2019年3月8日更新

【ネタバレ】アニメ映画「スパイダーバース」徹底解説 全登場スパイダーマンも紹介!

スパイダーマン スパイダーバース

世界中で世代を超えて愛されるヒーロー、スパイダーマン。そんな彼の初の長編アニメーション映画『スパイダーマン:スパイダーバース』は、第91回アカデミー賞で長編アニメーション賞をを受賞しました!本作の魅力的をネタバレを含めて解説します!

スパイダーマン初の長編アニメーション映画『スパイダーマン:スパイダーバース』の魅力を解説!

※この記事には『スパイダーマン:スパイダーバース』のネタバレが含まれます!作品を鑑賞後にお読みいただくことをおすすめします。

世界中でもっとも有名で、もっとも人気の高いアメコミヒーローと言っても過言ではないスパイダーマン。そんなスパイダーマンの長編アニメーション映画『スパイダーマン:スパイダーバース』が、2019年3月8日に全国で順次公開されます。 すでに3月1日から3日にかけて一部の映画館でIMAX版が先行上映されたので、観た人もいるのではないでしょうか。 全米公開直後から大絶賛され、アカデミー賞長編アニメーション映画を受賞した「スパイダーバース」。その魅力はどこにあるのでしょうか。ネタバレを含めて解説します!

『スパイダーマン:スパイダーバース』のあらすじ【これまでのスパイダーマンとは違う世界観】

ブルックリンに暮らす少年マイルス・モラレスは、ある日突然変異したクモに噛まれ、特殊な能力を手に入れます。一方、ニューヨークではすでに、ピーター・パーカーがスパイダーマンとして活躍していました。 そんなある日、何者かによって時空を歪められる事件が発生。それを止めようとしたスパイダーマンは死亡してしまいます。その場に居合わせたマイルスは、ピーターの死の直前に彼から世界を救う任務を託されたのでした。 まだ力をうまくコントロールできず、困惑するマイルス。しかしそんな彼の前に、死んだはずのピーターが現れます。実は彼は、時空が歪められたことによって別次元からやってきた、別のピーター・パーカー/スパイダーマンでした。彼を師匠として力をコントロールする訓練を始めたマイルスのもとに、同じく別次元で活躍していたスパイダーマンたちが次々と集まってきます。 そして彼らは、自分の世界に帰るため、マイルスとともに悪者を倒すことを決意しーー。

アメコミの基本概念“マルチバース”を理解しておこう!

スパイダーマン スパイダーバース

「スパイダーバース」を楽しむためには、アメコミの基本概念である“マルチバース”を理解しておく必要があります。 “マルチバース(多次元宇宙)”とは、宇宙にはさまざまな並行世界が存在しているという考え方。日本では、“パラレルワールド”という言い方の方がなじみがあるかもしれません。 アメコミのほとんどがこの考えを取り入れており、同じキャラクターでもどの世界に属するかで、ほとんど別人になってしまうことも。 “マルチバース”は、本作の重要な基礎になっていますので、覚えておきましょう。

「スパイダーバース」に登場する全スパイダーマンを紹介!

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悩める二代目スパイダーマン:マイルス・モラレス

本作の主人公。突然変異したクモに偶然噛まれたことをきっかけに、特殊な能力を手に入れます。 彼は初代スパイダーマンと同じように、ウェブを放つこと、物体に吸着することが可能。また、スピード、強さを持ち、危険を感知する“スパイダーセンス”も持っています。さらに、触れるだけで電気のようなパワーを放出できる“ヴェノム・ストライク”や、“カモフラージュ”という透明になる能力など、独自のパワーを持ち合わせています。

おなじみ初代スパイダーマンが大人に!?:ピーター・B・パーカー

(画像左がスパイダーマン/ピーター・B・パーカー) 初代スパイダーマンとして知られるピーター・パーカー。しかし、本作に登場するピーターはこれまでのイメージとは違ったキャラクターです。 マイルスと同じユニバースに住むピーターが死亡した後、別次元からやってきたピーター・B・パーカーは、私たちに馴染みのあるピーターとは別人。無精ヒゲを生やし、ちょっぴりメタボぎみ、適当な性格で、マイルスの師匠として彼がスパイダーマンに“なる”ための訓練を開始しますが、あまり頼りにならない人物です。

あのヒロインもスーパーヒーローに!:スパイダー・グウェン(グウェン・ステイシー)

実写映画「アメイジング・スパイダーマン」シリーズにヒロインとして登場したグウェン・ステイシーも、別次元で“スパイダー・グウェン”として活躍しています。 通常のスパイダー・パワーはもちろん、彼女の戦闘中の優雅な動きにも注目。普段はドラマーをしているグウェンは、音楽やダンスをしてきた影響が動きや衣装にも影響しており、戦う際もバレエシューズを着用しています。 英語版で声を担当するのは、『トゥルー・グリッド』などで知られるヘイリー・スタインフェルドです。

動物のスパイダーマン!?:スパイダー・ハム(ピーター・ポーカー)

ブタのような見た目のスパイダーマン、ピーター・ポーカーは、1983年に初めてマーベルコミックに登場したキャラクター。マーベルヒーローたちを動物化したパロディ世界、ラーヴァル・アースの住人です。 彼は通常のスパイダー・パワーほかに、壁に黒い輪を投げつけてその中を通り抜けるというカートゥーン的な能力も持っています。

萌えキャラ!?中学2年生の女の子:SP//dr(ペニ・パーカー)

様々な次元のキャラクターが集まったなかでも、特に別世界から来た雰囲気が強いペニー・パーカーには、実は他のスパイダーマンたちのような能力はありません。 未来のニューヨークに住む彼女は、スパイダー・パワーに似た能力を持つロボット、SP//drを操縦して戦います。SP//drを作ったのは、放射能を浴びたクモに噛まれた彼女の父親。しかし彼は、ロボットを使って犯罪者と戦っている最中に死亡してしまいます。その後、ペニーがSP//drを受け継ぎました。 スーツの頭部には放射能を帯びたクモが住んでおり、パイロットであるペニーとはサイキック・リンクでつながっています。

フィルム・ノワール風のスパイダーマン:スパイダーマン・ノワール(ピーター・パーカー)

スパイダーマン・ノワールは、ダークな世界観をもつノワール・ユニバースというアースに住むスパイダーマンです。彼が活躍しているのは、世界恐慌下の1930年代。他のピーター・パーカーと違い、冷淡な性格です。 英語版の声を担当しているのは、熱狂的なアメコミファンとして知られるニコラス・ケイジです。

「スパイダーバース」には個性的かつ豪華なスタッフが集結!

「スパイダーバース」のスタッフには、個性的かつ豪華な面々が集結しました。 本作の製作は『くもりときどきミートボール』や『LEGO(R)ムービー』などのアフィル・ロード&クリス・ミラーに加え、「X-MEN」シリーズをはじめサム・ライミの映画「スパイダーマン」シリーズ、「アメスパ」シリーズなど数々のアメコミ映画に関わってきたアヴィ・アラッドの3名。 また脚本は、上記3名にテレビアニメ『怪奇ゾーン グラビティフォールズ』や『名探偵ピカチュウ』のアレックス・ハーシュを加えた布陣に。 監督は『リトルプリンス 星の王子さまと私』のボブ・パーシケッティ、『ガーディアンズ 伝説の勇者たち』のピーター・ラムジー、『22ジャンプ・ストリート』のロドニー・ロスマンの3名が共同で務めています。

第91回アカデミー長編アニメーション賞を受賞!高評価の理由は?

アカデミー賞をはじめ各賞のアニメーション部門を席巻!

「スパイダーバース」は、アカデミー賞の前哨戦となるゴールデングローブ賞でもアニメ映画賞を受賞。そのほか英国アカデミー賞、放送映画批評家協会賞など、数々の賞レースを席巻し、アカデミー賞大本命と予想されていました。 その予想通り、アカデミー賞でも長編アニメーション賞を獲得。他の追随を許さない高評価を得ています。

これは革命!とにかく映像がすごい!

「スパイダーバース」では、2D、3D、CGアニメーションが入り乱れ、鮮やかな色彩のなか、スパイダーマンたちが躍動する様子を、実写版では表現することのできなかった疾走感と迫力で見せてくれます。 とくに、IMAXでの上映は映像の立体感やコミック的表現が高く評価され、観客をわくわくするような世界へと誘います。 また、ピーター・ポーカー、ノワール、ペニーは、キャラクターデザインもそれぞれ異なる世界観を持ち合わせており、それらのキャラクターが一堂に会する映像はかなり挑戦的。 「スパイダーバース」に携わったアニメーターは180人。これは、これまでソニー・ピクチャーズが手がけた長編アニメーション映画でもっとも多い人数だとか。 さまざまな技術とスタッフの努力が実現させた「スパイダーバース」の映像は、アニメーション映画の革命です。

笑いあり涙ありの成長物語

「スパイダーバース」は、スパイダーマンというキャラクターの持ち味が存分に活かされた作品です。 アメコミヒーローのなかでも、明るい性格で多くの人に愛されるスパイディ。それぞれの別次元の「スパイダーマン」たちも魅力的で、笑いを誘う場面も。 同時に、スパイダーマンの核となる命題に真正面から向き合い、感動的なストーリーになっています。

多くの子供たちに希望を与えるキャラクターたち

本作が絶賛された理由のひとつは、様々な人種・バックグラウンドをもつヒーローたちが登場することです。 スパイダーマンに限らず、これまでのアメコミヒーローのほとんどは白人男性でした。他の人種の子供たち、そして女の子にとって、アメコミヒーローに自分を投影し、勇気付けられるということは難しかったのです。 しかし、今回の主人公マイルスはアフリカ系とヒスパニック系の血を引くの少年。また、グウェン・ステイシーや日系人のベニーなど、女性のスパイダーマンも活躍します。 本作は、多様性の大切さが認知されはじめた現代に、ぴったりの作品と言えるでしょう。

※警告!:ここから『スパイダーマン:スパイダーバース』の内容に関する重要なネタバレがあります!鑑賞予定の方はここで引き返してください!

【ネタバレ注意!】「スパイダーバース」がより面白くなるトリビア5選

意外!?スパイダーマンの長編アニメーション映画は今回が初めて!

スパイダーマン スパイダーバース

スパイダーマンのアニメ作品といえば、60年代のテレビシリーズが有名です。また、1994年から1998年にかけてはテレビアニメ『スパイダーマン(原題:Spider-Man: The Animated Series)』も放送され、どちらも人気を博しました。 これまでスパイダーマンの実写映画は、合計で6作が公開され、2019年夏にも新作が公開される予定です。 しかし、実はスパイダーマンの長編アニメーション映画は「スパイダーバース」が初めて。少し意外ではないでしょうか。

ピーター・ポーカーはもともとブタではない!?

本作にはさまざまな“スパイダーマン”が登場しますが、そのオリジンはあまり語られていません。ここでは、スパイダー・ハムについて、興味深いその来歴を紹介しましょう。

スパイダー・ハムことピーター・ポーカーは、実はもともとブタのメイ・ポーカーの家に住み着いたクモでした。

発明家だったメイは「原子力ヘアドライヤー」を開発。しかしその実験中に放射能を浴び、一時的に錯乱状態に。そしてクモのピーターに噛みつきます。こうして彼はクモの能力とブタのような姿を手に入れたのです。 さらに、正気を失っていたメイがピーターを自分の甥だと思い込んだため、彼女を同じ“ポーカー”の苗字を名乗ることになりました。

まさかの「東映スパイダーマン」オリジナルキャラ レオパルドンが登場!?

スパイダーマンが、1970年代末に日本で特撮番組として放送されていたことはご存知でしょうか? 東映が製作した特撮スパイダーマンには、日本独自のキャラクターも多数登場。なかでも特に日本的で人気を博したのが、巨大ロボットのレオパルドンです。実はレオパルドンは原作コミックにも登場していました。マーベルは公式YouTubeチャンネルでも、その存在を紹介しています。

そんなレオパルドンは本作のオープニングでカメオ出演。マイルスのスケッチボードに描かれたロボットがレパルドンであることを、アニメーターのニック・コンドウが認めています。 これに気づいた人はかなりのスパイダーマンマニアでしょう!

もうひとりのスパイダーマンが登場していた!?

マイルスのもとに集結した5人のスパイダーマンとは別に、実はもうひとりのスパイダーマンがカメオ出演していることに気づきましたか? それは、2018年にリリースされ大ヒットしたPS4用のビデオゲームに登場したスパイダーマン。ゲーム『スパイダーマン』での彼のスーツは、胸のクモのマークが白になっているのが特徴です。 ゲーム版のスパイダーマンは、マイルスたちに直接会うことはありませんでした。彼の姿を確認したい人は、秘密の地下室のシーンで画面の左端に注目してみてください。

あの人もやはりカメオ出演

スタン・リー
©Sthanlee Mirador/Sipa USA/Newscom/Zeta Image

2018年、スパイダーマンの生みの親であるスタン・リーが95歳で死去。その直後、本作での彼がカメオ出演するシーンはすでに収録済みであることが発表されました。 製作を担当するロードとミラーは、本作にとってリーの出演は不可欠であり、作品にさらに意味を与えるものになったと語っています。

【ネタバレ解説】『スパイダーマン:スパイダーバース』が伝えるメッセージ

グラフィティと壁が暗示するもの

映画冒頭、マイルスが壁に落書きをしているシーンがありました。 実際にはこれは“落書き”というより、アメリカのストリートで発展した“グラフィティ”という芸術です。グラフィティは主に黒人が発展させたもので、反抗や抵抗の象徴でもあります。一方で、マイルスがグラフィティを施すのは“壁”。壁というのは、言葉としても同じ意味で使うように、ふたつ以上のものを断絶させるもの。 マイルスは父親に反抗し、壁を作っていました。しかしその後、父ジェファーソンは壁越しにマイルスに話しかけ、ふたりは和解します。 たとえ壁があったとしても、その向こう側に語りかける気持ちがあれば、関係を修復することはできるのです。「スパイダーバース」は、マイルスがヒーローとして成長するとともに、父をはじめとする他の人々を受け入れられるようになっていく、人間としての成長物語になっているのです。

誰だってスーパーヒーローになれる

「スパイダーバース」高評価の要因としても紹介したように、マイルスやグウェン、ペニー、さらにはピーター・ポーカーなど、本作ではさまざまな“スパイダーマン”が登場します。人種、性別、種族(?)関係なく、誰でもスーパーヒーローになれるというメッセージを本作は伝えているのです。 また原作者であるスタン・リーは、スパイダーマンの衣装は、顔からつま先まですっぽり隠れることに意味があると語っています。「あのスーツを着れば、それが誰だかわからなくなる。男の子なのか女の子なのか、宗教も肌の色も見えなくなる。スパイダーマンは、どの子供も自分を投影することができるヒーローだ」と。 「スパイダーバース」では、スパイダーマンにスタン・リーが込めた願いをよりわかりやすい形で表現しているのです。

スパイダーマンとは何か?

私たちのよく知るピーター・パーカーをはじめ、スパイダーマンたちはそれぞれ大切な人を亡くし、それをきっかけにヒーローとして立ち上がります。それは、「スパイダーバース」に登場するさまざまな“スパイダーピープル”も同じ。 「スパイダーマン」の物語は、いつだって悲しみを乗り越えて成長するヒーローの物語なのです。6人のスパイダーピープルは、やはりつらい経験をとおして成長した先輩たち。そんな彼らが、マイルスの成長を手助けしてくれます。 「スパイダーバース」は、“スパイダーマンとは何か?”という命題に答えを提示したのです。

2019年3月8日全国公開の『スパイダーマン:スパイダーバース』を見逃すな!

スパイダーマン スパイダーバース

米レビューサイトRotten Tomaoesでは、なんと98%という支持率を叩き出した『スパイダーマン:スパイダーバース』。すばらしい映像と、笑いと感動に満ちた物語、深いメッセージ。本作は、2019年時点で最高のアメコミアニメーション映画といって過言ではありません。 「スパイダーバース」は2019年、絶対に見逃せない映画のひとつ。特に、臨場感あふれる映像を体験することができるIMAXでの鑑賞がおすすめです。 アカデミー賞を受賞したのも納得の傑作。『スパイダーマン:スパイダーバース』は2019年3月8日(金)から全国公開です!