2020年1月24日更新

「デビルマン」シリーズの代表作を徹底比較!人間性をダークに描いた各作品の魅力とは?

このページにはプロモーションが含まれています
デビルマン

AD

『デビルマン』は根強い人気を誇る不朽の名作!魅力や代表作を一挙紹介【ネタバレ注意】

漫画家・永井豪が1972年に発表した『デビルマン』。主人公・不動明(ふどうあきら)が、デーモン(悪魔)の力を宿して戦う物語で、グロテスクな描写や絶望感のある展開が特徴です。週刊少年マガジンでの連載期間は約1年間でしたが、現在まで根強い人気が続き、不朽の名作とと呼ばれています。 また、漫画連載と同時期にテレビアニメも放映。アニメ版は漫画版とはまた異なるストーリーで、ヒーローモノ路線として制作され、子供を中心に大ヒットしました。 さらに、その後もスピンオフ漫画や小説版、実写版、OVA、ネット配信アニメなどの数々が登場。いわゆるパラレルワールドと呼ばれるような、世界観の異なる作品もあれば、正当な続編もあります。 この記事では、そんな幅広く奥深い「デビルマン」シリーズの代表的な作品を、ネタバレありで徹底解説していきます! ※本記事は、「デビルマン」シリーズ各作品のネタバレ情報を扱っています。読み進める際はご注意下さい。

『デビルマン』がトラウマシーン多数!ラストはあまりにも有名

『デビルマン』は、俗に言う「トラウマシーン」が多いことでも有名です。主人公の基本的な戦い方からして、敵の内蔵を引っ張り出したり、四肢を切断したりと、グロテスクなスタイルです。 また、単なるゴア描写だけではありません。亀の姿のデーモンが、意識のある人間を頭部のみにして、亀の甲羅に貼り付けるといったように、精神的にもキツいシーンが多数あるのです。 さらに特筆すべきは終盤でしょう。「デーモンの正体は現代に不満を持つ人間」という誤報により、人類は疑心暗鬼になって世界規模の騒乱に。明の幼馴染・牧村美樹が暴徒に惨殺され、串刺しになった生首がさらされる場面は有名です。 物語のラストでは、人類が滅亡。明はデビルマン軍を率いて、デーモン軍と死闘を繰り広げますが、半身を喪失して死亡します。サタンが明に謝罪の言葉をかける中、天使の軍団が襲来し、また次なる戦いがはじまろうとする場面で、物語は終わりるのでした。 少年漫画らしくない絶望感の漂う展開は、漫画史に残る結末となっています。

AD

『デビルマン』の魅力は、徹底的に描かれる“人間の業”

発表から40年以上にわたって人気が継続している『デビルマン』。大きな魅力は、“人間の業”が描かれている側面でしょう。 明は物語の序盤で、“悪魔の身体”と“人間の心”を併せ持つデビルマンになります。言わば、人間ではない生命体の視点に立ち、逆説的に人間性というテーマに迫る作品なのです。 物語の終盤では、デーモン化しても“人間の心”を失わなかったデビルマンが多数登場します。その一方で、人間たちは、疑心暗鬼から差別をはじめ、戦争が勃発。暴力を振るう人間の姿はまるで“悪魔”です。 虐殺を繰り返す人間たちに、明が「きさまらこそ悪魔だ!」「これが!おれが身を捨てて守ろうとした人間の正体か!」と叫ぶ場面は、胸に突き刺さるものがあるでしょう。 「デビルマン」シリーズには多くのスピンオフもありますが、こうした“人間の業”や“人間性”を描く面は、全体に共通しています。

漫画『デビルマン』

悪魔の身体を持った人間の心、その対比によって人の業が描かれる

永井豪の漫画版『デビルマン』は、1972年に刊行されました。 ある日、主人公・不動明は、親友の飛鳥了(あすかりょう)から、デーモンの情報を聞かされます。了いわく、太古の地球に存在したデーモンという生命体が復活し、人類を襲うというのです。人類滅亡を阻止するには、誰かがデーモンと合体し、戦闘力を手に入れるしかありません。 了に連れていかれたクラブで、明は強力なデーモン・アモンに憑依されますが、”人の心”を保ってデビルマンとなることに成功。その後、次々にデーモンを撃退していくのでした。 しかし物語の終盤で、了の正体は、デーモンが崇める魔神サタンだったことが明らかに……。サタンの扇動で人類は争いをはじめ、明の友人や幼馴染も死亡。以降の展開は前述の通りです。 そんな漫画版の特徴の1つは、明がアモンを乗っ取っていること。“悪魔の身体”になっても、“人間の心”を持っているという対比になっており、この設定がテレビアニメ版との大きな違いです。

AD

アニメ『デビルマン』

アモンが人間の見方として戦う、ヒーローアニメ風の作品

テレビアニメ版の『デビルマン』は、1972年7月から39話放送されました。 漫画版と同時期にアニメ制作がスタートしたため、漫画をアニメ化したわけではなく、独立した1つのオリジナルアニメ作品として誕生した経緯があります。 漫画版との大きな違いは、主人公が完全にアモンの精神であること。つまり、“悪魔の心”が“人間の身体”に入って戦うという設定で、漫画版とは正反対になっています。テレビアニメ版のアモンは、人類を守る正義の悪魔なのです。 基本プロットは、シンプルなヒーローモノ路線。1話完結スタイルで、魔王ゼノンが送り込むデーモンを、デビルマンが「デビルビーム」などの技を駆使して退治します。ただし、主人公が悪魔であるため、単なる勧善懲悪ではなく、ブラックユーモアも散りばめられた作風です。 デビルマンが、最終話までブレないヒーローとして描かれたこのテレビアニメ版も、やはり根強い人気があります。

アニメ「デビルマン 誕生編」/「デビルマン 妖鳥死麗濡編」

日本アニメ史上トップクラスの予算で映像化!シレーヌ戦は必見

1987年の『デビルマン 誕生編』と、1990年の 『デビルマン 妖鳥死麗濡編』は、それぞれ約1時間のOVAとして発表されました。 ストーリーは、ほぼ漫画版に忠実です。不動明がデビルマンになり、ジンメンやアグエル、ゲルマーと激闘。シレーヌ戦までが映像化されました。 バブルの時期に制作されたためか、日本アニメ史上でもトップクラスの莫大な予算で制作された、という逸話があります。実際、作画・演出は圧巻のクオリティです。キャストの熱演も相まって、「デビルマン映像化の最高傑作」と評するファンも少なくありません。 ただ、残念なのは、完結編となる『デビルマン アーマゲドン編』の制作が頓挫してしまったことです。1997年の永井豪のインタビューによると、未完に終わった理由は、予算の折り合いがつかなかったため。映像化されなかった部分は、後述するCD『デビルマン伝説』に、音響劇として収録されました。

AD

アニメ「AMON デビルマン黙示録」

“悪魔”としてのアモンと“人間”としての明の精神的な葛藤が見どころ

『AMON デビルマン黙示録』は、2000年に発売された46分のOVAです。「誕生編」「妖鳥死麗濡編」とはまた別のスタッフが制作したOVAで、グロテスクな場面も容赦なく映像化されました。 時系列や世界観は、漫画版での美樹が惨殺される場面以降がベースになっています。ただ、メインの内容はオリジナルエピソード。明の中でアモンの意識が覚醒し、セーロスらを撃退する展開になっていきます。また、“悪魔”であるアモンと、“人間”である明の精神的な葛藤も見どころです。 リリース当時は、多くの人が「妖鳥死麗濡編」の続編を望んでいたタイミングだったため、物足りなさを覚えたファンもいたようですが、十分にクオリティの高い映像作品だと言えるでしょう。

アニメ『DEVILMAN crybaby』

Netflixで本格映像化!圧倒的な演出が魅力

『DEVILMAN crybaby』は、2018年から動画視聴サイトNetflixで配信されているオリジナルアニメで、全10話が制作されました。 ストーリーのベースは漫画版です。デビルマン誕生から、ジンメンやシレーヌとの戦闘、そしてサタンの正体判明や社会崩壊、地球滅亡と最終決戦までもが、「デビルマン」シリーズの中ではじめて順序立てて映像化されました。 物語の骨格は原作通りであるものの、舞台は2010年代です。伴って、キャラクターの設定や、ラップを歌う演出、SNS上でデマが流れる展開など、現代風のアレンジが追加されています。 何より、数々の世界的な作品賞を受賞してきた鬼才・湯浅政明が監督のため、映像や音響の演出が圧倒的。映像作品としての完成度が高く、「デビルマン」シリーズの初心者にも、過去作を追ってきたファンにもおすすめしたいアニメです。

AD

漫画『デビルマンサーガ』

2025年が舞台のデビルマン最終章

『デビルマンサーガ』は、2014年12月からビッグコミックススペシャルで連載されている、永井豪の漫画です。キャッチコピーは、「『デビルマン』の最終章」。 物語の舞台は、『デビルマン』のパラレルワールドのような西暦2025年です。ロボット学者の不動勇希は、悪魔の壁画(デーモン・ウォール・ペインティング)と悪魔の鎧(デーモン・アーマー)の研究をきっかけに、デーモンを巡る事件に巻き込まれていきます。 美紀、シレーヌ、アモンといった面々が、『デビルマン』とはまた異なった世界に再登場。ファンサービスでもありますが、1つの漫画として十分楽しめる作品です。

漫画&OVA『バイオレンスジャック』

永井豪作品のキャラクターが多数登場!?

『バイオレンスジャック』は、1973年7月から約18年間にわたって刊行された永井豪の長編漫画です。 舞台は、関東地獄地震という巨大災害によって、文明が崩壊した関東です。暴力が渦巻く無法地帯の中で、大男・バイオレンスジャックをはじめとする人々が、必死に生き抜く姿が描かれます。 物語が進むごとに、マジンガーZやキューティーハニーなど、永井豪のキャラクターが多数登場。終盤では実は『デビルマン』の続編とも呼べる設定であった、という衝撃の設定が明らかに……。 『デビルマン』との繋がりに関しては賛否がありますが、OVAも4作品制作されており、ファンの多い作品です。

AD

漫画&アニメ『デビルマンレディー』

女性版デビルマンが主役の、パラレルワールドを描いた作品

『デビルマンレディー』は、1997年からモーニングで連載された永井豪の漫画で、言わば「女性版デビルマン」とも呼べる作品です。1998年にアニメ版も制作されましたが、漫画とアニメでは内容が大きく異なります。 漫画版は、元オリンピック選手で高校教師の不動ジュンが、デビルマンレディーとして覚醒。怪物・ビーストと戦っていきます。『デビルマン』のパラレルワールドになっており、不動明も登場しました。 一方アニメ版は、漫画版『デビルマン』の再解釈版のような作風です。不動明は登場せず、ストーリーも終始シリアス。人気ファッションモデルの不動ジュンが、アスカと出会いデビルマンになる物語です。 『デビルマン』の対になるような設定が多く、不動明と不動ジョン、飛鳥了とアスカ蘭、ビーストと悪魔の対比など、漫画版をリスペクトしつつもオリジナリティのある世界観となっています。

漫画『新デビルマン』

漫画版『デビルマン』の正当な外伝

『新デビルマン』は、1979年から増刊少年マガジン掲載された、『デビルマン』のサイドストーリー漫画です。 本編とは別の時空間に跳躍した不動明が、歴史を改変しようとするデーモンと戦います。アドルフ・ヒトラーやジャンヌ・ダルクといった、歴史上の偉人が登場するのが特徴です。 パラレルワールドではなく、漫画版『デビルマン』の正当な外伝として永井豪が描いています。豪華愛蔵版の『デビルマン』では、本編中のエピソードとして収録されていました。

AD

映画『DEVILMAN』(実写版)

独自の手法で描かれたアクションシーンが見どころ

実写版『デビルマン』は、2004年に那須博之監督作品として公開されました。 本作に限らず、漫画の実写版は批判されるケースが多いものです。この実写版『デビルマン』も、例によって公開直後から酷評の嵐となりました。主な理由は、メインキャストに演技経験が乏しく、原作のハードな世界観を再現できなかった点だと言われています。 とはいえ、アクションシーンには独特の魅力があります。オリジナルアニメーションを作画してから、実写CGに置き換えるという独自の手法が取られており、見どころがないわけではありません。 また、映画好き同士で実写化の賛否について話すときにも、話題になりやすい1作です。チェックしておくのも良いでしょう。

CD『デビルマン伝説』

声優の白熱した演技と圧倒的な音響が魅力

『デビルマン伝説』は、1998年に発売されたCDです。 関連楽曲も収録されているのですが、メインは約25分の『デビルマン アーマゲドン編』の音響劇。OVA『デビルマン 妖鳥死麗濡編』の続編にあたるエピソードを、ほぼ同じ主演キャストで制作した音声作品になっています。 声優の演技はもちろん、音響も大迫力。デーモン軍とデビルマン軍の混沌とした決戦を、効果音で見事に演出しているのです。ただ、ファンであれば、聞けば聞くほど「映像化して欲しかった」という想いが募るCDでもあります。

AD

漫画『デビルマンG』

少年漫画のような作風で現代版リメイク

『デビルマンG』は、2012年5月からチャンピオンREDで連載された漫画です。 原作は永井豪ですが、作画は高遠るい。多くの「デビルマン」シリーズを踏まえた上での、現代版リメイク作になっています。大筋のストーリー展開は漫画版『デビルマン』に近いのですが、飛鳥了は登場しません。 替わりにアニメ版や小説版、実写版などのオマージュを盛り込んでおり、熱い少年漫画のような作風に仕上がっています。過去作のセリフを、別のシチュエーションで言う場面が多く、違いに気付くファンはニヤニヤしながら読める漫画です。

漫画『闘神デビルマン』

「デビルマン」には珍しい青少年向けヒーロー漫画

『闘神デビルマン』は、1999年5月号からコミックボンボンで連載された漫画で、作画担当は岩本佳浩でした。テレビアニメ版をベースにしつつ、漫画版の設定を追加した内容になっています。 主人公は明ではなく、神代慶(かみしろけい)という中学生です。慶は、アモンと融合しつつも自我を保ち、デビルマンとして奮闘します。「デビルマン」シリーズには珍しい、青少年向けヒーロー漫画です。 連載終了後から約18年の間、単行本化されていない「幻の作品」と言われていましたが、2017年にようやく書籍化。入手しやすくなりました。

小説版「デビルマン」シリーズ

オリジナルエピソードや設定の補足など、原作ファンは抑えたい作品

「デビルマン」シリーズの小説版として、次の作品が存在します。 1981年から刊行の『真・デビルマン』(全4巻)、1987年から刊行の『新ビデオ小説 デビルマン 誕生編』(全1巻)、1999年から刊行の『デビルマン THE NOVEL』(全4巻)です。『デビルマン THE NOVEL』は、『真・デビルマン』を加筆修正した作品ですので、実質2シリーズだと言えます。 小説版の著者は、永井豪の拾の兄である、永井泰宇。実は永井泰宇はテレビアニメ版『デビルマン』の時点から、企画・制作を手伝っており、デーモンの設定なども多く考案してきました。 小説版は、オリジナルエピソードが追加しつつも、漫画版では説明されていなかった設定の補足なども書かれています。OVA版に輸入された設定もあり、シリーズのファンなら読み込んでおきたい作品です。

AD

「デビルマン」シリーズに登場する主要キャラクターを紹介!

不動明(ふどうあきら)

不動明(画像中央左)は、『デビルマン』の主人公である男子高校生です。両親が海外勤務中のため、幼馴染の牧村美樹の一家と、家族同然の付き合いをする生活をしています。 善良で純真な心を持つがゆえに、アモンと融合しても“人間の心”を保つことができました。ただし、デビルマンになってからは、元々気弱だった性格が、交戦的に変わっています。アモン憑依の影響は受けている様子。 戦闘能力は高く、この強さは明に取り付いたアモンが、デーモンの中でも上位の強力なデーモンだったためのようです。飛鳥了が親友でしたが、彼の正体がサタンだと判明してからは、命がけで戦う宿敵となりました。 前述の通り、不動明は多くの「デビルマン」シリーズ作品に登場するキャラクターです。各作品ごとに扱いや設定が異なりますが、正義を体現する存在であることは概ね共通しています。

アモン

アモンは、明と合体することになったデーモンです。デーモンの中でも屈指の強さを誇り、「勇者」や「地獄の野獣」などの異名で恐れられていたと言われています。 漫画版の段階では、最後まで明の中に抑え込まれていたため、詳細な性格や元々の姿は未登場でした。サタンとの戦いで明が死んだ時点で、アモンも一緒に絶命しているため、深く描写されないまま物語が完結しています。 後の作品や「豪華愛蔵版」での加筆によると、容姿は明が変身したデビルマンとほぼ同じだったようです。『AMON デビルマン黙示録』の漫画やOVAでは主人公になっており、仲間でも殺す残忍な性格のデーモンとして描写されています。

AD

飛鳥了(あすかりょう)

飛鳥了(画像中央左)は、不動明の親友として登場したキャラクターです。髪は金髪で、目は青色。白人の母と日本人の父の間に生まれたハーフだと話していました。性格は冷静沈着でありつつ、時々エキセントリックです。 考古学者の父親の研究をきっかけに、デーモンという存在を認識。戦う力を得るため、半ば強引に明をクラブに連れ込み、デビルマン化させました。戦闘に巻き込まれて度々重症を負うものの、なぜか命を取り留め、テレパシー能力にも目覚めます。 了は都合の良いことが続く自身の境遇に、不可解さを覚えていましたが、サイコジェニーに会って失っていた記憶が復活。真相を思い出します。 了の正体は、大魔神サタン。人類抹殺計画を完璧にするため、自身の記憶を部下に書き換えさせた堕天使なのでした。本当の飛鳥了という少年は、すでに交通事故で死亡していたのです。 淡々と計画を遂行する了ですが、唯一の計算違いとして、明に恋愛感情を抱いてしまいます。

牧村美樹(まきむらみき)

牧村美樹(画像左)は、ショートカットで黒髪姿の、明の幼馴染です。小学生の弟・健作がおり、両親含めて家族仲は良好。性格は活発であり、男子相手であっても、怯まずに喧嘩をふっかけています。 物語冒頭の美樹は、気弱な明に頼りなさを感じている様子でした。だからこそ、明がアモンと融合して好戦的になると、尊敬する素振りを見せはじめます。 終盤、明がデビルマンだという事実を知っても、美樹は差別せずに彼を受け入れます。しかし、デビルマンと親密な仲であることが裏目に出て、近隣の住民から魔女だと排斥される事態に。家族共々惨殺されてしまうのでした。

AD

ゼノン

ゼノン(画像上)は、デーモンを統率する存在です。大きな角と4つの顔が特徴で、テレパシー能力を持っています。 漫画版ではさほど出番がありません。登場シーンは「悪魔王ゼノン」と名乗り、人類に宣戦布告をした程度でした。悪魔王と言えども、堕天使よりは地位が低いらしく、サタンに対して敬語で話しかけています。 一方、サタンが登場しないテレビアニメ版では、「魔王ゼノン」という肩書のラスボスキャラになっています。とはいえ、毎回デビルマンに刺客を送り込むポジションのため、戦闘シーンはなし。最終回まで実力は未知数でした。 漫画の『AMON デビルマン黙示録』では亜空間に敵を追放する能力を使っており、強大な力を持っていることは間違いないようです。

シレーヌ

シレーヌは、デビルマンを狙った刺客の1体です。頭に巨大な羽根を生やし、手足には鳥類のようなカギ爪があります。 部下を囮のように使い、隙きを突いて明を捕獲。空中戦ではデビルマンと互いの四肢を引きちぎり合い、過激な死闘を繰り広げました。 その後、デーモン・カイムが自身を犠牲にしてまでシレーヌと合体。驚異的な戦闘力を見せましたが、デビルマンにトドメを刺す前にシレーヌは息絶えます。死後硬直したシレーヌの死体は、勝利を確信した勇ましい笑顔でした。敵ながら明は胸中で「美しい……」と呟きます。 この死に様が印象的だったためか、ファンの間で人気のキャラクターとなっており、スピンオフ作品にも多数登場しています。ただ、漫画版での登場シーン自体は多くありません。 ちなみに、「豪華愛蔵版」では、シレーヌがアモンに憧れを抱いていた描写が加筆されました。アモンを乗っ取った人間・明との因縁が、より強調されています。

大魔神サタン

大魔神サタンは、12枚の翼の生えた堕天使です。物語の終盤まで飛鳥了と名乗っていた人物の正体であり、元々は神の使者でした。両性生物で、明に愛情を抱いています。 太古の時代、神がデーモンを滅ぼそうとすることに、サタンは反発。天使でありながらデーモンを守るために神と戦争し、勝利した過去がサタンにはあります。しかし、皮肉にも本編では人類を滅ぼす立場になり、かつて自分が敵対した神と似た行為をしてしまいます。 その自己矛盾に気づいたのは、全面戦争が終わった後。愛する明すら殺してしまったサタンは、謝罪し懺悔の涙を流しますが、もう答える者は誰もいないのでした。

考えさせられる大人気シリーズ「デビルマン」 ダークな作風が魅力的

40年以上にわたって、関連作品が制作され続けている「デビルマン」シリーズ。“人間の業”や“悪魔と人間”といった題材は、年月が経っても風化しない普遍的なテーマです。今後も様々な名作が生み出されていくことでしょう。 今回は、『デビルマン』の魅力を紹介しつつ、代表的な作品やキャラクターを振り返っていきました。もしあなたが見たことがない作品があったのであれば、ぜひチェックしてみてください。 永井豪のデビルマン最終章と言われる『デビルマンサーガ』は、現在も連載中です。広がり続ける「デビルマン」シリーズからは目が離せません。