹介していきましょう。

悪人も善人も変人も ウィレム・デフォー

1981年の『ラヴレス』で本格的に映画デビューを果たしたウィレム・デフォーは、その顔立ちから悪人を演じることが多い俳優。しかしそれだけではなく、様々な役柄を演じ分ける演技力で、短編映画からアニメ映画の声優まで110本近い作品に出演しています。 『プラトーン』(1986)のエリアス・グロージョン三等軍曹役で世界的に知名度を高め、アカデミー賞助演男優賞にノミネートしました。その後は個性派俳優として知られるようになります。また、2000年にも『シャドウ・オブ・ヴァンパイア』でアカデミー助演男優賞にノミネートしました。 『スピード2』(1997)の爆弾犯ガイガー役や『スパイダーマン』(2002)のノーマン・オズボーン/グリーン・ゴブリン役など、犯罪者や怪しげな悪役の印象が強いデフォーですが、『処刑人』(1999)のFBI捜査官スメッカー役や『きっと、星のせいじゃない。』(2014)の作家ピーター・ヴァン・ホーテン役など、憎めない変人の役にも定評があります。

また、『最後の誘惑』(1988)でのイエス・キリスト役や『ぼくの神さま』(2001)の神父役などでは繊細な演技で善人を演じており、その幅広い演技力を感じさせます。 2017年の『フロリダ・プロジェクト 真夏の魔法』では、モーテルの管理人を演じ、全米映画批評家協会賞、ニューヨーク映画批評家協会賞、ロサンゼルス映画批評家協会賞で助演男優賞を受賞。ゴールデングローブ賞助演男優賞にもノミネートしました。

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北欧では主演級の名優 ステラン・スカルスガルド

最近では「パイレーツ・オブ・カリビアン」シリーズのビル・ターナー役や、MCU(マーベル・シネマティック・ユニバース)のエリック・セルヴィグ教授役など、大作映画でも一癖ある役を演じ、広く知られるようになったステラン・スカルスガルド。 スウェーデン出身のスカルスガルドは、1982年に主演した『Den enfaldige mördaren (原題)』でベルリン映画祭男優賞を受賞。また、デンマークの鬼才ラース・フォン・トリアー監督の『ダンサー・イン・ザ・ダーク』(2000)や『ドッグヴィル』(2003)などにも出演しており、作品ごとに多彩な演技を見せています。 1988年には「プラハの春」を題材にした映画『存在の耐えられない軽さ』に出演。1990年代から本格的にアメリカ映画に出演しはじめ、『レッド・オクトーバーを追え!』(1990)や『グッド・ウィル・ハンティング/旅立ち』(1998)など120本以上の映画に出演し、名バイプレイヤーとして知られるようになりました。

100万ドルの歯並び スティーヴ・ブシェミ

一度見たら忘れられない顔のスティーヴ・ブシェミは、コーエン兄弟やクェンティン・タランティーノなど、個性的な作風の監督たちの作品に多く出演しています。 タランティーノ監督の『レザボア・ドッグス』(1992)では、物語の鍵を握るミスター・ピンク役を演じ、コーエン兄弟の作品では『ミラーズ・クロッシング』(1990)や『ファーゴ』(1996)、『ビッグ・リボウスキ』(1998)など6作品に出演しており、各作品で違った演技を見せています。 アニメ映画の声優としても活躍し「モンスターズ・インク」シリーズのランドール役や「モンスター・ホテル」シリーズの狼男・ウェイン役も演じました。また、ロバート・ロドリゲス監督の「スパイキッズ」シリーズなど、子供向け映画にも多く出演しています。

2010年から2014年にはテレビシリーズ『ボードウォーク・エンパイア 欲望の街』で主人公のイーノック・“ナッキー”・トンプソンを演じるなど、脇役に留まらない活躍を見せているブシェミ。その映画出演数は110本以上になります。 ブシェミは歯列矯正をしようかと考えたこともあったそうですが、歯並びをきれいにすると仕事を失うと思い直し、そのままにしているとか。

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映画界の小さな巨人 トビー・ジョーンズ

身長163cmと小柄なトビー・ジョーンズは、1992年にヴァージニア・ウルフ原作の『オルランド』で映画デビューし、母国イギリスで多くのテレビ映画などに出演するようになります。1998年には、ドリュー・バリモア主演の『エバー・アフター』に出演し、ジョニー・デップ主演の『ネバーランド』(2004)では、フック船長の部下スミー役を演じました。 2007年の『ミスト』では、射撃の得意なスーパーの副店長という変わった役を好演。また、「ハリー・ポッター」シリーズのドビーの声や「ハンガーゲーム」シリーズの司会者クラウディウス・テンプルスミス役でも知られています。MCUでは、ヒドラの科学者アーニム・ゾラ博士役で観客に強い印象を与えました。 ジョーンズは娯楽大作だけでなく、『裏切りのサーカス』(2011)や『奇蹟がくれた数式』(2016)など、ドラマ映画にも多数出演しています。 2017年には、BBCの人気テレビシリーズ『SHERLOCK』で不気味な悪役カルバートン・スミスを演じ、好評を博しました。

映画にテレビに舞台に幅広く活躍 マーシャ・ゲイ・ハーデン

1990年にコーエン兄弟監督の『ミラーズ・クロッシング』で娼婦のヴェルマ役を演じ、本格的に映画デビューを果たしたハーデンは、この作品で高評価を得ます。1993年には『エンジェルズ・イン・アメリカ』でブロードウェイデビュー。その後、多くのテレビ映画やテレビシリーズにも出演し、実力派として知られるようになりました。 2000年には画家ジャクソン・ポロックの伝記映画『ポロック 2人だけのアトリエ』でポロックの妻を演じアカデミー賞助演女優賞を受賞。また、2003年にも『ミスティック・リバー』のセレステ役でアカデミー助演女優賞にノミネートしています。 テレビシリーズでは、『ダメージ』(2009)や『殺人を無罪にする方法』(2015)などに出演。 最近では「フィフティ・シェイズ」シリーズで、主人公クリスチャン・グレイ(ジェイミー・ドーナン)の義母グレイスを演じました。

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長編映画初出演でアカデミー助演女優賞受賞 ルピタ・ニョンゴ

初出演となった長編映画『それでも夜は明ける』(2013)で女性奴隷のパッツィーを演じ、アカデミー賞助演女優賞を獲得したルピタ・ニョンゴ。その後も話題作に出演し、脇役でも強い存在感を放っています。 リーアム・ニーソン主演のアクション・スリラー『フライト・ゲーム』(2014)では、乗客乗員が次々と殺されるなか、捜査に乗り出す主人公のビル・マークス(ニーソン)に反発する乗務員グウェンを演じました。また、「スターウォーズ」新三部作では、元海賊女王で酒場の店主マズラ・カナタをパフォーマンス・キャプチャと声で演じています。 2018年には『ブラック・パンサー』で、主人公の元恋人でスパイのナキアを演じ話題になりました。今後の活躍も楽しみな注目株です。

監督としても活躍した映画界の問題児 デニス・ホッパー

『イージー・ライダー』(1969)や『ハートに火をつけて』(1989)などの監督としても知られるデニス・ホッパーは、主演・助演合わせて120本以上の作品に出演しています。 1970年代には監督および映画会社との確執や、自身の飲酒・麻薬の問題で出演作に恵まれなかったホッパーですが、1986年にデヴィッド・リンチ監督の『ブルー・ベルベット』で異常なほど短気な男フランク・ブースを演じてハリウッドに返り咲きました。 その後も個性派俳優として知られ、キアヌ・リーブス主演の『スピード』(1994)では、クレイジーな爆弾魔ハワード・ペイン役で強烈な印象を残しました。 また、非常に多くの作品に出演しているホッパーは、世界で最も多くの俳優と共演したとも言われています。

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パフォーマンス・キャプチャの神 アンディ・サーキス

アンディ・サーキスは、パフォーマンス・キャプチャ(モーション・キャプチャ)を使った演技では右に出る者がいない俳優です。 サーキスは母国イギリスで多くのテレビシリーズや映画に出演した後、2001年から3年かけて公開された「ロード・オブ・ザ・リング」三部作でパフォーマンス・キャプチャを使ってゴラム役を演じ、その印象的なキャラクターとともに一躍注目を集めました。 2011年から2017年に「猿の惑星」三部作で演じた類人猿のリーダー、シーザー役は、本物の猿と見紛うような演技で絶賛されました。その後も『キング・コング』(2005)や『GODZILLA ゴジラ』(2014)などでその実力を見せつけ、多くの俳優にパフォーマンス・キャプチャの指導もしています。

しかし、サーキスの魅力はそれだけではありません。クリストファー・ノーラン監督の『プレステージ』(2006)では、デヴィッド・ボウイ演じるニコラ・テスラの助手アリーをチャーミングに演じました。また、2016年の『エイジ・オブ・ウルトロン』からは、武器商人ユリシーズ・クロウ役でMCUに参戦。今後の活躍にも注目です。

徹底した役作りで共演者までも圧倒する ジャレッド・レト

私生活でも演じる役に入り込むメソッド俳優の1人として知られているジャレッド・レトは、その徹底した役作りによる迫真の演技で、多くの出演作で絶賛されています。 レトは役作りのため何度も体重の増減を繰り返しており、2007年の『チャプター27』では、ジョン・レノン殺害犯のマーク・D・チャップマンを演じるため、30kgも増量しました。2013年の『ダラス・バイヤーズ・クラブ』では、トランスジェンダーでHIV患者のレイヨンを演じるために18kgもの減量に成功し、見事アカデミー賞助演男優賞を受賞。 そのほかにも『ファイト・クラブ』(1999)で主人公に顔がわからなくなるほどボコボコにされるエンジェル・フェイス役や『スーサイド・スクワッド』(2016)のジョーカー役、『ブレードランナー 2049』(2017)の科学者ウォレス役などでも知られています。

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清楚なお嬢様から個性派女優へ変身 ヘレナ・ボナム・カーター

イギリス出身のヘレナ・ボナム・カーターは、母国では華やかな衣装をまとう時代劇・歴史劇に多く出演し「コルセット・クィーン」「イングリッシュ・ローズ」などの愛称がつけられていました。 しかし、1999年の『ファイト・クラブ』で主人公を翻弄する女性マーラを演じ、それまでのイメージを覆します。2003年からは公私ともにパートナーであったティム・バートン監督作品に多数出演。『ビッグ・フィッシュ』(2003)では魔女、『チャーリーとチョコレート工場』(2005)では主人公の母親、『アリス・イン・ワンダーランド』(2010)では赤の女王役など、様々な役を演じ分けています。 2010年には『英国王のスピーチ』でジョージ6世の妻エリザベス・ボーズ・ライアンを演じ、アカデミー助演女優賞にノミネート。また、2007年から2011年に「ハリー・ポッター」シリーズで演じたベラトリックス・レストレンジ役も強烈でした。

デヴィッド・リンチ監督作品常連女優 ローラ・ダーン

ローラ・ダーンは「ジュラシック・パーク」シリーズのエリー・サトラー博士役などで知られ、デヴィッド・リンチ監督作品の常連として『ブルー・ベルベット』(1986)や『インランド・エンパイア』(2006)、テレビシリーズ『ツイン・ピークス The Return』(2017)などに出演しています。 2014年には『わたしに会うまでの1600キロ』で主人公の母親を演じ、アカデミー助演女優賞にノミネート。2017年の『スターウォーズ 最後のジェダイ』では、ミステリアスなホルド中将を演じ注目を集めました。 また、2017年にはニコール・キッドマン、リース・ウィザースプーン共演のテレビシリーズ『ビッグ・リトル・ライズ』にも出演し、エミー賞やゴールデングローブ賞で助演女優賞を受賞しています。

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癖のある役も正統派美女もこなす マギー・ジレンホール

『Waterland (原題)』で1992年にデビューしたマギー・ジレンホールは、2001年に難解映画として知られる『ドニー・ダーコ』に、実弟のジェイク演じる主人公の姉エリザベス役で出演しました。2002年には『セクレタリー』で被虐嗜好のある女性を演じ、ゴールデングローブ賞主演女優賞にノミネート。 2001年の同時多発テロを題材とした『ワールド・トレード・センター』(2006)では、救助隊としてビルの内部に閉じ込められてしまった夫を心配するアリソン・ヒメノ役を印象的に演じ、『ダークナイト』(2008)では、ブルース・ウェイン(クリスチャン・ベール)の恋人レイチェル・ドーズ役を好演しています。 2009年には、多くの映画祭で高く評価された『クレイジー・ハート』でジェフ・ブリッジス演じる主人公と恋に落ちるシングルマザーの記者ジーンを演じ、アカデミー助演女優賞にノミネートされました。

いかがでしたでしたでしょうか。あなたのお気に入りの個性派俳優はいましたか?ご紹介した俳優たちが出ているだけで、いい映画ような気さえしてくるのではないでしょうか。名バイプレイヤーたちの出演作を見て、その名演・怪演を堪能してみるのも一興でしょう。