2019年11月10日更新

『血の轍』の魅力を全巻ネタバレ紹介!毒親が怖すぎて震える

血のを轍、ちのわだち、静一、静子、押見修造

押見修造の人気漫画『血の轍』。毒親を題材にしたサイコサスペンスで、2018年の「このマンガがすごい!」にもランクインした話題作です。今回はそんな『血の轍』について、1集から6集までをネタバレありで紹介します!

目次

『血の轍』の魅力を全巻ネタバレ紹介!押見修造が描く、新たな狂気

『惡の華』や『ぼくは麻理のなか』など多くの傑作を描いてきた漫画家・押見修造が、2017年から手掛けている作品が『血の轍』(ちのわだち)です。小学館のビッグコミックスペリオールに連載され、単行本は2019年11月現在の時点で6集まで刊行されています。 サイコサスペンスとして毒親という題材に迫る本作は、主人公に対する母親の歪んだ愛情と、ある夏の日の起きたゾッとする事件を中心に展開されていきます。2018年「このマンガがすごい!」のオトコ編9位にもランクインしており、注目度は上昇中です。 今回は、そんな『血の轍』について、1集から6集までをネタバレありで紹介していきます! ※この記事には2019年11月現在までの『血の轍』のネタバレ情報が含まれます。予めご理解の上、注意してお読みください。

主人公は気弱な中学生・静一

主人公・長部静一(おさべせいいち)は、中学2年生の男子です。 見た目は幼い印象で、身長が低めの痩せ型。性格は内向的ですが、想いを寄せる吹石由衣子に自分から声をかけたり、友達に冗談を言ったりするなど、社会性のある面も描かれています。 物語序盤では、過干渉な母親・静子に対して、照れたリアクションこそ見せても、とくに問題意識は感じていない様子でした。しかし、従兄弟のシゲルに「カホゴだいね」と指摘されて以来、反論しつつも徐々に母親の異様さを認識していきます。 静子がシゲルを崖から突き飛ばしてした事件以降は、精神的ストレスから吃音を発症。学校で他の生徒からいじられるようになります。 その後、吹石と付き合いはじめると吃音が治り、思春期の少年らしく精通を経験。静子に自己主張ができるようになるなど成長を見せましたが、それらは一時的な変化でした。 静子に洗脳されるように、「吹石を嫌いになる」と約束してしまうなど、母親との共依存関係を繰り返してしまうキャラクターです。

怖すぎる“毒親”、静子

長部静子は主人公の母親で、若々しく美しい容姿の主婦です。 一見すると穏やかで優しい女性ですが、静一に対して過保護な面を持っています。静一を「静ちゃん」と呼んで溺愛しており、抱きしめるのはもちろん、唇を重ね合うキスまでしています。 また、最愛の静一に対しての態度すら安定していません。精神的に不安定になると、首を締めたり、ヒステリックに怒鳴ったりと豹変しています。 こうした異常行動は、どこまでが演技で、どこまでが素なのかが曖昧です。シゲルを崖から突き落としたときも、穏やかな微笑を浮かべた直後に、まるで本心から驚いたように悲鳴をあげました。 性格が歪んだ背景には、静子の生い立ちが関係している模様です。まだ作中で明確な過去は描かれていませんが、静子は自分自身が「いらない子」で「愛してもらえなかった」と、度々呟いています。 夫や親戚とも表面的にしか付き合えず「ひとりぼっち」っだった……。そうした孤独感や閉塞感から、静一に執着していることが垣間見える、恐ろしくも魅惑的なキャラクターです。

『血の轍』1巻あらすじをネタバレ解説

主人公の静一は、ごく普通の中学2年生男子のつもりでした。内向的ですが学校には友達がおり、気になる女子の吹石由衣子とも、たまに会話する仲になっています。 あるとき静一は、従兄弟のシゲルに笑われてしまいます。シゲルが言うには、静一の母・静子が「過保護」だというのです。しかし静一は、静子のスキンシップや過干渉が、当前の親子関係だと思っていたため、真顔で否定したのでした。 シゲルを含む親戚たちと山登りに行った夏休みに、事件が起きます。シゲルが崖の近くでふざけたとき、静子は息子が落ちないように、静一を抱きしめました。するとシゲルはまた「過保護」と笑ったのです。 その後、別の崖でもシゲルはふざけます。静子は一度シゲルを抱きしめたのですが、一呼吸の後、何を思ったのかシゲルを崖から突き飛ばします。転落したシゲルと、呆然とする静一。 なぜか静子は微笑を浮かべるのですが、直後に悲鳴をあげて取り乱します。以降静子は、まるでシゲルが足を滑らせて崖から落下したかのように、親戚たちに嘘を話しはじめるのでした。

『血の轍』2巻あらすじをネタバレ解説

転落したシゲルは、意識不明であるものの生きていました。警察の事情聴取が行われますが、静子はシゲルがよろけたのだと堂々と嘘を話します。静一は迷いながらも「ママの言う通りです」と、静子を庇うのでした。 静一が事件のショックから1人の部屋で泣いていると、自宅に吹石由衣子が訪れます。しかし、会話を楽しめる心境ではなく、静一はどもりながらも「遊べない」と伝えるのでした。 去り際に吹石は手紙を渡してくれたのですが、その様子を静子が見ていました。吹石が帰った後で、静子は静一に手紙を見せるようにと強要します。ハートのシールで封をされていた手紙は、吹石からのラブレターでした。 静子は「むり」「受け入れられない」と、静一と吹石の関係を全否定。静一は赤子のように泣いてしまうのですが、静子は笑顔で息子と共にベッドに横になり、手紙を捨てるように提案。静一は、好きな子の手紙を、母親と一緒に破るという異様な行為を承諾してしまいます。 手紙をビリビリに引き裂いた後で、静一と静子は、唇同士を熱く重ねて親子のキスをするのでした。

『血の轍』3巻あらすじをネタバレ解説

静一はストレスから吃音を発症。まともに会話ができなくり、同級性に笑われます。唯一笑わなかったのは吹石で、放課後に告白の返事を求めてきました。しかし、静一は「ママがいるから」という理由で交際を拒否。逃げるように家に走ります。 自宅に着くと、両親の口論が外まで漏れ聞こてきました。喧嘩の発端はシゲルの見舞いに行くかどうがだったようですが、静子は破滅的なことを叫び出し、見えない赤子をあやす素振りをします。母の奇行に、静一は唖然とするだけでした。 静子を置いて、シゲルの見舞いに行く静一と父親。シゲルは脳障害で意思疎通すらできずに、だらりとベッドに寝ていました。 シゲルを見て思うところがあった静一は、帰宅後に吐き気に襲われながら、胸中の疑念を静子にぶちまけます。なぜシゲルを落としたのか?なぜ嘘を吐いたのか? 静子の返答は「ママ死んでいい?」という意味不明なものでした。静一が戸惑うと、静子は「じゃあママがやる?」と呟き、静一の首を締めます。静一が窒息しかけたところで、静子は手を離し「なまいき言わないで。いっちょまえに」と、いつになく冷徹に言い放ったのでした。

『血の轍』4巻あらすじをネタバレ解説

静子に恐怖を覚えた静一は、放課後に家に帰りたくないと感じるようになり、時間つぶしのためにベンチに腰掛けていました。すると、隣に座ってきたのは吹石でした。吹石は、自分も親子関係が悪いと話し「いっしょだいね」と、静一に寄り添おうとしてくれます。 嬉しく感じた静一は、「つきあっ……て」と、どもりながらも自分から告白。オーケーされ、あらためて吹石との交際がはじまります。吹石のおかげメンタルが安定した静一は、吃音が改善。同級生にもバカにされなくなっていきます。 ベンチでの会話が日課になり、「ずっとここにいたい」と2人は語り合います。しかし、安心できる時間は長く続きませんでした。静子が静一と吹石を発見し、追いかけてきたのです。 草むらで追い詰められかけた静一でしたが、初めて母親に敵意を見せます。「あっちいけ」「おまえなんかいらない」とハッキリ静子を拒絶。 罵声を浴びた静子は、トラウマを刺激されたのか「いらない子」と呟き、自身の爪を噛んで指を血だらけにします。静一と吹石は、その隙に走って逃げ出したのでした。

『血の轍』5巻あらすじをネタバレ解説

静子から逃げた吹石と静一。吹石は、家族には無断で静一を自宅に招き入れ、おにぎりを振る舞って部屋に泊めます。一緒にベッドに入ってキスをした静一は、興奮と共に精通を経験するのでした。 しかし翌日、吹石宅に静子が現れます。静一は身を隠し、吹石は玄関へ移動。吹石は静子に対して、静一の居場所を知らないとシラを切りつつ、「おばさんのせいじゃないんですか?」と逆に詰問しました。 すると静子は「私のせいね」と呟き、唐突に独白をはじめます。家族から愛してもらえなかった子供時代や、周囲の軋轢、愛する静一への想い……。出迎えた吹石の父親を困惑させるほど独り語りをした後、静子は帰っていくのでした。 その後、静一は吹石の父に見つかり、吹石の家に泊まっていられなくなります。2人で逃げ出し、冷え込んだ立体交差点の下で身を寄せ合いますが、先ほどの母親の言葉で心境が変化した静一は、吹石に「もう……帰る」と告げます。吹石は「私のせい?」と涙を流しますが、静一は答えません。 吃音がまた発症してしまった静一は、唇を震わせながら一心不乱に帰路を走ります。

『血の轍』6巻あらすじをネタバレ解説

再会した静一と静子は、涙ながらに謝罪し合い、2人で家に帰って“お話し”をすることにします。 静子は、シゲルが落ちたときの話をはじめ、「静ちゃんもママも悪くない。しげちゃんは自分で落ちたの」と言い切ります。犯行をとぼける母にあらためて驚愕する静一でしたが、繰り返し説明されるうちに洗脳状態に陥ります。シゲルが1人で転落したのが真実だったと“思い出した”ように錯覚するのです。 また静子は、静一が吹石と一緒にいたことを責め、射精したことを「きったない」と否定。「いなくなって」と家から追い出されそうとします。静一は「(僕は)吹石も嫌いになるから」と許しを請います。 対する静子が口にしたのは、「さいしょっから嫌いだったんだいね?」という誘導の言葉でした。静一はマインドコントロールされるように、“最初から吹石が嫌いだったと思い出して”、指切りをします。 父親の一郎が帰ってきて、シゲルの意識が戻ったという衝撃の事実を伝えますが、自分たちで記憶を改ざんした静一と静子は、もはや危機感すら覚えなくなって微笑むのでした。

これからの展開がますます気になる!静子との関係や、吹石との恋愛は

一時的に成長したように見えつつも、結局共依存関係になってしまう静一と静子。6集以降の連載では、シゲルが静子が突き落としたという意思表示をはじめたり、静一が吹石をフッてしまったりもしています。もどかしくも目が離せない展開ですね。 『血の轍』の題材となっている「毒親」は、現代において普遍的なモチーフになります。静子ほどではないにしても「自分の親も過干渉気味だった」という人が、深く共感してハマっているようです。また、「自分に子供ができたら毒親にりそうだ」と、静子の方に感情移入している読者の声もネットでは書き込まれています。 心情描写が丁寧なため、読み返すことで過去のエピソードの微細なセリフの意味が再解釈できる作品です。今後も連載と単行本を追いかけていきましょう!