映画『真実』を徹底解説!是枝裕和が描いたテーマ、あらすじは?【動画配信スタート】
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2013年カンヌ国際映画祭にて『そして父になる』で審査員賞を受賞し、2018年では新作『万引き家族』で最高賞・パルムドールを受賞した是枝裕和。世界中にその名を知らしめた彼の最新作は、フランスの大女優カトリーヌ・ドヌーヴ主演の『真実』です。 ドヌーヴのほかにもジュリエット・ビノシュやイーサン・ホークなど豪華キャストが集結し、母と娘の愛蔵渦巻くドラマを描きます。 本記事では、映画『真実』のあらすじやキャスト、スタッフ、テーマ、そして無料で視聴できる動画配信サービスについて紹介します。
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映画『真実』のあらすじを紹介
世界中にその名を知られるフランスの国民的女優ファビエンヌ。そんな彼女が『真実』という自伝本を出版します。そこへ、海外で脚本家として活躍している娘リュミール、テレビ俳優として人気が出つつある娘の夫ハンク、そして孫娘のシャルロットが訪ねてきました。 さらにファビエンヌの現在のパートナー、ジャックと元夫のピエール、長年彼女の秘書を務めてきたリュックを含めたファビエンヌの“家族”が“出版祝い”を口実に集まりますが、全員の気がかりはただひとつ。「いったい彼女は、自伝になにを綴ったのか?」。そして、そこに綴られた<嘘>と綴られなかった<真実>が、母と娘の間に隠された愛憎を露わにしていき……。
カトリーヌ・ドヌーヴ、ジュリエット・ビノシュなど超豪華なキャストが集結
ファビエンヌ・ダンジュヴィル/カトリーヌ・ドヌーヴ
主人公ファビエンヌを演じるのは、フランスが誇る大女優・カトリーヌ・ドヌーヴです。 1943年、パリの芸能一家で生まれたドヌーヴは、1964年の『シェルブールの雨傘』で一躍スターに。その後、ロマン・ポランスキー監督の『反撥』や姉のフランソワーズ・ドルレアックと共演した『ロシュフォールの恋人たち』に出演。 1967年の『昼顔』で清純なイメージを脱ぎ捨て、『終電車』と『インドシナ』でセザール賞を受賞しました。 近年の代表作としては『ダンサー・イン・ザ・ダーク』、『8人の女たち』、『しあわせの雨傘』、『神様メール』などがあります。
リミュール/ジュリエット・ビノシュ
フランスが誇る演技派女優であり、国際的にも活躍するジュリエット・ビノシュがファビエンヌの娘リュミールを演じます。 1964年パリに生まれたビノシュは、フランス国立高等演劇学校で学び、1983年に映画デビュー。『ゴダールのマリア』で注目され、当時のパートナーであったレオス・カラックス監督の『汚れた血』や『ポンヌフの恋人』が絶賛されます。 1988年の『存在の耐えられない軽さ』以降はハリウッドにも進出し、『イングリッシュ・ペイシェント』でアカデミー賞助演女優賞やベルリン国際映画祭女優賞に輝きました。また、『トリコロール/青の愛』と『トスカーナの贋作』でヴェネツィアとカンヌでも女優賞を受賞しています。 その他の代表作に、『ホウ・シャオシェンのレッド・バルーン』、『GODZILLA ゴジラ』、『アクトレス〜女たちの舞台〜』、『Vision』などがあります。
ハンク・クーパー/イーサン・ホーク
リミュールの夫ハンクを演じるのは、アメリカの俳優・イーサン・ホーク。 1970年にテキサス州オースティンで生まれたホークは、15歳の時に俳優デビュー。その後、青春映画の傑作『リアリティ・バイツ』やSF映画『ガタカ』で注目されるように。 特に『恋人までの距離』に始まる「ビフォア」三部作や『ニュートン・ボーイズ』、『テープ』、そして『6才のボクが、大人になるまで。』といったリチャード・リンクレイター監督の作品への出演で知られています。 中でも「ビフォア」三部作ではジュリー・デルピー演じるフランス人女性・セリーヌのパートナーとなるアメリカ人男性・ジェシーを演じており、今回の起用で同三部作を思い出す映画ファンもいるのではないでしょうか?
アンナ・ルロワ/リュディヴィーヌ・サニエ
ファビエンヌとSF映画で共演する女優アンナを、リュディヴィーヌ・サニエが演じます。 1979年にフランスで生まれたサニエは、子役として活動をスタート。『焼け石に水』や『8人の女たち』、『スイミング・プール』といったフランソワ・オゾン監督の作品に出演し、フランス国内外で高い評価を獲得。2003年の『ピーター・パン』ではティンカーベルを演じ、ハリウッド入りも果たしています。
マノン・ルノアール/マノン・クラヴェル
(写真左:マノン・クラヴェル、右:クレモンティーヌ・グルニエ) 新進女優であるマノン・クラヴェルが演じるマノン・ルノアールは、ファビエンヌにかつて親友だった女優を思い出させます。 クラヴェルは、2014年から演技の勉強を開始。2015年から名門演劇学校クール・フローラン、2016年からはフランス国立高等演劇学校で舞台俳優として活躍しています。2016年には、舞台「Let's Keep Smiling」での演技が評価され、Olga Horstig賞を受賞しています。その後、数本の短編映画に出演。長編映画は未経験でしたが、本作でマノン役に大抜擢されました。 この役はもともと「イザベル」という名前でしたが、のちに監督が役柄通り新進女優であるマノン本人の名前に変更しました。
是枝裕和監督がフランスを舞台に描いたのはやはり“家族”
是枝裕和は、ドキュメンタリー出身の映画監督として知られ、国内外で高い評価を受けています。2004年、巣鴨子供置き去り事件を題材とした『誰も知らない』は、国内外で数々の賞を受賞。また、同作は主演の柳楽優弥が最年少、初の日本人としてカンヌ国際映画祭で主演男優賞を受賞したことでも話題になりました。 その後の作品でも高評価を獲得しつづけ、2018年の『万引き家族』ではカンヌ国際映画祭パルムドールを受賞。日本人監督としては史上4人目約21年ぶりの快挙を成し遂げます。 是枝は、本作をフランスで製作するならばカトリーヌ・ドヌーヴを撮りたい。ドヌーヴとビノシュという海外で最も尊敬する女優の初共演を自身の作品で、母娘の物語として実現できたら、と考えたのだとか。 本作は脚本執筆からキャスティング、ロケハン、リハーサルの2年半、日仏米を行き来していたという是枝。そして、家族の7日間を43日かけて丁寧に撮影しました。
撮影監督も一流
本作の撮影を担当するのは、フランスの撮影監督・エリック・ゴーティエ。 『オン・ザ・ロード』、『イントゥ・ザ・ワイルド』、『モーターサイクル・ダイアリーズ』などで知られ、最近では2018年カンヌでパルムドールにノミネートされたジャ・ジャンクー監督の『Ash Is Purest White(原題)』の撮影を担当していました。
映画『真実』のテーマとは?【ネタバレ注意】
「女優とは、演じるとはなにか」という問いかけ
2005年以降、フランスのパブリシストの紹介で、是枝とビノシュは度々顔を合わせる機会があったそうです。2011年2月、来日したビノシュとあるイベントに登壇した是枝は、「女優とは、演じるとはなにか」をテーマに3時間以上熱く対談。その際に、いつか一緒に映画を作りましょうという話になり、少しずつアイディアのやりとりが始まったのだとか。 そんなあるとき、是枝は16年前に書いた未完成の戯曲を引き出しの奥から取り出しました。女優の楽屋を舞台としたワンシチュエーションもののこの脚本を、彼は大女優と母と女優になれなかった娘の話に大きく改訂することを思いつきます。 是枝が25年間カメラを通して対峙し魅了されつづけていた「女優」という存在への考察と愛、また「演じるとはなにか」という映画を撮る者にとって必然的な問いから、本作のアイディアが生まれたのです。
映画で描かれた「真実」とは?
自伝本『真実』を出版した国民的女優ファビエンヌ。その“出版祝い”のために娘のリミュールとその夫ハンク、そして孫娘のシャルロットがやってきます。出版前に原稿を見せてもらうはずだったというリミュールは、ファビエンヌに詰め寄りますが彼女は「送ったわよ」と平然と嘘をつきます。 一晩かけて母の自伝を読んだリミュールは、翌朝本の内容はデタラメだとファビエンヌに詰め寄ります。しかし彼女は「真実なんて退屈なだけ」と相手にしません。
リミュールがなによりも許せなかったのは、母のライバルであり親友でもあった女優・サラのことがなにも書かれていなかったことでした。若くして亡くなってしまったサラは、リミュールにとってもうひとりの母親のような存在だったのです。 一方、長年ファビエンヌの秘書をつとめ、公私に渡り彼女のすべてを把握しているリュックは、自伝に彼のことが一行も書かれていなかったことで「人生を否定された気分だ」と突然辞職してしまいました。そのため、リミュールはわだかまりを抱えたまま母の撮影現場に同行することになります。 ファビエンヌが撮影中の新作は、母と娘に関するSF映画。難病のため宇宙にいられなくなった母は、7年ごとに娘に会いに来ます。しかし彼女は年をとらず、いつしか娘は母親の年齢を超えていく、というストーリーです。主演を務める新進女優マノンは、“サラの再来”と言われ注目を集めていました。 ファビエンヌが演じるのは、母よりも歳をとった晩年の娘。実は彼女は、自分が老いと年齢を感じさせる役どころであることに不満と不安を抱いていました。 娘の励ましで年老いた娘を演じ切ることができたファビエンヌ。撮影後マノンと話す機会があった彼女は、マノンが周囲から“サラの再来”と言われつづけることにプレッシャーを感じていることを知りました。そこでファビエンヌは彼女を自宅に誘い、サラの服をプレゼントして励まします。 一方のリミュールも、サラに対する母の思いを知り、頑なだった心が解きほぐされていました。ファビエンヌの自伝『真実』には、本当のことはなにも書かれていませんでした。しかしそれは、彼女にとって他人に簡単には見せられないほど、大切なものだったからなのです。
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「家族」を描く事に定評のある是枝裕和ですが、映画『真実』もまた、家族をテーマに、パワフルでエモーショナルなストーリーになっています。過去に関する嘘と真実を巡って対立する母と娘は、どのような結末を迎えるのでしょうか。 Amazonプライムビデオの初回体験を利用することで、本作を無料で視聴することができます。気になる人はぜひチェックしてみてくださいね。