韓国ドラマ『いつかの君に』複雑な時系列を考察!ヨンジュンとシホンの時間軸を解説
2023年9月からNetflixで配信開始された『いつかの君に』。「近年の最高傑作」と称され、世界中で広く愛されている台湾ドラマ『時をかける愛』が原作のドラマです。 このドラマの魅力はなんといっても「複雑な時間軸」。解ればスッキリするのですが、理解するまでがかなり難しく、頭がこんがらがる人も多いのではないでしょうか。 そこで本記事では、シホンとヨンジュンを始めとする登場人物たちの時間軸を整理し、伏線を考察していきます。原作の台湾ドラマとの設定の比較もしているので、気になる人はチェックしてみてください!
この記事は『いつかの君に』を最終回まで観終わった人向けです。ネタバレ満載の内容になっているため、まだ観終わっていない人やこれから観る予定の人は注意してください。
シホンの時間軸
1998年 (17歳) | ・ミンジュ(未来から来たジュニ)を好きになる ・10月13日にミンジュが殺され、容疑者としてインギュが逮捕される ・高2が終わる頃にアメリカへ |
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2002年 (21歳) | ・韓国に一時帰国 ・刑務所を訪れるが、インギュから面会を拒否される ・刑務所からの帰り、乗っていたバスが事故に遭う →2007年、交通事故にあったヨンジュンの体に魂が入る |
最初にシホンの時間軸を整理していきます。 1998年、シホンは未来からタイムスリップしてきたジュニ(見た目はミンジュ)に恋をします。そしてジュニから自分が2023年から来たこと、10月13日に何者かによって殺されることを伝えられます。 10月13日になると、ジュニの言葉通りミンジュは亡くなり、その容疑者として親友のインギュが逮捕されます。その後シホンは韓国を離れ、アメリカへ移住。 W杯が盛り上がりを見せる2002年、韓国に一時帰国し、インギュが収監されている刑務所を訪れます。しかし面会を拒否されてしまいます。その後、帰宅していたときに乗っていたバスが交通事故に遭い、意識不明に。 そして目が覚めると時は2007年、同じく意識不明になっていたヨンジュンになっていたのです。
ヨンジュン(魂はシホン)の時間軸
2007年 | ・同じ顔を持つヨンジュン(18歳)として目覚める ・2006年にインギュが出所後自殺したことを知らされる ・ジュニに出会うため、同じ大学を目指す |
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2008年 | ・1年の浪人期間を経て、ジュニと同じ大学に合格 |
2022年 | ・NYへ行こうとしたヨンジュンが飛行機事故に遭い、死亡 →2002年のシホンの体にタイプスリップ |
ここからシホンはヨンジュンとして生きていきます。ミンジュの叔父さんが経営している「27レコード」を訪れ、ミンジュがかつて話していたように自らもタイムスリップしたことを叔父さんに告げます。 そしてインギュが出所後、ミンギュが亡くなった場所で自殺したことを知らされます。その後ヨンジュンはジュニと出会うため、ジュニを同じ大学を目指します。ジュニの1つ下の学年で、見事入学するのでした。 ここからはジュニも持っている記憶通りの流れです。ヨンジュンの猛アプローチの甲斐もあり、2人は恋人同士に。同棲も始め、ヨンジュンは家具デザイナーになり、ジュニはマーケティング会社で働き始めます。 しかしそんな幸せは長く続かないのでした。2022年にヨンジュンは飛行機事故に遭い、墜落によって死亡。このときにヨンジュンの中にあったシホンの魂は、2002年の昏睡状態にある本来の自分の体に戻ります。
シホン(魂もシホン)の時間軸
2002年 | ・バスの事故後、6週間昏睡状態に ・その後壮絶なリハビリ生活を送る |
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2006年 | ・仮釈放後のインギュに再会 ・しかしインギュの自殺を止めることはできず |
2022年 | ・NYへ向かうヨンジュンに会いに行く ・ジュニに写真やカセットテープを送る |
元の体に戻ったシホンは、何としてでもインギュの自殺を防ぐために奔走するのでした。しかしシホンの願いも虚しく、インギュは出所後自殺。 その後はジュニが1998年にタイムスリップできるように、ひらすら時を待っていたのです。そして2022年、ニューヨークへ飛び立つヨンジュンに会いに行きます。 ヨンジュンが飛行機事故に遭ったあと、シホンはジュニがタイムスリップするようInstagramで3人組の写真を送信したり、カセットテープとプレイヤーを届けたりします。そしてジュニが1998年にタイムスリップし、最初に戻るのです。ここまでが1つのループになっているのでした。 つまり最初から整理すると、シホンの魂は、シホンの体(〜2002年)→ヨンジュンの体(2002年〜2022年)→シホンの体(2002年〜)というふうに移動していたということになりますね。
なぜ2人のシホンが存在しうる?
ここまで整理してくると、2002年から2022年まで同じ時間軸にシホンの魂を持つ人物が2人存在していることがわかります。これが時間軸を複雑にさせているポイントの1つでもあります。 ドラマを観ていた人の中には、「同じ魂を持つ人間が2人存在しても良いのか」「なにか不具合が起きそうだが、大丈夫なのか」と疑問に思った人もいるのでは。しかし、実は物語の途中でこのことは匂わせられているのです。 それは5話の、1998年のシホンが当時11歳のジュニに出会っているシーン。このとき、同じ時間軸にはジュニの魂を持ったミンジュが存在しています。つまり同じ魂を持つ人物が存在しえることが示唆されているのです。
本来のヨンジュンの魂はどうなった?
さらに踏み込んで、「本来のヨンジュンの魂はどうなったのか」という疑問を思い浮かべる人もいるのではないでしょうか。 ジュニと同じようにシホンが他人の体に入ったとすると、ジュニとミンジュに起きたように、何かしらの歪みが発生するはずです。しかしシホンの魂を持つヨンジュンには、元々あったヨンジュンの魂は事故のあと現れず、ヨンジュンとしての過去の記憶のみ残されました。 なぜヨンジュンの魂は出現しないのか。ドラマの中では直接的な描写がないため、想像するしかありませんが、筆者は「2007年の事故によってヨンジュンの魂は死んだ」という仮説を立てました。 ゆえに、シホンの魂がヨンジュンの体に入っても、ヨンジュンの魂が目覚めることがなかったのではないでしょうか。
チャニョンの時間軸
ドラマの途中でヨンジュンの同僚であるチャニョンも、1998年にタイプスリップすることが明かされました。彼は容姿がそっくりな兄・チャニの体に入っていたのです。さらにミンジュを襲い、ダヒョンを殺害した犯人でもあることが明かされました。 チャニョンはミンジュに好意を持っており、同時に「本当に好きなら標本にして、自分のものにしないと」と歪んだ思想も持っています。そのため、愛するミンジュを自分のものにしようと襲撃し、殺害しようとしたのです。 しかし1回目も2回目も間一髪のところで、他の人から起こされて目覚めたことで魂が2023年に戻ってきます。こうしてチャニョンによる殺害が未遂に終わったのです。
チャニが精神を病んだ理由
ある種のサイコパスとも言えるチャニョンに対して、「好きなものは傷つけてはいけない」という発言からも分かる通り、兄のチャニは“普通”の人間であることがわかります。 それゆえ、チャニョンの異常な行動を見つつ、何もできなかったことで精神を病んでしまったのです。
1998年に行くときの条件とは?
1998年にタイプスリップするための条件は、ドラマの中では明確に言及されていません。視聴者の中で言われているのは、 ①ソ・ジウォンの「涙を集めて」をカセットプレイヤーで聴く ②「あなたに会いたい」と強く願う の2つの条件が揃うと、タイムスリップが可能になるのではという説。しかし最終話でカセットテープが故障し、曲が聴けない状態でも1998年に戻れたことを考慮すると、曲を“聴く”ことは絶対条件ではないことがわかります。 どちらかというと、②の「会いたい」という強い気持ちがタイムスリップを可能にしている最も重要な条件なのかもしれませんね。
魂が乗り移るときのルール
1つ目のルールは、自分と容姿がそっくりな人物に魂が乗り移るということ。ミンジュとジュニ、シホンとヨンジュン、チャニとチャニョンの3つの事例から、これはマストの条件であることがわかります。 2つ目は、体の持ち主の魂は、洞窟のような空間に閉じ込められること。ここでは乗り移った魂が見ていることや聞いていることをすべて知ることが可能です。さらに、体の持ち主の魂と乗り移った方は、お互いがお互いの声を聞けます。 3つ目は、2回目以降のタイプスリップでは、前回もとの世界に戻った瞬間の少し前の時間を起点にすること。そのため1998年にタイムスリップしている瞬間を取り出すと、連続した一定の期間であることがわかります。
時系列を考察すればもっと楽しめる!『いつかの君に』の時間軸を解説
ここまで韓国ドラマ『いつかの君に』の時系列や時間軸を考察してきました。複雑な設定に混乱してしまうかもしれませんが、理解できると一気にスッキリしますね!伏線を理解した上で、もう1度鑑賞してみてもいいかもしれませんね。