「ジョーカー2」ネタバレ考察!ラストやミュージカルが採用された意味とは?
タップできる目次
- 映画「ジョーカー2:フォリ・ア・ドゥ」のあらすじ【ネタバレなし】
- 【ネタバレ】映画「ジョーカー2:フォリ・ア・ドゥ」結末までのあらすじ
- ラストシーンを考察!殺されたのはジョーカーかアーサーか
- 【ネタバレ解説①】ミュージカル要素の意味は?根底にあるドラマツルギー論
- 【ネタバレ解説②】二重人格をどう捉えるか?都合のいい役柄としてのジョーカー
- 映画「ジョーカー2:フォリ・ア・ドゥ」に続編の可能性はあるのか
- 映画「ジョーカー2:フォリ・ア・ドゥ」のトリビア
- 映画「ジョーカー2:フォリ・ア・ドゥ」のキャスト解説
- 前作『ジョーカー』のあらすじ
- 映画「ジョーカー2:フォリ・ア・ドゥ」のラストをあなたはどう捉える?
映画「ジョーカー2:フォリ・ア・ドゥ」のあらすじ【ネタバレなし】
タイトル | 『ジョーカー:フォリ・ア・ドゥ』 |
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公開日 | 2024年10月11日 |
上映時間 | 138分 |
監督 | トッド・フィリップス |
キャスト | ホアキン・フェニックス , レディー・ガガ |
DCコミックスに登場し、バットマンの宿敵となるスーパーヴィラン「ジョーカー」。何人もの俳優がジョーカーを演じてきましたが、ホアキン・フェニックス演じるジョーカーはそれまでとはまったく違ったジョーカー像を作り出しました。 映画『ジョーカー』(2019年)は、DCエクステンデッド・ユニバースからも独立した作品。そのため続編も自由度が高く、まさかのミュージカル、レディー・ガガという意外なキャスティングが話題に!「フォリ・ア・ドゥ」ではハーレイ・クインとジョーカーの出会いが描かれます。
映画「ジョーカー2」のあらすじは?
心優しき道化師のアーサー・フレック(ホアキン・フェニックス)は、緊張すると笑ってしまう発作に苦しむ青年。病と貧困に苦しんだ末、衝撃的な事件を起こして精神病院「アーカム・アサイラム」に収容されていました。 事件のせいで理不尽な格差社会の代弁者となり、彼を盲信する者たちも現れ、皮肉にも時代の寵児となった「ジョーカー」ことアーサー。 そんな彼が軽症病棟に通う女性リー(レディー・ガガ)と出会い、次第にお互い心を許すようになっていきます。アーサーの狂気はやがてリーにも伝染していき、さらにそれは世界へと伝播していくことに。アーサーとリーの愛と狂気の行方はどこへ向かうのか……衝撃的な結末が訪れます。
タイトル「フォリ・ア・ドゥ」の意味とは?
副題の「Folie à Deux(フォリアドゥ)」はフランス語で「2人狂い」という意味。「感応精神病」と呼ばれる医学用語でもあり、1人の妄想が近くにいるもう1人に伝染し、複数人で同じ妄想や狂気を共有する精神障害を指します。 アーサーの妄想と狂気がリーに伝染し、それがさらに社会にも伝播していく様子をこの副題が表しています。
【ネタバレ】映画「ジョーカー2:フォリ・ア・ドゥ」結末までのあらすじ
起:アーカム州立病院に収容されたアーサー
人気テレビ司会者のマーレーを生放送中に殺害し、アーカム州立病院に収容されているアーサー・フレック。それまでに殺害した5人の殺人罪で起訴されながらも、精神疾患を理由に死刑を免れようと画策する弁護士スチュワートが、アーサーに精神鑑定を受けさせていました。 弁護士の主張は、アーサーは幼少期に受けた虐待により「ジョーカー」という別人格を生み出してしまい、殺人はすべてジョーカーが行ったというもの。すべて弁護士の言う通りに従っていたアーサーでしたが、精神鑑定を受ける度に過去のトラウマを引きずり出されることに嫌気が差していました。 ゴッサム・シティではジョーカーは悪のカリスマと化していて、彼の再現ドラマも放送されている模様。しかし塀の中のアーサーが知る由もなく、ただ看守たちに虐げられる日々を過ごしています。
承:謎の女リーとの出会いと恋
そんなアーサーの前に、1人の女性が現れました。彼女の名はリー。軽症者の病棟で音楽療法に参加していたリーは、通りすがりのアーサーに向かって声をかけ、指で頭を撃ち抜く真似をしてみせました。 歌が好きな看守のジャッキーは、アーサーにこの音楽療法が受けられるように手を回します。リーとアーサーはそこで再会しますが、実はリーはジョーカーのドラマを50回も観るような信奉者でした。2人は歌うことで距離を近づけ、瞬く間に恋に落ちていきます。 アーカムで映画が上映された晩、リーは「ここから逃げ出そう」と誘いますが、映画に集中するアーサー。リーは大胆にも火事を起こしてアーサーを連れ出しますが、すぐに連れ戻されます。しかしマスコミに大きく取り上げられ、2人のロマンスは世間が知るところとなったのでした。
転:波乱を呼ぶジョーカー裁判
ついにアーサーの裁判が始まり、スチュワート弁護士とともに法廷に立つことに。リーも傍聴席で彼を見守っています。アーサーの罪を追及するのは、彼に死刑を求刑しようとする若手検事のハービー・デント。 次々と呼ばれる証人に自分のトラウマや心の傷を抉られ、リーを遠ざけようとするスチュワートに疑念を持ち始めたアーサーは、ついに弁護士を解任してしまいます。そしてなんと、ジョーカーの装いで自ら弁護することを宣言。リーもこれに賛同し、2人はより固い絆を築いていきました。 デント検事が最後に呼んだ証人ゲイリーはアーサーの元同僚で、心優しかった本当のアーサーを認めていた唯一の人物。彼の心からの証言に動揺したアーサーは、最終弁論で陪審員に「ジョーカーはここにはいない」と本音を語り出し、失望したリーは法廷を去ってしまいました。
結:リーとアーサーの恋の結末
判決が言い渡される法廷で、陪審員から1件ずつ「有罪」であることが述べられていた時、アーサーの背後で突然大爆発が起こります。瓦礫から起き上がったアーサーが目にしたものは、半身を爆風で焼かれたデント検事や吹き飛ばされた陪審員たち。 ボロボロのまま外に這い出ると、ジョーカーの模倣者に車に連れ込まれ、そのまま逃げるはめに。しかしアーサーは車から降り、偽ジョーカーから走って逃げ去りました。 辿り着いたのは、アーサーがジョーカーとして覚醒したあの階段。そこにはリーが佇んでいました。喜んで駆け寄るアーサーに、リーは「あなたはジョーカーじゃない」と別れを告げるのでした。 アーカムに連れ戻され、熱狂から覚めたような日々を過ごしていたアーサー。面会に呼ばれた際、後をついてきた若い囚人に突然腹を刺され、アーサーはその場に倒れ込みます。その目にはもう何も映ってはいませんでした。
ラストシーンを考察!殺されたのはジョーカーかアーサーか
アーサーが若い囚人に刺殺されるという衝撃的なシーンで幕を閉じた『ジョーカー:フォリ・ア・ドゥ』。評価が大きく分かれるこのラストは、2つの捉え方ができそうです。
【考察①】アーサーの幕引き、新たなジョーカーの誕生
アーサーを殺した若い囚人はその直後、自らの口元を笑顔になるように切り裂いて笑っていました。 彼がアーサーに語ったジョークは「サイコパスとピエロ」の話。ピエロはもちろんアーサーのことであり、サイコパスは彼自身のことだったのでしょう。このラストから、アーサーが死んで新しいジョーカーが生まれたとも考えられます。 ただし、この演出は「ジョーカー」の続編を期待させるためという訳ではなく、あのラストシーンを観て次のジョーカーを望む社会の期待が、ジョーカーを生み出しているというメッセージなのではないでしょうか。
【考察②】独り歩きする「ジョーカー像」の破壊
あのラストシーンにおいて、殺されたのは「ジョーカー」という虚構そのものという捉え方も可能です。 実は本作の終盤では、前作『ジョーカー』を彷彿とさせるシーンが多く登場しています。法廷での最終弁論では前作ラストの「ノック、ノック」のジョークが披露され、法廷が爆破された後に支持者の車に乗って逃走する流れも同じです。しかし、今作では「ノックノック」「どなた?」に対する答えは「アーサー・フレック」になっており、支持者の車からは途中で逃げ出していました。 これらを踏まえると、ラストで殺されたのは人々が作り出した悪のカリスマとしての「ジョーカー」であるとも考えられます。この直後には、「これが人生」と歌うエンディングが流れており、本作はジョーカーを神格化するのではなく、現実にありうる1人の人間として描こうとしていたのではないでしょうか。
【ネタバレ解説①】ミュージカル要素の意味は?根底にあるドラマツルギー論
「これがエンターテインメント」?決められた役割を演じるジョーカー
前作とは異なるミュージカル要素を取り入れた「ジョーカー2:フォリ・ア・ドゥ」。実は、劇中でリーとともに歌う楽曲はほとんどアーサーの妄想の中のもので、現実と妄想の線引きをミュージカルシーンで作り上げています。 その中でも、劇中で何度もリプライズされたのが「これがエンターテイメント」と歌う楽曲です。この印象的な歌をはじめとした本作の根底には、社会学におけるドラマツルギーという考え方があるのではないでしょうか。 ドラマツルギーは、人はみな会話において最適な役割を認知し演じる事で社会を成り立たせようとしている、という社会を演劇に例えた考え方です。本作において、アーサーは社会が求めるジョーカー像を演じているという意識が強く、最終的にはそれに疲れてしまったようでした。 また、法廷でジョーカーが自己弁護を行う際には、アクセントもわざとらしく、立ち居振る舞いもアーサーとは全く違います。まるで、「映画やドラマで見る弁護士」を模倣するようなシーンからも、アーサーが社会が求める役割と自分との差に葛藤していたことが伺えるのではないでしょうか。
テレビを通して意識させられる「観客」の存在
ドラマツルギー論に関連して、もう1つ注目したいのがテレビの存在です。リーとのミュージカルシーンがテレビ番組調になっているのはもちろんのこと、法廷でのシーンではテレビカメラに映るジョーカーが何度も印象的に使われています。 テレビカメラを通して、テレビに映るジョーカーの「演者」としての道化の役割を強調するのは勿論ですが、それを観る「観客」としての私たちにも意識を向けさせる意図があると言えるでしょう。 ドラマツルギー論においては、人のアイデンティティは「演者」と「観客」の間での合意をもとに形成されていくとされています。「現実と虚構」、「ジョーカーとアーサー」の境界が観客の見方にゆだねられている点も、ドラマツルギー論に基づいていると考えられます。
【ネタバレ解説②】二重人格をどう捉えるか?都合のいい役柄としてのジョーカー
リーが見ていたカリスマとしての「ジョーカー」
リーはジョーカーの信奉者であり、再現ドラマを観て悪のカリスマである「ジョーカー」に惹かれていました。実際、劇中でリーが彼のことを「アーサー」と呼んだのは、最後に別れる際に言った「さよなら、アーサー」の1回だけ。 一方で、アーサーはリーとともに生きたいと願い、最終弁論で本当の自分に戻って母親を殺害した6件目の罪も告白しています。法廷から脱走してきた後に階段で再会した時も、「アーサー」自身として彼女に語りかけました。しかしこの時すでに、リーはアーサーが「ジョーカーではない」と決別していたのです。 リーはアーサー自身ではなく、ジョーカーという「エンターテインメントの中のキャラクター」に恋していただけ。だからこそ最後の最後まで「ザッツ・エンターテインメント」を口ずさんでいたのでしょう。自らショーの舞台を降りたアーサーを責めるように。 結局のところ、本当のアーサーを認めていたのは、元同僚のゲイリーだけだったのかもしれません。
助けが必要な患者としての側面
リーとは対照的にアーサーを捉えていたのが、スチュアート弁護士です。彼女は、センセーショナルな事件を起こしたのは、幼少期の母親からの虐待というトラウマから逃れるためにアーサーが作り出したジョーカーという別人格だと主張します。彼女にとってアーサーは、精神的な病から助けが必要な患者として写っていたのです。 確かに、アーサーが医療の助けを必要としていたのは間違いないでしょう。しかし、ジョーカーを完全な別人格として捉えるスチュアート弁護士の見方もまた完全ではないのかもしれません。
どちらが本当のアーサー・フレックなのか
本作では、リーとスチュアート弁護士を通してアーサーの2つの側面が描かれています。私たち観客もつい、自分に都合のいいように、悪のカリスマ・ジョーカーと社会的に弱いアーサーという捉え方をしてしまうのではないでしょうか。 しかし、そのどちらも本当の彼を理解したことにはならないのでしょう。法廷でアーサーが「誰も僕を理解してくれない」と吐露したように、対照的に見える2つの人格はあくまで社会や観客が彼に期待している役割にすぎないのかもしれません。 ちなみに、本作のエンドロールは「アーサー・フレック役/ホアキン・フェニックス」となっており、ジョーカーの名前はありませんでした。
映画「ジョーカー2:フォリ・ア・ドゥ」に続編の可能性はあるのか
現時点では、続編に対する情報はなく、ホアキン・フェニックスの「ジョーカー」は今作で最後になりそうです。 DC映画にもお約束なミッドクレジットやポストクレジットのシーンはまったくなく、トッド・フィリップス監督は徹底してこのシリーズを独立系のDC映画として制作していました。今作でホアキン・フェニックスの「ジョーカー」シリーズを完結させるつもりで取り組んだ様子もうかがえます。 一方で、リーの「子供がいる」という発言の真偽や、顔が半分焼けただれトゥーフェイスとなったハービー・デント刑事など、今後を期待させる伏線も残っています。
映画「ジョーカー2:フォリ・ア・ドゥ」のトリビア
OPの衝撃!ルーニー・テューンズ風のアニメーションシーンの意味とは
本作の冒頭から唐突に始まるのは、なぜかオールドスタイルなアニメ!最初のワーナー・ブラザースのロゴも昔ながらのもので、まるで「ルーニー・テューンズ」シリーズのような作風です。このシリーズといえばワーナー・ブラザース製作で、バックスバニーやトゥイーティーといったキャラクターで有名。 アニメのストーリーはジョーカーと彼の影のブラックコメディ。実はこれは前作のおさらいになっており、今作のメインテーマである「2つの人格」についても先に触れているのです。 アニメ制作を担当したのは、フランス人アニメーション監督のシルヴァン・ショメ。『ベルヴィル・ランデブー』(2002年)や『イリュージョニスト』(2010年)などで知られています。
劇中の音楽は実は書下ろしではない?
本作の劇中で使用された楽曲はほぼ既存のミュージカルナンバーですが、あまりにも場面と心情にぴったりな歌詞も相まって、この作品のために書き下ろされたかのようです。 例えば病院の娯楽室で観ていたミュージカル『バンド・ワゴン』の楽曲「ザッツ・エンターテインメント」は、本作のテーマの1つである「人生はショー」という側面も表現しており、何度か劇中で歌われます。 また、アーサーがジョーカーの出で立ちで法廷で歌う「ザ・ジョーカー」はミュージカル『ドーランの叫び、観客の匂い』の楽曲ですが、その場のジョーカーの心情にマッチしたこれ以上ない選曲! スタンダード・ナンバーが多いのは、母親と過ごした幼少期に一緒に聴いていたと思われる楽曲をイメージして厳選されているからでしょうか。
トゥーフェイス誕生譚がサラッと描かれている?
本作は「バットマン」シリーズのヴィラン「トゥーフェイス」が登場するのか、という点も注目されていました。実際トゥーフェイスになる前のハービー・デント検事は登場し、ジョーカーと法廷で相対しています。 そして法廷がジョーカーの信奉者による爆破テロで吹き飛ばされた際、デント検事は顔の左側を負傷した姿で辛うじて生存していました。DCコミックスのオリジンであるハービー・デントも、法廷で犯罪者に硫酸をかけられたことで顔の左側に大やけどを負って、トゥーフェイスに覚醒しています。 「フォリ・ア・ドゥ」に続編がないとしても、この描写はオリジンや『ダークナイト』のトゥーフェイスにオマージュを捧げているシーンとして考えても良いのでは?
法廷でジョーカーの髪色が緑ではない理由とは?
スチュワート弁護士を解任した後、アーサーはジョーカーのメイクで出廷し、自ら弁護を行いました。その時はジョーカーのメイクだけで、髪は緑色ではありません。この理由として、トッド・フィリップス監督はインタビューで「それは実用的なことだ」と語っています。 現実的に考えて、わざわざ髪まで染めるのを許さないのでは?ということ。法廷のシーンはアーサーの妄想ではないので!
ミュージカルシーンはすべて生歌?
本作のミュージカルシーンは、すべて生演奏に合わせて生で歌った音声が収録されているそう。もちろん口パクはなし! 生録音中も演者はイヤホンをして、その場で監督や演奏者とコミュニケーションが取れるようにしていました。伴奏に合わせて生録音することで、臨機応変にテンポやトーンなどの変更にすぐ対応できたようで、よりクリエイティブな現場になっていたようです。 レディー・ガガはもちろんのこと、ホアキン・フェニックスも2005年の映画『ウォーク・ザ・ライン/君につづく道』でジョニー・キャッシュ役を演じ、劇中歌唱の経験があったために実現したといえるでしょう。
象徴的な階段はジョーカーの誕生と死を意味していた?
1作目で、『ジョーカー』といえばあの階段!というぐらい強い印象を残した、いわゆる「ジョーカーの階段」。この階段は実際にニューヨークのブロンクスにある階段で、いまや有名な観光名所にもなっています。 1作目ではこの階段をジョーカーの出で立ちでダンスしながら降りていき、マレー・フランクリン・ショーに向かいました。この時、アーサーの中に「ジョーカー」が誕生したといえるでしょう。 そして続編ではこの階段で、リーに「あなたはジョーカーじゃない」と言われ、別れます。つまりここで、ジョーカーが生まれて死んだのです。
マーティン・スコセッシに激似の裁判官が登場していた?
アーサーの裁判でロスワックス裁判長を演じるビル・スミトロヴィッチは、マーティン・スコセッシのアイコニックな黒縁メガネをかけており、明らかに彼の外見に寄せています。スコセッシといえば、トッド・フィリップス監督が『ジョーカー』制作にインスパイアされた映画『タクシードライバー』(1976年)と『キング・オブ・コメディ』(1983年)の監督。 さらに「フォリ・ア・ドゥ」のミュージカル要素は、スコセッシ監督の『ニューヨーク・ニューヨーク』(1977年)に影響を受けたようです。マレー・フランクリン役のロバート・デ・ニーロは、この3作すべてで主演を務めています。
リーが頭に銃を撃つ仕草は1作目のソフィーとそっくり?
リーとアーサーが初めて出会うシーンで、リーが手で銃を作って自分の頭を撃つ真似をしていますが、これは1作目でソフィーがアーサーに向けてして見せたのと同じ仕草。ソフィーとの恋愛はアーサーの妄想でしたが、リーとの恋もアーサーの妄想から始まっている?というフラグでしょうか? またこのジェスチャーは、『タクシードライバー』で主人公のトラヴィスがラストで見せるものと同じ。ここにもオマージュが隠されていました。
カラフルな傘はジョーカーのスーツの色?
アーサーが軽症病棟に連れて行かれる途中、通路を横切る時に雨が降っているシーンがあります。カメラは彼らを上から俯瞰しますが、アーサーを取り囲む4人の看守たちが持っているのは、色とりどりの傘。 その色は、1作目でジョーカーがマレー・フランクリン・ショーに出演した時に着ていたスーツの色に似ています。これは、アーサーがまだ前作の幻想の中にいて、彼が今も「ジョーカー」であること示す演出なのでしょうか。
ダンスシーンの舞台はホテルアーカム?
ジョーカーとリーがタキシードとドレスを着てビルの屋上で踊っているシーンでは、2人の背後に「ホテル・アーカム」というネオンが見えます。アーカムはアーサーが収監されているアーカム州立病院のことであり、これが示すのは2人がまさに「フォリ・ア・ドゥ」=二人狂いの妄想状態にあるということ。 また、ここでの2人のポーズはアレックス・ロスのコミック「The Joker/Harley Quinn: Uncovered #1」の表紙をオマージュしたようにも見えます。
アーサーのサインが書かれた本の作者とは?
最初のインタビューの前に、アーサーは看守の1人から本にサインを書くよう頼まれます。その本はなんと、1作目でアーサーが出演したマレー・フランクリン・ショーの番組プロデューサーの著書! タイトルは「The Night the Laughter Died (笑いが死んだ夜)」(ジーン・ウルフランド著)で、アーサーがマレーを殺害したのを目の当たりにした体験談が書かれていると思われます。
裁判中のアーサーのダブルピースはニクソン大統領退任時のポーズ?
裁判の初日、アーサーが法廷でダブルピースをして勝利を宣言してみせましたが、このポーズは元アメリカ大統領ニクソンが辞任した時の姿を彷彿とさせます。ニクソンは選挙前の敵陣に盗聴器を仕かけた政治スキャンダル「ウォーターゲート事件」によって、1974年に辞任に追い込まれました。 そんな不吉なポーズを初日にしたアーサーが、裁判で勝利できるとは思えませんね……。
法廷でジョーカーが披露した南部訛は名作映画のキャラクターが由来?
スチュワート弁護士を解任し、自ら弁護人を務めることになったアーサー。ジョーカーの姿で法廷に立ちますが、元同僚の証人ゲイリー・パドルズに対する質問を南部訛りで発音していました。 これは1962年の映画『アラバマ物語』に登場する弁護士アティカス・フィンチの真似をしているようです。この作品は人種差別問題を扱った社会派ドラマで、フィンチ弁護士は正義感あふれる弁護士として有名。
映画「ジョーカー2:フォリ・ア・ドゥ」のキャスト解説
アーサー・フレック役 | ホアキン・フェニックス |
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リー/ハーレイ・クイン役 | レディー・ガガ |
ソフィー・デュモンド役 | ザジー・ビーツ |
ゲイリー役 | リー・ギル |
ジャッキー・サリヴァン役 | ブレンダン・グリーソン |
ハービー・デント役 | ハリー・ローティー |
メアリーアン・スチュワート役 | キャサリン・キーナー |
パティ・マイヤーズ役 | スティーヴ・クーガン |
アーカム・アサイラムの警備員役 | ジョン・レイシー |
アーサー・フレック(ジョーカー)役/ホアキン・フェニックス
緊張すると発作的に笑い出してしまう病気を患っているアーサー・フレックは、精神安定剤が手放せない日々と貧困に苦しんでいました。派遣のピエロとして働きながら年老いた母と暮らし、コメディアンとして成功することを夢見るアーサー。しかし彼は、あることをきっかけに次第に精神を病んでいき、狂気の犯罪者「ジョーカー」として覚醒していきます。 ジョーカー/アーサー・フレックを演じたホアキン・フェニックスは、演技派として高い評価を受ける俳優です。『グラディエーター』(2000年)や『ザ・マスター』(2012年)、『her/世界でひとつの彼女』(2013年)などへの出演でも知られています。
リー(ハーレイ・クイン役)/レディー・ガガ
続編にはジョーカーの恋人であるハーレイ・クインが登場します。元精神科医でありながらジョーカーの狂気に取り込まれ、ヴィランとなってしまったハーレイが描かれるようです。 そんなハーレイ・クインを演じるのはレディー・ガガ。歌姫として有名なレディー・ガガは、2018年に『アリー/スター誕生』で映画主演を務めました。この作品のプロデューサーは「ジョーカー2」の脚本、監督を手掛けるトッド・フィリップスであることから、オファーが来たのではないかと予想できます。 ミュージカル映画となる続編ではレディー・ガガ演じるハーレイ・クインの歌声にも期待が高まります。
ソフィー・デュモンド役/ザジー・ビーツ
アーサーの隣人のシングルマザー、彼の妄想の恋人として前作に登場したソフィー・デュモンドが続編にも登場します。 ソフィーを演じたのは、アメリカ出身の女優ザジー・ビーツ。2016年のテレビドラマ『アトランタ』で演じたヴァネッサ・“ヴァン”・キーファー役で注目され、2018年の映画『デッドプール2』ではドミノ役を演じています。
アーカム・アサイラムの署長役/ブレンダン・グリーソン
アーサーが収容されている精神病院「アーカム・アサイラム」の署長ジャッキー・サリヴァンを演じるのは、アイルランド出身の俳優ブレンダン・グリーソンです。 「ハリー・ポッター」シリーズのマッドアイ・ムーディ役でよく知られており、2022年にはアイルランドを舞台にした映画『イニシェリン島の精霊』に主演して、アカデミー賞助演男優賞にノミネートされました。
ハービー・デント(トゥーフェイス)役/ハリー・ローティ
バットマンの宿敵の1人であるスーパーヴィラン「トゥーフェイス」となる、ゴッサム・シティの地方検事ハービー・デント。続編に登場し、アーサーを起訴する役を担います。 演じるのは、イギリス出身の俳優ハリー・ローティ。2021年のイギリスのドラマ『インダストリー』のロバート・スペアリング役で知られています。
前作『ジョーカー』のあらすじ
1981年。大都市ゴッサム・シティは財政の崩壊により街には失業者や犯罪者があふれ、貧富の差は拡大しつづける一方でした。そんな街に住むアーサー・フレックは、派遣ピエロとしてわずかな収入を得ながら、年老いた母と一緒に暮らしています。しかし彼は緊張すると発作的に笑いだしてしまう病気のため、精神安定剤を手放せない毎日に苦しんでいました。 コメディアンとして人を笑わせ、しあわせにすることを夢見ていたアーサー。しかし彼はあるとき、ふとしたきっかけで殺人を犯してしまいます。顔は知られていないながらも、貧困層を富裕層の対立の象徴となっていった彼の精神は、次第に崩壊していき……。
映画「ジョーカー2:フォリ・ア・ドゥ」のラストをあなたはどう捉える?
世界中で高評価を獲得し、大ヒットした作品の続編として期待が寄せられる本作。主演のホアキン・フェニックスと監督のトッド・フィリップスが続投し、さらなる「ジョーカー」の世界が描かれることに注目が集まっています。 日本でも2024年10月11日より劇場公開され、サウンドトラック日本盤が公開に先駆けて10月9日に発売されました。レディー・ガガがハーレイ・クイン役を演じ、ミュージカルにチャレンジした続編。前作からどのような進化と変化を遂げたのか、ぜひ劇場で見届けましょう!