『うる星やつら』ラムはなぜかわいいの？声優や正体についても解説！

1981年からテレビアニメが放送され大ブームを巻き起こした『うる星やつら』。『犬夜叉』などで知られる高橋留美子の大ヒット同名漫画を原作とした本作の大人気ヒロインは、鬼の角が生えたビキニの美少女「ラムちゃん」です。 男女問わず読者・視聴者の指示を集め、今なお愛されるラムちゃんは、なぜそんなにかわいいのでしょうか。本記事ではラムちゃんの魅力や、彼女の正体などについて紹介していきます！

ラムは「うる星(ラム星/鬼星)」から来た鬼型宇宙人です。地球侵略を企む鬼族が仕掛けた、地球を賭けた地球代表VS鬼族代表の「鬼ごっこ」。その鬼族代表として参加したのがラムでした。 ラムとの鬼ごっこに参加することになったあたるは、恋人のしのぶから「勝ったら結婚」と言われてやる気を出し、「結婚じゃー！」と叫びながらラムを捕まえて鬼ごっこに勝利します。ラムは自分がプロポーズされたと勘違いし、あたるの婚約者として地球に住むようになりました。 ラムの最大の特徴は、「〜だっちゃ」「〜っちゃ」が語尾につくラム語。この語尾は海外でも有名です。

当初『うる星やつら』は5話連載としてスタートし、ラムは第1話にのみ登場するゲストキャラの予定でした。作者の高橋留美子はインタビューで「第3話でラムをまた出せると気づき、そこからあたる、しのぶ、ラムの三角関係が5話連載の軸になりました」と語っています。 その時はラムとしのぶのどちらがあたるとカップルになるか決めておらず、連載が続いてから自然とラムがヒロインの立ち位置になったそうです。そうしてラムは登場回数が増えていき、最終的には主人公とも言えるほどの代表キャラクターとなりました。

『うる星やつら』は1981年10月より4年半に渡ってテレビアニメが放送されたほか、6本の劇場版が制作されています。1981年版のテレビアニメと『うる星やつら オンリー・ユー』(1983年)をはじめとする劇場版6作品は平野文がラムの声優を担当しました。 2022年10月より再アニメ化され放送される2022年版テレビアニメでは、ラムの声を上坂すみれが担当します。2022年版はフジテレビ系の深夜アニメ枠「ノイタミナ」にて放送予定です。

勘違いからあたるの婚約者になった天真爛漫な性格のラムは、諸星家に住み着いてあたるを「ダーリン」と呼び、終始あたるの妻として愛情を示し続けます。あたるがラムにつれない態度をとっても、父親や従弟にあたるのことは諦めて帰るように勧めても、決して諦めようとしないのです！ あたるのそばにいられるだけでも「うち、幸せだっちゃ」と喜び、悲しくなると1人で涙を浮かべる姿はいじらしく、とっても可愛いです。また初期はしのぶに対してライバル心を剥き出しにし、浮気性のあたるが浮気と感じる行動をとれば嫉妬心を剥き出しにします。 一途で素直なラムに、「あたるなんかやめて俺(私)にしろ！」と大勢の読者が思ったことでしょう。

あたるにはつれない態度をとられるラムですが、美人でスタイルも抜群。ラムに魅了される男性キャラクターも多く、「ラム後援会(アニメではラム親衛隊)」も存在しています。あたるも鬼ごっこを始めるときは、美人な女子が相手だと知ってにやけていました。 またラムは高校に通いだすまで、虎縞模様のビキニとロングブーツという露出度の高い服装が普段着で、身体の曲線美や谷間が見えておりとてもセクシーです。鬼ごっこではあたるにブラジャーを取られてしまい、両手で胸を隠しながら逃げなくてはいけなくなり、それが鬼ごっこの敗因となりました。 高校に通い出してからはセーラー服など普通の服装することも増えますが、肌の露出が減っても可愛いです。

高橋留美子が一番初めに書いたラムの原案スケッチは、「ショートヘアでビキニ」と「ロングヘアでミニワンピ」の2案がありました。どちらにしようか迷った末、最終的には1978年の正月に両方の案を混ぜた「ロングへでビキニ」というラムに決定したそうです。 そんなラムの髪は原作では虹色で、見る角度によって色が変わるというデザイン。1981年のアニメでは、虹色を表現するのは難しいため、緑を基調として黒や青の混ざったヘアカラーになりました。

「〜だっちゃ」「〜っちゃ」の語尾がとっても可愛いラムちゃん。実はこの喋り方は、宮城県仙台の方言である仙台弁が由来となっています。 そもそも高橋留美子のデビュー作で『うる星やつら』の原案である『勝手なやつら』に登場する異星人が千葉の方言「～だっぴゃ」を使っており、ラムの喋り方はその方言に近いものにしようと決めたそう。 そして仙台を舞台にした井上ひさしの小説『青葉繁れる』を思い出し、その小説に登場した「だっちゃ」を使用したのです。ただ高橋留美子が仙台弁に詳しかったわけではないため、使い方は実際の仙台弁とは異なる点も多く、「ラム語」と呼ぶのがふさわしいでしょう。 そのほかにもラムは一人称が「うち」だったり、疑問文の語尾で「〜(の)け？」と言ったりと、独特な喋り方をします。

ラムは超能力の浮遊能力を持っています。最初の鬼ごっこの時は「ポーン」という擬音と共に高くジャンプできる程度の浮遊能力を見せ、その後は自由に空を飛べるようになりました。飛行時は「ピュルルルル…」という効果音がつきます。 その気になれば結構な速度で飛ぶことができますが、エピソードによって飛行速度はバラバラ。基本的に筋力のない非力な女子なので、非常に優れた浮遊能力を持っているというわけではなさそうです。

鬼というよりカミナリ様に近い特徴ですが、指先や手のひらから電撃を放つ能力もあります。ラムにとって電撃は攻撃だけでなく、ストレス発散でもあり、そして愛情表現でもありました。 ラムは最初あたるに愛情表現で電撃を使っていましたが、人間が電気を受けると痛いことや感電死する可能性があることを知らなかったのでした。 知ってからはむやみに電撃を放つことはなくなったものの、好きという感情が高まりすぎて電撃を放ってしまったり、寝ぼけて放ってしまったりしたことも……。 ただし生え変わりなどによって角が無くなると、その間は超能力を一時的に失います。

ラムと血縁関係にあるキャラクターとして、テンちゃんがいます。テンはラムの後を追って地球へやってきたラムの従弟(いとこ)で、鬼族の幼児です。ラムが住み着いたあたるの家に郵便で届き、それ以降あたるの家にラムと一緒に暮らし始めました。 「あたるはラムにふさわしくない」と考えるテンは、あたると喧嘩ばかり。ラムはテンの地球での保護者となり、テンに対しては基本的に甘いものの、テンのイタズラがすぎたりトラブルを起こした時はきちんと叱っています。

ラムからの愛情表現がメインだった2人の関係は、少しずつ変化していきます。 当初あたるの恋人だったしのぶは、次第にあたるに愛想を尽かし、原作の第23話「トラブルは舞い降りた」で登場したハンサムな新キャラ・面堂終太郎に惹かれて以降は彼に夢中に。 そうして三角関係は終わり、その頃からあたるもラムに好意を持つようになっていきました。

原作第2巻に収録されたエピソード「幸せの黄色いリボン」で登場するセリフです。 あたるに黄色いリボンをプレゼントされたラム。それは超能力を封じるリボンで、飛べなくなりUFOに戻れなくなったため、一緒に寝る準備をしながらこう言うのです。ラムの数々のセリフの中でも特に可愛いセリフとして人気があります。 ちなみにこのエピソードは、1981年のアニメでは13話「電撃ショックがこわい！」でアニメ化。アニメ内では「うちはもう一生ダーリンとはなれないっちゃ」というセリフに変わっています。

原作の最終巻である34巻で登場するセリフです。この最終巻では、ラムの許嫁だと言う謎の男が現れてラムを連れ去ってしまいます。あたるがラムに一言「好きだ」と言えばラムは戻ってきて、地球は助かるのですが、あたるは言おうとしないのです。 あたるに好きと言って欲しいラムの気持ちは切ないけど可愛くて、あたるが好きと言わないのもすごく良いんですよね。このストーリーはテレビアニメではなく、劇場版『うる星やつら 完結篇』(1988年)で映像化されています。

1981年版のテレビアニメと6作の劇場版でラムの声を担当したのは、青二プロダクション所属の声優、平野文です。1972年に17歳でラジオDJをはじめ、リスナーから声優業をすすめられたのをきっかけに『うる星やつら』のラム役で声優デビューしました。 アニメ『亜空大作戦スラングル』のセクシィ役＆ドゥーリー役、『アニメ三銃士』のミレディー役などを担当。近年も活躍しており、2021年の『ブルーピリオド』では美術部顧問の佐伯昌子役を務めています。

2022年10月よりフジテレビ「ノイタミナ」で放送のテレビアニメ版でラムの声を担当するのは、ボイスキット所属の声優、上坂すみれです。 9歳でスカウトされて芸能界に入り、2012年のアニメ『パパのいうことを聞きなさい!』の小鳥遊空役より本格的に声優業を開始。『中二病でも恋がしたい!』の凸守早苗役、『アイドルマスター シンデレラガールズ』のアナスタシア役、『イジらないで、長瀞さん』の長瀞早瀬役などで知られる大人気声優です。

1980年代の若者文化と、その後の日本アニメ文化に大きな影響を与えた『うる星やつら』。浮気者なあたるを愛し続けるラムちゃんはちょっぴりかわいそうでもありますが、そのまっすぐな乙女心は可愛くて、とっても魅力的なキャラクターです。 2022年10月より放送されるアニメは完全新作で、原作のエピソードを選抜してアニメ化されます。ファンの方も未鑑賞の方も、ぜひチェックしてくださいね。