【ネタバレ考察】『果てしなきスカーレット』あらすじ・解説!死者の国や見果てぬ場所が意味するものとは?
『時をかける少女』(2006年)や『サマーウォーズ』(2009年)などで知られる細田守監督の新作『果てしなきスカーレット』が、2025年11月21日に公開されました。 前作『竜とそばかすの姫』(2021年)以来、4年ぶりとなるファン待望の新作。 この記事では、映画本編をもとに原作小説などから補完してあらすじネタバレ解説・考察を紹介します。 全体のあらすじはもちろん、映画では詳しく語られなかったドラゴンの正体や、老婆・墓掘り人の役割について考察して行きます。 ※本記事には『果てしなきスカーレット』のネタバレが含まれます。
タップできる目次
- 映画『果てしなきスカーレット』の作品概要【ネタバレなし】
- 映画『果てしなきスカーレット』あらすじをネタバレ解説!
- 【ネタバレ①】スカーレットは幼少期に父・アムレットの死を経験
- 【ネタバレ②】復讐の念を抱えたスカーレットは仇討ちを狙う
- 【ネタバレ③】スカーレットがたどり着いたのは死者の国
- 【ネタバレ④】“いい子ちゃん”の看護師・聖と出会い共に旅へ
- 【ネタバレ⑤】少女の言葉に決心するスカーレット
- 【ネタバレ⑥】いざ宿敵・クローディアスとの最終決戦へ!
- 【ネタバレ⑦】実はスカーレットは死んでいなかった
- 【考察①】ラストの展開は未来を見据えたスカーレットの覚悟?
- 【考察②】父「許せ」の意味は?復讐の連鎖を断ち切るきっかけに
- 【考察③】聖が死者の国に迷い込んだ理由とは?
- 【考察④】度々挟まるダンスシーンは自由の象徴?
- 【考察⑤】宮野真守&津田健次郎演じる墓掘り人の役割は?
- 【解説①】ドラゴンの正体は鳥の群れ?
- 【解説②】スカーレットを導く老婆の役割とは?
- 【解説③】死者の国&見果てぬ場所はどんな世界?
- 【解説④】側近・ポローニアス&レアティーズは何者?
- 【解説⑤】王妃・ガートルードは義理の母
- 【解説】『ハムレット』を元にしている部分はどこ?
- 【声優キャスト】芦田愛菜や岡田将生等豪華キャスト陣
- 『果てしなきスカーレット』の新しい映像表現
- 映画『果てしなきスカーレット』監督・脚本は細田守!原作小説も発売
- 細田守監督の最新作『果てしなきスカーレット』をぜひ劇場で観よう!
映画『果てしなきスカーレット』の作品概要【ネタバレなし】
| タイトル | 『果てしなきスカーレット』 |
|---|---|
| 公開日 | 2025年11月21日 |
| 上映時間 | 111分 |
| 監督・原作・脚本 | 細田守 |
| キャスト | 芦田愛菜 , 岡田将生 , 役所広司 |
| 主題歌 | 芦田愛菜「果てしなき」 |
| 劇中歌 | Maya&松田歩「祝祭の歌」 |
細田守監督最新作『果てしなきスカーレット』が、2025年11月21日に公開されました。 2024年12月23日に行われた「全世界配給&製作発表会見」では、細田監督は壮大なストーリーと新たなビジュアルへの挑戦が詰まった作品として、「生きづらい世の中、先行きの見えない世界で、それでも見る人に前を向いてほしいと思って、作っている」と話しました。 また本作は、「復讐をきっかけに“生きる意味”を見つける」ことがテーマになっています。 声優として、主人公スカーレット役を芦田愛菜、彼女とともに旅をする現代日本から来た看護師・聖役を岡田将生が務めています。
映画『果てしなきスカーレット』あらすじをネタバレ解説!

『果てしなきスカーレット』は原作のないオリジナルストーリーを描く作品です。細田監督は事前に「生と死に踏み込んだようなテーマを扱っている」と語っていましたが、その言葉通り本作は主人公・スカーレットの過酷な旅路を描き出します。 このあと、『果てしなきスカーレット』のネタバレあらすじを詳しく見ていきましょう。
【ネタバレ①】スカーレットは幼少期に父・アムレットの死を経験

舞台は中世デンマークの、とある国。国王・アムレットと彼の愛娘・スカーレットは民からの信頼を得ながら、幸せに暮らしていました。 スカーレットはおおらかな性格の父を慕い、アムレットもスカーレットを深く愛していました。
叔父・クローディアスと母・ガートルードが共謀
しかしアムレットの弟であり、スカーレットの叔父であるクローディアスは権力欲に駆られ、自らが王になることを望んでいました。一方、王妃のガートルードは「私はいつでも、王になる男のもの」と語り、権威や地位に固執しています。 そこで2人は共謀し、アムレット失脚を画策します。
処刑台で父・アムレットはスカーレットに訴えかける
クローディアスにはめられ、処刑されることになってしまったアムレット。彼はクローディアスの側近であるヴォルティマンドとコーネリウス、ポローニアス、レアティーズに囲まれて、処刑台に送られます。 彼はスカーレットになにかを叫び訴えかけますが、王の反逆を信じられない民衆の喧騒の中で、彼女には父がなにを言っているのか聞き取れません。 そうこうしているうちにアムレットは処刑されてしまい、スカーレットはなにもわからないまま父を見送るしかありませんでした。
【ネタバレ②】復讐の念を抱えたスカーレットは仇討ちを狙う
母と叔父を信用できないスカーレットは、父が信頼していた部下たちに稽古をつけてもらい、剣や戦闘の腕をあげていきます。 自分自身が強くなるために、日々稽古に励んだスカーレットは、強く立派に成長していきました。
クローディアスに毒を盛ろうと画策するが⋯⋯
父の仇を討つことだけを考えて生きてきたスカーレット。一方クローディアスにとって、兄の娘であり、自分や王妃に疑いの目を向けるスカーレットは邪魔な存在でした。 そんなある日、スカーレットはある宴でクローディアスの飲み物に毒を盛る計画を立てます。 しかしクローディアスもまたスカーレットに毒を仕掛けており、混濁する意識のなか、彼女は自身の死を覚悟するのでした。
【ネタバレ③】スカーレットがたどり着いたのは死者の国

死んだと思われたスカーレットは、ある場所で目を覚まします。そこはあらゆる時代、あらゆる国の敗戦士や死者がさまよう「死者の国」でした。 スカーレットはゾンビのような戦士たちに覆われ、赤い地面に引きずり込まれそうになりながら、復讐を果たせなかった悔しさに涙を流し泣き叫びます。
老婆から死者の国の死“虚無”を教わる
死者の国でスカーレットは、人が枯れ葉のように崩れ落ちていく様子を目にしました。 彼女はそこで出会った老婆に、死者の国で死ぬと「虚無」という永遠の死を迎えることを教えられます。そして「虚無」を恐れ、そこから逃れようとする人々は「見果てぬ場所」を目指すというのです。
見果てぬ場所を占領するクローディアスに再び復讐を誓う
そんななか、スカーレットはクローディアスもまた死者の国にいることを知ります。死者の国でも復讐のチャンスがあることを知り、クローディアスへの憎悪をより強くます。 彼は大軍を率いて、見果てぬ場所を占領しようとしていました。彼女は父の仇であると同時に、死者の国でも人々を苦しめる悪行を重ねるクローディアスに、今度こそ復讐を果たすため、再び旅を始めます。
【ネタバレ④】“いい子ちゃん”の看護師・聖と出会い共に旅へ

旅の途中、クローディアスの軍勢との戦いをくり返し疲弊していたスカーレットは、古戦場跡にたどり着きます。 そこで彼女が出会ったのは、現代日本から迷い込んだ看護師の聖。 クローディアスの手下に襲われ、応戦するスカーレットに「殺すな」「傷つけるな」と言う聖。スカーレットはそんな彼は「いい子ちゃん」だと反発します。 聖はこのままではスカーレットが多くの人を傷つけると考え、負傷者を治療するために彼女の旅に同行することにします。
敵・ヴォルティマンドと戦い父の死に近づく
クローディアスの側近・ヴォルティマンドが2人の前に現れます。クローディアスが聖を狙ったため、スカーレットはとっさに聖をかばい、負傷してしまいました。そうして2人の間に少しずつ信頼が芽生え始めます。 ヴォルティマンドから父の最期の言葉は「許せ」だったと聞いてスカーレットは剣を収めます。しかし父の最期の言葉の意味がわからず苦悩することに。 聖はヴォルティマンドを治療し、彼を解放します。敵までも治療する聖にあきれるスカーレット。
キャラバンと出会い聖のいた世界を知る
スカーレットと聖は、旅の途中でキャラバンと出会います。聖はキャラバンの人々を献身的に介護し、少しずつ信頼を得て中心的な存在になっていきます。 それを見たスカーレットは、自分が人を信じる気持ちを失っていたことに気づき、強い衝撃を受けました。
スカーレットは聖の世界にいる自分を見て⋯⋯
気絶したスカーレットは、聖がもといた現代日本の光景を夢に見ます。 楽しげに踊る人々のなかには、聖と自分に似た人物の姿が。自分もあのように笑えたらと思った瞬間、スカーレットは目を覚ましました。
【ネタバレ⑤】少女の言葉に決心するスカーレット

キャラバンと別れたあと、スカーレットと聖はクローディアス軍が占領している城の麓にある市場にたどり着きます。 そこでスカーレットは自分と同じような髪型の少女に出会いました。少女はスカーレットに「お姫様なの?」と聞きますが、スカーレットは否定。すると少女は「私がお姫様なら、私みたいな子どもが死なない世界を作る」と言います。それを聞いたスカーレットは自分の使命を思い出し、先に進む覚悟を決めます。 彼女は少女を抱きしめながら、涙を流すのでした。
【ネタバレ⑥】いざ宿敵・クローディアスとの最終決戦へ!

スカーレットと聖は市場を離れ、クローディアスの城へ攻め込むことにします。 スカーレットは火山の噴火やクローディアスの軍勢との戦いをくぐり抜け、頂上へ到着。しかしそこにクローディアスの姿はありませんでした。 代わりに宰相のポローニアスとその息子レアティーズが彼女を待ち構えており、スカーレットを殺そうと襲いかかってきます。
意外な人物がスカーレットの助けに入る!
スカーレットたちは応戦するものの、頂上にたどり着くまでの旅や戦いで疲弊していた彼らは劣勢に。 殺されそうになったところ、過去(16世紀)から死者の国にやってきた現在に渡ってポローニアスらから不要な暴力を受けてきたヴォルティマンドとコーネリウスに助けられます。 2人はポローニアスらは山から転げ落ち、虚無に帰りました。 かつての敵に見送られながらスカーレットは見果てぬ場所への階段を登ります。
見果てぬ場所でクローディアスと対面
見果てぬ場所にたどり着いたスカーレット。そこには大きな門があり、その前にクローディアスがいました。彼は門が開かないのはなぜなのか、自分の行いが悪かったからなのかと反省している様子でした。 スカーレットは復讐を果たすためにクローディアスに背後から近づきますが、そこで父の最期の言葉「許せ」を思い出し、クローディアスを許そうとします。
クローディアスの最期
しかしそのとき、反省したと思われたクローディアスがスカーレットを嘲笑し、彼女を攻撃してきました。応戦するスカーレットでしたが、父の最期の言葉が頭をよぎり、迷いが生じてしまいます。 激しい戦いのなか、突然ドラゴンが現れてクローディアスに雷を落とし、彼は死亡しました。
【ネタバレ⑦】実はスカーレットは死んでいなかった

見果てぬ場所に平穏が訪れると、老婆が現れ「このなかに死んでいない者がいる」と言います。スカーレットはそれは聖だと言いますが、実際には死んでいないのはスカーレットでした。 そして聖の体は少しずつ虚無化していきます。
聖が現代で命を落とした理由とは
現代日本で看護師をしていた聖は、通り魔事件が発生したとの通報を受け、現場に急行しました。そこでナイフを持った男が子どもに襲いかかりそうになるのを見て、聖はとっさに身を挺して子どもを守ったのです。 通り魔に刺された彼は命を落とし、死者の国にやってきたのでした。
元の世界に戻ったスカーレットは一人前の王女に
スカーレットは涙を流しながら、虚無化する聖を見送ります。彼女は聖に教えてもらった人を信じる気持ちの大切さを胸に、もとの世界に戻ります。クローディアスは誰かを毒殺しようと盃に毒を持ったものの、自分で間違えて毒を飲んでしまい死亡していました。 スカーレットはあの日夢で見た、聖が生きていた世界を思い出します。平和な未来が訪れるなら、聖がまた死ぬことはないだろうと考え、力を尽くすこと心に決めます。そしてスカーレットは新たな女王として君臨したのでした。
【考察①】ラストの展開は未来を見据えたスカーレットの覚悟?
死者の国から戻り女王となったスカーレットは、民衆の前で平和な未来を築くことを宣言します。そして主題歌の「果てしなき」が流れます。 その歌詞には「遥か彼方 時を越えて この身をすべて燃やし尽くして あなたへたどり着きたい もう一度」とあります。これは、スカーレットのもう1度聖に会いたいという思いが現れているのではないでしょうか。 スカーレットは自分の時代に平和な世界を作ることで、聖が巻き込まれたような不幸な事件の起こらない、平和な未来を実現したいと願っているのです。
【考察②】父「許せ」の意味は?復讐の連鎖を断ち切るきっかけに
スカーレットの父アムレットは、死の間際に娘に向かって「許せ」と叫んでいました。スカーレットはヴォルティマンドから、この言葉は「憎き相手クローディアスを許せ」という意味だと伝えられていましたが、ほかの意味も込められていることに気がつきます。 父アムレットは、「スカーレット自身を許して、復讐にとらわれず自分らしく生きろ」と訴えていたのです。 このことに気付いたスカーレットは、国を平和でしあわせな未来に導くため、民の前で自分の覚悟を語ります。
作中通して考えさせられる「許せ」
ヴォルティマンドから父の最期の言葉を知らされたあと、作中を通してスカーレットは「許せ」という何度も心のなかで反芻します。しかし当初彼女は何度も「許せない」とその言葉を否定していました。 本作のベースとなっている『ハムレット』では、殺された国王の亡霊が主人公である王子に「(自分を殺した相手を)許すな」と言います。 しかし本作ではそれとは真逆の「許せ」という言葉になっています。それによってスカーレットはハムレット以上に苦しみ苦悩することになりますが、復讐劇の現代的な解釈と見ることもできるのではないでしょうか。
【考察③】聖が死者の国に迷い込んだ理由とは?

本作の登場人物のなかで、現代から死者の国に迷い込んだのは聖だけです。では、なぜ彼は死者の国にやってきたのでしょうか。 救急出動中に刃物を持った男から子供を守ろうとした聖は、死んだ自覚がなく「俺は死んでいない」と度々口にします。生と死が混ざり合う死者の国に突然たどり着き、聖も困惑していました。 老婆は、死者の国は時代も場所も、生と死も超えて、すべてがひとつになる場所だと語っていました。ということは、現代日本で死んだ聖が死者の国にやってきても不思議ではありません。しかし彼がスカーレットに出会ったことには大きな意味があったと言えます。 復讐という「過去」に囚われていたスカーレットに、平和な国を築くという「未来」を考えさせる鍵になった人物であることは間違いありません。
【考察④】度々挟まるダンスシーンは自由の象徴?
作中では、キャラバンの踊り子が聖を誘い、彼が不格好ながらもフラダンスを披露するシーンや、2030年の渋谷で聖やスカーレットに似た女性が大勢の人とともに踊るシーンなど、ダンスシーンが何度も描かれています。 唐突に始まるダンスシーンは批判のもとにもなっていますが、そこにはどんな意味があるのでしょうか。 これは、ダンスを通して時代や場所が違っても人々はこころを通わせることができることを現しているのではないでしょうか。 また、これらのダンスシーンがとても明るい雰囲気で描かれていることも、死者の国の暗い雰囲気との対比で自由を象徴していると思われます。
【考察⑤】宮野真守&津田健次郎演じる墓掘り人の役割は?
人気声優の宮野真守と津田健次郎が演じた、灰色のフード付きローブを被った不気味な墓堀り人。彼らは棺桶には「お前の知りたがっている人が入っている」と言います。 スカーレットはてっきり父アムレットが入っていて「許せ」の意味を教えてくれると思いますが、棺桶はカラで、墓掘り人たちはその中に彼女を押し込めました。そして「お前が知りたいのはお前自身だ」と言うのです。それを聞いて困惑するスカーレット。 彼らはいったい、スカーレットになにを伝えようとしていたのでしょうか。
スカーレットが知りたい自分自身とは
スカーレットは死者の国に来た直後、赤い池でゾンビに引きずり込まれそうになりながら、「復讐という目的がなかったら、違う人生もあったのかな」と自問していました。 しかしクローディアスも死者の国にいると知ると、再び復讐の炎を燃やします。 そして終盤になって、父の最期の言葉「許せ」が「自分を許せ」という意味だったことに気づきました。スカーレットは復讐に囚われて、本来自分自身がやりたかったことを見失っていたと知るのです。
【解説①】ドラゴンの正体は鳥の群れ?

本作でドラゴンは非常に重要な役割を果たしています。スカーレットが死者の国に来た直後に姿を現したり、スカーレットを殺そうとしたクローディアスに雷を落としたりと、何度も登場してはその恐ろしくも神々しい存在感を発揮しています。 しかしドラゴンの正体は小さな鳥の群れでした。クローディアスに雷を落としたあと、鳥たちが集まってドラゴンを形作っていたことがわかります。この鳥の群れもまた作中を通して何度も描かれており、スカーレットの危機を何度も救った存在でした。
【解説②】スカーレットを導く老婆の役割とは?
スカーレットたちは市場で、頭頂部で髪をまとめ、白いドレッドヘアを垂らした老婆に出会います。 彼女は見果てぬ場所の門の前で、死者の国がどんな場所なのかをスカーレットに語って聞かせるなど、彼女の旅を見守ってきました。 聖とスカーレットのうち、どちらかが死んでいないと明かすのも彼女です。スカーレットの旅において、この老婆は聖とは違う意味で不可欠な存在でした。彼女はスカーレットを見守り、気づきを与えるきっかけともなりました。
【解説③】死者の国&見果てぬ場所はどんな世界?

本作でスカーレットと聖は死者の国を旅し、見果てぬ場所を目指しました。どちらも死んでいないスカーレットと死んだ聖が共存する不思議な世界です。 死者の国と見果てぬ場所は、それぞれに特徴的で、2つの場所は雰囲気が大きく違っています。しかし老婆がいうには、どちらも生と死が混ざり合う場所で区別はないのだとか。 それぞれどんな場所だったのか、振り返ってみましょう。
死者の国は行ってみたい地獄
死者の国はその名のとおり、死んだ人がたどり着く場所です。人は死んだあとは、善人は天国に昇り、悪人は地獄に堕ちると考えがちですが、実際にはそのような区別はなく、等しく死者の国に送られるのだとか。 赤い空が広がる砂漠のような不毛の地では、人々は決して豊かな暮らしを望むことはできません。 細田守監督は、死者の国について「行ってみたい地獄」をイメージして描いたと語っています。
見果てぬ場所はまさに天国
スカーレットは空に向かって伸びる透明な階段を登って見果てぬ場所にたどり着きました。階段を昇りきるとそこはウミガメのいる海で、砂浜を進むと、カラフルなジャングルが広がっていきます。そしてジャングルを抜けると、厳重に鎖と丸太で封鎖された大きな門がありました。 死者の国の先にあるという見果てぬ場所は、多くの死者が目指す天国のような場所です。
【解説④】側近・ポローニアス&レアティーズは何者?
クローディアスの陰謀に加担し、アムレットを処刑したポローニアスとレアティーズ。 ポローニアスは宰相で、常にクローディアスのそばにいる立場の人物です。レアティーズはポローニアスの息子で父と同じくクローディアス側の人間です。 彼らは任務に失敗した者たちを痛めつける残忍な人物で、ヴォルティマンドらもその被害にあっていました。
【解説⑤】王妃・ガートルードは義理の母
原作小説によると、王妃のガートルードはスカーレットにとっては義理の母です。彼女は自分が子どもを産んで、その子を未来の王にしたいと考えていました。 しかし王はスカーレットを溺愛しており、さらに彼女は子をなせなかったため、権力や立場を手に入れられない原因がスカーレットだと思い、義理の娘にきつく当たるようになったのです。
【解説】『ハムレット』を元にしている部分はどこ?
『果てしなきスカーレット』は、シェイクスピアの名作『ハムレット』と共通した部分が多数あります。 まずは、両方とも「復讐劇」であること。『ハムレット』は復讐劇の代表作として有名です。また復讐を誓う動機も「王である父を殺されたため」と共通しています。 さらに『ハムレット』で王を殺した叔父の名前はクローディアス、母の名前はガートルードで、『果てしなきスカーレット』の2人と同じ名前になっています。
「生きるべきか、死ぬべきか」ハムレットの問を考える
『ハムレット』でもっとも有名なセリフといえば、「生きるべきか、死ぬべきか、それが問題だ」です。『果てしなきスカーレット』では、この問いに「生きたい」という答えを出しています。 ラストシーンでスカーレットが死んでいないと判明したあと、彼女は聖と離れたくない、死者の国に残ると主張します。しかし聖はそんな彼女に「“生きたい”と言え」と諭します。 ただ「生きる」のではなく、「生きたい」という意志を持って生きること。それが聖との旅でスカーレットがたどり着いた答えでした。
【声優キャスト】芦田愛菜や岡田将生等豪華キャスト陣
スカーレット役/芦田愛菜

スカーレットは中世を生きるとある国の王女。19歳。父を殺されたうえに、「死者の国」をひとり旅することになる少女です。彼女の目的は宿敵に復讐を果たすこと。 特報が解禁された際、最後にスカーレットの「ここは?」のセリフが流れ、声優は誰なのか話題となりました。

同役を演じるのは芦田愛菜(あしだまな)です。中世を生きる19歳のスカーレットを演じるにあたり、ジャンヌ・ダルクやエリザベス1世などを調べて役作りに挑んだそう。
聖役/岡田将生

聖(ひじり)は現代の日本から「死者の国」へとやってくる青年です。現代では看護師をしていた人物で、復讐のために旅するスカーレットと行動をともにします。

聖役を演じるのは岡田将生(おかだまさき)。長編アニメの声優を務めるのはこれが初めてとなります。細田作品ファンを自称する彼にとっては、初参加の細田作品です。 困っている人は見過ごせない、誰にでも優しく差し伸べる聖を岡田がどう演じているのかも注目ですね。
クローディアス役/役所広司

クローディアスは権力を求め、兄であるアムレットを殺害し、王位に就きます。何らかの理由で「死者の国」におち、スカーレットの命を狙うように。

クローディアスを演じるのは、『バケモノの子』(2015年)など、これまでにも細田監督作品に出演している役所広司(やくしょこうじ)。 収録がトップバッターだったという彼は、ほかのキャストの演技も含めて、映画の完成をとても楽しみにしているようです。
アムレット役/市村正親

アムレットはスカーレットの父で、とある国の心優しい王です。しかし弟のクローディアスに嵌められ、処刑されてしまいます。

アムレットを演じるのは、映像、舞台と幅広く活躍する市村正親(いちむらまさちか)です。
ヴォルティマンド役/吉田鋼太郎

クローディアスの側近であるヴォルティマンドは、「死者の国」でスカーレットを狙います。 クローディアスを演じるのは、「おっさんずラブ」シリーズなどでおなじみの吉田鋼太郎(よしだこうたろう)です。
ガートルード役/斉藤由貴

ガートルードはスカーレットの母でアムレットの妻です。弱腰な夫を見限り、クローディアスの陰謀に加担します。 ガートルードを演じる斉藤由貴(さいとうゆき)は、近年では映画『変な家』(2024年)などに出演しています。
コーネリウス役/松重豊

クローディアスの側近で、腕っぷしの強いコーネリウス。 コーネリウスを演じるのは、「孤独のグルメ」シリーズなどで知られる松重豊(まつしげゆたか)です。
その他キャスト
そのほか「死者の国」でスカーレットを狙うクローディアスの側近を、山路和弘(やまじかずひろ)、柄本時生(えもとときお)、青木崇高(あおきむねたか)、染谷将太(そめやしょうた)が演じます。 また、「死者の国」でスカーレットたちが出会う少女を演じるのは白山乃愛(しろやまのあ)、老婆を演じるのは白石加代子(しらいしかよこ)です。 そのほか、人気声優の島崎信長や種崎敦美なども参加。どんな役を演じているかは劇場で確認してみてください! キャラクターやキャストについては、以下の記事で詳しく解説しています。
『果てしなきスカーレット』の新しい映像表現

『果てしなきスカーレット』の大きな見どころの1つは、そのビジュアルです。 記者会見で細田守監督は、スカーレットの姿が描かれたティーザービジュアルを発表した際、「一見、ストーリーボードやコンセプトアートに見えるかもしれませんが、この絵がそのまま動く前提でがんばっている」と語っています。 前作『竜とそばかすの姫』ではCGと手書きアニメーションの融合に挑戦し、圧倒的なビジュアルを実現しました。 実際に映画本編は細田監督の言ったとおり、美しいキャラクターなどが滑らかに動く美麗な映像に仕上がっていました。CGと手書きのアニメーションを織り交ぜた表現で、背景や踊っている人々の顔なども、細かく描き込まれていました。
映画『果てしなきスカーレット』監督・脚本は細田守!原作小説も発売

細田守はこれまで、『バケモノの子』(2015年)、『未来のミライ』(2018年)、『竜とそばかすの姫』などで、監督だけでなく脚本も担当してきました。 これらの作品は、脚本の面では賛否両論ある作品が多い印象ですが、繊細な描写や映像の美しさには揺るがない評価がされてます。 『果てしなきスカーレット』は新たなルックを追求しているとのことで、映像面にも注目してぜひ劇場でご覧ください。
原作小説が発売
本作は細田監督のオリジナル作品です。11月の映画公開に先駆け、監督が自ら書き下ろした原作小説が10月24日に発売されました。映画では描かれなかった真相も、小説版を読むことで明らかになります。 通常の小説に加え、すべての漢字にふりがながついた児童文庫版の発売も決定。こちらも小説版と同時に発売されました。
細田守監督の最新作『果てしなきスカーレット』をぜひ劇場で観よう!

細田守が脚本・監督を手掛ける最新作『果てしなきスカーレット』。新たなルックに挑戦しているという本作は、映像面だけでなく、ストーリーにも注目です。 『果てしなきスカーレット』は2025年11月21日より公開中です。






