2021年2月12日更新

映画『ファーストラヴ』のあらすじを徹底ネタバレ解説!タイトルの持つ意味が原作とは異なる?

このページにはプロモーションが含まれています
『ファーストラヴ』メイン画像
Ⓒ2021『ファーストラヴ』製作委員会

AD

衝撃作『ファーストラヴ』あらすじからタイトルの意味までネタバレ解説!

島本理生が2018年に発表し、第159回直木賞受賞作を受賞した『ファーストラヴ』。同作を原作とした映画が、北川景子主演で2021年2月12日に公開されました。 原作は“稀代の問題作”とも称され、予測不能な結末、タイトルに秘められた濃密なドラマが話題を呼んだ名作ミステリー。メガホンをとった堤幸彦監督は、本作をどのような作品に仕上げたのでしょうか。 この記事では、映画『ファーストラヴ』のあらすじやキャスト、見どころなどを徹底解説!映画および原作小説のネタバレも含んでいるので、作品を未見・未読の人は注意してください。

『ファーストラヴ』のあらすじ 美しい女子大生はなぜ殺人を犯したのか

まずはメインの登場人物を紹介

ファーストラヴ、北川景子、中村倫也、窪塚洋介、芳根京子
Ⓒ2021『ファーストラヴ』製作委員会

■真壁由紀:主人公。公認心理師、我聞の妻  ■真壁我聞:由紀の夫。写真家、迦葉の兄 ■庵野迦葉:環菜の事件を担当する弁護士。我聞の弟、過去に由紀と関係が? ■聖山環菜:アナウンサー志望の女子大生。殺人の疑いで拘束されている ■聖山那雄人:有名な画家。環菜の父

あらすじ

女子大生の聖山環菜が、志望していたアナウンサーの面接試験を途中で放棄し、その後に勤務中の父親を刺殺する事件が発生。環菜の「動機はそちらで見つけてください」という挑発にもとれる言葉は、マスコミを騒がせました。 本を執筆しようとしていた公認心理師の真壁由紀は、注目を集める環菜に取材をすることに。同時に、彼女の弁護士が義弟の迦葉であることを知ります。 環菜の一貫性のない供述や、複数の人物の食い違う証言に翻弄されながら、彼女と面会を重ねる由紀。次第に環菜の家庭環境や周囲の人々について知るうちに、由紀は過去の自分と重なるものを感じはじめるのでした。 迦葉とともに環菜の裁判に挑む由紀でしたが、やがて彼女自身も心の奥底に封じ込めていた“ある記憶”と向き合うことになります。

AD

映画『ファーストラヴ』の見どころはここ!鬼気迫る演技に圧倒される

名作ミステリーを原作とした『ファーストラヴ』の見どころは、原作と同じく先の読めない展開はもちろん、俳優陣の演技や言葉にならないものを伝える映像にあります。 特に主演を務めた北川景子と環菜役・芳根京子の演技に、観客は目を奪われるでしょう。原作でのイメージとは若干変わっているものの、芳根演じる環菜の鬼気迫る演技は必見。 また由紀と環菜が留置所の面会室で顔を合わせるシーンでは、ある効果的な演出がなされています。この演出は由紀がまだ気づいていなかった、あるいは気づかないふりをしていた自分と環菜の共通点をはっきりと映し出しているのです。 その世界観に引き込まれる、映像作品ならではの魅力を堪能してください。

【ネタバレ注意】事件の真相は?きっかけは幼い頃のトラウマだった

『ファーストラヴ』芳根京子
Ⓒ2021『ファーストラヴ』製作委員会

事件の背景には、環菜が幼い頃に受けた心の傷が大きく関係していました。

裁判で環菜が語った事件の真相は、父である聖山那雄人が足を滑らせた際に自分が持っていた包丁が胸に刺さり、死亡したというもの。そんな状況になった理由には、彼女の家庭環境の歪みや幼い頃に植え付けられたトラウマが関係していました。 環菜は幼い頃に父のデッサン教室でモデルをさせられ、多数の男性の視線に晒されたことがトラウマになっていたのです。飲み会にも同席させられ、大学生に口説かれたり体を触られたりしても両親は彼女を助けることはしませんでした。 事件の日に行われた集団面接の風景にデッサン教室の記憶が重なり、自傷癖が再発してしまった環菜。就活に失敗した自分に罰を与えようと包丁で腕を切りつけた彼女は、父親に確認してもらうため、彼の勤務先を訪ねました。その際に事故が起きた、というのが彼女の主張です。 逮捕された直後に殺意を認めたのは、母親に「包丁が勝手に刺さるわけがない」と言われ、「そうなんだろうな」と思ったからだそう。ここでも環菜は、両親の言いなりだった幼い頃と同じ反応をしてしまったのでした。 救急車を呼ばなかった点などが不利に働いたものの、判決は検察側の求刑よりも軽い懲役8年。その後、環菜は手紙で由紀への感謝を伝え、裁判では皆が自分の気持ちを聞いてくれたことが嬉しかったとつづりました。

由紀にも秘密があった……環菜の抱えたトラウマとリンクしていく

『ファーストラヴ』北川景子
Ⓒ2021『ファーストラヴ』製作委員会

北川景子が演じる由紀と、芳根京子が演じる環菜の面会室でのシーンはほぼ一発撮りで撮影されたそうです。会話のなかで由紀と環菜の心の傷が明らかになっていく、2人のスリリングな演技は本作最大の見どころといえるでしょう。 また面会室シーンでは、アクリル板の反射によって由紀と環菜の顔がぴったりと重なるように撮影されています。このカメラワークで、由紀と環菜には似たようなトラウマがあることが示唆されるのです。

実は由紀にも、幼少期にトラウマとなるような出来事がありました。それは父の車のダッシュボードから、少女たちの写真を大量に見つけたことです。のちにそれは、父が少女買春していたときの写真だったことが判明します。 当時の由紀にははっきりとはわかりませんでしたが、それが彼女に恐怖を与え、自分も父から性的な視線で見られていると感じるきっかけとなったのでした。

AD

同じトラウマを持つ由紀が感じた、周囲の大人に対する憤り

由紀は環菜と彼女の生育環境を調べるうちに、「ゆうじくん」という人物の存在を知ることになります。彼は、幼い環菜にとって唯一安らげる場所を提供してくれた人でした。

しかしこの小泉裕二という男性もまた、実際は環菜に性的な行為をした大人の1人だったのです。環菜はそれで深く傷ついたことを自分でも認められず、彼を「初めて好きになった人」だと思い込んでいました。 裕二本人から事実を聞いた由紀は激しく憤ります。彼は環菜の家庭環境を知っていながら、児童相談所に連絡するなどの適切な対応をしなかったどころか、自らも彼女を傷つけていたのです。当時の環菜にとって、彼は唯一絶望的な状況から救い出してくれる可能性のある人物でした。 裕二は環菜の裁判にあたって、彼女の幼い頃の家庭環境について証言することになります。それは彼がようやく大人としての責任を果たした瞬間だったのです。

父親以上に許せなかった、“なにも言わなかった”母親の存在

由紀は成人の日に、母から父の過去について聞かされます。そのことで彼女は幼い頃に受けたトラウマをはっきりと思い出してしまったのでした。彼女は迦葉と過去の話をしていた際、「父も許せないけど、それ以上に許した母が許せない」と告白します。

由紀の母は、夫が自らの娘と同じ年頃の少女に性的な行為していることを黙認していたのです。そして「あなたももう大人だから」と、娘にその事実を告げました。彼女はそれが自らの娘を深く傷つけるとしても、長年誰にも言えずにいたことを聞いてもらいたかったのでしょうか。 由紀と環菜の家庭は、父の逸脱した行為に対して母が“なにも言えなかった”という点が共通しています。彼女たちは、夫に逆らうことができなかったのでしょう。 映画では回想シーンでしか登場しない由紀の母ですが、原作では彼女に依存している様子も描かれています。

虐待は連鎖している可能性がある

環菜の母である昭菜は、娘がリストカットをした傷跡を見たときに、彼女をさげすむような言葉を口にしました。

しかし裁判のあと、由紀は昭菜の手首にもおびただしい数の傷跡があることに気がつきます。彼女もまた心に傷を抱え、自らを傷つけていたのでした。 これは夫による虐待から娘を救えなかった母もまた、虐待被害者だった可能性を示唆するものです。そこに新しい傷跡はなかったことから、彼女も少女時代に過酷な環境に置かれていたと考えられます。 実際の事例としても虐待の連鎖は多く語られており、虐待被害者が加害者になることは少なくないと言われています。昭菜の場合は過去にどのようなことがあったのか語られていませんが、彼女が夫の行為を黙認した背景には、彼女自身の心の傷もあったのかもしれません。

由紀と迦葉の過去も明らかに!我聞の存在が2人にとっての救いだった

『ファーストラヴ』
Ⓒ2021『ファーストラヴ』製作委員会

環菜の裁判への準備が進むなか、由紀は自分の過去や迦葉との関係、そして我聞とも本当の意味で向き合うことになります。由紀が環菜と自分を重ねたのは、幼い頃の彼女自身も、父に対して恐怖を感じていたからでした。

由紀は成人式の日、母親から父がむかし児童買春をしていたという事実を聞かされ、幼い頃に見た少女たちの写真を思い出します。そして自分も父から性的な視線で見られていたことに気づきました。 そんなとき大学の構内で、彼女は迦葉と出会います。母親に捨てられた過去を持つ彼と由紀は、同じ心の傷を持つ者同士で欠けたものを埋め合うようになりました。 しかし一線を越えかけた日、経験豊富なはずの迦葉はなぜか由紀とはできなかったのです。そして由紀の言葉が、彼を深く傷つけました。 そのまま疎遠になった2人。あるとき由紀は、偶然迦葉の兄・我聞の個展に立ち寄ります。そして兄の恋人と、恋人の弟として何事もなかったかのように再会した由紀と迦葉。 ずっと過去を隠し続けてきた2人でしたが、環菜の事件を経てようやく和解しました。

我聞はすべて気づいていた

『ファーストラヴ』
Ⓒ2021『ファーストラヴ』製作委員会

環菜との面会で不安定になった由紀は、我聞に自身の幼い頃のトラウマを彼に告白します。すると我聞ははっきりとは分からないものの、なにかあるとは思っていたと答えるのでした。 さらに由紀は迦葉との過去についても話します。我聞はそのことについてとっくに気づいていました。また過去に迦葉から由紀について聞いていたことも明かし、すべてを知ったうえで2人を大きな愛で包み込んでいたことが分かります。 彼の存在がトラウマを抱えていた由紀と迦葉にとって、そしてこの物語の救いになっているのです。

AD

タイトル『ファーストラヴ』の意味とは?原作との違いを考察してみた

『ファーストラヴ』書影

島本理生による原作は、第159回直木賞を受賞した名作ミステリーです。予測不能な展開とスリリングな法廷劇、そして社会問題に向き合う濃密なドラマが話題となりました。 映画では原作ストーリー展開を楽しめるのと同時に、多くの登場人物の「ファーストラヴ」について描かれました。これは必ずしも「初恋」という意味ではなく、「最初の愛」であり、環菜の裕二に対する思いや由紀と迦葉、そして我聞の大きな愛を指していると考えられます。 堤幸彦監督はこのタイトルについて、「一言では難しいですが、今思えばあの時は……とあたたかみを感じる瞬間のことかな、と思います」と語っています。 また「本編に出てくる様々な運命を背負った人々が、本当は誰にも見捨てられてはいないということになると思っています」という発言も。そう考えると環菜にとっての「ファーストラヴ」は、初めて彼女と真剣に向き合ってくれた由紀だったのかもしれません。

映画では描かれなかった迦葉の「ファーストラヴ」

映画では登場人物それぞれの「ファーストラヴ」が描かれているのに対して、原作では迦葉の「ファーストラヴ」がフォーカスされています。 映画ではカットされていますが、小説では物語中盤に重要なシーンがあり、そのときの迦葉の真意がラストで明かされました。これは彼にとって、由紀との関係がどれほど特別だったかを示す結末となっています。 原作も読んでみると、タイトルにまた違った印象を持つのではないでしょうか。

AD

あわせて読みたい!原作『ファーストラヴ』では深い人物描写が楽しめる

『ファーストラヴ』芳根京子
Ⓒ2021『ファーストラヴ』製作委員会

映画と原作では、いくつか大きな違いがあります。 まず大きな違いは環菜のキャラクターです。原作では感情的になることはなく、か弱い女の子という印象でした。映画では芳根京子の素晴らしい演技によって、精神的にかなり不安定な人物として描かれています。 また原作では、由紀は我聞と付き合うことになった際、迦葉に2人の過去を黙っておくように頼んでいました。これは意図的に隠していたことを意味しており、映画で描かれた「言い出せなかった」という心情とはまた違った印象です。 そのほかの登場人物についても、由紀と我聞には子どもがいたり、由紀の母親が回想だけではなく現在のシーンでも登場したり、迦葉の女性関係がフォーカスされていたりと、より深い人物描写が展開されています。 原作をまだ読んでいないという人は、映画を観たあとでも充分に楽しめるでしょう。

映画『ファーストラヴ』の登場人物・キャストを一挙紹介!

真壁由紀(まかべ ゆき)/北川景子

『ファーストラヴ』北川景子
Ⓒ2021『ファーストラヴ』製作委員会

本作の主人公であり、動機不明の殺人事件を犯した女子大生の心理に迫る公認心理師・真壁由紀。演じたのは、主演作のヒットが続く北川景子です。 映画『スマホを落としただけなのに』(2018年)やドラマ「家売るオンナ」シリーズなどの好演が記憶に新しい彼女は、本作にも並々ならぬ決意を持って挑みました。というのも、原作の設定に合わせてデビュー後初のショートヘアにしているのです。 髪を30cm以上カットしたそうで、美容室では自ら最初にハサミを入れたいいます。公式サイトには「別人になれた気がします。髪を切ったことで、由紀というキャラクターにちゃんとなれた」とコメントを寄せました。

AD

庵野迦葉(あんの かしょう)/中村倫也

『ファーストラヴ』中村倫也
Ⓒ2021『ファーストラヴ』製作委員会

庵野迦葉は由紀の義理の弟で、由紀とともに事件の真相を追う敏腕弁護士。クールでドライな弁護士を演じるのは、映画やドラマ、CMに引っ張りだこの中村倫也です。 2018年に連続テレビ小説『半分、青い。』で遅咲きのブレイクを果たし、翌年にはエランドール賞新人賞を獲得。2020年以降、映画『水曜日が消えた』やドラマ「美食探偵」など主演作が続々と放送・公開されています。 由紀の記憶のカギを握る迦葉を演じるにあたり、「このビターな世界の中で、迦葉はどんな過去を背負い、またどんな未来を歩いていくのか、日常生活まで入り込むほどずっとず〜っと考えていました」と撮影を振り返りました。

聖山環菜(ひじりやま かんな)/芳根京子

『ファーストラヴ』芳根京子
Ⓒ2021『ファーストラヴ』製作委員会

由紀と迦葉が向き合うことになる、父親殺しの容疑者であり本作のキーパーソン・聖山環菜。演じたのは、今もっとも注目を集める若手女優の1人・芳根京子です。 2016年には連続テレビ小説『べっぴんさん』のヒロインに抜擢され、朝ドラ女優に仲間入り!第42回日本アカデミー賞では、映画『累 -かさね-』および『散り椿』の演技が評価され、新人俳優賞を受賞しました。 芳根は真意の掴めない環菜という役について、「環菜と向き合えば向き合うほど、引きずり込まれそうで震える恐怖を、初めて味わいました」とコメント。堤監督作品への参加は初めてで、『ファーストラヴ』は思い出深い現場となったようです。

AD

真壁我聞(まかべ がもん)/窪塚洋介

『ファーストラヴ』窪塚洋介
Ⓒ2021『ファーストラヴ』製作委員会

妻の由紀や弟の迦葉を見守り、2人の良き理解者となるカメラマン・真壁我聞を演じるのは、世界を舞台に活躍する窪塚洋介です。 窪塚は我聞と同じカメラマン、歌手やMV監督などの顔も持ち、2017年にはマーティン・スコセッシ監督作『沈黙-サイレンス-』でハリウッドデビュー。BBCとNetflixの共同制作ドラマ「Giri / Haji」シリーズにも出演し、話題を呼んでいます。 12年ぶりに再会した堤監督から求められたのは、“何もしないこと”だったとのこと。公式コメントでは、「何の狙いも持たずにただただ良き夫、良き兄としてカメラの前で在ることは想像以上に難しかった」と告白しました。

聖山那雄人(ひじりやま なおと)/板尾創路

物語の冒頭に殺害される環菜の父・聖山那雄人を演じるのは、お笑い芸人の板尾創路です。俳優としても数多くの映画やドラマに出演しています。 主な出演作は映画『空気人形』(2009年)や『決算!忠臣蔵』(2019年)。また2017年の『火花』では、監督・脚本も務めています。

聖山昭菜(ひじりやま あきな)/木村佳乃

環菜の母・聖山昭菜を演じる木村佳乃は、演技派女優として知られています。 代表作には『蝉しぐれ』(2005年)や『さくらん』(2007年)、『記憶にございません!』(2019年)などがあります。2019年にはドラマ『後妻業』で、2020年には『恋する母たち』で主演を務めました。

AD

小泉裕二/石田法嗣(いしだ ほうし)

環菜の幼少期を知る小泉裕二を演じたのは、石田法嗣。さまざまなドラマや映画に出演しており、NHKの朝ドラ『とと姉ちゃん』(2016年)や映画『友罪』(2018年)、『空母いぶき』(2019年)などで活躍しています。

賀川洋一/清原翔

環菜の元カレである加賀洋一。彼の証言が環菜の発言と食い違っていたため、由紀たちは彼女に対する疑念を抱きはじめます。 洋一を演じるのは、近年若手俳優として人気上昇中の清原翔。「HiGH&LOW」シリーズや連続テレビ小説『なつぞら』(2019年)、映画『うちの執事が言うことには』(2019年)などへの出演で知られています。 2020年6月に脳出血で緊急手術・入院した際には、ファンを騒然とさせました。2021年2月現在は、復帰に向けてリハビリを進めているとのことです。

監督を務めたのは堤幸彦!キャスト陣とともに奇跡的な化学反応を起こす

映画『ファーストラヴ』でメガホンをとったのは、北川景子と初タッグを組む堤幸彦。ドラマ「TRICK」や「SPEC」シリーズ、映画『人魚の眠る家』などで知られるヒットメーカーです。 彼はこれまでシュールな笑いとサスペンスの要素を織り交ぜたエンタメ性の強い作品から、骨太な社会派ドラマまで幅広く手掛けてきました。 そんな堤でさえ、この名作ミステリーを映画化することについて「原作を読んだとき細やかに描かれた作中の人びとの葛藤と『救い』を、映像作品にすることが私の力量で可能なのかかなり思い悩んだ」と語っています。 しかし本作は鬼才・堤幸彦と、人間の深奥に迫る心理描写に定評のある島本理生の原作、さらに堤が「奇跡的」と太鼓判を押したキャストがまさに「奇跡的」な化学反応を生み出しています。 映像表現としての秀逸さや俳優陣の演技など、映画として非常に完成度の高い作品となりました。

AD

主題歌はUruによる「ファーストラヴ」

本作の主題歌は、シンガーソングライターのUruによる「ファーストラヴ」です。 YouTubeにオリジナル楽曲を投稿したことがきっかけで人気となりメジャーデビューを果たした彼女。これまでアニメ『機動戦士ガンダム 鉄血のオルフェンズ』(2015年)やドラマ『テセウスの船』(2020年)などで楽曲が主題歌として起用され、注目を集めてきました。 主題歌である「ファーストラヴ」は本作のために書き下ろされ、挿入歌の「無機質」も作品にリンクした楽曲となっています。

映画『ファーストラヴ』は2021年2月公開!それぞれの抱える愛に注目

美しい女子大生は、なぜ父親を殺さなければならなかったのか?一見、内容とは合わないようにも思えるタイトルの意味とは?多くの謎をはらんだままストーリーが展開する『ファーストラブ』。 社会問題になっている出来事に鋭く切り込みながらも、やさしさを感じさせる本作をぜひ鑑賞してみてください。また原作もあわせて読むと、作品の世界観がより深まります。 ‟稀代の問題作”を実写化する映画『ファーストラヴ』は、2021年2月12日から公開中です。