2021年3月27日更新

映画『騙し絵の牙』ネタバレ解説!騙し合いバトルを制した速水の“仕込み”を伏線整理【あらすじ・キャスト】

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映画『騙し絵の牙』をネタバレ解説!小説愛が強すぎる編集長・大泉洋に騙される!

塩田武士原作の『騙し絵の牙』が、キャラクターのモデルとなった大泉洋主演で映画化されました。老舗出版社内で、各雑誌の生き残りをかけて繰り広げられる仁義なき“騙し合い”エンターテインメントである本作は、逆転につぐ逆転の先の読めない展開が魅力です。 そんな『騙し絵の牙』のあらすじからキャラクター/キャスト、原作との違いなど、気になるポイントを紹介します。 ※この記事には原作小説および映画『騙し絵の牙』のネタバレがあります。ご注意ください。

映画『騙し絵の牙』登場人物&あらすじ解説!

キャラクター紹介

速水輝
(はやみ あきら)
雑誌『トリニティ』編集長
高野恵
(たかの めぐみ)
速水に引き抜かれる新人編集者
江波百合子
(えなみ ゆりこ)
文芸誌『小説薫風』編集長
東松龍司
(とうまつ りゅうじ)
合理的な経営手腕の薫風社専務
伊庭惟高
(いば これたか)
先代社長の息子

あらすじ

長い歴史をもつ出版社・薫風社の伊庭喜之助社長がある日突然急逝します。社内はその後継者争いに揺れ、次期社長と目されていた彼の息子・惟高はアメリカに渡ることに。彼が社長に就任するまでの中継ぎとして、営業畑出身の専務・東松が社長に就任します。 強引に社内の改革を進める彼は、文芸誌『小説薫風』とカルチャー誌『トリニティ』の廃刊を画策していました。『トリニティ』の編集長・速水は雑誌を守るため、さまざまな奇策に撃って出ます。

『トリニティ』存続のため奔走!人たらし編集長・速水の“仕込み”一覧

①大御所ミステリー作家・二階堂大作のご機嫌取り

薫風社社長の急逝と同時期に作家生活40周年を迎えた大御所ミステリー作家・二階堂大作。文芸雑誌『小説薫風』は彼の権威と連載に頼りきっており、誰もその作品に口を出すことができません。 しかし落ち目であることは誰の目にも明らかで……。そんな彼に、速水は驚くべき提案をします。

その提案とは、古い大ヒット小説をコミック版でリブートさせ、その連載を『トリニティ』で行うことでした。 なんと高野と2人で食事させ、少々生意気でも正直な気持ちをぶつけさせることで、二階堂の心を掴んだのでした。

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②イケメン新人作家・八代聖の才能を発掘!?

『小説薫風』の新人賞に応募してきた八代聖は、高い実力を持ちながら保守的な雑誌の方針で落選してしまいます。しかし高野は彼の作品『バイバイするとちょっと死ぬ』を高く評価していました。 偶然速水が原稿を発見しトリニティで連載することになりますが、作者の八代は不満げ。着飾ってモデルのように売り出されることが不服なのでしょうか……?

③人気モデル作家・城島咲の新たな才能を引き出す

カリスマモデルとして活躍する城島咲には、その容姿に似合わないある秘密が。なんとミリタリー雑誌に匿名で投稿した文章が人気となるほどの銃マニアだったのです。 それを見抜いた速水は彼女に声をかけ、新たな一面を『トリニティ』で引き出すことに。しかし彼女にはどうやら不気味な影が忍び寄っています……。

④アメリカにとばされた先代社長の息子・伊庭惟高との関係

先代社長・伊庭喜之助(いば きのすけ)の息子、惟高。次期社長と目されていた彼ですが、父の急逝により社長就任は時期尚早と判断され、アメリカに渡ることに。 しかし実際には、彼はアメリカである計画をすすめていたようで……。

【ネタバレ注意】モデル作家が犯した罪で物語は排除されるべきか?作品と作者の関係を問う

モデルとして活躍する城島咲は速水の提案により、『トリニティ』で連載を持つことになります。しかし彼女には過激なストーカーの魔の手が彼女に迫っていました。 八代との熱愛を匂わせたため激怒したストーカーは、あるとき彼女を襲います。咲は自らの身を守るためとっさに、趣味で所持していた銃を発砲、逮捕されました。 彼女が表紙を飾った『トリニティ』最新刊をめぐり、社内では表紙を差し替えるかどうか論争が起こります。 ここで描かれているのは、「クリエイターの犯した罪と、その創作物の関係」という現実の社会にも存在する問題です。クリエイターが罪を犯した場合、その作品も追放するべきなのでしょうか。 映画『騙し絵の牙』では、これについて1つの明確な結論を出しています。その答えとは、雑誌の表紙にも大きく書かれていた文言、「戦え、物語」。 つまり作者の私生活と関係なく、優れた物語は人々のもとに届けられるべきなのです。

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【ネタバレ注意】リリー・フランキーが演じた謎の男の正体は?

公式サイトにて「謎の男」と紹介されているリリー・フランキー。彼はいったいどんな役柄を演じているのでしょうか。

「謎の男」の正体は、ベストセラー作家の神座詠一(かむくら えいいち)。彼は1997年に薫風社から不本意なかたちで自作を出版されてから、消息を断っていました。彼の連載を取り付けることができれば、『トリニティ』の目玉になると考えた高野は、必死に彼を探します。 しかし彼は「八代聖」というペンネームで、新作を『薫風』の新人賞に送っていたのです。原稿が神座のものであることをいち早く見抜いた速水は、若くイケメンの「八代聖」をでっち上げ、本人をおびき出したのでした。

【ネタバレ注意】熾烈を極める薫風社内の権力争い!速水の真の敵は東松のKIBA計画だった

当初、速水は東松の下で働いたり二階堂を引き抜いたりと、『小説薫風』と対立しているように思えました。しかし実際に彼が照準を合わせていたのは、東松による「KIBA計画」だったのです。 「KIBA計画」とは、薫風社が新たに手掛ける製造物流センター建設プロジェクト。薫風社のコンテンツを、仲介業者を解さずに製造し販売する複合施設です。 速水は最初東松の下について常務・宮藤和夫を出し抜いて蹴落とします。しかし直後に前社長の息子・伊庭とともに、東松の計画を潰しにかかるのでした。

先代社長の本当の願いとは?

「KIBA計画」にはかつて先代社長の伊庭喜之助も賛同していました。東松はその遺志を受け継ごうと、なりふり構わず計画を断行しようとしていたのです。

しかしそれは5年も前の話。先代の息子である伊庭惟高と速水は、「KIBA計画」の本当の狙いに気づいていました。それは「薫風社のコンテンツを“読者に届ける”」ことです。 「KIBA計画」の名前の理由は、K=言葉、I=イメージ、BA=場の略とされていましたが、実際には先代社長親子のイニシャルと名前(伊庭喜之助と伊庭惟高)「K.IBA」に由来していたのです。計画には薫風社を子に残したいという親の願いが込められていたのでした。 薫風社存続はかつてKIBAの設立で実現できると考えられていましたが、時が経ち時代が変化した現代では、目的を達成するためには新しい手段が必要です。 惟高はアメリカにいる間大手通販サイトと交渉を進め、速水は『トリニティ』編集部を手始めに、社内の改革を進めていました。そしてゆくゆくはデジタル化や世界進出を進めていくことを明らかにします。

【ネタバレ注意】速水の牙に仕返しの牙を見せた高野恵

自らの目的のために多くの人を騙し、裏切ってきた速水ですが、そんな彼に影響を受けた高野恵もまた速水に裏切られた1人でした。速水の意見を聞いた上で、それでもなお古き良き書店を守りたいと考えた彼女は、彼に仕返しの牙を向けることに。 高野は『トリニティ』を退社し、実家の書店を継ぎます。そして自らが原稿を発掘して以来関係を気づいてきた、幻の売れっ子作家・神座詠一を引き抜いて、書店で本の編集・出版を始めるのでした。 高野が新しく出版した本の値段はなんと1冊あたり3万円以上。有名作家ブランドを生かした、新たな高級志向の商法は大盛況となり、高野は実家の本屋を立て直すことに成功するのでした。 それは速水に対する裏切りではありましたが、高野が彼から刺激を受けたために選んだ道なのかもしれません。

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紙かデジタルか、苦境に喘ぐ出版業界が生き残る道は?メッセージを考察

デジタル媒体のエンターテイメントの台頭により、現在出版業界は苦境に立たされています。『騙し絵の牙』では、そんな出版不況や紙の本と電子書籍のシェア争いがテーマとして語られていました。 本作には、紙の本と決別しデジタル媒体でのコンテンツ配信に切り替えたい“デジタル派”と、紙の本ならではの付加価値を追求する“紙派”の両方が登場します。映画の中では前者が速水で後者は高野ですが、それぞれが活路を見出していく結末となりました。 電車に乗れば誰もが携帯電話を見ている現代社会において、書籍のデジタル化は合理的な選択ではあります。しかし合理化に伴う人員削減や、紙ならではの良さ、さらに新人小説家が飛躍する機会を失うことなど懸念点も抱えています。 2つの価値観が台頭している現代の出版業界の行く末を考えたくなる展開でした。

【原作ネタバレ】映画では伝わりきらない?原作で補足される込められたメッセージを解説

『騙し絵の牙』 大泉洋
©2020「騙し絵の牙」製作委員会

映画はエンタメ、小説は骨太な社会派

映画『騙し絵の牙』はスピード感のある展開で、次々と速水による駆け引きと裏切りがくり返されるエンターテインメント作品となっています。対して原作は、先ほど紹介した出版業界の現状を描き出した骨太の社会派小説です。出版業界の光と闇を描き出す、リアルな筆致にも圧倒されます。

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映画で大幅にカットされていた設定

テンポが早く、エンターテインメント性を重視した映画版では、原作で描かれた設定が大幅にカットされていました。 速水の生い立ちや本を愛するようになった経緯、さらにはエンターテイメント業界に新しく乗り出すパチンコ業界など、背景や周りを取り巻く社会情勢がしっかりと描写された原作は、映画版とは全く毛色が違う作品です。

騙し絵編集長・速水の幼少期

特に印象的なのは速水の回想シーンです。原作では彼が物語を愛してやまなくなった原因が明かされています。 暴力を振るう実の父親、その父親からかばってくれた小説好きの教師、小説家の才能がありながら罪を被って失踪した義理の父親など、速水の物語への愛を育んだ感動的なエピソードが満載です。 特に作家志望だった母の再婚相手・健吉の存在は、速水のなかにクリエイターとその作品への敬意を育みました。『小説薫風』の廃刊が決まったときに健吉から手紙が届くエピソードもあり、古き良き時代と新たな革新との間で速水も葛藤していたことが見てとれます。 形は変わっても“物語を人々に届ける”ことを守り続けるために、手段を選ばず速水は時代を駆け抜けていくのです。

作者は『罪の声』の塩田武士!大泉洋に当て書きするようになった経緯は?

原作者は『罪の声』の塩田武士

原作小説の作者は塩田武士。元新聞記者の塩田は、グリコ・森永事件を題材にした『罪の声』で「このミステリーがすごい!」に選出された経歴を持ちます。

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大泉洋に当て書き小説が作られた経緯

『騙し絵の牙』の小説の製作は、大泉が雑誌『ダ・ヴィンチ』の表紙を飾る度に、おすすめの本を紹介する必要があったことが発端です。 大泉は何度も同誌の表紙を飾っており、その撮影のたびに、おすすめの本を聞かれていた大泉洋は、「映像化された際に自分が主演できるような小説はないか」と逆に編集者に質問していました。 すると編集者が「もう大泉をイメージした小説を作ろう」と言い始め『騙し絵の牙』が書かれることになります。 そんなきっかけで動き出した本作の執筆を依頼されたのが塩田武士です。彼は大泉を研究しあて書きしており、人柄だけでなく語尾や話の間などもトレースされています。さらに塩田が執筆するなかで大泉とも打ち合わせを重ね、その意見も本作に反映されているのです。 また元新聞記者で出版業界をよく知る塩田による本作は、今の出版業界をとてもリアルに描いています。この物語を通して、出版業界が直面している問題を知ることもできるのです。

【キャスト一覧】 大泉洋を筆頭に豪華俳優陣が集結

速水輝:大泉洋

大泉洋(真戸呉緒/東京喰種)
©️ciatr

薫風社のカルチャー誌・「トリニティ」の編集者である主役の速水輝也役を務めるのは、もちろん大泉洋です。 1973年4月3日生まれで北海道出身の大泉は、大学の演劇研究会の仲間だった安田顕や戸次重幸と共に「TEAM NACS」を結成。2019年のドラマ『ノーサイド・ゲーム』で主演を務めるなど、多くの作品に参加しています。 大泉に当て書きされているだけあり「天性の人たらし」と言われている速水輝也を大泉が演じます。40代半ばの速水は、コミュニケーション能力が高く、モノマネを得意とするなどユーモアにも溢れている人物。重い空気も彼の笑顔があれば和らいでしまうほどの魅力を持つ速水ですが、本作ではそんな速水の内面にも踏み込みます。

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高田恵:松岡茉優

薫風社の文芸誌「小説薫風」の新人編集者である高野恵役を、松岡茉優が演じます。 子役の頃から活躍していた松岡は、2017年の映画『勝手にふるえてろ』で初主演を務め、2019年の映画『蜜蜂と遠雷』でも主演を果たしました。 吉田大八作品に出演するのは2013年の『桐島、部活やめるってよ』以来となり、松岡は速水に振り回されることになる高野恵を演じます。

東松龍司:佐藤浩市

速水たちが働く薫風社の専務で次期社長の東松を演じるのが、佐藤浩市です。 2019年の映画『記憶にございません!』などの話題作に出演する佐藤は、2013年の映画『清須会議』や2018の映画『こんな夜更けにバナナかよ 愛しき実話』などで大泉と共演しています。 本作では、速水が窮地に立たされるきっかけを作る東松を佐藤が演じます。

郡司一:斎藤工

郡司一は改革派の東松と手を組む大手外資ファンドの代表。 演じる斎藤工は東京都出身の俳優で、映画監督・映画評論家としても活動しています。芸能界にはモデルとして入り、2001年の映画『時の香り〜リメンバー・ミー〜』で俳優デビュー。 2019年にはドラマ『東京独身男子』で高橋一生と滝藤賢一とともに主演を務め、2021年公開予定の『シン・ウルトラマン』での主演も決まっています。

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矢代聖:宮沢氷魚

「トリニティ」の新人デビュー作家・矢代聖を演じるのは、宮沢氷魚です。 日本人とアメリカ人のクォーターである宮沢氷魚は、サンフランシスコ生まれ、東京育ちの帰国子女俳優。「MEN’S NON-NO」専属モデルを経て、テレビドラマ『コウノドリ』で俳優デビューを飾りました。 2019年はドラマ『偽装不倫』と『映画 賭ケグルイ』に出演し認知度もアップ。2020年には『his』で映画初主演を務めます。

城島咲:池田エライザ

「トリニティ」の人気ファッションモデル・城島咲を、池田エライザが演じます。城島は矢代とともに「トリニティ」を盛り上げます。 「ニコラ」専属モデルで芸能界入りした池田エライザは、フィリピン生まれ、福岡県育ちのモデル・女優。2015年の映画『みんな!エスパーだよ!』でヒロインに抜擢され、女優業を本格化させます。2019年には主演作『貞子』でホラー映画に初挑戦しました。

伊庭惟高:中村倫也

亡くなった薫風社社長の息子・伊庭惟高を、中村倫也が演じます。 2005年に映画『七人の弔』で俳優デビューを飾った中村倫也が、大きく飛躍したのは2018年のNHK連続テレビ小説『半分、青い。』での朝井正人役。 2019年にはディズニー実写版『アラジン』でアラジンの吹き替えを担当し、歌声も披露しています。同年はドラマ『凪のお暇』での安良城ゴン役でも注目を集めました。

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宮藤和生:佐野史郎

伊庭惟高の後見人である常務・宮藤和生を演じるのは、佐野史郎です。 ベテラン俳優・佐野史郎の代名詞といえば、1992年のドラマ『ずっとあなたが好きだった』の冬彦役。これ以降も個性的な役柄を幅広く演じ、2018年には『限界団地』で連続ドラマ初主演を果たしました。 2019年11月ロケ中の腰椎骨折で全治2か月と診断されましたが、2020年1月期ドラマ『10の秘密』で復帰しています。

江波百合子:木村佳乃

薫風社の文芸誌「小説薫風」編集長・江波百合子を、木村佳乃が演じます。江波は速水と敵対関係にあります。 木村佳乃はロンドン生まれ、東京都出身の女優・歌手。映画デビューは1997年の『失楽園』で、2016年のドラマ『僕のヤバイ妻』ではその名の通り“ヤバイ妻”を怪演して新境地を開きました。 近年はバラエティ番組「世界の果てまでイッテQ!」出演でさらなる新境地を見出し、司会や声優といった分野にも進出しています。

三村洋一:和田聰宏(わだ そうこう)

「小説薫風」編集者・三村洋一役を務めるのは和田聰宏。三村は江波百合子に忠実な部下です。 和田聰宏は元美容師という珍しい経歴を持つ、福岡県出身の俳優。2000年に映画『BULLET BALLET』で俳優デビューを飾り、2005年には『死霊波』で映画初主演を務めました。 名バイプレイヤーの呼び声も高く、2019年のドラマ『あなたの番です』の西村淳役も記憶に新しいところです。

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柴崎真一:坪倉由幸

「トリニティ」副編集長・柴崎真一を演じるのは、坪倉由幸です。柴崎は編集長の速水を疎ましく思っています。 コント芸が秀逸なトリオ「我が家」のボケ担当としてよく知られる坪倉由幸ですが、俳優としても数々のテレビドラマに出演してきました。 2019年は『あなたの番です』や『わたし、定時で帰ります』にもレギュラー出演しています。映画出演は本作が初となります。

高野民生:塚本晋也

ヒロインの高野恵の父・高野民は、小さな書店の店主。 演じる塚本晋也は、すべてを自ら行う自主制作スタイルを貫く映画監督。俳優やナレーターとしても活動しています。代表作は1989年の『鉄男』、2007年の『悪夢探偵』、2014年の『野火』など。 俳優としては自作に出演するほか、2016年のマーティン・スコセッシ監督作『沈黙 -サイレンス-』のオーディションで役をつかむなど、常にアグレッシブな姿勢を失わない映画人です。

謎の男:リリー・フランキー

リリー・フランキーが扮するのは、高野が接触する謎の男。 彼自身も名前を含め、俳優以外にもライターやミュージシャンなど様々な肩書きを持つマルチタレントとして謎めいた存在です。 著書の代表作は映画化もされた『東京タワー 〜オカンとボクと、時々、オトン』、俳優としては2013年の『そして父になる』や2018年の『万引き家族』での父親役がよく知られるところです。

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久谷ありさ:小林聡美

人気の文芸評論家・久谷ありさを、小林聡美が演じます。久谷は速水の良き相談相手です。 小林聡美は東京都出身の女優で、デビューは1979年の『3年B組金八先生』の生徒役。1982年の映画『転校生』の主演に抜擢され、1988年にはドラマ『やっぱり猫が好き』の三女・きみえ役で広く知られるように。スローライフをテーマにした映画『かもめ食堂』(2006)や『めがね』(2007)での演技も印象的です。

二階堂大作:國村隼

速水の前に立ちふさがる文学界の大御所作家・二階堂大作。 演じる國村隼は大阪市出身の俳優で、1981年の『ガキ帝国』で映画デビューしました。1989年のハリウッド映画『ブラック・レイン』にヤクザ役で出演して以来、ヤクザ役を多数演じています。 2016年の韓国映画『哭声/コクソン』や2018年の中国映画『マンハント』、2020年の米映画『ミッドウェー』出演など、国際派俳優としても有名です。

監督は『桐島、部活やめるってよ』の吉田大八

本作の監督を務める吉田大八は、2013年に監督を務めた映画『桐島、部活やめるってよ』で、第36回日本アカデミー賞の最優秀作品賞や最優秀監督賞など多くの賞を受賞。2014年の映画『紙の月』でも、第38回日本アカデミー賞などで多くの賞を受賞しました。本作では、共同で脚本も手掛けます。 吉田曰く人間は誰しも負けるもので、今負けているか勝ちながら負けを予感しているかのどちらかとのこと。「それがわかっていても何故か戦ってしまう、どうしようもなく面倒で熱苦しい人たちの映画を撮りたい」と語っています。 そんな「負けて勝つ!」がテーマという本作を吉田がどのように映し出すのか、見逃せません。

映画全体を鮮やかに彩る「LITE」の音楽

『騙し絵の牙』の音楽を担当するのは、世界的に活躍するインストロメンタル・バンドLITEです。疾走感のあるエッジの効いた曲から、スローでセンチメンタルなナンバーまで、その多彩な楽曲が映画を彩ります。 吉田大八監督は、脚本執筆中から彼らの曲を聞いていたといいます。当初は彼らの曲調は芝居になじませやすいものではないと迷っていたそうですが、結果的に「日本映画では珍しいくらい音楽が鳴っているのに、セリフもしっかり聴こえている」と満足していると語っています。 今回初めて、映画のサウンドトラックを担当したLITE。当初は不安もあったようですが、「監督と僕たちの「世の中に無い新しいものを作る」という思いが映画を通して耳からでも伝わったら、それほど嬉しいことはありません。」とコメントしています。

映画『騙し絵の牙』苦境に喘ぐ出版業界から物語を守るための騙し合い合戦

大泉洋をモデルにした小説を原作に、大泉洋が主演を務めた『騙し絵の牙』。豪華キャストの共演、スピード感のある展開、次々と明らかになる速水の「仕込み」、そして意外な真実から目が離せません。 原作とは違う部分も多いので、両方楽しんでみるのもいいのではないでしょうか。