2019年7月8日更新

世界一稼ぐプロデューサー、ケヴィン・ファイギに学ぶ経営学【マーベルの社長】

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ケヴィン・ファイギ
©Birdie Thompson/AdMedia/Newscom/Zeta Image

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マーベル・スタジオ、成功の裏にケヴィン・ファイギ

2008年の『アイアンマン』からスタートし、2018年で10周年を迎えたMCU。『アベンジャーズ/インフィニティ・ウォー』をもって転換点を迎えた一大プロジェクトは、いまや世界中の映画ファンを熱狂させています。 思えば、「X-MEN」シリーズやサム・ライミ版『スパイダーマン』3部作など、MCUの発足以前からヒット作を連発してきたマーベル・スタジオ。偉大なアーティストたちが生み出してきたストーリーやキャラクターを実写化するというのは、決して簡単ではないはず。それなのに、マーベル・スタジオが繁栄を続けているのは何故なのか。 その鍵となるのが、スタジオの社長ケヴィン・ファイギの存在です。この記事では、彼の経歴や驚くべき手腕に迫ります。

ケヴィン・ファイギの経歴は?

1973年、アメリカはボストンに生まれたケヴィン・ファイギ。ティム・バートン版『バットマン』や『スター・ウォーズ』『インディ・ジョーンズ』といったシリーズが誕生した70、80年代を育ちます。 高校卒業後、南カリフォルニア大学に進学し映画を学びます。南カリフォルニア大学は、彼の敬愛するジョージ・ルーカスやロバート・ゼメキスらを輩出した映画界の名門校です。 在学中に映画プロデューサー、ローレン・シュラー・ドナーと出会い、助手になります。彼女は、『ユー・ゴット・メール』(1999)などを手がけ、のちに「X-MEN」シリーズ等にも関わることになる人物です。

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圧倒的な知識と作品愛で登りつめた MCU以前の作品

ケヴィン・ファイギが本格的にマーベル・スタジオで働き始めるのは2000年のこと。 マーベルユニバースに関する圧倒的な知識を買われ、映画『Xメン』のアソシエイト・プロデューサーに抜擢されたのです。スタジオの創設者でありCEOのアヴィ・アラッドも彼の仕事ぶりを高く評価したため、すぐに重役に就任しました。 MCU以前に手がけた作品は先述の『Xメン』シリーズに加え、サム・ライミ版『スパイダーマン』の2作目以降、「ファンタスティック・フォー」シリーズなどがあります。

一大プロジェクト、MCU始動!

マーベルコミックスのキャラクターたちを同一の世界でクロスオーバーさせる作品群、MCU。壮大なスケールで構想されたこの企画が発足したのは2008年。1作目『アイアンマン』から大ヒットを飛ばします。 ケヴィン・ファイギはスタジオのトップとしてすべての作品に参加。マイティ・ソーやキャプテン・アメリカといった各キャラクターの物語を細かく描きながら、ヒーローを集結させた「アベンジャーズ」シリーズも展開。『アントマン』(2015)、『ドクター・ストレンジ』(2017)、そして『ブラック・パンサー』と常にファンの期待に応え続けてきました。 彼の手がけた映画の興行収入は合わせて83億ドルを超えています。

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才能だけを評価する

作品やシリーズごとに監督やスタッフを総入れ替えするマーベル映画。ケヴィン・ファイギは最高の人材を選ぶ天才なのです。 彼のやり方で特徴的なのは、キャリアで偏見を持たず監督を選ぶということ。ジョン・ファブローは『アイアンマン』の前作『ザスーラ』で興業的には失敗していましたし、『キャプテン・アメリカ』シリーズのルッソ兄弟、『アントマン』のペイトン・リードも主にテレビ界で活動していた監督でした。 ライアン・クーグラー監督も『ブラックパンサー』が長編映画3本目だというのですから驚きです。

ベストタイミングを逃がさない

飽きられることなくマーベル映画が愛されてきたのは、マンネリ化を上手く避けてきたからではないでしょうか。 たとえば『ガーディアンズ・オブ・ギャラクシー』(2014)。『ドーン・オブ・ザ・デッド』の脚本などで知られるジェームズ・ガンを監督として迎え、『キャプテン・アメリカ/ウィンター・ソルジャー』(2014)とは一味違うコミカルかつハートウォーミングな流れを作ります。 2017年の『マイティ・ソー バトルロイヤル』でも、タイカ・ワイティティ監督のユーモアセンスを取り入れることで、シリアスな世界観の『アベンジャーズ インフィニティ・ウォー』(2018)とバランスをとったと言えるでしょう。 マーベルの世界観を熟知し、スタジオの行く末を見据えている彼だからこそ、イメージチェンジのベストなタイミングを見極めることができるのでしょう。

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「アイデアの出し惜しみをしたら次はない」

壮大なスケールを構想するとしたら、素敵なアイデアは慎重に出していきたいもの。けれども、彼は「後にとっておく」ということをしません。 偉大なアイデアを最初に全部使わない方がいいということはない、もしそんなことをすれば結局「次」はなくなってしまう、このポリシーに基づいて映画作りを進めてきました。 ヒットを生む大作を連発してアイデアが枯渇しないのか……と思ってしまいますが、出し惜しみをしないというのは何か素晴らしいものを作るのに不可欠な姿勢なのでしょう。彼のアイデアマンぶりが伺えます。

意外にもコミックスオタクではない!?

マーベルコミックスに関する辞典的に知識を買われてスタジオに入社したというだけに、よほどのコミックスオタクなのか……と思いきや、本人曰く「金曜は映画館に行ってたけど、コミックショップは新刊発売日の水曜に時々行っていた」とのこと。 もちろんマーベルコミックスを愛し、全キャラクターを熟知していたわけですが、子供の頃に入れ込んだのは『スター・ウォーズ』などの映画なんだとか。 登場人物の裏ストーリーを想像したり、自分ならどういうエピソード順で映画化したかを考えたりして遊んでいたと語っています。もしかしたら、そうして培われた想像力がマーベル・スタジオ社長としての成功につながっているのかもしれませんね。

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トレードマークのキャップもフィギュア化!?

ケヴィン・ファイギのファッションといえば、ジャケットとキャップのイメージ。作品のシーズンごとにデザインの違うキャップをかぶっていることでも知られていますよね。 『アベンジャーズ/インフィニティ・ウォー』のプロモーション時には、映画のロゴが刺繍されたキャップをかぶっていましたし、キャストたちにもプレゼントしていました。 さらに、彼自身のフィギュアが作られたこともあるのです。様々なキャラクターを高度な再現率で造形してきたメーカー、ホットトイズによって制作された彼のフィギュアは、やっぱりキャップをかぶっていました。

まだまだ続く!マーベル伝説

天才的な判断力で、マーベル・スタジオの栄光を築いてきたケヴィン・ファイギ。マーベルコミックスの世界を知り尽くすだけでなく、映画界の動向や世界の流行を見渡しているような彼は、驚くべき目の持ち主なのだと思います。 マーベル・スタジオはすでに2025年までのプランができているそうです。わかっている限りでも、「アベンジャーズ」シリーズの続編や、キャプテン・マーベルといった重要キャラの実写化を抱えています。 彼は、この先も多くのマーベルファンを喜ばせ、映画界を盛り上げてくれることでしょう!