2018年9月21日更新

映画女優、韓英恵の魅力を堪能できる映画5選【『誰も知らない』ほか】

韓英恵

わずか10歳で名匠鈴木清順に見出され、その後も数々の映画で印象的な役を演じてきた女優韓英恵。本記事では数々の名監督に愛される彼女の魅力を堪能できる5作品を厳選してみました。

数少ない「映画女優」韓英恵

韓英恵
韓英恵

毎年数多くのテレビドラマが作られるようになってから多くの年月が経過しました。2010年代に入り、映画産業が盛んだった昭和30年代頃と比べても、公開される映画の本数は増えているものの、多くの役者はテレビと映画の両方に出演することが一般的になっています。

韓英恵
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その中で韓英恵は、2001年のデビュー以来ずっと、映画を主戦場として活躍し続けています。 2018年だけでも主演映画が3本公開される彼女は、これまで鈴木清順、是枝裕和、犬童一心、李相日などの作品で、幼い頃から監督や観客を唸らせてきました。 本記事ではそんな彼女の魅力を堪能できる5作品をご紹介いたします。

韓英恵のプロフィール

韓英恵
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韓英恵は1990年11月7日に静岡県で生まれました。両親は韓国人と日本人であり、いわゆる「ハーフ」として生を受けた韓。差別的発言を受けた経験や、韓国の家族が日本で経験した出来事は、在日コリアンを演じた『アジアの純真』や『菊とギロチン』の役作りに活かされています。 役者としてのキャリアは、10歳で鈴木清順監督の『ピストルオペラ』で鈴木清順に見出されてスタート。その後は『誰も知らない』、『黄色い涙』などに続けて出演しました。『悪人』のような注目作から、『たとえば檸檬』のようなインデペンデント映画まで幅広く起用されています。

鮮烈なデビュー作『ピストルオペラ』(2001年)

2001年に公開された鈴木清順監督の『ピストルオペラ』。江角マキコ演じる殺し屋「野良猫」が、依頼を受けて同じ組織の殺し屋を狙うストーリーです。鈴木清順独特のセンスで撮影された本作は、ストーリーやカメラワークなどに不可解な点が多い「怪作」となっています。 そんな作品の中で韓英恵は「野良猫」に弟子入りするミステリアスな少女小夜子を演じました。 あどけなさと年齢に似合わない妖艶さが共存する独特の雰囲気を有しているだけでなく、物怖じしない演技で鈴木清順監督の演出に見事に応えていると評され、今後の活躍に期待できる女優として映画関係者などから高い評価を得ました。

柳楽優弥に次いで注目された『誰も知らない』(2005年)

1988年に発生した事件を元に是枝裕和監督が家族の在り方を問いかけた『誰も知らない』。そのショッキングな内容だけでなく、当時14歳の柳楽優弥がカンヌ国際映画祭で主演男優賞を受賞したことも話題になりました。 同作で韓英恵が演じたのは、柳楽優弥や北浦愛ら演じる4人きょうだいと仲良くなる中学生の水口紗希です。偶然知り合ったきょうだいの現状を目の当たりにした紗希は、微力ながらも彼らを助けるようになります。 彼らと同じ子供でありながら、そっと彼らに寄りそう少女を好演した韓。その演技だけでなく、素朴な美しさも強く印象に残ります。

演技派俳優にも負けない演技を見せた『疾走』(2006年)

重松清の同名小説の映像化作品である映画『疾走』。SABU監督がメガホンを取り、手越祐也が主演を務め、寺島進、中谷美紀、豊川悦司など数々の演技派俳優たちが脇を固めました。西日本のとある集落で暮らす少年が様々な出来事に翻弄され、追い詰められていく様子を描いた作品です。 本作で韓英恵が演じたのは、主人公シュウジの同級生でヒロインのエリ。担任に髪を切れと言われても頑なに切ろうとしない長い髪を、赤いリボンで纏めている序盤の姿が見た人の印象に残ります。 しかし、何と言ってもこの作品での韓の魅力は、孤独な少女の表情です。学校にも家庭にも居場所がない少女の寂しさや諦観を彼女は見事に表現しています。

自身のバックグラウンドとも繋がる『アジアの純真』(2011年)

2011年に公開されたインデペンデント映画『アジアの純真』。不当な暴力で姉を亡くした在日コリアンの少女と、彼女の姉の殺害現場を目撃しながら何もしなかった日本人の高校生が出会い、無差別テロを繰り返す逃避行を描いた作品です。 この作品で韓英恵が演じたのは怒りを抱えた勝気な少女とその双子の姉の2役。姉を殺された恨みから各地でテロを起こす妹と、明るい姉の対照的な2人を演じ分けました。 韓は自身のことを妹役のように怒りを抱え続けるタイプではないと思いつつも、自分にも通じる部分を感じ、全力で演じきったと映画公開に際してのインタビューで語っています。その熱演にぜひご注目ください。

マイノリティ同士の恋愛を描く『西北西』

2018年9月15日公開の映画『西北西』。東京に住む日本人のカップルと日本に留学中のイラン人女性のラブストーリーです。物語のキーパーソンとなるイラン人女性はバラエティ番組でもおなじみのサヘル・ローズが演じます。 韓英恵演じる主人公のケイは、恋人との関係に悩むレズビアンの女性。そんな彼女は日本画を学ぶムスリムの留学生ナイマと出会ったことで変わっていきます。 作品そのものだけではなく、韓の演技も高い評価を受けており、『64ロクヨン』の瀬々敬久監督や、『枝葉のこと』の二ノ宮隆太郎監督からは、本作の彼女を絶賛する声も届いています。

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韓英恵
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2018年に公開された作品だけでも、『西北西』の悩めるマイノリティ女性以外に、米軍基地の町を舞台にした音楽映画『大和(カリフォルニア)』ではラッパーの少女を演じ、『菊とギロチン』では元遊女の女性力士、ホラー映画『霊的ボリシェヴィキ』では神隠しの経験者など様々な姿を見せる韓英恵。 デビューからしばらくは孤独な少女の役柄が多かったものの、キャリアを重ねるにつれて演じる役の幅は広がっています。ドラマ『拝啓、民泊様。』のキム・ウンジョン役のように、彼女がインタビューやSNSで見せる明るい姿に近い役柄を演じることも増えました。 今後もバラエティに富んだ姿を見せてくれるであろう韓英恵の活躍に期待です。