2020年2月7日更新

【ネタバレ】実写「ヲタ恋」を比較解説 映画版はどれだけ原作の世界を再現してる?

『ヲタクに恋は難しい』山﨑賢人 高畑充希
©2020映画「ヲタクに恋は難しい」製作委員会 ©ふじた/一迅社

ふじたによる大人気ヲタクラブコメ『ヲタクに恋は難しい』がアニメ化に続き、2020年2月に実写映画が公開されました!本記事では、原作やアニメと「ヲタ恋」の実写版を比較していきましょう。

目次

実写「ヲタ恋」を原作/アニメと比較解説してみた【ネタバレ注意】

2014年からpixivに投稿され爆発的な人気を獲得。後に書籍化・アニメ化を果たした、ふじたによるラブコメディ漫画『ヲタクに恋は難しい』。(通称「ヲタ恋」)本作は、タイトルにあるようにヲタクたちの不器用な恋愛模様を描く作品です。 この作品が多くのヲタクに支持されている理由の一つは、主人公たちが従来メディアで取り上げられがちな、典型的な「ヲタク」ではないところでしょうか。会社や学校で「ステルスヲタク」、つまり一般人を装っているヲタクが実はかなり多いのだと思います。 趣味を隠している苦悩や、恋愛よりも優先したいものがある――。そういうヲタクたちの共感を呼んでいます。そして、ラブコメとしても秀逸。ヲタクものだからと敬遠してしまうともったいない作品です。 今回はそんな「ヲタ恋」の原作/アニメと、2020年2月7日に公開された実写版(監督:福田雄一)をキャストやストーリー展開の点で比較していきます。

まずはキャストと原作キャラクターを比較【ネタバレあり】

桃瀬成海(ももせ なるみ)/CV.伊達朱里紗

桃瀬成海は本作の主人公。元カレにオタバレをしてしまい、転職した先で幼馴染の宏嵩と再会します。 会社ではちょっとドジだけど女子力が高く男性からの人気も高い彼女ですが、実際は腐女子。乙女ゲームやBLコミック、コスプレなど幅広く愛好しており、コミケにサークル参加するなどアクティブなヲタクです。 幼馴染の宏嵩には元から趣味を隠していないので、彼の前ではかなりオープン。居酒屋で一緒にモンスターを狩るゲームをしたり、アニメイトで買い物をしたりもします。 彼と付き合うようになるものの、お互いに趣味が第一優先。なかなか恋人としての関係が進まずに悩む姿や、悩んでいても趣味をまっとうする姿を、つい応援したくなる愛くるしいキャラです。

実写版:高畑充希

『ヲタクに恋は難しい』高畑充希
©2020映画「ヲタクに恋は難しい」製作委員会 ©ふじた/一迅社

そんな成海を演じるのは、高畑充希。見た目の可愛らしさと、会社での女の子らしい振る舞いは高畑のイメージにもマッチしており、劇中ではもちろんヲタク姿も披露しています。 テンションが上がってしまった際に変顔やヲタク特有の早口を見せるなど、原作のコミカルさを表現した高畑。ミュージカルシーンでは彼女の美声とダンスにも注目です。 ちなみに高畑はかつて「バファリンルナi」のCMにて白目などの変顔を見せており、SNS上でも「可愛い!」と話題に。 また、実写版「ヲタ恋」の監督、福田雄一作品『女子ーズ』(2014年6月7日公開)にも出演。その際にも振り切ったキャラクターを演じていました。

二藤宏嵩(にふじ ひろたか)/CV.伊東健人

二藤宏嵩は、成海の幼馴染で数年ぶりに同僚として彼女と再会。彼女が隠れヲタクなのに対し、宏嵩は特に隠していないタイプのヲタクです。 会社の昼休みに自席でゲームをしたり、寝食を忘れて没頭するほどの重度のゲームヲタク。184センチと長身で、表情は乏しいものの顔は整っているイケメンです。 リアルではどちらかというと無口ですが、ネットではわりとノリが良くギャップがあります。無表情のまま陽気な顔文字などを打っている姿は、まさに"ギャップ萌え"という感じ。 恋愛は得意ではなさそうですが、成海への好きが溢れ出ている言動に、思わずニヤニヤしてしまいます。

実写版:山﨑賢人

『ヲタクに恋は難しい』山﨑賢人
©2020映画「ヲタクに恋は難しい」製作委員会 ©ふじた/一迅社

実写版・宏嵩を演じるのは山﨑賢人。「イケメン」という条件のクリアはもちろんのこと、宏嵩のローテンションを演じ切っています。成海へのツッコミも原作通りで、無自覚に繰り出される大胆なアプローチにはドキッとさせられること間違いなし。 福田作品への出演が2回目である山﨑は、前作『斉木楠雄のΨ難』でも無表情の斉木楠雄役を熱演しています。福田作品では笑うことを許されていないのでしょうか……。 原作で見ることのできたあの笑顔は、実写映画でも見ることはできるのでしょうか?ぜひその目で確かめてみてください。

小柳花子(こやなぎ はなこ)/CV.沢城みゆき

小柳花子は成海の同僚で、スタイルのいいクールビューティー系のOL。成海にはひょんなことからヲタバレしてしまいますが、実は彼女も隠れヲタクです。 男性キャラ専門のコスプレイヤーで、その界隈ではちょっとした有名人。BLやアニメなども守備範囲ですが、成海とは推しカップリングが必ず逆となり、言い争いとなることもあります。 社内では隠していますが、上司であり高校時代の先輩だった樺倉と高校時代から付き合っています。日頃はガサツで男勝りな性格ですが、お酒が入ると弱音を吐く一面も。 樺倉とはいわゆる「ケンカップル」ですが、なんだかんだ信頼しあっている様子が微笑ましいふたりです。

実写版:菜々緒

『ヲタクに恋は難しい』菜々緒
©2020映画「ヲタクに恋は難しい」製作委員会 ©ふじた/一迅社

花子を演じるのは、モデル・女優の菜々緒。完璧なスタイルの彼女が持つクールなイメージも役にハマっており、姉御肌な花子を演じ切っています。 しかし、原作ファンの一番の心配は巨乳のようで「それだけが物足りない」という声が続出。 それに対し菜々緒は自身のInstagramで「おっぱいベストで実写化しています」とコメント。同じく福田作品の『銀魂』(2017年7月14日)で演じた来島また子の再現度といい、菜々緒の変幻自在っぷりには毎回驚かされます。 実写版では成海とは別の部署という設定になっており、面識はありません。代わりに、バーで偶然出会った宏嵩と距離を縮めます。

樺倉太郎(かばくら たろう)/CV.杉田智和

樺倉太郎は強面な成海たちの上司。後輩たちからも、その顔のせいで怖がられていますが、実際は面倒見の良い人物です。 一見、ヲタクに理解がなさそうなキャラクターですが、彼も実はアニメやゲームを嗜むヲタク。ただ他の3人がガチヲタなのに比べて、彼はオーソドックスな題材を幅広く楽しむライトヲタクです。 高校時代なにかと衝突していた後輩の花子と、高校卒業を機に付き合いはじめて現在に至ります。 喧嘩の絶えないカップルですが、男性社員が花子を話題にしていると嫉妬心を見せたり、バレないようにお揃いのネックレスを付けていたりと、とても彼女を大切にしている様子がうかがえます。

実写版:斎藤工

『ヲタクに恋は難しい』斎藤工
©2020映画「ヲタクに恋は難しい」製作委員会 ©ふじた/一迅社

樺倉を演じるのは、斎藤工。意外なキャスティングでしたが、オレンジヘアーが好評の様子です。強面な樺倉をリアルに演じており、人一倍人間味のあるキャラクターに仕上がっています。 斎藤は実写化作品に多数出演しており、『高台家の人々』(2016年6月4日)や『仮面ティーチャー』(2014年2月22日)など漫画原作の作品でも熱演していました。 花子同様設定が変更されており、宏嵩との面識はありません。またライトヲタクな一面が見られるシーンはなく、怖い先輩のイメージが強く出ていました。とある仕事で成海と一緒になり、彼女とお酒を飲み交わします。

二藤尚哉(にふじ なおや)/CV.梶裕貴

二藤尚哉は宏嵩の弟で大学生。兄の表情筋がほとんど活動していないのに対して、尚哉は表情がくるくる変わり明るくて元気で社交的な人物です。 メインキャラクターのなかで唯一の一般人。世の中に浸透しているネットスラングなどもまったく通じず、ゲームも周りが匙を投げるほど下手くそです。 成海たちが働く会社近くのカフェでバイトをしていることがきっかけで彼女たちと関わることに。幼い頃から、宏嵩が成海と幸せになってほしいと願っていた兄想いの弟です。カフェで見かけた同じ大学に通うゲーマー・光のことが気になり、声をかけて仲良くなろうとします。 残念ながら、実写版での登場はありませんでした。

桜城光(さくらぎ こう)/CV.悠木碧

桜城光は尚哉と同じ大学に通う女の子。伏し目がちでおどおどしている、コミュニケーションが苦手なタイプのゲームヲタクです。ゲームの腕前はかなりのもので、なかなか他人を褒めない宏嵩が一目を置くほど。 尚哉との交流をきっかけに、成海たちとも次第に関わっていきます。見た目がボーイッシュなこともあり、出会いからしばらくの間、尚哉からは男性だと勘違いされていました。 そのため、光くんと呼ばれています。尚哉の高すぎるコミュ力に、ときどきキャパオーバーとなって固まってしまう可愛らしい一面も。 光も実写版には登場しません。

その他オリジナルキャラクターを演じるキャストを紹介

坂元真司(さかもと しんじ)/賀来賢人

『斉木楠雄のΨ難』や『今日から俺は!』ですっかり福田作品お馴染みのメンバーとなってきた賀来賢人。宏嵩の同僚で、ドルヲタの坂元真司を演じます。坂本は宏嵩の同期で友達、原作で樺倉が担っていたような役割も。 アイドル声優ヲタクの坂元の推しは、「まれいたそ」。ライブシーンではハイテンションなダンスとコールを披露しており、賀来のコミカルな芝居とヲタク要素の化学反応には、思わず笑わされてしまいます。

バーのマスター/ムロツヨシ

映画「銀魂」や「勇者ヨシヒコ」シリーズなど、数多く福田作品に出演しているムロツヨシ。2020年のドラマ『病室で念仏を唱えないでください』では、エリート医師の濱田達哉を演じています。 本作では花子行きつけのバーのマスター役で出演します。 菜々緒演じる花子とデュエットしており、ミュージカルシーンにムロが加わることで必見の面白さに。

石山邦雄(いしやま くにお)/佐藤二朗

宏嵩と成海の上司、石山邦雄。彼を演じるのは、同じく福田作品常連の佐藤二朗です。 2020年のドラマ『シロでもクロでもない世界で、パンダは笑う。』では、主人公たちに指示を出すMr.ノーコンプライアンス/佐藤源造を演じています。 福田作品の撮影は“どうかしている”状態で臨んでいるという佐藤。福田とのいつものタッグによって、“らしさ”全開です。

森田悠季(もりた ゆうき)/今田美桜

成海の同僚・森田悠季を演じるのは、2020年のドラマ『ケイジとケンジ 所轄と地検の24時』出演の今田美桜です。 森田は成海たちヲタクとは程遠いリア充女子。宏嵩に好意を寄せており、ヲタクなことなど一切知らない、一般的な年相応の女子といった様子でした。

未来(みく)/若月佑美

乃木坂46の元メンバーである若月佑美が、成海のヲタ友である未来を演じます。 ドラマ『今日から俺は!!』でいわゆる福田組の仲間入り?となった若月。本作ではヲタク女子として、『Fate/Grand Order』のマシュ・キリエライトのコスプレを見せています。成海と逆カプを推してしまう花子の特性は彼女に取り入れられました。

内田真礼(うちだ まあや)/内田真礼

『約束のネバーランド』のノーマン役や「中二病でも恋をしたい」の小鳥遊六花役で知られる、大人気声優の内田真礼がなんと本人役で出演! アーティスト活動を行っている内田自身の楽曲である、「ギミー!レボリューション」のパフォーマンスを見ることができます。

映画「ヲタ恋」注目ポイントを紹介!実写版独自の魅力とは?

注目ポイントその1:“ヲタクっぽい”発言

原作、そしてノイタミナ枠でアニメ化された本作は多くのオタクたちに受け入れられました。 本作では、オタクの生態をコミカルに描いています。例えば、ヲタク語。"デュフッ"や"だお"、“おk”など、成海たちはナチュラルに使っています。現実世界においても、文字ではわりと使う言葉ですが、実際口にするかというと微妙なところ。あくまで2次元だから許されているネタが多い作品なのです。 細かく拾うとかなりの数のパロディや小ネタが散りばめられている「ヲタ恋」。ジブリの名台詞から、お笑い、名作アニメなどから、ネットでネタとして使われているワードが多数使われています。 ヲタク用語は実写版でも健在。成海やヲタク友達、坂元が早口でまくし立てると、「ニコニコ動画」さながらに文字が画面を流れていく演出が見られます。

注目ポイントその2:ヲタクは偽物のヲタクを見破る問題

主人公の成海は隠れ腐女子。隠していない場では、溢れ出るパッションのまま、どのキャラが攻めでどのキャラが受けか、どんなシチュエーションが萌えるかなどを語りだす習性があるのです。 原作でも成海と花子が、宏嵩と樺倉のカップリングについて熱く論争するシーンがあります。 こういったヲタクの持っている、好きなものへの情熱。それが嘘っぽい感じがしてしまうと、観ているヲタクは一気に冷めてしまいそうです。 実写版でも“本気”のヲタク感が随所から溢れ出ており、宏嵩とヲタク禁止デートをしているにも関わらず、成海はかわいいポットとカップで受け攻めを考え出す始末。おまけにカフェでは近くの席に座っている男性2人を見て、思わず妄想を捗らせてしまいます。

実写版注目ポイント:まさかのミュージカル調

本作は予想以上のミュージカルムービーに仕上がっています。ミュージカルシーンで使われる楽曲は14曲もあり、曲に乗せて成美や宏嵩たちが思いを歌い上げ、ダンスを披露。 ミュージカル部分がアクセントとなることで、単なるラブコメ作品ではなくなっており、その非現実感が漫画を原作とする本作にマッチしています。ミュージカルだからと敬遠していた人がいれば、騙されたと思って観賞してみてはいかがでしょうか。 ちなみに高畑と斎藤はミュージカル経験者。高畑はかつてミュージカル『ピーターパン』で8代目ピーターパンを務める、斎藤は「ミュージカル・テニスの王子様」に出演した経験が活かされています。

実写版「ヲタ恋」のトリビアを紹介 劇中の楽曲を制作したのはアニソン界のレジェンドたち

劇中曲を作ったのはアニソン界の大物たち

本作には全16曲もの劇中曲があり、内田真礼の持ち歌1曲を除く、15曲はひとりの人物が作曲をしています。それがアニソン界の重鎮の鷺巣詩郎です。 鷺巣はMISIAやSMAP、平井堅といった著名なアーティストへ楽曲を提供している他に、アニメの音楽も多数担当。アニメ「エヴァンゲリオン」全シリーズや「BLEACH」の全作品、『SSSS.GRIDMAN』など多岐にわたっています。 今回福田のオファーを快諾したという鷺巣は大のミュージカル好き。ミュージカル経験豊富な高畑のパフォーマンスに対応するのはものすごくやりがいがあったとパンフレットで語っており、作曲家冥利に尽きるとまで言わしめました。 また作詞陣も超豪華です。1人目は「残酷な天使のテーゼ」を代表に、多くのアニソンを手掛け、Winkなどのアーティストに曲を提供してきた及川眠子。そして2人目もアニソンだけでなく、TWICEの「TT」や特撮ソングなど、幅広いジャンルで名曲を生んでいる藤林聖子が参加しています。

歌もダンスも初挑戦の山﨑賢人

劇中のミュージカルシーンで、見事な歌声とダンスを披露した山﨑賢人。意外にも、どちらも本格的に挑戦したのは本作が初となりました。 そのためにボイストレーニングやダンスレッスンに励んだと言い、中でも苦手なダンスは練習を重ねたそうです。この作品でダンスが好きになったと言い、撮影の合間には常にステップを踏み続けており、広い場所を見ると踊りたくなる(スタッフ談)ほどになったのだとか。 また歌声については、鷺巣が「こんな上達が目に見えて早い男性ボーカリストに初めて出会いました」と言い、「彼が成し遂げた進化は、彼のミュージカル俳優としての可能性を別次元まで高めたことはまちがいありません」と太鼓判を押しています。 ちなみにレコーディングは、ビートルズがレコーディングを行ったことで知られるイギリスはロンドンの「Abbey Road Studios」で行われました。

実写映画『ヲタクに恋は難しい』の未来は如何に

『ヲタクに恋は難しい』山﨑賢人 高畑充希
©2020映画「ヲタクに恋は難しい」製作委員会 ©ふじた/一迅社

「ヲタ恋」の漫画やアニメが大ヒットした要因のひとつは、ヲタクという元々2次元に親和性の高いキャラクターが形態に合っていたからです。 そのため実写映画化となると、実写は大丈夫なのかと心配する声もありましたが、映画は絶妙なバランスで成り立っています。 ミュージカル要素によってリアルとフィクションの境目を曖昧にすることで、漫画の実写化を苦手とする原作ファンの拒否反応を緩和しているように思えました。原作のギャグもテンポよく再現され、さらに俳優陣の演技もコミカルで笑えるものとなっています。 その中で成海と宏嵩が互いを理解し距離を縮める様子を描いており、ギャグとラブコメ、そしてヲタクという、「ヲタ恋」ならではの魅力が詰まっていると言えるのではないでしょうか。