2020年4月11日更新

桜・お花見シーンが印象的な映画14選 家でもお花見気分を味わいたいあなたへ

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家でもお花見気分!桜・お花見シーンが印象的な映画を紹介

広瀬すず『ちはやふる 結び』(プレス)
(C)2018映画「ちはやふる」製作委員会  (C)末次由紀/講談社

春になるとお花見に出かけたり、桜が一瞬で散る様を儚いものの例えとして人生に重ねたりと、日本人と深く結びついてきた花の一つ「桜」。 古くから邦画でもモチーフにされており、数多くの作品に登場しました。出会いと別れの季節、春の象徴的な存在として愛され続ける、欠かせない存在と言えますよね。一方で、桜は大好きだけれど様々な理由でお花見に行けず、歯がゆく思っている人もいるかもしれません。 この記事では、そんな桜の美しさが詰まった映画をピックアップしました。記事後半では、お花見のシーン自体が印象的な作品も紹介するので、家でもお花見気分を味わってください。

『海街diary』(2015年)

桜並木のトンネルを自転車で駆け抜ける青春の一コマ!

いまや世界中で注目を集める是枝裕和監督が、吉田秋生の同名漫画を綾瀬はるかや長澤まさみ、夏帆、広瀬すずらの共演で実写映画化した『海街diary』。 10年以上前に家を出た父親の葬儀の日に、腹違いの妹を迎えることになった香田家の3姉妹。4姉妹となった彼女たちは、鎌倉での穏やかな日々を通し、本当の家族になっていくのです。本作は様々な名所が登場しますが、桜並木のトンネル(ロケ地は静岡県)は見逃せません! 亡き父を想い、ふさぎ込む四女・すずを同級生の男子が連れ出し、満開の桜の中を自転車で駆け抜けるシーンはまさに青春の一コマです。すずの髪に降り落ちる花びら、桜を見上げる表情などどれをとっても完璧で、未来へ進む若者の輝きを眩しく感じるでしょう。

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『HANA-BI』(1998年)

全てを失った刑事は満開の桜を見上げ何を思ったのか……

『HANA-BI』は主演の北野武が自ら監督、脚本、編集などを務めた人間ドラマ。岸本加世子、大杉漣らが共演し、第54回ヴェネツィア国際映画祭にて金獅子賞を獲得しました。 本作の主人公で刑事の西は、不治の病で余命少ない妻を支えていました。ある日、自分の代わりに張り込んでいた同僚・堀部が犯人に撃たれ、下半身不随に……。ついには部下が犠牲になり、追い詰められた西が愛する妻との逃亡を敢行する、孤独な生き様を描きます。 本作は台詞が少ない一方で、フィルムが独特の青味がかった色彩「北野ブルー」で覆われており、映像で訴えかけてくるのが特徴。堀部が満開の桜を見上げる姿は、車椅子生活になり、妻子も去っていた彼が何を想っていたのか、様々なことを考えさせられるシーンでした。

『秒速5センチメートル』(2007年)

“桜の花びらが舞い落ちる速度”は秒速5センチメートル!

アニメ映画『秒速5センチメートル』は、『君の名は。』『天気の子』などで知られる新海誠監督の初期作品にして、代表作の一つです。 小田急線沿線を舞台に、お互いに淡い想いを抱きながらすれ違い続けた男女の時間と、近づき離れる距離を短編3話の連作構成で描きました。新海監督らしい、ゆるやかに胸を締め付けるストーリーと、世界から称賛される映像美の魅力が溢れる、青春ラブストーリーです。 タイトルの由来は、“桜の花びらが舞い落ちる速度”のことで、桜と恋模様を重ねた演出は本物の桜を超える美しさだと話題になりました。初恋の甘酸っぱさや学生時代の輝きが詰まっており、どこか切ない春と青春の空気感を思い出す作品として、愛され続けています。

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『花とアリス』(2004年)

新学期にはしゃぐ女子高生たちを桜の木が見守る

岩井俊二監督の初期の傑作であり、蒼井優と鈴木杏がW主演を務めた『花とアリス』。2003年に配信された短編を、岩井監督自ら長編映画化して公開されました。 幼なじみの花とアリス、高校に進学した2人の少女の友情や恋といった日常を描きつつ、女の子特有の距離感や思春期ならではの苦悩を綴った、ガールズムービー。岩井監督のファンタジックな世界観は春の風景と相性が良く、本作も新しい制服に身を包んだ2人がはしゃぎながら、桜の淡いピンクに彩られた通学を歩くシーンが印象的です。 一人の先輩をめぐって三角関係になっていく様を、桜並木などの風景、アリスのバレエシーンなどと共に映し出し、青春模様を瑞々しく描きました。

『雷桜』(2010年)

数奇な運命を辿った遊女と雷に打たれ生まれた奇妙な「雷桜」

「日本版・『ロミオとジュリエット』」とも称される、宇江佐真理による時代ロマン小説を、蒼井優と岡田将生の主演で映画化した『雷桜』。 将軍家に生まれ、心に病を抱えた男・斉道と、幼い頃にかどわかしに遭い、瀬田山の山奥で育った女・遊との身分違いの恋を描くラブストーリーです。タイトルの「雷桜」は、遊が誘拐された日に雷に打たれた銀杏の木が、下は銀杏、上は桜という奇妙な巨木となったもの。 この木の下で遊は斉道と出会い、再会を果たすのですが、雷桜は数奇な運命を辿った彼女を象徴する存在として描かれており、観る者を切なくさせます。洋楽が流れるシーンもあり、良い意味で時代劇感があまりないので、普段から馴染みがないという人にもおすすめの作品です。

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『博士の愛した数式』(2006年)

事故の後遺症を抱える元数学者と家政婦が歩いた桜並木

『雨あがる』などの小泉堯史監督が、主演に寺尾聰、共演に深津絵里らを迎え、小川洋子による同名小説を映画化した『博士の愛した数式』。 事故の後遺症で、80分間しか記憶が保てなくなった元数学者と、彼の家で働くシングルマザーの家政婦親子の心を触れ合いを描いた人間ドラマです。劇中で杏子が博士を散歩に連れ出すシーンは、「日本さくら名所100選」にも選ばれた、長野県の「懐古園」で撮影されました。 博士が満開の桜を見上げ、「数学に最も近い仕事は農業だよ……」と続く博士から杏子への台詞は印象的で、とても美しいシーンです。桜や植物が持つ生命力になぞらえて、子育てに悩む杏子に博士が送ったエールであり、ほっこりと胸が温かくなります。

『君の膵臓をたべたい』(2017年)

同じ名前の花のように儚く散り、満開の花を咲かせた彼女

住野よるの同名小説を原作に、膵臓に重い病を抱えた少女・桜良と同級生の“僕”の交流を、過去と現在を行き来しつつ描く『君の膵臓をたべたい』。映画版では原作の時間軸が過去になり、12年後の「僕」の視点から描かれました。 主演は浜辺美波と北村匠海が務め、「桜良」と「春樹」、桜を連想する名の主人公を演じます。2人は桜の季節に出会い、春樹は12年後、同じ場所で桜良を思い出すのです。 本作はラストシーンまで一貫して桜が効果的に使用されており、パッと咲いて儚く散る桜は、同じ名前を持つ桜良の運命と重なります。入院が延び、自身の死を覚悟した桜良が病室で、春樹に「桜は咲くべき時を待ってるんだよ」と語るシーンも印象的なので必見!

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『四月物語』(1998年)

桜の淡いピンク色はウブな女子大生の初恋に似ている?

『花とアリス』と同じ、岩井俊二監督による短編『四月物語』も桜のシーンが印象的!当時、「ラブジェネ」などのドラマで人気を集めた、松たか子の映画初主演作でもあります。 本作の主人公は、進学のために北海道から上京してきた卯月。新しい生活に戸惑いながらも、様々な出会いを重ね、少しずつ都会に馴染んで行きます。しかし、彼女は大学の志望動機の話になるとなぜか言いよどみ、人には言えない秘密があって……というストーリーです。 松たか子の瑞々しさと卯月のピュアな恋、淡いピンクの桜が彩る4月の風景が見事にマッチした、癒やし系映画と言えるでしょう。

映画『ちはやふる -結び-』(2018年)

学生たちのかけがえのない青春時代の風景に、桜は静かに佇む

末次由紀による大ヒット漫画を、主演の広瀬すず、野村周平や新田真剣佑、ら豪華キャストの共演で実写映画化した「ちはやふる」シリーズ。 完結編となる「-結び-」では、かるたに青春の全てを捧げた主人公・千早が3年生になり、高校生としては最後の全国大会に臨む過程が描かれます。シリーズ通して、千早たちの高校入学から卒業までを辿っており、節目ごとに桜が印象的に使われているのです。 本作の冒頭では、桜が舞うポカポカ陽気の日に千早と奏が屋上に上り、がむしゃらにかるたに打ち込んできた日々を振り返るシーンも。風に花びらが舞う中、校庭には学生たちの声が響いており、学生時代にしか観ることの出来ない、かけがえのない瞬間が切り取られていました。

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ciatr編集部厳選!お花見シーンが印象的な映画を紹介

ではここからは、ciatr編集部が厳選したお花見シーンが印象的な映画を紹介しましょう。 胸がほっこりと温かくなるような作品から、様々なことを考えさせられる切ない作品まで、多ジャンルにわたって選出してみました。

『彼らが本気で編むときは、』(2017年)

好きなものが詰まったお花見弁当は幸せの象徴

彼らが本気で編むときは、
(C)2017「彼らが本気で編むときは、」製作委員会

『かもめ食堂』の萩上直子がメガホンを取り、主演に生田斗真、共演に桐谷健太やミムラ、小池栄子らを迎え、LGBTと家族の在り方を描いた作品です。 生田演じるトランスジェンダーの元男性・リンコと恋人のマキオ、母親に育児放棄され叔父のマキオに預けられた11歳のトモが繰り広げる、奇妙な共同生活が描かれました。トモは、男性なのに女性の格好をするリンコに戸惑いますが、リンコの手料理の温もりに触れ、心を開いていくのです。 その過程で特に印象的なのが、リンコが作った豪華なお弁当を広げて、3人が河川敷で楽しそうにお花見をしているシーン。お弁当の中身は鯉のぼり型にカットしたウインナー、シジミの醤油漬けといったトモの好きな物ばかりで、幸せなひとときに頬が緩みます。

『SAYURI』(2005年)

お花見のシーンを通じて、運命に翻弄される遊女の恋の顛末を綴る

アメリカ人作家アーサー・ゴールデンの小説『さゆり』を、スティーヴン・スピルバーグ製作総指揮、チャン・ツィイー主演で映画化した『SAYURI』。 主人公のさゆりは幼い頃に祗園の置屋に売られ、楽しそうな花見の風景を見て涙ぐんでいた時、通りがかりの紳士と出会いました。さゆりは紳士に再会することを夢見て、その美貌と不思議な青い瞳を武器に、多くの男たちを虜にする芸者に成長していくのでした。 後に2人が再会し、お互いの気持ちを察するのも花見会の桜の木の下であり、本作もお花見のシーンが印象的に描かれています。悲運に翻弄されるさゆりに対し、桜は散ってはまた花を咲かせる生命力、あるいは幸福の象徴として登場するのも特徴でしょう。

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『細雪』(1983年)

雨に濡れた桜は情緒に溢れ、美しき4姉妹の尖った心を癒やす

『細雪』は谷崎潤一郎の同名小説を、吉永小百合、岸恵子、佐久間良子、佐久間良子ら大女優たちの共演で映画化した、名匠・市川崑監督作品です。 吉永演じる三女・雪子の縁談話を軸として、旧家・蒔岡の美しき4姉妹が抱えている事情を、日本の四季折々の風景と共に綴りました。本作は冒頭の昭和13年の春に、4姉妹にとって最大のイベントの「京都のお花見」を開くため、嵐山の料亭に集まるシーンが印象的です。 雨で濡れた桜が神秘的ですし、着物に身を包んだ麗しい女優たちの所作も奥ゆかしく、このオープニングシーンの絵面の迫力は圧巻の一言!晴れた日に桜吹雪が舞う風景も美しいですが、雨の中の桜はまた違う表情を見せてくれるので、その魅力を再確認してください。

『この世界の(さらにいくつもの)片隅に』(2019年)

激しさを増す空襲警報の合間をぬって、人びとは花見に出かける

こうの史代の同名漫画をアニメ映画化し、異例のロングランヒットとなった『この世界の片隅に』(2016年)に新規カットを追加し、違う視点から描いた作品。 片渕須直監督、主演ののん(能年玲奈)らが続投し、夫の周作と浅からぬ仲にあった遊女・リンの出現により揺らぐ、すずの女としての心情なども描かれました。すずは偶然にリンと出会い、昭和20年春、一家で訪れた花見の名所で彼女と再会するのですが、このシーンがとても美しいのです。 リンとすずは桜の木の上に登り、周作がリンのために用意していた夫婦茶碗をすずが遊郭に届けたこと、お互いの生死感などを語り合います。死を想うリンと生に執着するすず、対象的な2人のシーンを儚くも力強い桜が叙情的に演出し、切なさがこみ上げるでしょう。

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『どんてん生活』(2001年)

どんな時にも、楽しくて幸せなお花見の季節はやってくる!

『どんてん生活』は異色作『鬼畜大宴会』で助監督を務めた、山下敦弘の長編初監督作です。本作の主人公は、時代錯誤な風貌の元暴走族・南と、パチンコ狂いのプータロー・町田。 冴えないし運もない曇天のような毎日が続くけれど、決して卑屈にはならない、欲に忠実な男たちの姿を描く青春コメディです。春が近づき、陽だまりの中で2人が花見の妄想をするシーンは、微笑ましくもどこか切ない気持ちになってしまうかもしれません。 日本人にとって「花見」とは、楽しいこと、たくさんの人びとが集まる幸せなことの象徴なのだと、再認識させられるシーンでした。

儚くも美しい、桜の映画を通じて過去と未来に思いを馳せてみよう!

君の膵臓をたべたい ロゴなし
©️2017「君の膵臓をたべたい」製作委員会 ©️住野よる/双葉社

今回は、家でもお花見気分を味わえる桜・お花見シーンが印象的な映画を紹介しました。紹介したのはほんの一部で、桜が登場する作品はまだまだたくさんあります。 時代や立場、境遇が違ったとしても、日本人の人生にはいつも桜が寄り添い、悲しみも喜びも分かち合ってきてくれたのでしょう。同じように桜を愛したかもしれない過去の人びと、これからその美しさを目にするであろう未来の人びとに思いを馳せてみると、感慨深いかもしれません。 映画を観ながら、人間ドラマと儚く美しい桜を重ね、一味違うお花見を楽しんでみてください。