2018年11月17日更新

死なない人間を巡る攻防劇『亜人』は読むのがベスト?観るのがベスト?

(C)2017映画「亜人」製作委員会 (C)桜井画門/講談社

不死の人間を描き、人気を博しているマンガ『亜人』。この記事では、実写映画、アニメシリーズ、アニメ映画などなど……メディアミックスも盛んに行われている本作の各媒体ごとの特徴や魅力を紹介していきます。

映画、アニメ、マンガ……『亜人』はどう楽しむのがベストなのか?

『good!アフタヌーン』にて2012年から連載されている桜井画門のマンガ『亜人』。 死ぬことのない新生物「亜人(アジン)」を描いた同作は、これまでに実写映画やテレビアニメシリーズ、劇場用アニメ映画と、様々な映像作品が作られてきました。 この記事では、そのように様々な形で展開されてきた「亜人」シリーズを比較し、それぞれの魅力を紐解いていきます。

不死身の新生物「亜人」とは。作品の基本的なストーリーを紹介

主人公・永井圭は交通事故に遭い、一度は命を落としますが、すぐに復活します。彼は約17年前に発見された死ぬことのない新生物「亜人」だったのです。 しかし、亜人であることが明らかになった永井は、政府に追われるようになってしまいます。 また、永井に近付くのは政府の人間だけではありません。謎の男・佐藤や、彼の仲間の田中といった「亜人」たちも永井に接触しようと動き出したのです。 様々な人々に狙われる中、「黒い幽霊(もしくは『IBM』)」と呼ばれる自らの分身のような存在を駆使して敵と戦ったり、逃亡を繰り返していく永井。 果たして、彼に安息の日々が再び訪れることはあるのでしょうか?

新生物「亜人」についての補足

『亜人』
(C)2017映画「亜人」製作委員会 (C)桜井画門/講談社

シリーズの根幹を成す存在「亜人」。劇中で亜人は、1990年代にアフリカの戦場で初めて発見されたと設定されています。 見た目は人間と変わらない彼らですが、死に至ると即座に蘇生し、その際には体の傷も完全に回復するのが特徴的です(逆に言うと、死ななけれなば治らないので、劇中であえて自らの命を絶つ事で傷を癒す場面も見受けられます)。また、先述の「黒い幽霊」など、いくつかの特殊能力を持つ者もいます。 亜人は全世界でも47人、日本でも2人しか発見されていないため、極めて希少な存在です。 そのため、研究対象として彼らは様々な組織から狙われることになるのです。 劇中では、「亜人は人間ではない」という価値観を持つ人が多数派ですが、一部のキャラクターは「亜人も人間だ」と考えています。

「亜人」シリーズの主要キャラクターを予習

各シリーズの見どころの解説をはじめる前に、マンガ・アニメ・実写映画版に共通して登場する主要キャラクターを紹介していきたいと思います。

永井圭

佐藤健『亜人』
(C)2017映画「亜人」製作委員会 (C)桜井画門/講談社

本作の主人公。亜人。他の亜人と違い、「黒い幽霊(もしくは「IBM」)」を連続して複数体(しかも長時間)操れるというのが特徴です。 実写映画版では佐藤健が演じ、アニメ版では宮野真守(幼少期:朝井彩加)が声優を務めました。 実写映画版では26歳の研修医と設定されていますが、原作を含むその他の媒体では医者を志す高校生という設定になっています。実写映画版とそれ以外では、様々な面で大きく設定が変更されていますが、それらの詳しい違いについては後述していきます。

佐藤

綾野剛『亜人』
(C)2017映画「亜人」製作委員会 (C)桜井画門/講談社

亜人のテロリストグループを率いる男・佐藤。亜人である事を最大限活かした戦い方をする実力者で、永井の宿敵として立ちはだかります。 実写映画版では綾野剛が演じる30代の男性となっていますが、アニメ版で大塚芳忠が声優を担当していることからもわかるように、その他の媒体では初老の男性として描かれているほか、彼もまた、永井同様実写とその他媒体で設定が大きく変更されています。

田中功次

城田優『亜人』
(C)2017映画「亜人」製作委員会 (C)桜井画門/講談社

佐藤と行動を共にしている亜人。日本で二番目に確認された亜人として設定されています。 実写映画版では端正な顔立ちの城田優が演じていましたが、その他媒体ではオールバックの強面の男として描かれています。また、アニメ版での声優は平川大輔です。 劇中では、佐藤同様、永井と敵対関係になります。

奥山真澄

千葉雄大『亜人』
(C)2017映画「亜人」製作委員会 (C)桜井画門/講談社

佐藤に協力する亜人の一人。実写版では千葉雄大、アニメ版では吉野裕行が演じた亜人です。 奥山は亜人ではありますが、生まれつき右足が不自由で、死んでも足が治ることはないという設定のキャラクターです。機械いじりが得意なキャラクターで、実写映画版以外では小太りな男として描写されています。

高橋

山田裕貴『亜人』
(C)2017映画「亜人」製作委員会 (C)桜井画門/講談社

佐藤に協力する亜人の一人。実写映画では山田裕貴、アニメ版では野川雅史が演じています。 相棒のゲンと共に佐藤に協力し、主に戦闘面で活躍します。また、実写版では原作よりも若く設定されています。

戸崎優

玉山鉄二『亜人』
(C)2017映画「亜人」製作委員会 (C)桜井画門/講談社

戸崎は実写映画版では玉山鉄二、アニメ版では櫻井孝宏が演じているキャラクター。 彼は亜人ではなく人間で、厚生労働省の役人として主に亜人に関する事件を担当しています。恋人の治療費を稼ぐために非情な任務に手を染めることも厭わない人物で、実写映画版では亜人管理委員会のトップという設定です。

下村泉 (田井中陽子)

川栄李奈『亜人』
(C)2017映画「亜人」製作委員会 (C)桜井画門/講談社

下村泉(田井中陽子)は、政府に協力する亜人という珍しい立ち位置のキャラクターで、劇中では戸崎のボディガードのような立ち回りが目立ちます。なお、彼女が二つの名前を持っている理由や、戸崎の部下になった経緯などはネタバレになりますので、ここでは伏せておきます。 実写映画版では川栄李奈、アニメ版では小松未可子が演じていました。

永井慧理子

浜辺美波『亜人』
(C)2017映画「亜人」製作委員会 (C)桜井画門/講談社

圭の妹・永井慧理子は、実写映画版では浜辺美波、アニメ版では洲崎綾が演じます。 全媒体で病弱という点では共通していますが、実写映画版とその他媒体では特に圭との関係性に差異が見られます。 実写映画版では、圭が彼女の治療のために研修医になったという設定もあり、比較的兄妹の関係は比較的良好ですが、その他の媒体では圭のことを「クズ」といって距離を取るなど、兄妹の仲は芳しくありません。彼女もまた、実写映画版とその他ではキャラクター性に大きな違いが見られる人物の一人といえるでしょう。

シリーズの原点にして最前線!マンガ版の魅力は?

シリーズ全ての原点になるのは、桜井画門のマンガ版です。比較的原作に近い形で展開していくアニメ版はともかく、原作は実写映画版とは大きな違いがあります。 例えば、主人公・永井圭のキャラクター設定一つとっても、原作では彼の冷酷な面が強調されています。 また、実写映画版には登場しない友人の海斗、味方の亜人・中野攻が登場したりと、実写映画版以上に複雑でスケールの大きな戦いが展開されるのもマンガ版の特徴といえるでしょう。 2018年11月現在も原作マンガは連載中ですので、アニメや映画のその先のストーリーを楽しめるというのも大きな魅力の一つと言えるでしょう。

アニメ版『亜人』は2種類、テレビシリーズと映画版の魅力とは?

アニメ映画版

「亜人」シリーズのアニメは、テレビシリーズ版、アニメ映画版の2種類が制作されました。この2つはほぼ同時期に制作されているほか、スタッフやキャストも概ね共通しています。 また、全3部作のアニメ映画版と全26話のテレビシリーズではストーリーの展開していくスピードや作品全体の尺が違うため、アニメ映画版ではスピーディな展開、テレビシリーズ版ではキャラクターの心情を掘り下げるような展開を意識して制作されています。 マンガ版同様に佐藤が中年男性だったり、海斗や中野攻らが登場したりと全体的に実写映画版よりは改変が少ないものの、人気声優の坂本真綾や森川智之が演じるアニメオリジナルキャラクターたちが登場したりと、アニメ版独自の魅力も打ち出しているのも特徴です。

テレビシリーズ

先述の通り、テレビシリーズではキャラクターの心情の掘り下げを意識した作劇がされています。テレビシリーズ、アニメ映画版3部作ともにNetflixで配信中ですので、気になる人は双方を見比べてみるのも良いかもしれません。 また、これらとは別に、原作コミックの付録としてOVAが3作品制作されており、その中には佐藤を中心にした外伝的な内容の作品なども含まれています。

人気俳優も多数出演した実写映画版は万人におすすめ

『亜人』
(C)2017映画「亜人」製作委員会 (C)桜井画門/講談社

マンガ版、アニメ版を含む「亜人」シリーズの中で、最もエンターテインメントに特化したのが実写映画版です。 実写映画版は、原作やその他媒体に見られる圭の癖の強さは抑えられていたり、他媒体では重要な立ち位置にある圭の友人の海斗が登場しなかったり、全体的にかなりの改変が加えられています。また、全体的にイケメン俳優を中心にキャスティングされており、原作では三枚目のキャラクターも美形になっているところも、大きな違いと言えるでしょう。 こうして、実写映画版は原作の複雑な部分をシンプルに改変していき、アクションの面白さ・格好良さを全面的に打ち出したエンターテインメント作品に仕上がっているのです。 映画「るろうに剣心」シリーズでもスタントコーディネーターとして佐藤健とタッグを組んだ大内貴仁が、本作のアクション監督を務めているからか、佐藤は本作でもキレキレのアクションを見せています。 シンプルながらもエンターテインメントに特化したストーリーの改変や、アクションの見栄えの良さなどもあり、実写映画版は原作ファンも新規ファンも楽しめる一本です。

各作品に共通する「亜人」シリーズの魅力とは?

『亜人』
(C)2017映画「亜人」製作委員会 (C)桜井画門/講談社

シリーズ毎に異なる魅力を打ち出している「亜人」シリーズですが、共通している魅力として、「アクションの面白さ」が挙げられると思います。 「黒い幽霊」を駆使した超能力バトルのような一面に加えて、「死んでも蘇る」という設定だからこそ成立する過激な攻防戦。 本来なら緊張感が損なわれてしまいそうな「不死身」という設定ですが、「亜人」シリーズでは様々な創意工夫を持ってアクションとしての派手さと緊張感を両立させ、独自の魅力を打ち出しています。これが、シリーズが多くのファンに支持される一因となっているのは間違いないでしょう。 また、亜人たち、そして周囲の人々が抱く個々の価値観や悩みも本作特有の魅力の一つ。 派手なアクションと繊細なドラマ。この2つの柱があるからこそ、「亜人」シリーズは様々なメディアで展開される人気コンテンツへと成長していったのです。

カネキ『東京喰種トーキョーグール』
©2017「東京喰種」製作委員会

独特のアクション描写と繊細なドラマ性の両立というのは、同じく実写化・アニメ化と様々なメディアで展開されていった「東京喰種トーキョーグール」シリーズや「鋼の錬金術師」シリーズなどとも共通している要素です。 アクション・ドラマ双方での魅力を打ち出していくことは、現代でヒットコンテンツを生み出すためには必須条件といえるのかもしれません。

「亜人」の物語は続く

『亜人』
(C)2017映画「亜人」製作委員会 (C)桜井画門/講談社

様々な媒体で展開されてきた「亜人」シリーズですが、2018年11月現在、映画版やアニメ版の続編の噂はありません。 しかし、マンガ版の連載は続いています。原作マンガはどのような結末を迎えるのか?まだまだ「亜人」から目が離せなさそうです!