『銀河鉄道999』メーテルの正体とは?経歴や正体を徹底解説!
メーテルは『銀河鉄道999』のヒロイン!謎多き美女の経歴や家族関係は?【ネタバレ注意】
松本零士の代表作のひとつ『銀河鉄道999』は、1977年から1981年にかけて連載された、宇宙を舞台としたSFマンガです。マンガ連載中にスタートしたアニメ版も高い人気を誇り、多くの視聴者が主人公である星野哲郎とメーテルの旅の行方に心奪われました。 今回は、哲郎と旅をする謎多き美女・メーテルについて深堀りしていきます。ミステリアスで憂いのある表情が魅力的なメーテル。どうしてメーテルは哲郎と旅をするのか、どうして黒い服を着ているのか、その正体とは……。 気になる彼女の経歴や正体、家族とのエピソードなどをまとめていきます。そこから浮かび上がるメーテルというキャラクターの魅力を見ていきましょう。 ※本記事は、『銀河鉄道999』のネタバレを含みますので、読み進める際はご注意ください。
『銀河鉄道999』のあらすじを紹介!
裕福な人々は機械の体を手に入れ、機械化人として生きている未来世界が舞台。主人公の星野哲郎は、機械化人に殺された母親との約束を果たすため、無料で機械の体が手に入る星を目指そうとするのでした。 そんな哲郎の前に現れたのが、美しい女性・メーテル。彼女は、銀河鉄道999のパスを哲郎に渡し、ともに999での旅に出かけるのでした。 「アンドロメダ編」で描かれるのは、地球から999に乗り込んだ哲郎とメーテルが、機械の体をくれるという星にたどり着くまでの出来事。 さらに「エターナル編」では、再び2人が999に乗り込み、終着駅・エターナルを目指す旅が描かれます。マンガやTVアニメ、劇場版などで結末が異なっており、メーテルに関する描写もそれぞれで異なっているのが特徴です。
メーテルとは?主人公の星野鉄郎と銀河を旅する美女
メーテルは、黒の帽子とケープコート、ワンピース、ブーツに身を包んだ、亜麻色のロングヘアーが特徴的な美女。長いまつ毛をした涼し気な目元が印象的で、スラッとしたスタイルとあわせてクールなイメージを抱かせるキャラクターです。 メーテルは、地球で行き倒れている哲郎を救う形で、以降999の旅に同乗します。しかし、彼女がなぜ哲郎に999のパスを渡して旅に同行しているのか、そもそも彼女はどこから哲郎のもとにやってきたのか。そういったことを彼女は語りません。 実は彼女には、哲郎と旅する本当の目的があります。しかも、その目的には家族や銀河にまつわる複雑な事情が隠されているのでした。人には言えない事情を抱えていることが、より一層彼女をミステリアスな雰囲気にしているのです。
メーテルの正体は機械人間?
謎に包まれたままの正体
メーテルの体に隠された真相は、実ははっきりしていません。というのも、原作やアニメ、劇場版でそれぞれ違った内容がほのめかされており、彼女の体が機械の体なのか生身の人間なのかが曖昧になっているからです。 共通している設定は、メーテルの本体となったもともとの体が、冥王星の氷のなかに閉ざされているという内容。しかし、この氷の中に眠る体が生身なのかどうかは不明です。 原作では、メーテルが機械化人ではないことを証明するためにレントゲンを撮っているシーンがあり、その際は人間の骨格が映し出されました。 しかし、カモフラージュ機能がついた下着を身に着けていることも明かされており、その下着の機能によって生身の人間に偽装していた可能性も残っています。
映画版では機械人間との示唆も!
映画版第1作目の『銀河鉄道999』では、メーテルの口から今の肉体は自身の母から与えられたものだという衝撃の発言がありました。宇宙一美しいと言われた鉄郎の母と同じ姿を貰っていることから、メーテルのクローン説や機械化人説が濃厚に。 また、同じ作品の中でメーテルは「母から貰った体が年を取れば別の体をうつしかえて、果てしない時間の中を旅して来た」とも発言。彼女の今の姿は本来の肉体ではなく、作られたものであることが判明したのです。 メーテルと鉄郎の母が瓜二つである理由は原作では言及されていませんが、少なくとも劇場版の世界観では彼女が機械化人、もしくはクローン人間である可能性はかなり高そうです。
母プロメシュームやエメラルダスとの関係は?
両親の意志の狭間でもがくメーテル
メーテルの母親は、機械帝国の建国者であり女王のプロメシュームです。哲郎のような強い意志を持つ青少年を機械化人にするべく集めては、惑星メーテルを支える部品に変えていました。 一方で、父親は反機械化世界を目指したドクター・バン。すでに体はなく、メーテルの持つペンダントを介して彼女と会話をしています。 メーテルは、母の命により哲郎をはじめとする青少年を集めながら、父の意志である機械帝国滅亡のために、同志を内部へ送り込むための作戦も実行するという、両親の掲げる相反する2つの使命を背負っていたのです。
メーテルと共に歩む姉のエメラルダス
登場直後は曖昧な関係で描かれていたエメラルダス。しかし1990年代以降の設定では、彼女がメーテルの双子の姉となっています。エメラルダスは、松本零士作品のひとつ『クイーン・エメラルダス』の主人公で、女宇宙海賊です。 劇場版2作目では、機械化人になったことで心を失ってしまった母の野望を打ち砕くため、姉妹で共闘しています。 両親の異なる意思を一身に背負い辛い立場にあるメーテル。彼女にとって、ともに同じ目標を抱けるエメラルダスは、大切な存在だったと推測することができます。
メーテルが着ている黒い服は喪服だった
母と父の相反する2つの目的を達成するべく、メーテルは鉄郎を始めとして数々の青少年を騙してきたようです。彼女に機械帝国に連れてこられた青少年達は機械の部品として改造されてしまい、プロメシュームが永遠の命を保つために使われてしまいます。 そんな青少年達のことを間近で見てきたメーテルは、彼らに対するせめてもの償いとして全身を黒い服で覆うように。彼女のシンボルでもある全身真っ黒な服装は、喪服としての意味合いを持っていたのです。
メーテルこそが鉄郎を導く「鉄道」だった
宇宙一の美しい肉体を持つメーテルは、その美貌だけで数々の人々を魅了してきました。もちろん主人公の鉄郎も例外ではなく、彼は自分の母とそっくりな見た目を持つメーテルに様々な感情を抱くようになります。 本来銀河鉄道999のパスは高額で貧しかった鉄郎には手が出ないような代物でしたが、それをメーテルは無償で提供。代わりに一緒に終着駅まで行くことを約束したことで、鉄郎は深い感謝を抱きつつ、彼女と長い旅路を共にするようになります。 その後様々な冒険を通して、メーテルと鉄郎の関係は仲間・親子・恋人など、一言では言い切れない関係になっていきました。そんな中で、最初は母の遺志を継ぐという信念に囚われていた鉄郎の思いは段々と変化していきます。 メーテルの存在こそが、鉄郎の成長を促し彼を導く「鉄道」だったと言えるでしょう。
メーテルにはモデルが存在する?
『銀河鉄道999』のメーテルだけでなく、他作品でも面長で、切れ長の目が特徴的な美女を描いてきた作者・松本零士。作者自身なぜこういった女性ばかりを描いてしまうのか理由は分かっていなかったそうですが、ある時とある写真を目にして原因が分かったそうです。 その写真に写っていたのは楠本高子という若い女性。彼女は日本人女性初の産科医として有名な楠本イネの娘で、彼女自身も大阪で西洋医学の基礎を築くのに貢献しました。 終戦まで愛媛県大洲市の母の実家に疎開していたという作者は、おそらくそこで楠本高子の写真を見たのでしょう。作者自身も気付かないうちに楠本高子はメーテルのモデルとなり、『銀河鉄道999』で多くの読者を魅了しました。
メーテルの経歴をまるっと概観してみよう!
メーテルは惑星ラーメタルで生まれた、寿命数万年のラーメタル人です。「999」の前日譚にあたる『新竹取物語 1000年女王』では、彼女の母であるプロメシュームこと雪野弥生のことが描かれています。メーテルと母親との関係性を考えるうえで、欠かせない作品でしょう。 メーテルの幼少期が描かれている『メーテルレジェンド』や『宇宙交響詩メーテル 銀河鉄道999外伝』では、メーテルおなじみの黒い服ではなく、白い服や赤い服も着ています。同作では、エメラルダスと共にメーテルは機械化人と戦うことを決意するのでした。 そして長い年月が流れ、メーテルの肉体は冥王星の氷の中に保管され、メーテルは現在の体で哲郎と999での旅を開始。この頃には、表面上は母の命に従う形で、反機械化の運動を水面下で続けています。
メーテルを演じたのは声優・池田昌子
メーテル役を演じているのは声優の池田昌子です。小学生時代から子役として活動をしており、ドラマでメインキャストを演じるなど女優としても活躍しました。結婚後、顔出しする仕事を控え、声の演技に専念するように。 池田はオードリー・ヘプバーンの吹き替え声優として知られています。『ローマの休日』をはじめとした彼女の作品は、ほとんど池田が担当しているので、その声を聞いたことがある人も多いでしょう。また、池田は女優メリル・ストリープの吹き替え声優としても有名です。 池田は、声優という職業が確立する前から、声の仕事に対してプロ意識を持っていた役者のひとり。2009年には、第1回声優アワード功労賞も受賞しています。
メーテルの旅の最後には何が待っているのか
『銀河鉄道999』に登場するメーテルについて、彼女にまつわる謎とともに紹介してきました。原作・映画版・TV版それぞれで異なる背景を持っているメーテルですが、犠牲となった青少年たちの命を背負っていることにはどの作品でも違いありません。 そんな悲しい使命に身を捧げていながらも、強く美しく生きる彼女の姿は、これからも多くの読者に愛され続けるでしょう。