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ドラマ『ハゲタカ』テレ朝版とNHK版を比較してみた!

2018年8月2日更新

現在、テレビ朝日にて放送中のドラマ『ハゲタカ』。かつて2007年にNHKでも放送されていたのをご存じでしたか?原作となったのは、2004年刊行の同名小説でした。そこで今回は、テレ朝版とNHK版二つのドラマを比較し、考察してみました。

二度もドラマ化された『ハゲタカ』とは?

投資の世界では、安値で買った株式などの資産を、高値で売ることで儲けを生み出す手法を「ハゲタカファンド」と呼びます。 経営が立ち行かなくなった企業や、資産はあるものの運営が難しい企業などの株式を狙う姿勢が、死肉に群がる禿鷹を連想させることからそう呼ばれています。そのやり口から嫌われる立場でもありますが、死に体の企業を立て直す役割もあるため、必要な存在でも言えます。 そんな世界で、ファンドマネージャーとして成功し「ハゲタカ」の異名で呼ばれるようになった鷲津と、ライバルでもある芝野との奮闘を描いた社会派ノベル作品が「ハゲタカ」です。

原作は、同名小説の『ハゲタカ』【2004年刊行】

小説版『ハゲタカ』は、1997年から2004年を時代背景に描かれた『ハゲタカ』と、2005年・2006年を舞台にした『ハゲタカⅡ』の二部作で構成されています。 主人公の鷲津政彦はハゲタカファンドのマネージャーをしており、企業再生家に転じた芝野健夫と、時に対立しながら奮闘する姿が描かれています。 著者である真山仁は「日本が抱える問題を正視する」姿をこの二人のキャラクターを通して訴えているのでしょう。 しかし登場人物の設定や主要キャラクターなど、ドラマオリジナルに変更され、原作とは大きく異なる印象に仕上がっています。これは、原作者の意向を反映させ、小説とドラマは“別物”であることの表れとなっています。

テレビ朝日版のキャスティングは?

ハゲタカ 綾野剛
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テレビ朝日版の主演は綾野剛が担当。元上司であり、鷲津と対立することの多い芝野役には渡部篤郎が配役されました。その他に、沢尻エリカ、小林薫、杉本哲太らが脇を固め、木曜9時のゴールデンの時間帯に相応しい豪華なキャスティングが、放送前から話題になっていました。 綾野剛が演じるダークヒーロー・鷲津は、パリっとしたスーツにシャープな眼鏡スタイルでクールな印象の主人公に仕上がりました。これまでのドラマで『コウノドリ』や『フランケンシュタインの恋』などで優しいキャラクターを演じてきただけに、本作の冷徹ぶりが反響を呼んでいます。

過去に放送されたNHK版のキャスティングは?【2007年放送】

2007年に放送された『ハゲタカ』の鷲津役は、大森南朋が演じました。ライバルの芝野役は柴田恭兵が演じ、脇役には松田龍平や栗山千明らがキャスティングされました。 全6話にも関らず、第44回ギャラクシー賞「優秀賞」や、第6回放送人グランプリ「特別賞」などを受賞。国内の賞だけでなく、第12回アジア・テレビジョン・アワードシリーズドラマ部門「最優秀賞」など、数多くの賞を受賞。 重厚でシリアスな内容が視聴者からも絶賛を集め、2009年には、劇場版も公開されました。

テレビ朝日版とNHK版の相違点①【キャスティング比較】

まず一番大きく違うキャスティングについてです。 鷲津政彦役は、大森南朋から綾野剛へ。芝野健夫役は、柴田恭兵から渡部篤郎へ。飯島亮介役は中尾彬から、小林薫に。中延五朗役は志賀廣太郎から、光石研に変更されました。 沢尻エリカの演じた役柄は、NHK版には存在していませんでしたが、代わりに老舗旅館の息子役という設定で松田翔太が配役されていました。男ばかりのNHK版に華を添えたのは、テレビ記者の役を演じた栗山千明でした。

テレビ朝日版とNHK版の相違点②【ドラマ全体の印象】

ドラマ全体の印象が違うという声も多く聞かれます。ドラマの印象を左右するのは演出や脚本でしょう。 テレビ朝日版の監督は、ドラマ「相棒」シリーズで知られる和泉聖治、脚本は『ガリレオ』や『任侠ヘルパー』、『ON 異常犯罪捜査官・藤堂比奈子』といったフジテレビ系のドラマで知られる古家和尚のコンビで制作しています。彼らの手により、キャラクターの表現は人情派でエンタメ要素が強いイメージを与えています。 対してNHK版の脚本は『離婚弁護士』や『医龍-Team Medical Dragon-』、『コード・ブルー -ドクターヘリ緊急救命-』といったフジテレビのドラマを手掛けて来た林宏司が担当し、演出には『龍馬伝』の大友啓史、『あまちゃん』の井上剛、『篤姫』の堀切園健太郎らが担当。 テレビ朝日版と比較すると、よりダーティで重厚感があるという印象が強いようです。

テレビ朝日版とNHK版の相違点③【ストーリー・人物・時代背景】

相違点はストーリーや人物の経歴、時代背景などにも見受けられます。 NHK版は、原作となった小説の『ハゲタカ』と『ハゲタカⅡ』の二作品を基に作成されていました。とは言っても、原作に沿っているのは主要人物の名前や経済活動などの一部分だけで、著者の意向に応えた形になっています。 一方、テレビ朝日版は原作の二作品に加えて、アベノミクス、リーマンショックといった最近の経済状況を反映した2018年に相応しいエピソードも登場しています。 芝野は鷲津の銀行時代の元上司であったという設定が、ファンド設立後に出会う設定に変更されていたり、主人公の経歴や企業名も変更されています。

テレビ朝日版とNHK版の相違点④【主人公のキャラクター性】

主人公である鷲津のキャラクター性にも違いが表れていました。 NHK版では、視聴者も思わず「怖い」と感じるような、冷酷でシビアなキャラクターとして描かれていました。 しかしテレビ朝日版では、六角精児演じる金田に「我々を“ハゲタカ”と呼ぶのなら、自分が食い荒らされるだけの腐った肉だってことを自覚しろ。」と叱責したあと、「お車代です。これからのことをゆっくり考えてください」と声をかけるシーンがありました。このセリフからも、今作での鷲津は、世直しヒーローのような一面が伺えました。

テレビ朝日版とNHK版の相違点⑤【主題歌】

NHK版の主題歌は『road to rebirth ~ a chainless soul ~』というタイトルで「富(または財産など)は大切なものではない」といった意味になります。 イギリスの小説家エミリ・ブロンテが1841年に書いた詩で、作曲家の佐藤直樹が曲を加え、主題歌として用いられました。そうして出来上がった歌をtomo the tomo(トモザトモ)が歌っています。本編のエンディングで流れたのを機にドラマ放送当時、とても話題になりました。 そして、今回のテレビ朝日版の主題歌はミスチル(Mr.Children)が担当。ドラマのシナリオを読んで制作した新曲『SINGLES』が使用されています。

大人気ドラマが再ドラマ化!

十年のときを経て、2018年にリメイクドラマとして再度放送されることになったドラマ『ハゲタカ』。かつてNHKでドラマ化されたものと、テレビ朝日で放送されているものの、違いを含めて楽しめる作品になっています。 NHK版の人気は放送当時から凄まじく、大森南朋の当たり役と言われた程でした。それだけにリメイク版はプレッシャーもあったことでしょう。そこで登場人物のキャラクター性に変化を出し、リメイク版オリジナルにも近い作品になっています。綾野剛演じる鷲津から今後も目が離せません。