映画『スオミの話をしよう』結末までのネタバレあらすじと感想考察!スオミの正体とは?
映画『スオミの話をしよう』のあらすじ
公開年 | 2024年9月13日 |
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メインキャスト | 長澤まさみ , 西島秀俊 , 松坂桃李 |
監督 | 三谷幸喜 |
ある日突然、大富豪の詩人・寒川しずお(坂東彌十郎)の妻スオミ(長澤まさみ)が失踪。しずおの世話係・乙骨(戸塚純貴)は誘拐を疑い、警察に連絡します。寒川邸にやってきたのは刑事の草野圭吾(西島秀俊)と部下の小磯杜夫(瀬戸康史)で、実は草野はスオミの元夫でした。 草野も誘拐を疑っており、犯人からの連絡を待ちますが、しずおは「大事にしたくない」の一点張り。しかもなぜか次々と「スオミの元夫」が現れる上、彼らが語るのは草野が知っているスオミとは別人で……。
映画『スオミの話をしよう』キャスト・登場人物解説
スオミ役/長澤まさみ
主人公のスオミは詩人・寒川しずおの妻で、過去に4人もの夫と結婚していた女性。それぞれの夫に見せる顔が違い、あまりにも個々の印象が異なる不思議な人物です。この物語はスオミの失踪事件で幕を開けます。 スオミを演じるのは、三谷幸喜監督の映画には初出演となる長澤まさみ。三谷幸喜が脚本を手がけた2022年のNHK大河ドラマ『鎌倉殿の13人』ではナレーションを担当していました。
1番目の夫・魚山大吉役/遠藤憲一
魚山大吉(ととやまだいきち)は寒川邸の庭師で、スオミに対してはかなりのM気質を発揮する1番目の夫。元は体育教師で、スオミの中学時代に出会っています。スオミが魚山に見せる顔は「ツンデレ」タイプ。 魚山を演じるのは、三谷幸喜監督の映画は『ギャラクシー街道』(2015年)ぶりとなる遠藤憲一。三谷幸喜が脚本を手がけた2016年のNHK大河ドラマ『真田丸』にも、上杉景勝役で出演しています。
2番目の夫・十勝左衛門役/松坂桃李
スオミの2番目の夫は、怪しげなYouTuber・十勝左衛門(とかちざえもん)。スオミとはビジネスパートナーとして出会い、一緒に事業を手がけていたようです。スオミが十勝に見せる顔は「万能なパートナー」タイプ。 十勝を演じるのは、本作が三谷幸喜作品に初参加となる松坂桃李。2025年は1月2日放送の出演ドラマ『スロウトレイン』と、1月24日公開の主演映画『雪の花 ともに在りて』が控えています。
3番目の夫・宇賀神守役/小林隆
スオミの3番目の夫は、情に厚い警察官・宇賀神守(うがじんまもる)。警察に連行されたスオミを助けたことで出会い、その際にとっさに中国人のフリをしたスオミを「日本語が話せない」と思い込んでいました。 宇賀神を演じるのは、三谷幸喜作品の常連俳優・小林隆。これまで三谷幸喜監督の映画では、2011年の『ステキな金縛り』と2019年の『記憶にございません!』に出演しています。
4番目の夫・草野圭吾役/西島秀俊
スオミの4番目の夫は、宇賀神の同僚である草野圭吾(くさのけいご)。かなり神経質なタイプで、スオミに対しては亭主関白であり過干渉な一面も。スオミが草野に見せる顔は、消えそうな声で話す「従順な女」。 草野を演じるのは、三谷幸喜作品には初参加となる西島秀俊。2024年は1月期ドラマ「さよならマエストロ」で主演を務めた他、ハリウッドデビュー作『サニー』が7月にApple TV+で配信されました。
5番目の夫・寒川しずお役/坂東彌十郎
スオミの5番目の夫は、大富豪の詩人・寒川しずお(さむかわしずお)。スオミが寒川に見せる顔は「大胆でハイソな女」。スオミに対しては相当な放任主義ですが、金にうるさくケチな人物でもあります。 寒川を演じるのは、三谷幸喜監督の映画は初参加となる歌舞伎役者の坂東彌十郎。『鎌倉殿の13人』では、小栗旬演じる主人公・北条義時の父・時政役を務めました。
小磯杜夫役/瀬戸康史
草野の部下・小磯杜夫(こいそもりお)を演じるのは、『鎌倉殿の13人』で北条家の3男・時房役を務めた瀬戸康史です。 小磯は神経質な上司・草野のもとで二転三転する事件に翻弄されつつ、誘拐犯を推理しますが的外れなこともしばしば。瀬戸康史は本作が、三谷幸喜の映画作品は初参加となりました。
乙骨直虎役/戸塚純貴
寒川の世話係・乙骨直虎(おっこつなおとら)を演じるのは、三谷幸喜の映画作品は初参加となる戸塚純貴。乙骨は実は出版社の社員ですが、寒川の原稿欲しさに常に寒川邸に出入りしている様子。 やたらとスオミの行方を心配しているのもキーポイントです。戸塚純貴は三谷幸喜が脚本を手がけた2022年の舞台『ヴァンプ・ショウ』に出演しています。
常にスオミが居るところへ神出鬼没に登場する薊(あざみ)。演じたのは、三谷幸喜作品では『記憶にございません!』や『鎌倉殿の13人』など映画・舞台・ドラマと多方面に度々出演している宮澤エマです。 薊は実はスオミの中学時代からの友人ですが、なぜいつも彼女の側にいるのかは謎。スオミ同様、複数の顔を持っています。
映画『スオミの話をしよう』監督解説
『スオミの話をしよう』の監督・脚本を務めるのは、脚本家の三谷幸喜です。これまでも舞台・ドラマ・映画と様々なコメディ作品を世に放ってきました。 特にドラマでは「古畑任三郎」シリーズが大ヒットし、三谷流ミステリーコメディを確立。映画では『ラヂオの時間』(1997年)や『THE 有頂天ホテル』(2006年)、舞台では『12人の優しい日本人』(1991年)や『笑いの大学』(2004年)などでよく知られています。
【ネタバレ】映画『スオミの話をしよう』の結末までのあらすじ
【起】大富豪の妻スオミが消えた
大富豪の詩人・寒川しずお(坂東彌十郎)の妻スオミ(長澤まさみ)が、ある日突然失踪。この件を「大事にしたくない」と言い張る寒川をよそに、世話係の乙骨直虎(戸塚純貴)は警察に連絡します。乙骨は誘拐を疑っており、寒川邸に2人の警察官が到着しました。 草野圭吾(西島秀俊)は実はスオミの元夫で、寒川とも知人。有能な部下・小磯杜夫(瀬戸康史)を連れてやってきましたが、寒川のやる気のなさに驚きます。さらにスオミの元夫だという人物が次々と現れ、草野はショックを隠せません。 寒川邸の庭師・魚山大吉(遠藤憲一)はスオミの1番目の夫、YouTuberの十勝左衛門(松坂桃李)は2番目の夫。さらに草野の同僚でスオミの3番目の夫・宇賀神守(小林隆)まで事件に参入してきて、事態はさらにややこしくなっていきます。
【承】スオミと5人の夫たち
寒川邸にスオミの5人の夫が集い、誘拐犯からの連絡を待つ間、それぞれスオミがどんな女性だったかを話します。魚山が語るスオミは昔からツンデレな性格で、マルチ商法をしていた十勝とはビジネスパートナーだったよう。 2人とも「スオミは頭が良く、相手に合わせる」と語っていましたが、宇賀神が知るスオミはなんと「日本語が話せない」とのこと!宇賀神の前では中国人のフリをしていたのです。これは前夫・十勝のアドバイスで、警察に捕まった時には日本語が通じないフリをしろというものでした。 一方、彼らの話を聞いていた草野は衝撃を受けていました。なぜなら、彼が知るスオミはまったく別人のようで、自分では何も決められず何もできない意志の弱い女性だったからです。しかしそれはすべて、草野に合わせて“演じていた”性格でした。
【転】バラバラなスオミ像……その正体は?
ここまでバラバラなスオミの印象が作られたのは、彼女がそれぞれの夫が望む「理想の女性」を演じていたから。特に、すべての主導権を握りたい草野に対しては口答えしない従順な妻、ケチで見栄っ張りな寒川に対しては何でもできるセレブ妻として振舞っていたのです。 しかも5人とも無意識のうちに、スオミの行動と性格までも支配しようとしていました。一番ひどかったのは寒川で、スオミを放任しているようで実のところは何の自由も与えていなかったという事実。スオミに物は買い与えるものの、彼女には自由になる時間も金もありませんでした。 こうしてスオミの正体に気付き始めた5人の夫たち。そんな中、誘拐犯から身代金3億円を要求する電話を受け、「自分が一番スオミを心配している」というアピール合戦が始まります。
【結末】ラストで明かされる失踪事件の真相
十勝のセスナ機で3億を半分ずつボストンバッグに入れて指定された場所に落とすという指示でしたが、結局寒川が身代金を出し惜しみし、空のアタッシュケースに変えたことで取引は失敗。しかし小磯は、十勝がセスナ機を持っていることを知る内通者がいると推理します。 小磯は出し惜しみした寒川を疑いますが、草野は内通者が乙骨であることを暴きました。ところがそのまた裏に、黒幕が!乙骨を仲間に引き入れ、この計画を実行したのはスオミ自身だったのです。 スオミの計画には中学時代からの友人である薊(宮澤エマ)が協力しており、寒川から身代金を奪って自由になったら、その金で薊とフィンランドに移住しようとしていたのです。これまで男性優位主義の夫たちに散々支配され続けてきたスオミは、最後に彼らに本音を打ち明け、寒川と離婚する決断をして屋敷を去ったのでした。
映画『スオミの話をしよう』の感想・評価
三谷幸喜の舞台劇らしさが満載で、多面的な長澤まさみが可愛く魅力的でした。コメディ部分はさすがにこれだけの豪華キャストだったので期待通りでしたが、ミステリー部分は意外とあっさりしていたかもしれません。
やはり会話劇や舞台劇が得意な分、映画にしてみると何かが違う……となる方の三谷作品だったかも。とはいえ相変わらず会話のテンポは良く、キャストの芝居のかけ合いは大きな見どころ。特に瀬戸康史のキャラクターが立っていて良かった!
【解説】男性優位主義を滑稽に笑う
この作品のテーマと考えられるのは「5人の夫に支配されていたスオミの解放」でしょうか。5人とも支配欲の強い男性優位主義者のように描かれており、自分の理想の女性像をスオミに押し付けていました。 スオミは母親の度重なる再婚によって、異なる父親に合わせて彼らの理想の娘を演じてきました。そのため、成人して結婚しても夫に合わせることが彼女の処世術となってしまったのです。そんなスオミに翻弄される夫たちの滑稽な姿が本作の一番の見どころであり、ただただその姿を笑うのが正しい観方なのかもしれません。 「スオミ」とはフィンランド語で「フィンランド」のことで、外交官だったスオミの父親が愛した地。そこに移住しようとしていたのは、自由になりたかったのに結局父親の影響は拭い去れない皮肉さも感じます。
映画『スオミの話をしよう』をネタバレ解説・考察でおさらい
三谷幸喜監督・脚本のミステリーコメディ『スオミの話をしよう』は、2024年9月13日から公開中。長澤まさみ演じるスオミの七変化と豪華キャストの共演を、ぜひ劇場で!