これが運命か!?映画でありえないくらい不幸になっちゃう7人の主人公
タップできる目次
- 人の不幸は……。主人公があり得ないくらい不幸になっちゃう映画!
- 1.邦画ナンバーワンの悲劇のヒロイン?『嫌われ松子の一生』(2006)
- 2.ハエになったその後は?クローネンバーグ監督の傑作『ザ・フライ』(1986)
- 3.息子を喜ばせたいだけだったのに!『クラウン』(2015)
- 4.ボクシングが結びつける不思議な関係!『ミリオン・ダラー・ベイビー』(2005)
- 5.やっと見つけた愛も偏見に叩き潰される!『ボーイズ・ドント・クライ』(2000)
- 6.全ての男性の共感を得る作品!『それでも僕はやってない』(2007)
- 7.平穏な毎日を守りたい一心で付いた嘘がやがて大きな悲劇に『まともな男』(2017)
人の不幸は……。主人公があり得ないくらい不幸になっちゃう映画!
人気の映画作品や話題の作品は、誰もがうらやむようなサクセスストーリーやシンデレラストーリーばかりではありません!主人公が次々予期せぬ不幸に巻き込まれてしまう、ディープなストーリーの映画も映画史の中で独特の輝きを放っています。 そんな不幸を描いた映画の中で、その不幸ぶりが印象的だった主人公たちをご紹介します。
1.邦画ナンバーワンの悲劇のヒロイン?『嫌われ松子の一生』(2006)
川尻松子
病弱な妹の心配ばかりしている父を振り向かせたい一心で,、教師としての人生を歩みだした松子(中谷美紀)。真面目だけれどどこか不器用でずれているところがある彼女は、教職の仕事にも、家族との関係にも疎外感を感じています。 修学旅行に出かけた日、彼女は不良生徒の窃盗の罪を被って学校中の注目を集める存在となってしまいました。 やがては教職を追われた松子は、逃亡生活のような暮らしを始めます。一緒に暮らした男は自殺、不本意に既婚者にもて遊ばれ、気が付いたらソープ嬢になっていました。 松子にぶら下がっているヒモ男・小野寺(武田真治)を殺害したのちは、刑務所に入り刑期を終えて新しい人生を始めたかに見えました。しかし、やくざ者となったかつての教え子・龍(伊勢谷友介)と再会し、激しく危険な愛に翻弄されていきます。 これまでクールな役どころが多かった中谷が主役の松子を演じ、大変な話題と注目を集めた今作。ミュージカル仕立てのストーリー展開で、主人公・松子のヘビーな体験はどこかマイルドな悲喜劇に仕上がっています。女性の幸せとは何なのか、深く考えさせられる作品でもあります。
2.ハエになったその後は?クローネンバーグ監督の傑作『ザ・フライ』(1986)
セス・ブランドル
一人の男と一匹のハエが細胞レベルで融合してしまうという斬新な設定のホラー映画『ザ・フライ』。主人公のセスは、将来を有望視されている優秀な科学者です。 そんな彼が研究しているのはとある転送機。その機械に動物や物体を入れると、遺伝子レベルで融合し新たな生物として再生されるというものです。 自身の研究している転送機に自らの肉体を預けるセス(ジェフ・ゴールドプラム)。しかし不幸にもその実験の最中には、ハエが一匹紛れ込んでいました。セスは、前代未聞のハエ男として再生してしまいました。 肉体に異変が起きたからといって、セスを取り巻く環境が変わることはありません。恋人・ヴェロニカ(ジーナ・デイヴィス)との関係は進み、彼の研究も進んでいきます。やがてセスの子どもを身ごもったヴェロニカですが、その胎児は……。
3.息子を喜ばせたいだけだったのに!『クラウン』(2015)
ケント・マッコイ
最愛の息子の誕生日パーティーにピエロを手配した父親・ケント(アンディ・パワーズ)でしたが、何の間違いか当日ピエロは現れませんでした。息子をがっかりさせたくないケントは、自らがピエロの恰好をしてパーティーを盛り上げます。 息子は大はしゃぎでパーティーは大盛り上がり。疲れた彼はピエロの恰好のまま眠りについてしまいました。 翌日、ピエロの衣装が脱げないことに大きな恐怖と焦りを感じる彼。そのピエロの衣装はいわくつきのもので、子どもを食べる化け物の皮膚を利用して作られたものだったのです。 その衣装から逃れるには、5人の子どもを食べなければならず、優しく平凡な父親であったケントでしたが、徐々に悪魔の衣装に蝕まれ自身を見失ってしまいます。 家族や親戚とトラブルを起こし、森に逃げ込んだケント。彼はもうかつての面影は完全に無くしていました。恐ろしい空腹感に耐えかねて、次々に子どもを襲っては食べていく化け物へと変貌していたのです……!
4.ボクシングが結びつける不思議な関係!『ミリオン・ダラー・ベイビー』(2005)
マーガレット・(マギー)・フイッツジェラルド
ボクシングトレーナーの男とボクサーを目指す女性の心の交流を描く『ミリオン・ダラーベイビー』。成功から一転、哀しすぎる運命を辿るマーガレットの姿に胸が痛みます。 元は止血係として活躍していたボクシングトレーナーのフランキー(クリント・イーストウッド)には一人娘がいましたが、家を出てからは連絡も取れなくなっていました。 そんな彼はある日ジムにやってきた女性・マーガレット(ヒラリー・スワンク)のトレーナーを担当することになり、やがては自分の娘のように感じ始めました。 マーガレットは愛を知らずに育った孤独な女性でしたが、ボクシングにだけは情熱を注いでいました。彼女はやがてボクサーとして成功を収め、たくさんのファイトマネーを稼ぐ身に。しかし、家族は彼女の金を利用するだけで、愛情や感謝など少しも見せません。 マーガレットの元に大きな試合の話が舞い込み、彼女は悪名高い選手と対戦することになります。相手選手の販促技を食らって、マーガレットは大怪我をしてしまったのです……。 何とかマーガレットを治してやりたいと必死になるフランキーでしたが、彼女には重い後遺症が残り回復や復帰は絶望的に。その上家族との関係も悪化し、将来を悲観した彼女はやがて死を願うようになってしまうのでした。
5.やっと見つけた愛も偏見に叩き潰される!『ボーイズ・ドント・クライ』(2000)
ブランドン・ティーナ(ティーナ・ブランドン)
実在した人物の悲劇を描いた映画『ボーイズ・ドント・クライ』は、1999年に公開され反響を呼びました。性同一性障害を抱える主人公が過酷な運命に翻弄されていく様子を切なく描きます。 主人公のブランドン(ヒラリー・スワンク)は、身体は女性、心は男性という性同一性障害であり、男性の恰好をして周りにも男性であると偽っていました。 ある日軽い罪を犯してしまい、故郷にいられなくなったブランドン。訪れた街でラナ(クロエ・セヴィニー)という理想的な女性に出会います。 恋をしたブランドンでしたが、ラナの家には母親の愛人で堕落した生活を送っている愛人のジョンが入り浸っていました。ラナと親しくなるにつれ、このジョンと友人のトムとも関係が否応なしに深まり、やがては身体が女性であるという秘密を知られてしまうのです。 それからというもの、ブランドンに次々と悲劇が襲います。愛するラナの前で裸体をさらされ、存在を否定され続けた上に、ジョン達男どもに身体まで傷つけられてしまいます。 そんな悲劇の中でもブランドンへの愛を貫こうとするラナ。2人はジョンから逃れようと密かにに街を出ようとしますが、あと少しで街を出られるというときに、無残にもジョンに捕まってしまうのでした。
6.全ての男性の共感を得る作品!『それでも僕はやってない』(2007)
金子鉄平
痴漢の冤罪をテーマに描かれる今作、主役を務めるのは加瀬亮です。 一念発起して就職活動をがんばり始めたフリーターの主人公・金子(加瀬亮)。たまたま面接会場へ向かう途中に乗り合わせた女子中学生に痴漢行為をしたと主張されてしまいます。警察に連行され、果ては裁判にかけられる金子。しかし、それでも、金子は「やっていない」のです。 「やっていない」のにも関わらず、罪を被ることをすすめられる金子。そうすれば示談が成立し、穏便に問題が収められるかもしれないからでした。自身の無実を晴らすため、断固戦う姿勢を見せる金子。果たして彼は無実を証明できるのでしょうか。 全くの無実であるのに関わらず、どこまでも追い詰められていく金子の姿に男性は同情を覚えると共に、リアルな恐怖を感じるはず。
7.平穏な毎日を守りたい一心で付いた嘘がやがて大きな悲劇に『まともな男』(2017)
トーマス
平凡な中年サラリーマンのトーマス(デーヴィト・シュトリーゾフ)は妻と娘との3人暮らしです。ある日、会社の上司の娘・ザラも交えて雪山にスキー旅行に出かけることになりました。 娘・ジェニー(ロッテ・ベッカー)とザラ(アニーナ・ヴァルト)は、雪山で知り合った青年とすぐに打ち解けたようで、彼らに誘われるままにパーティへ参加します。 なかなか帰ってこないザラを心配して迎えに行くトーマスでしたが、ザラの様子はおかしく、トーマスに信じられないことを打ち明けました。なんと、彼女はパーティーに参加していたある青年からレイプされてしまったというのです。 警察に相談しようと諭すトーマスでしたが、取り乱しているザラは父親に絶対知られたくないと泣くばかり。 トーマスは保護者がわりである責任もあり、またザラに同情もしたため、一緒になって秘密を守るために小さなウソを重ねていきます。しかし、事態はマイナスの方向にばかり進み、彼は自分のウソと自分を守るためだけに極端で狂気的な行動に出始めたのです。 『まともな男』は、真面目で誠実な人物が少しずつ道を踏み外していく様子が描かれる衝撃作。もし自分の人生に似たようなことが起こったら、と思わずリアルな恐怖を感じてしまいますね。
主人公が次々と目を背けたくなるほどの不幸に見舞われていく映画。そう聞くとものすごく悲惨で哀しくなっていまいますが、そのような映画には他の作品にはない、不思議な感触と輝きを放っています。 ファンタジックなストーリー展開やホラーな演出がある作品であっても、現実世界の理不尽さに打ちのめされていく様子がリアルに描かれてるのです。 ハッピーエンドの作品やサクセスストーリーの作品では得られないものを確かに得ることができるのです。