『バケモノの子』熊徹の最後は剣になって死亡?かっこいい生き様や名言を解説
2015年に公開された細田守監督によるアニメ映画『バケモノの子』。バケモノ界に迷い込んだ主人公・九太の成長物語である本作で、師匠・熊徹は九太にとってかけがえのない存在です。 この記事では、そんな熊徹のキャラクター基本情報や、2人の出会いからのあらすじおさらい、そして熊徹の「最後」を徹底解説します! さらに、九太の目線でどんな「師匠」で「父親」だったのか、そして熊徹の語る「心の中の剣」に込められたメッセージも考察してみました。 ※この記事は映画『バケモノの子』のネタバレを含みます。
『バケモノの子』熊徹のプロフィール

| 名前 | 熊徹(くまてつ) |
|---|---|
| 種族 | バケモノ |
| 立場 | ・渋天街随一の武芸の達人 ・次期宗主候補の1人 |
| 性格 | 粗暴で品格のカケラもない |
| 声優 | 役所広司 |
| モチーフ | 映画『七人の侍』の菊千代 |
熊徹はバケモノ界「渋天街」で一二を争う最強のバケモノ。次の宗師候補の1人ですが、宗師になるための必須条件、「弟子をとること」を満たしていません。粗暴で品格のない熊徹の弟子には誰もなりたがらないのです。 そんな時、家出して渋谷でさまよっていた九太と出会います。熊徹をバケモノ界まで追ってきた九太。強くなりたいという彼の根性を気に入った熊徹は、バケモノ界ではご法度である「人間」を弟子にとるのでした。
九太と熊徹の関係は?二人の出会いからおさらい
①弟子入りを受け入れ師弟関係に

両親がいなくなり親戚の養子となる予定だった九太は、葬式で大人たちの会話を聞いて嫌になって逃げ出しました。 そんなときに出会った熊徹。九太は強さに惹かれて弟子入りを申し込みましたが、幼稚なくらい不器用に感情をぶつける熊徹の性格が九太の心を開いていったことも間違いないでしょう。 苦手な生卵を食べるように叱ってくれたことすら、親からのような愛を感じられて九太は嬉しかったはずです。熊徹は九太にとって師匠なだけでなく、信頼できる父親になっていったのです。
②一緒に成長できた仲間
熊徹と九太はまるで性格が合わず、事あるごとに衝突していました。それでも熊徹は噓偽りなく真っ直ぐに九太と向き合い続け、家族として師弟として絆を強めていきます。 九太は8年の歳月を過ごすなかで、か弱い少年から立派な青年へ成長を遂げます。一方熊徹も、荒削りだった武術を人に教えることで洗練させていきました。また独りよがりだった性格も、2人そろって少しずつ丸くなっていきます。 九太にとって熊徹はただの指導者・保護者ではなく、一緒に成長する仲間でもあったのでした。
③一人前を目指す九太、認められない熊徹

九太が人間界に出かけていたことを知った熊徹は取り乱し、九太を叱りつけました。 九太はそんな熊徹を見て、これだけ一緒に過ごしても自分は所詮人間だから心に闇を宿している可能性をまだ疑われるのだ、弟子としても認めてもらえないのだとショックを受けます。さらにはそんな熊徹に不満を感じてしまう自分はやはり人間で、本当に心に闇を抱えているのだと思い込むことに。 しかし実際には、熊徹は九太のことを認めて信じていました。多くの人間がもつ心の闇を九太はやどしていないとわかっていたのです。 熊徹が取り乱したのは、九太が人間界に戻ってしまうのではないかという不安や寂しさが原因でした。九太のことを深く愛していたが故に、子離れできていない父親のようになっていたのです。
④命に替えても愛を注いでくれた恩人
九太と同じ人間の子だった猪王山の息子・一郎彦。彼の中に芽生えた闇は、人間界の渋谷で暴走してしまいます。それを身を挺して止めようとする九太の前に、神への転生の特権を使って燃える刀となった熊徹が現れました。 命に替えて人間界を守ってくれた熊徹。九太はその惜しみない愛情と揺るぎない信頼に改めて気付かされます。もう熊徹がいなくても、自信と誇りを持って立派に人間界で生きていけることでしょう。 さて、自分の消滅と引き換えに九太の未来を守ったことから一見子離れできたように見える熊鉄。しかし九太の胸の中へ吸収されることを選んでいるところを見ると、本当は最後まで子から離れられない不器用な父親だったのかもしれません。
最後に熊徹は死亡する?心の中の剣とは

宗師となった熊徹は、心の闇に飲まれかけた九太を救うため、古い道具に宿る「付喪神(つくもがみ)」への転生を決意しました。そして、大太刀の姿で九太の「心の中の剣」となり、一郎彦を鎮めたのです。 肉体を失った熊徹はその後、九太の心の中で生き続けます。本作は「転生」をテーマにしており、神に転生した熊徹は、ずっと九太を見守っていくでしょう。 また、『バケモノの子 読み聞かせ絵本』によれば「熊徹の魂は別の世界に行ったので、九太の声には答えない。けれど二人はずっと一緒だ」と、その後の関係性について、具体的に記されています。
熊徹のかっこいい名言!

不器用な熊徹だからこそ、胸に響く名言がいくつもありました。 ①「俺の弟子をどうするかは俺が決めるんだよ」 人間を弟子にすることを反対する猪王山に対し、九太を弟子と公言したセリフ。 ②「半端ものの俺に出来る、たった一つのことなんだよ!」 九太の心の穴を埋めるため、付喪神への転生を決意するセリフ。 ③「ふらふら迷ってると胸の中からぶっ飛ばすぞ」 人間界で学ぶ九太を「心の中の剣」として見守り、喝を入れるセリフ。師弟であり親子の絆を感じさせるラストシーンです。
熊徹の声優を務めるのは役所広司!

熊徹の声を演じたのは、大御所俳優・役所広司です。2024年には、ヴィム・ベンダース監督作『PERFECT DAYS』で、日本アカデミー賞・最優秀主演男優賞、アジア・フィルム・アワード・最優秀男優賞を受賞しました。 本作をきっかけに、『未来のミライ』(2018)、『竜とそばかすの姫』(2021)と立て続けに細田守監督作品に出演。2025年11月公開の『果てしなきスカーレット』では、ヴィランとなるクローディアス役を演じています。
『バケモノの子』熊徹は愛すべき不器用な父親!

人間界とバケモノ界という2つの異なる世界で、親子のような絆を築いた熊徹と九太。 劇中ラストでは、熊徹は「息子」である九太が闇を乗り越えられるよう、付喪神(つくもがみ)への転生を決意します。そして、九太の「心の中の剣」としてこれからも一緒に生きていくのです。 不器用な漢役を演じることも多い役所広司が熊徹の声を担当したこともあり、渋みもありながら憎めない愛すべきキャラクターとなった熊鉄。『バケモノの子』を鑑賞する際は、ぜひ熊徹にも注目してみてください!



