2019年7月2日更新

『サマーウォーズ』を徹底考察!家系図キャラ解説付きで映画を分かりやすく深掘り【ネタバレ注意】

細田守『サマーウォーズ』
© FUNimation Entertainment/zetaimage

2009年公開の細田守監督作品『サマーウォーズ』のあらすじ・考察・解説を紹介!登場人物が一目でわかる陣内家の家系図から、OZの名前の由来、栄おばあちゃんの死について、夏希が花札代表に選ばれた理由まで。ネタバレを含んでいますので未視聴の方は要注意です。

『サマーウォーズ』がもっと楽しめる!考察・解説を紹介

2019年は映画公開10周年イヤー

映画『サマーウォーズ』は、『時をかける少女』『おおかみこどもの雨と雪』『バケモノの子』などヒット作を連発する細田守監督作品。2009年8月に公開され興行収入16.5億円を記録したヒット作です。 2019年には公開10周年を迎え、これを機に『サマーウォーズ』公開10周年プロジェクト《UP DATE》が始動。明治安田生命やローソンとのタイアップをはじめ、巡回展「未来のミライ展 時を超える細田守の世界」やPixiv「スタジオ地図」イラストコンテストなど、公式HPでは記念イベントが次々と発表されています。 10年経ってもいまだその人気は衰え知らずの『サマーウォーズ』。今回は本作をより楽しめること間違いなしの考察や解説を紹介!その前に、まずは映画のあらすじや登場人物相関図など、基本情報をおさらいしましょう。 この記事は映画のネタバレを含んでいます。未視聴の方はご注意ください。

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『サマーウォーズ』のあらすじ【ネタバレ注意】

数学が得意な高校2年生の主人公の小磯健二は、憧れの先輩である高校3年生の篠原夏希に、実家に一緒に来てくれと誘われます。 夏希の実家のある長野県上田市に行くと、90歳になる夏希の曾祖母陣内栄の誕生日を祝うために親族26人が集結していました。そこで健二は夏希に、婚約者のふりをするように頼まれます。栄おばあちゃんに、婚約者を連れてくると約束してしまったことが理由です。 時を同じくして、インターネット上の仮想世界「OZ」が「ラブマシーン」という人工知能に乗っ取らてしまいました。

OZと密接に関係している現実世界は混乱に陥り、栄を中心とした陣内一族の活躍により事態は収束にむかいますが、混乱の影響で、栄おばあちゃんの健康状態をモニターするシステムがエラーに。栄おばあちゃんは心臓発作で亡くなってしまいます。 陣内一族の男たちは栄の敵討ちのためラブマシーンを倒す計画を立て成功しかけますが、ちょっとしたミスで逆転され、アカウントを奪われてしまいます。ラブマシーンが奪ったアカウントの中には、小惑星探査機「あらわし」を管理するアカウントも含まれており、ラブマシーンはあらわしを地球のどこかの核施設に落とそうとしていたのです。 陣内一族は地球の危機に団結して立ち向かうことを決め、ラブマシーンに花札勝負を挑みます。一族を代表して夏希が勝負をし、見事勝利しますが、ラブマシーンは最後の悪あがきとして、あらわしを陣内家に落とすことを画策。 健二は得意の計算能力を使い、ラブマシーンのパスワードを解析し、あらわしの落下点を変更することに成功。陣内家を救った健二を一族は認め、夏希は健二の頬にキスをしました。

陣内家家系図解説&メインキャラクター・声優紹介

『サマーウォーズ』陣内家家系図
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陣内家の家系図は当主の栄おばあちゃんを筆頭に、その子どもたち4人が長女・万里子、長男・万蔵、次男・万助、三男・万作と続きます。万里子には長男・理一、長女・理香がいますが二人とも独身。万蔵は亡くなっていますが、その娘・雪子がヒロイン・夏希の母です。 万助の子どもは、長男・太助、長女・直美、次女・聖美の3人。警察官の翔太は太助の息子で、キングカズマこと池沢佳主馬は聖美の息子です。 万作の子どもは男3兄弟で、長男・頼彦、次男・邦彦、三男・克彦は全員既婚者。それぞれの妻が典子、奈々、由美で、その子どもたちは総勢6人もいます。 そしてアメリカから帰国してきた夏希のおじの侘助。彼は陣内家当主だった曾祖父・徳衛の隠し子で、栄に引き取られた養子でした。夏希の初恋の人でもあります。

小磯健二/神木隆之介

主人公の小磯健二は17歳の高校2年生。物理部所属の理系男子で数学が得意ですが、数学オリンピック日本代表選敗退の苦い経験が。引っ込み思案な上奥手で、バイトに誘われた先輩・篠原夏希に密かに憧れています。 健二の声優を担当したのは、若くして長いキャリアを持つ俳優・神木隆之介。アニメ声優としても『借りぐらしのアリエッテイ』の翔役や『君の名は。』の立花瀧役でよく知られています。

篠原夏希/桜庭ななみ

ヒロインの篠原夏希は18歳の高校3年生。剣道部所属で校内のアイドル的存在です。篠原家の長女で、曾祖母である栄おばあちゃんの誕生日を祝うため、健二を“恋人”として長野へ連れて行きます。 夏希の声を担当したのはテレビや映画、CMと幅広く活躍している女優・桜庭ななみ。2019年後期のNHK連続テレビ小説『スカーレット』に、戸田恵梨香演じる主人公・喜美子の妹・直子役で出演が決まっています。

栄おばあちゃん/富司純子

栄おばあちゃんこと陣内栄は、戦国時代から続く名家・陣内家の16代目当主。ひ孫までの四世代もの大家族が、栄の90歳の誕生日を祝うため各地から結集。長年培ってきた政財界の幅広い人脈を駆使して、世界の危機に一族とともに立ち向かいます。 陣内栄の声を担当したのは60年代から映画界で活躍する名女優・富司純子。アニメ声優を務めるのは本作が初めてでしたが、2019年6月公開のアニメ映画『海獣の子供』のデデ役で10年ぶりに声優を務めています。

『サマーウォーズ』その他の登場人物・声優はこちらから

主題歌は山下達郎の歌う「僕らの夏の夢」

『サマーウォーズ』の主題歌「僕らの夏の夢」を担当したのは山下達郎です。2018年の『未来のミライ』で再び細田監督とタッグを組んでおり、オープニングテーマ「ミライのテーマ」とエンディングテーマ「うたのきしゃ」の2曲を書き下ろしています。 山下達郎は1975年に「シュガー・ベイブ」としてシングル「DOWN TOWN」でCDデビューしたシンガーソングライター。翌年にはソロアルバム「CIRCUS TOWN」も発表し、1980年の「RIDE ON TIME」が大ヒットしてブレイクを果たしました。代表曲はクリスマスの定番曲「クリスマス・イブ」。 また、「僕らの夏の夢」のアコースティック・ライブ・バージョンが、2018年7月11日にリリースされた「ミライのテーマ/うたのきしゃ」の3曲目として収録されています。

仮想世界「OZ(オズ)」って何?

それではここから、映画『サマーウォーズ』を深掘り解説・考察していきます! まずは『サマーウォーズ』の世界を支える重要なシステム「OZ(オズ)」について。インターネット上の仮想世界として描かれており、映画の冒頭でも説明されていますが、普段からネットを利用していない人やアバターという言葉を聞いたことがない人にはわかりづらいかもしれません。

仮想世界「OZ(オズ)」とは?

OZは『サマーウォーズ』に登場するインターネット上の仮想世界であり、世界中で10億人以上が利用しています。インターネット、携帯電話、テレビなどからアクセスすることが可能で、ショッピング、スポーツ観戦、ゲーム、ビジネス、納税などの各種行政手続きをすることができます。

アバターとは?

OZを利用する際には、アバターの設定が必要になります。アバターはOZ上での利用者の分身で、職業についている人であれば、現実世界と同様の権限を持つことができます。 水道局員なら、OZ上で水道管理ができますし、アメリカ大統領なら、核ミサイルの発射もできてしまうということになります。アバターが乗っ取られると、それらの権限を悪用されてしまう危険があります。

OZの名前の由来

「OZ」は『オズの魔法使い』からとったのではないかという説が一部にありますが、これは誤りです。 OZの名前の由来は、実は細田守監督が昔東映アニメーションで働いていた際に、その近くにあったスーパーの名前「LIVINオズ」から取ってきているのだそう。当時、監督は家と仕事場とスーパーを往復する生活を送っていたそうで、なんでもある夢のような場所「オズ」だったそうです。

『サマーウォーズ』に出てくる暗号の元ネタとは

作品の重要ポイントとなる、数字ばかりの暗号。実は、健二のケータイに送られてきた暗号文は、モデルが実際に存在します。 モデルとなった暗号文は素因数分解の困難性を利用した「RSA暗号」といい、健二が解いた文章から察するに、特に「RSA-129」と呼ばれる超難解なもの。これは1977年にアメリカの科学雑誌「サイエンス」で懸賞問題として掲載された問題で、1994年に600人が8ヶ月もかけて下位問題を解き、さらにスーパーコンピューターで解析してようやく解読されました。 こんな超難問と言える暗号文を、たったの一晩で解き切る健二はまさに天才少年!とはいえ、最後の一文字を間違えていた上、世界で50人もが同じく解読していたのですが。

【考察】栄おばあちゃんの死は『サマーウォーズ』の物語上必然的だった

細田守監督は本作まで一人も死なせなかった

物語のちょうど真ん中で栄おばあちゃんが亡くなります。前半で一族の団結を描き、中心となってきた栄を失った一族が再び団結するのを後半で描くという構成でしょう。 細田守監督は東映アニメーションで働いていた時に子供向けアニメを主に作ってきたことから人の死に抵抗感があり、『サマーウォーズ』までその作中で一人も死人を出してきませんでした。しかし本作では物語の流れとして必然的に「栄の死」を描かなければならなかった、とインタビューで答えています。 実は、最初のプロットでは栄は死なないという設定でした。しかし、家族が心をひとつにしていく過程でどうしても栄おばあちゃんが死ぬ必要があると考え、泣く泣く栄が死ぬストーリーに変更したそうです。

栄おばあちゃんの死を描きたくなかったもう一つの理由

細田監督は経験上、製作中の映画と現実がリンクしてしまうことが多く、製作当時、細田監督の祖母の健康状態が思わしくなかったため、栄の死を書いてしまうと、祖母が死んでしまうのではないかという葛藤もあったとのことです。『サマーウォーズ』は2009年8月公開ですが、細田監督は同5月に母を6月に祖母を亡くしています。 細田守はアニメ映画監督としての覚悟をもって、栄の死を必然性をもって描いたということになります。このシーンでは、栄の死に関して、ラブマシーンによる混乱の影響によるものという描き方をしつつも、医者である万作に「寿命だろう」というセリフを言わせているところに、細田監督の死生観がうかがえます。 また、栄の死後のシーンでは、朝顔や子供の授乳を描くことで、生命の循環を暗示しているように思えます。

花札で夏希が代表になった理由とは

ラストでラブマシーンに花札勝負を挑むシーンがありますが、この時、ラブマシーンと戦うのはヒロインの夏希です。ヒロインの見せ場を作ると言ってしまえばそれまでですが、夏希が選出されるシーンは描かれていませんし、また理由も直接言及されているシーンはありません。 物語内では、侘助に負けるシーンも描かれています。どうして、夏希が代表に選ばれたのでしょうか?

答えは小説版『サマーウォーズ』の中に

『サマーウォーズ』には角川文庫から出ている小説版があります。映画では描かれなかったキャラクターの心理やセリフが小説では描かれています。 栄が亡くなる前日に、健二と花札をするシーンで、「この家には、私に負けず劣らずの勝負強い子がいる」と話しています。夏希は勝負強いという認識が親族で共有されていたのかもしれません。

本作の悪役ラブマシーン、その正体とは

OZ内のみならず全世界の脅威となった人工知能「ラブマシーン」。その正体は侘助が作った知識欲を与えられたハッキングAIです。侘助から買い付けた米国の国防総省は実証実験場としてOZを利用しました。しかし、囲いの中から脱走して知識欲のままにOZ内を荒らしまわります。 物語上悪役として描かれているラブマシーンですが、彼の行動は悪意からくるものではありません。所詮「プログラムされたことをしている」に過ぎないからです。プログラムされたことをそのまま実行した結果大変な事態を招き最後は消滅させられる。ある意味悲しい存在とも言えるのかもしれません。

『サマーウォーズ』に出てくる陣内家の家紋とは?

栄の着物についている家紋は、”結び雁金”をモデルにしたもの。実はこの”結び雁金”という家紋は、実際に戦国武将・真田家が使っていました。(上の画像:真田家の家紋) どうやら、真田家自体が陣内家のモデルとして使われていたようです。

【考察】健二と夏希の恋はその後どうなったのか?

健二と夏希のキスシーン?で締められた映画版。初々しさ全開の二人でしたが二人の恋仲はその後どうなったのでしょうか。 全3巻刊行されている漫画版の最終巻ではおまけとして映画のラストシーンの後日の様子が描かれています。どうやらお互い意識しながらもまだ恋人関係には至っていない様子。 しかし、夏希は健二が東大を目指すことを知り、自分も東大を受験することを決めて必死に勉強しています。その理由を聞かれた夏希の返事は「やっぱり同じトコ行きたいじゃない」。侘助の事が思い浮かび落胆する健二ですがすぐに夏希の本心に気づきお互い赤面して締められています。どうやら二人の未来は明るいようですね。

『サマーウォーズ』と「ぼくらのウォーゲーム」が似ている!

本作に非常に似ている作りの作品が存在します。 インターネット上で戦う少年少女という世界観に加えて、背景などもそっくりで、一時は「パクリだ」と話題になったその作品は『デジモンアドベンチャー ぼくらのウォーゲーム!』という40分のアニメ映画。 実はこの作品も監督は細田守であり、2作の作りが非常に似ているのは『デジモンアドベンチャー 僕らのウォーゲーム!』の世界観や背景などに監督の思い入れがあり、『ぼくらのウォーゲーム!』で描けなかった深い物語を『サマーウォーズ』で描こうとしたのではないかと考えられます。 詳しくは以下の記事で説明しています。

聖地巡礼したいなら!『サマーウォーズ』の舞台は長野県

『サマーウォーズ』のメイン舞台となった場所があることはご存知ですか?そう、あの田舎町は実在するのです。 主な舞台は、長野県上田市です。上田駅や伊勢山バス停、上田市役所、上田高校、海野町商店......。さらには、夏希の実家もモデルがちゃんと存在します。陣内家の大豪邸から一望できる風景は、実際に砥石・米山城跡からの景色とほぼ同じです。そして、立派な家の門は上田城跡公園がモデルとなっているそう。 また、細田守監督の奥様のご実家が上田市であり、ご実家へ足を運んだことがきっかけで『サマーウォーズ』の世界観が生まれました。 ファンなら一度は訪れておきたい聖地ですね。

何度でも観たくなる!映画『サマーウォーズ』は夏の名作アニメ

2019年、公開10周年を記念して様々な特別企画が実施される『サマーウォーズ』。家族の歴史や命の移り変わりをテーマにした、家族でそろって楽しめる作品は夏の定番アニメ映画になりました。 夏はぜひ、みんなで『サマーウォーズ』を観て盛り上がりたいですね!