Netflix映画『トロール』結末までのネタバレあらすじと感想考察!王道怪獣映画が伝えたかったメッセージとは
ノルウェーのとある山間部に突如現れた巨人トロール。それに立ち向かう人々を描いたアクション・アドベンチャー映画『トロール』が、Netflixで配信中です。 この記事では、『トロール』のネタバレあらすじから感想や解説、考察を紹介していきます。
映画『トロール』のあらすじ
ノルウェーのとある山間部。鉄道建設のための爆破工事で不可解な現象が発生し、甚大な被害をもたらします。政府に集められたさまざまな分野の専門家が議論するなか、考古学者のノラはその原因が長い眠りから目覚めたトロールだと主張。 当初彼女の主張は受け入れられませんでしたが、やがてトロールは人前に姿を現し、ノラは首相からトロール退治を命じられます。少しずつ首都オスロへと歩を進めるトロール。このままでは都市部で大きな被害がでてしまうと、政府は対応を急ぎますが……。
映画『トロール』の結末までのネタバレあらすじ
【起】山間部で目覚めた「巨大ななにか」
ノルウェーのドブレ山脈では鉄道延伸工事のため、トンネル掘削作業がつづけられていました。しかし岩盤を爆破したあと状況を確認するために作業員たちがトンネル内に入ると、地面が大きく揺れトンネルは崩落してしまいます。 ドブレ山脈での揺れを感知したノルウェー軍作戦本部は、偵察隊を派遣。上空から捉えた映像には、何ヶ所も大きく陥没したような場所が映っていました。 政府は緊急対策本部を立ち上げ、さまざまな分野の専門家を招集。考古学者ノラ・ティーデマンも、発掘調査の途中で呼び出され、会議に参加します。 ノラは地面にできた大きなくぼみは、なにかの足跡だと主張しますが鼻で笑われてしまい、首相補佐のアンドレアスとともに、現地に調査に行くことに。現場で特殊作戦部隊のクリス大尉と合流した2人。クリスは軍が足跡を追跡しようとしたところ、途中で忽然と消えてしまったと説明します。
【承】巨人の正体はトロール?
そこでノラは民俗学者だった父トビアスのもとへ。彼はトロールの研究に没頭するあまり周囲から精神に異常をきたしたと思われ、人里離れた山奥でひっそりと暮らしていたのでした。 トビアスを連れ、再び足跡が消えた現場に戻った一行。そこで彼は、地形が地図と全く違うことを指摘します。すると地面や岩肌に擬態していた巨人が動き出し、彼らに襲いかかりました。ヘリでかろうじて窮地を脱した一行は、巨人の映像を本部に送ります。 巨人の正体はトロールだと主張しつづけるトビアスに呆れた首相は調査を打ち切り、軍に巨人への攻撃を任せることに。ノラも父に愛想を尽かし、発掘現場に戻ろうとしますが、トビアスはトロールの孤独を語り、調査をつづけるよう娘を説得。彼女はクリスに頼んで父とともに軍事作戦の現場に同行します。 彼らが到着したヘイダルのグドブラン峡谷はすでに暗くなっていましたが、次々と軍事車両が到着。そこへ遠くからトロールの鳴き声が響きます。部隊の総攻撃も全く歯が立たず、クリスは撤退を指示。しかしトビアスはトロールに語りかけ、トロールも彼の声に耳を傾けているようでした。 ところが別の兵士がトロールを攻撃。興奮状態になって暴れたトロールが誤ってトビアスを弾き飛ばしてしまい、彼は息を引き取ります。
【転】トロールがオスロを目指す理由
その後も撃退作戦を実行しますが、失敗。しかしトロールの知性が高いことや首都オスロに向かっていることがわかりました。ノラたちは、なぜトロールがオスロに向かっているのか探ることにします。 一方、国防大臣はトロールのオスロへの侵入経路全封鎖および迎撃が失敗した場合、核ミサイルによる攻撃を提案します。首相も将軍も難色を示しますが、結局ほかに策はないとして、ミサイル発射の準備がはじまりました。 ノラとアンドレアスは、トビアスのノートに書かれた言葉を頼りに、宮内長官リカルド・シンディングに会いに行くことに。すると彼は2人を出迎え、王宮の地下に案内しました。そこはなんと、かつてのトロール王とその一族の住処でした。 「他の王の家の上に王宮を建てると幸運を呼び込む」と信じられていた時代、ノルウェー王オーラヴ2世は、国内のキリスト教化のためにトロールを虐殺したのです。 トロールは家族のいる「家」に戻ろうとしていると考えたノラたちは、トロールをオスロから遠ざけるためにある作戦を考えます。
【結末】ラストに暗示される新たな脅威
国防大臣たちがミサイルを使おうとしていることを知ったアンドレアスは、オペレーターのシグリットに連絡。内部からシステムをハッキングしてミサイル発射を遅らせます。ノラはクリスに連絡し、作戦の準備を急がせました。 ノラと彼は車の荷台にトロールの子どもの頭蓋骨を乗せ、トロールをおびき出します。オスロの街を破壊しながら、子どもの頭蓋骨を取り返そうとノラたちの乗った車を追うトロール。彼女たちは作戦の決行場所に見事にトロールをおびき寄せました。 そこでクリスはトロールの周りでUVライトを照射。日光に当たると石になってしまうというトロールの特性を利用して、その動きを封じる作戦です。作戦が成功し人々が歓声をあげるなか、ノラは「こんなのは間違っている」とUVライトの電源を切ります。そしてトロールに山に帰るよう訴えかけました。 しかしそこへ朝日が昇り、トロールは完全に石になり倒れてしまいます。ノラはトロールに手を触れ、彼の最期を看取りました。 その後、誰もいない山奥でトロールの鳴き声のような轟音が響き渡ります。
映画『トロール』の感想・評価
怪獣映画。ノルウェーの伝説である巨大トロールが出現し大暴れする。ノルウェー映画だが、普通に迫力満点のモンスターパニック。キングコングな感じで面白い。
北欧版ゴジラみたいな感じでしょうか。王道な怪獣映画でした。トロールがあまりに知性的で可哀想だったので、終始人間ってなんなんやろな、人間って勝手よな……と思ってしまい最後までそれは拭われなかったです。
【解説】キリスト教に破壊された土着信仰の復讐
トロールはそのほかのファンタジー作品でもおなじみの存在だと思います。多くの作品で彼らは図体は大きいけれど頭は悪く、醜い怪物として登場していますが、本作で描かれるトロールは、北欧の民間伝承に基づくもの。そのイメージは大きく違っています。 本作に登場するトロールは山の妖精です。高い知能を持ち、キリスト教徒の匂いを嗅ぎ分け、岩などに擬態して身を隠すこともできます。そして人間と同じように家族を愛し、必死になって探しているのです。 また本作でトロールを虐殺したとされているノルウェー王オーラヴ2世は、キリスト教の聖人としても知られる人物。国内のキリスト教化に尽力した彼は、教会から見れば偉大な人物ですが、一方で土着の信仰や風習を禁じ、滅ぼした人物であるとも言えます。 本作では、キリスト教の広がりによって世界が均一化された現代に、土着の信仰の象徴であるトロールが復活し、復讐する様子が描かれているのです。その結末は悲しいものでしたが、ラストにほかのトロールの存在が示唆されたことで、その土地に根付いた伝承や伝説は決して消えてなくなることはないと訴えかけているようでもあります。
【考察】父としてのトロールとトビアス
本作に登場したトロールは、ほかのある登場人物とよく似ています。それは主人公ノラの父・トビアス。彼はトロールをはじめとするノルウェーに古くからある伝承や伝説にのめり込むあまり、世間からは異常であると見なされ、見放された人物です。彼は忘れ去られた古い伝承のような存在でもあると言えるのではないでしょうか。 娘のノラもまた、父を異常だと思っていましたが、子どものころの楽しい思い出や、父から教わったことが彼女の核になっているのは間違いありません。 トビアスは誰よりも早くトロールの孤独を察し、歩み寄ろうとしました。そしてその必要性を娘のノラに伝え、彼女は難局を乗り越えることができたのです。それは娘が幼かったころに築いた絆があったからでしょう。 ノラのなかに父トビアスとの絆が残っていたように、現代社会にも古い伝承や伝説は生き残りつづけているのです。
Netflix映画『トロール』をネタバレ解説・考察でおさらい
これまで多くの作品で描かれてきたのとは違ったイメージのトロールが登場する映画『トロール』。全体的に真面目なトーンの作品ではありますが、アクション・アドベンチャー、そして怪獣映画としても楽しめるダイナミックな映像も見どころです。 一味違ったトロール像を本作でぜひ感じてみてください。