2019年12月3日更新

『少女終末旅行』全6巻のあらすじをネタバレありで紹介!少女たちがディストピアで繰り広げる“ほのぼの日常系”

『少女終末旅行』

2019年第50回星雲賞にて、コミック部門を受賞した『少女終末旅行』。人類滅亡・文明崩壊した世界で、2人の少女が旅する日常を描きます。本記事では『少女終末旅行』全6巻のあらすじを紹介すると共にその魅力についてを掘り下げていきます。

目次

『少女終末旅行』の魅力を全巻ネタバレありで解説!ディストピア×ほのぼの日常という異色の作品

『少女終末旅行』は漫画家のつくみずによりwebサイト『くらげパンチ』(新潮社)にて、2014年2月21日から2018年1月12日まで連載された漫画作品です。 アニメ化もしており、2017年10月から12月までAT-X、TOKYO MXほかにて放送されていました。 人類が滅亡し、文明が崩壊した後の終末世界をチトとユーリという2人の少女が旅をする物語です。人類滅亡、文明崩壊という重い背景を設定しながらも、そこを旅する少女2人のほのぼのとした日常を描く少し異色な雰囲気が見るものを惹きつけます。 物語の途中で数人ほど終末世界の生存者が登場しますが、メインキャラクターはチトとユーリの2人だけであり、余計なキャラクターが入ってこないシンプルで綺麗なストーリーも魅力です。

『少女終末旅行』に登場するメインキャラを紹介

チト

チト(画像右)は、冷静沈着な性格で、終末世界を旅する上でのブレイン的な役割を担っているキャラクターです。手先が器用で機械にも強いので、彼女たちの移動手段である半装軌車のケッテンクラートを整備も担当するなど、ほとんどの仕事をこなしています。 共に旅をするユーリの自由奔放な行動に振り回され、度々頭を悩ませていますが、自分にはないユーリの怖いものなしな性格に助けられる場面も多くあり、ユーリのことを友人として大切に思っています。

ユーリ

ユーリ(画像左)は、チトとは真逆な性格で、自由奔放でのんびり屋、考えることはあまり得意ではありません。しかしユーリよりも身体が大きく、運動も得意なので重い荷物の運搬などを担当しています。 幼い頃から共にいるチトのことを信頼しており、チトの言う事に基本的には従いますが、時には臆病なチトの前に立ち率先して引っ張っていく場面もあります。

『少女終末旅行』1巻あらすじネタバレ

崩壊してしまった世界でふたりぼっちになったチトとユーリの2人が、愛車のケッテンクラートに乗って旅をしている場面から物語は始まります。 燃料を探したり、食料を発見したり、時には銃で遊んだり、お湯を見つけてお風呂に入ったりと、生きるために頑張りながらも2人で楽しいことを見つけながらあてのない旅を続けていました。 そんな旅の途中、2人は「カナザワ」という成年に出会います。彼はこの崩壊した世界の地図を作るために1人で旅をしているそう。互いに久々に遭遇した“人間”です。 チトとユーリは彼と協力しながら上の階層を目指すことになるのですが、上の階層に昇るための昇降機で事故がおこります。上昇中の昇降機のワイヤーが絡まり大きく揺れ、その衝撃でカナザワがこれまで書き続けてきた地図が落ちていってしまうのです。 カナザワはこの世界を旅する目的であり生き甲斐であった地図を無くしたことにより、失意の底へと落ちてしまいますが、終末世界でも楽しく懸命に生きるチトとユーリの2人を見て気力を取り戻します。 最後にカナザワは「また地図を作るよ」と言い、2人のもとを去っていくのでした。

『少女終末旅行』2巻あらすじネタバレ

上層階にたどり着いたチトとユーリは、街のいたるとことに謎の像が立てられているのを目にします。さらに夜になると明るく発光する巨大な建物を見つけ、そこを目指しケッテンクラートを走らせました。 この建物は寺院と呼ばれる施設であり、中には街のいたるところで見かけた謎の像がたくさん設置されています。ここで2人は宗教や死後の世界に触れます。 しかし今を懸命に生きるチトとユーリにとっては、遠い死後の世界よりも近くで共に生きる友人の方が大切なのだと再確認するのでした。 その後旅を進める彼女達は、この終末世界の数少ない生き残りの1人「イシイ」という女性に出会います。彼女は1人で試行錯誤をしながら飛行機を作っており、海の向こうの大陸へ行くという夢がありました。 丁度イシイと出会う直前にケッテンクラートの調子が悪くなっており、その修理を手伝うかわりに飛行機の制作を手伝うことになります。 そして飛行機も完成し、イシイは海の向こうの大陸に向けて出発するのですが、飛び立って暫くすると飛行機の翼が折れて墜落してしまいます。イシイはパラシュートで脱出しましたが、そのまま下層までゆっくりと降りていくことになってしまうのでした。

『少女終末旅行』3巻あらすじネタバレ

下層に降りていくイシイを見送ったチトとユーリは、イシイから聞いた食料生産施設を訪れます。ここでは食料は見つかりませんが、イモや砂糖、塩を見つけレーション(固形食料)を作ろうと挑戦します。 イモを粉末にしたものに砂糖と塩、そして水を入れて混ぜ合わせ、ひと口大にカットして焼くと、いつも口にしていたレーションが出来上がるのです。 2人で試行錯誤しながら協力して作ったレーションは、いつもただお腹を満たすために食べていたレーションとは全く違ったようで、チトとユーリが美味しそうにレーションを食べる場面が印象的です。 終わってしまった世界の中でも、何かを作り小さな幸せを育み笑い合う2人を見ると、不思議と暖かい気持ちになります。

『少女終末旅行』4巻あらすじネタバレ

旅を続ける2人はここで不思議な生き物に出会います。それは以前に寺院で見かけた銅像によく似た、細長いヌコという生き物でした。 それからはヌコを連れ歩くようになるのですが、この巻の最後で2人はヌコの仲間に出会います。とても大きなきのこのような形をしたその生き物はヌコが大きくなった姿のようです。 この生き物は古代の機械を飲み込み体内で分解処理をしているようで、全ての処理が終わった時に地球や都市が終わることを2人に告げます。 「ねぇちーちゃん地球終わるんだって」というユーリの問いかけに、チトが「まぁ……、どうでもいいことだろう」と答えていたのが印象的でした。 またこの生き物は「この都市にもう人はいないの?」というユーリの問いかけに対し「観測していない最上層以外、現在生きている人間は君たち2人しか知らない」と答えています。 つまりかつて出会ったカナザワやイシイも、もうこの都市にはおらず本当にチトとユーリが2人ぼっちになってしまったわけで、なんだか怖いような悲しいような雰囲気の巻でした。

『少女終末旅行』5巻あらすじネタバレ

いよいよ物語も核心に迫る内容になり、ヌコの仲間の話を頼りにチトとユーリは最上層を目指し西へと進んでいきます。ここでは2人が故郷について思いを馳せる場面があり、彼女らの旅の目的がここで明らかになりました。 2人が旅を始めることになった原因は戦争のようなものから逃げるためで、そこで祖父からケッテンクラートなどを譲り受け、塔の最上層へ向かうように言い残されていたのです。つまりはじめからチトとユーリの最終目的地は最上層だったのでした。 そしてついに最上層へと向かう昇降機にたどり着いた2人は。そこで人工知能と出会います、人工知能は昇降機を起動する代わりに自身を消すプログラムを実行して欲しいとお願いし、ユーリがその操作をしました。 人工知能ですら生きることに疲れ自身を消し去りたいと願う――。チトとユーリの姿を見ていると忘れがちですが、厳しい終わりの世界の現実が垣間見える瞬間でした。

『少女終末旅行』6巻あらすじネタバレ

物語もついに終わりを迎えます。最上層にたどり着き、その一番上まであと少しのところに迫ったチトとユーリでしたが、ここでケッテンクラートが壊れてしまいます。 どうしても直らず、ケッテンクラートをここまで大切にしてきたチトは大泣きをしてしまいますが、それでも上へ向かうために彼女らは最低限の荷物をまとめ徒歩で上を目指すのでした。 食料も底を尽き、燃料もあと僅かの状態で歩き続けた2人は遂に最上層の一番上にたどり着くのです。しかしそこはただただ広がる雪原に、雪をかぶった大きな黒い石があるだけの場所でした。 期待とは裏腹に何もない場所にたどり着いてしまい、しかも食料や燃料はありません。もし途中で引き返していれば食料や燃料がある場所に行けたのではと思ったチトは「私たちはこれで正しかったのかな」と後悔を口にします。 そんなチトをユーリは慰め、最後には2人で寄り添って毛布にくるまり満点の星空を見ながらユーリの「生きるのは楽しかったよね」という言葉に「うん」とユーリが答えるシーンで終わりを迎えました。

『少女終末旅行』は物語の背景と少女たちの日常とのギャップが魅力の良作!

今回紹介した『少女終末旅行』は、基本的にはほのぼのとした日常系の物語です。しかしその背景には戦争により滅亡してしまった人類や文明、宗教と死生観などかなり深いテーマが潜んでいます。 そんな深いテーマに、チトとユーリという先入観が全くない少女達が自分なりの答えを模索しながら触れていく姿を上手く描いているところがこの作品の魅力のひとつです。 また冷静沈着だけど臆病で慎重過ぎるところがあるチトと、考えなしだけど怖い物知らずで行動力のあるユーリという、でこぼこだけどお互いの短所を補えるコンビも見どころ。 彼女達の温かな友情を、全くしつこくない感じで描けているのは素晴らしいです。皆さんもこの機会に是非読んでみてください。