ピクサー テクニカル・ディレクター 小西園子が語る『トイ・ストーリー4』の魅力、見どころとは?
ピクサー テクニカル・ディレクターに訊く『トイ・ストーリー4』の魅力とは?
2019年7月に公開されたピクサーの大人気シリーズ最新作『トイ・ストーリー4』。今回は、ピクサーのテクニカル・ディレクター、小西園子氏から本作やシリーズについて、お話を伺いました。 彼女は1994年、日本人として初めてピクサーに入社。「トイ・ストーリー」のジュニア・テクニカル・ディレクターとして、美術や照明を担当します。その後、さまざまな部署で経験を積み、同社のほぼ全ての長編作品に携わってきました。2019年7月現在は、キャラクターの服や髪の毛に動きをつける「シミュレーション」と呼ばれる分野で活躍しています。 世界初の長編CGアニメーション映画「トイ・ストーリー」から最新作『トイ・ストーリー4』まで、シリーズを通して関わってきた彼女は「トイ・ストーリー」のどんなところに魅力を感じているのでしょうか。
プロフィール
1978年、当時7歳の彼女は「スター・ウォーズ」の映画を鑑賞し、映画効果の技術に大きな感銘を受けました。その後、映像効果の仕事、特に映画作品の生き物のモデリングの道に進みたいと心に決めます。 東京都で育ち、17歳で渡米。シカゴのスクール・オブ・アート・インスティチュートでファインアート&テクノロジーの学士号を取得したあと、1994年8月に「トイ・ストーリー」のジュニア・テクニカル・ディレクターとしてピクサーに入社します。 2019年7月現在までに「モンスターズ・インク」(2002)、「ファインディング・ニモ」(2003)、「Mr. インクレディブル」(2004)、「レミーのおいしいレストラン」(2007)、「ウォーリー」(2008)、「トイ・ストーリー3」(2010)、「メリダとおそろしの森」(2012)、「インサイド・ヘッド」(2015)、「リメンバー・ミー」(2017)、「インクレディブル・ファミリー」(2018)のなどの制作に携わり、「カーズ」(2006)ではピンク色の日本車役で声優デビューも。『トイ・ストーリー4』では、ボニーの服や持ち物のシミュレーションを手がけました。
『トイ・ストーリー4』の製作について
『トイ・ストーリー4』の製作が決まったときの率直な感想を教えてください。
「3よりも面白い作品だったら、ぜひ!と思いました。3が素晴らしかったし、一つの区切りのようにも思っていたので。でも脚本などを見せていただいて、社内のスクリーニング(試写)があって、みんなで途中経過のものを見てディレクターに意見を送ることができるので、その時点で「面白そう」と思いました。ピクサーは本当に、語るべきストーリーがあるから映画を製作する、という考え方をしています。」
1作目から24年 映像技術はここまで進化した!
本作ではボニーの服などのシミュレーションを担当されたとのことですが、苦労や苦戦した箇所はどこでしょうか?
「最初はマネキンに服を着せて作っていたんですが、彼女は結構走り回ったりするキャラクターなので、その表現の仕方が難しかったですね。子供サイズの服って大人の服よりも(布地が少ないため)ふわふわしたりしないので、結構きっちりしてるんですけども、それでもあまりきっちりするとコンピュータグラフィックっぽさが目立つといいますか。」
CGをリアルに見せるために、あえてしていることはありますか?
「CGだからできることっていうのがあって、ボーの陶器のカクカクした動き方とかですね。以前は人間のようになめらかな動きだったんですが、それに違和感があったらしくて。それを関節とかをあまり曲げないようにしたりしています。『“物”である』っていうことを、よりリアルに再現するようになりました。」
「トイ・ストーリー」シリーズは24年以上つづいていますが、テクノロジーの進化によってやりやすくなった、逆に難しくなったという点はありますか?
「テクノロジーの面で簡単になったのは、それこそシミュレーションですね。「トイ・ストーリー」1や2のときはシミュレーションというものがなかったんです。だからよく見ていただけると、2まで服の皺とかは全部手で描いていたんですね。 それが大変でした。だんだん映画を作っているうちにシミュレーションのグループができて、動きをデザインできるようになりました。髪の毛のなびき方とか服の流れ方とか。あと、スローモーションとかもできるので、そうするとキャラクターの感情の流れも違ってきますよね。 逆に大変になったことは、技術が良すぎて、コンピュータが早くなってきて、もっともっと先のものを、もっともっと速くしようとか、もっといいものを作る、もっと先のことを考えようとなってきた部分ですね。これからなにをしなきゃいけないんだろうとか、スピードもありますし。まだ経験してないこともいっぱいあると思うんです。これからどんなビジョンでどんなビジュアルを作ろうか、というところですね。」
「トイ・ストーリー」シリーズの魅力とは
1〜3でもう一度観たいな、という思い出に残っているシーンは?
「1のバズ・ライトイヤーがはじめて出てくるシーンで、カメラがふーっと上にあがっていくところがありますね。あのシーンがいちばん好きなんです。バズ・ライトイヤーの紹介のシーンで、印象に残っています。」
映像の進化したポイントや、ここを知れば最新作との違いをもっと楽しめるといった点はどこでしょうか?
「1と4は映像はものすごく違いますね。でも、ストーリーはタイムレスなので、どこから見ても変わらないと思うんです。ポップカルチャーをリファレンスしない(流行を反映しない)ストーリーなので、これまでのシリーズも最新作も、初めて見たときの感情も思い出せると思いますし、大人になっていま見たときの感情はまったく違うと思いますし。それはわたしも同じですね。 1を小学生のときに見たっていう人はいま30代くらいで、自分のお子さんと見るっていうこともあると思うんですよね。そうするとすごい会話にひろがりがあるって聞いたことがあります。それが面白いと思いますね。」
『トイ・ストーリー4』の見どころやお気に入りのシーンとは
『トイ・ストーリー4』の見どころは?
「ダッキー&バニーがかわいいと思います。あと、アンティークショップの中がものすごくリアルにできていて、探検したくなりますよね。わたしもアンティークショップによく行くのですが、匂いもしてきそうな。あれはピクサーすごいって(笑)。そのリアルななかを擬人化したおもちゃたちが歩いているっていうのが、ものすごく不思議に思いました。あえて全体を見せないというか、もっと色んな所を見てみたいと思わせるような、素晴らしい見せ方だと思いましたね。」
何度も観たくなるお気に入りのシーンは?
「ダッキー&バニーのふわふわした、かわいいキャラクターがやっぱり好きですね。特にケンカするところが(笑)。ふわふわの2人がポコポコケンカしているのがものすごく良く出来てるので、楽しくて何回も見ています」
そのほか「トイ・ストーリー」シリーズ&ピクサーの注目情報
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「PIXARのひみつ展」はボストンサイエンスミュージアムがPIXARとの協力により開発したものです。© Disney/Pixar. All Rights Reserved. Used Under Authorization.
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