「人狼 JIN-ROH」 (c)1999 押井守/BANDAIVISUAL・ProductionI.G

押井守原作のアニメ『人狼』が韓国で実写映画化!その違いは?予告編に日本語訳も!

2018年8月7日更新

1999年に製作された押井守原作・脚本のアニメ映画『人狼 JIN-ROH』が、2018年に韓国で実写映画化されました!今回は日本アニメ版との比較も交えて詳しく紹介していきます。

タイトルはそのまま『인랑(人狼)』!あの伝説的アニメが韓国で実写映画化!

押井守原作・脚本の『人狼 JIN-ROH』をもとに製作された韓国版『人狼』。実写と見まごうほど繊細なアニメーションで絶賛を浴びた作品が、なぜ19年の月日を経て韓国で実写映画化されたのでしょうか。 ここでは韓国実写版のキャスト・あらすじや評価を紹介し、公開された予告編をもとに内容を考察していきます。また日本アニメ版の紹介と、設定の違いなどにもフォーカスしてみたいと思います。

韓国実写版は南北統一宣言後の朝鮮半島が舞台!キャスト・あらすじは?

『甘い人生』『グッド・バッド・ウィアード』『密偵』などで著名な韓国の監督キム・ジウンによる作品で、2018年7月25日に韓国で公開されています。主演は『オオカミの誘惑』のカン・ドンウォンと『トンイ』のハン・ヒョジュ。この二人は同じく日本映画『ゴールデンスランバー』の韓国リメイク版でも共演しています。『私の頭の中の消しゴム』のチョン・ウソン、SHINeeのミンホも出演! 南北政府統一が宣言された2029年、統一反対を掲げるテロ組織とそれを制圧する「特機隊」との間で激しい戦闘が続く首都。特機隊のイム・ジュンギョン隊員は少女闘士の自爆を止められず葛藤します。しかし少女の姉であるユンフィと出会ったことで、組織間の陰謀に巻き込まれていきます。 板門店で歴史的な南北会談が行われた2018年、折しもこの年に南北統一がテーマの近未来SF作品として公開された『人狼』は注目を集めました。南北両者の急速な歩み寄りで統一も夢物語ではなく、しかし同時に統一反対の声も上がるのが必定。『人狼』も近未来SFというより、現実的未来になりつつあるのです!

予告編を翻訳して細かく解説!そもそも「人狼」とは何?

ワーナー・ブラザース・コリアが公開している予告編をもとに、その内容を検証していきます。初めにナレーションが「そこはアリ地獄のようなところ。一度入るとなかなか出てこれない」と入り、物語の全体を漠然と示しているように思えますね。 次にニュースのアナウンスらしき声が「現在、反政府武装勢力に進入するために」「特機隊解体の声がますます強まっています」と交錯し、反政府勢力と特機隊の戦闘が激化している様子が映し出されます。 そして特機隊が「人狼」と呼ばれ、密かに結成された暗殺部隊として知られていることがわかります。「人間ではなく、狼と呼ばれた戦士たち」というテロップが入り、全身に鎧をまとった姿が出現。テロ組織の少女と対峙している場面から、ユンフィとの出逢いのシーンへ。ジュンギョンの意味深な「私の仕事です。処理させていただきます」というセリフにつながっています。

警察内部の権力抗争!ジュンギョンとユンフィの未来は?

日本アニメ版では「首都警」が特機隊を創設し警察庁本部と対立していますが、韓国実写版でも同様のようで「公安部はどこまで行っているんだ?」と話す密会に続き「権力機関の間の息をのむ戦争」とテロップが。その中でジュンギョンは警察内部の権力抗争に巻き込まれ、利用されていくようです。 「自首して生き残れ、ジュンギョン」というセリフや、「女性と一緒ですか?」「そうだ、問題か?」というやり取りから、ユンフィとの関係は深くなり、それがジュンギョンの進退に影響していくこともわかります。 チョン・ウソン演じる特機隊訓練所長チャン・ジンテが「私たちは狼の皮を被った人間ではなく、人間の仮面をかぶった狼」「生き残るためには、獣にならなければならない」と語っているのも印象的。このセリフは日本アニメ版にもあり、かなりオリジナルに忠実に製作していると思われます。 ユンフィが「誰を恨めばいいの?誰を恨んだらいいのかわからないというのが、一番悔しい」と呟いて、ジュンギョンがマスクをかぶって予告編は終了。韓国版には「狼と呼ばれた人間兵器」という副題がついていました。

韓国の観客の反応は?レビューからひもとく『人狼』の評価!

韓国の「NAVER 映画」サイトのレビューをもとに、韓国では本作をどのように評価しているかを見ていきたいと思います。 高評価を付けている意見としては、キム・ジウン監督の力量とアクションシーンを評価しており、南北統一という難しいテーマを扱っていること自体に高い関心を抱いているようです。 ただし、やはり南北統一という問題はかなりデリケート。朝鮮半島に1民族2国という状態が長年続いているため、もし『人狼』の世界のように統一されたら?という問題意識は非常に高いといえます。 低評価の中では、南北会談を行った年にあえて公開することに統一反対意見を抑圧する意図すら感じているようです。また、少女の自爆テロに対しての嫌悪感も露わにしたレビューも。 加えて韓国では押井守人気も高く、もちろん日本アニメ版のオリジナルとの比較もあり、この実写化がいかに難しい案件だったか伺い知れます。

日本アニメ版をおさらい!韓国実写版とはどう違う?

日本アニメ版『人狼 JIN-ROH』の原作となっているのは押井守原作・藤原カムイ作画の漫画『犬狼伝説』で、『ケルベロス・サーガ』シリーズの1作。シリーズの設定は第二次世界大戦後のドイツ占領下の日本であり、空想歴史物語です。監督は『GHOST IN THE SHELL/攻殻機動隊』『イノセンス』でキャラクター・デザインと作画監督を務めた沖浦啓之。 敗戦から十数年後の「可能性の戦後史としての昭和30年代」を描き、60年代安保闘争や赤軍などを彷彿とさせる反政府都市ゲリラ「セクト」が首都警と激しい戦闘を繰り広げます。 グリム童話で有名な『赤ずきん』を寓意的に使い、セクト=左翼(アカ)を「赤ずきん」、人狼を体制側の「オオカミ」に見立てて対比させているのが特徴。主人公の特機隊隊員・伏一貴はイム・ジュンギョン、元セクトメンバーで伏と恋に落ちる雨宮圭はユンフィに相当しています。 両者の大きな違いはやはり、舞台となっている場所と時代。韓国の現状を生かした設定と、日本のノスタルジックなアナザー昭和30年代、どちらも空想の世界とはいえ見応えがあります。 韓国実写版の日本劇場公開情報は2018年8月現在ありませんが、Netflixが本作の海外配給権を獲得したとするニュースも!日本発信の作品なので、できれば日本で劇場公開される日が来ることも願っています。