2025年3月19日更新

【ネタバレ】映画『ロングレッグス』は実話なのか?結末の意味・ホラーに隠されたメッセージ性を考察・解説

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独立系ホラー映画として、過去10年でトップの全米興行収入を記録した『ロングレッグス』が、2025年3月14日に日本公開となります。 メインキャストのニコラス・ケイジが「陰惨な連続殺人鬼は今作が最初で最後」とコメントしたことでも話題となった本作。 この記事では大注目のホラー映画『ロングレッグス』のネタバレあらすじや感想・評価を紹介します。

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映画『ロングレッグス』のあらすじ・作品概要

公開年 2025年3月14日(日本)
上映時間 101分
監督 オズグッド・パーキンス
キャスト マイカ・モンロー , ニコラス・ケイジ , ブレア・アンダーウッド , アリシア・ウィット

新人FBI捜査官のリー・ハーカーが、30年間未解決だった一家惨殺事件に挑むホラー映画。人気エンタメ誌『VARIETY』にて「2024年ベストホラー第1位」にも選ばれた話題作です。 主演は『ザ・ゲスト』(2014)や『イット・フォローズ』(2016)の高い演技力で「恐怖顔の新女王」の呼び声高いマイカ・モンロー。殺人鬼には、まさかのニコラス・ケイジが抜てきされました。 暗号を解き明かすサスペンスと陰湿な殺人鬼に迫るサイコホラーを一度に楽しめる、ホラー映画の新たな傑作が誕生です。

映画『ロングレッグス』のあらすじ【ネタバレなし】

並外れた直感力を持つFBI捜査官リー・ハーカーは、能力を買われ難事件の捜査を任されます。内容は30年間で10件も起こっている「未解決の一家惨殺事件」。夫が妻や子供を殺した後、夫自身も自殺するという不可解な事件でした。 侵入者の形跡がないものの、残された部屋には「ロングレッグス」の署名が入ったカードが残されていたのです。 リーは暗号を解き明かし事件の真相、そしてロングレッグスの動機へと迫っていきます。

【ネタバレ】映画『ロングレッグス』の結末までのあらすじ

【起】超能力を持つFBI捜査官

『ロングレッグス』
(C)MMXXIII C2 Motion Picture Group, LLC. All Rights Reserved.

新人FBI捜査官のリー・ハーカーは、テストで常人以上の直感があると判明します。その能力が買われ、30年間未解決だった一家連続殺人事件の犯人「ロングレッグス」の捜査を任されました。 リーは被害者の娘が必ず14日生まれであり、誕生日の前後6日間に殺人事件が起こる共通点を見つけます。さらにカレンダーで殺人事件の日付を繋ぐとサタンの印が浮かび上がり、完成させるためには日付が1つ欠けていると気づきました。 帰宅したリーが母親のルースと電話していると、ドアをノックする音が聞こえます。リーが外に出て不審な人物を探している間に、ロングレッグスは部屋に暗号付きの誕生日カードを置いて去っていきました。

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【承】30年で唯一の生存者

『ロングレッグス』
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リーはかつての事件現場から十字架と、鉄球が頭に埋められた子どもの人形を発見します。鉄球に医療用の超音波を当てると、リーの超能力が発動。ロングレッグスが人形に向かって「キャリー・アン・カメラ」と名前を呼ぶシーンが頭に流れてきたのです。 キャリーは、ロングレッグス事件で唯一生き残った少女の名前だと判明します。キャリーに話を聞くと、彼女はプレゼントとして人形をもらった誕生日を語りました。 人形をもらってすぐ、キャリーが留守の間に父親が家族を殺害。被害者側にも関わらず、現在の彼女はロングレッグスへの忠誠を誓っていました。 実家にいる母を訪ねたリーは、幼い頃の寝室でポラロイドの束が入った箱を発見します。中にはなんとロングレッグスと思われる青白い男の写真が1枚。写真を手がかりにロングレッグスを探し出し、彼を逮捕したのですが……。

【転】ロングレッグスの共犯者

『ロングレッグス
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取調室でリーはロングレッグスと直接対決へ。共犯者について尋ねると「ママに聞け」と言い放ちます。直後に「サタン万歳」と叫び、自分の頭を何度も机に叩きつけ自殺したのです。 リーは捜査官と実家に向かいます。リーは母・ルースが同僚をショットガンで撃つのを目撃。続けてルースはリーに似た人形の頭を撃ち抜きます。リーは頭から黒い邪気が抜けていき、そのまま気を失いました。 ロングレッグスの共犯者は、リーの母・ルース。修道女のふりをして、ロングレッグスが作った「憑依された人形」を家族へ届けていました。人形の呪いを受けた父親は家族を惨殺、そして自殺していたのです。 ルースは娘・リーの命を守る代わりに共犯者となり、実家の地下にロングレッグスを住まわせていました。

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【結】血塗られた誕生日

『ロングレッグス』
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リーに超能力が目覚めたのも、彼女がロングレッグスの存在を忘れていたのも、人形が影響を与えていたのです。 気を失っていたリーは、ロングレッグスが住んでいた実家の地下室で目覚めました。上司カーターの娘・ルビーの誕生日パーティーにルースが向かうと知り、急いで駆けつけます。家に入ると、修道女の格好をしたルースが待っていました。 一家はすでに人形の力で興奮状態に。カーターは台所で妻を殺害したあと、娘のルビーを狙います。リーはルビーを守るため、カーターを射殺。ルースはそれでも儀式を完遂させるため、ルビーの命を狙います。リーは銃の引き金を引き、母・ルースの頭を撃ち抜きました。

映画『ロングレッグス』の結末ラストはどうなる?

『ロングレッグス』マイカ・モンロー
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リーは、ロングレッグスの作った人形に寄り添うルビーを引き離します。そして元凶である人形に銃口を向けました。しかし、すでにカーターとルースを撃った銃には銃弾が残されておらず、人形を壊せません。BGMには、しゃがれた声で「ハッピーバースデー」を歌うロングレッグスの声が……。 場面が変わり、椅子に座るロングレッグスの姿が映されます。時系列は不明ですが、背景の格子窓から取調前後ではないでしょうか。 ロングレッグスは結末を知っていたかのように高らかに笑います。そして「ヘイル、サタン!(サタン万歳)」と叫んだ後、観客に投げキッスをしてエンドロールとなりました。なんとも後味の悪いラストです。

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その後が気になる結末!事件は解決したのか?

ロングレッグスと共犯者のルースが死んでいるという点では、一応事件は解決しました。しかしラストでリーが人形を撃てなかったために、まだ「サタン(ロングレッグス)の呪い」が続いているとも言えます。リーがロングレッグスの後釜として事件を引き継ぐ可能性も否定できません。 一方で監督のオズグッド・バーキンスは「(母親殺し)は、人間にとって考えうる上で最悪の出来事だ。つまり、ロングレッグスの犯罪は、最初の事件からカーター一家の事件に至るまで、すべてはリーが母親の頭を撃ち抜くシーンへと導くためのものだったと言える」とインタビューで答えています。 リーにとっての最悪は、ロングレッグスが求めていた最高のラスト。リーとロングレッグスの物語は完結したとも取れるのです。

ロングレッグスの正体・事件の真相とは?

ロングレッグスの正体は、デール・ファーディナンド・コブルという悪魔崇拝者でした。しかし、実際に殺人を犯したのは彼ではありません。彼は人形に悪魔を宿らせ、被害者たちは悪魔によって殺されたのです。 リーの母ルースも悪魔崇拝に傾倒しており、その指導者がロングレッグスでした。ルースはロングレッグスの共犯者ではありましたが、彼女もまた殺人事件の犯人ではありません。 信仰の自由のため悪魔崇拝は取り締まることができず、殺人事件も普通の人間であるロングレッグスやルースが直接手を下していない以上、罪に問うことはできません。 不可解な連続殺人事件の犯人は「悪魔」という救いのない結末に、絶望した観客も多かったのではないでしょうか。

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【実話?】映画のモチーフになった事件

監督のオスグッド・パーキンスは、本作のモチーフとして1996年に発生した「ジョンベネ殺害事件」を上げています。 この事件は、美少女コンテストの常連だった当時6歳のジョンベネ・ラムジーが何者かによって殺害された事件で、2025年現在も未解決のままです。 当初は誘拐として捜査されていましたが、その後家の地下室からジョンベネの遺体が発見されました。警察の初動捜査のミスのため証拠が破壊された可能性が高く、両親に嫌疑がかかるなど、捜査は混迷を極めました。 本作で人形が大きな役割を果たしているのを見ると、両親がジョンベネへのクリスマスプレゼントとして彼女の等身大の人形を作らせ、本人のように着飾らせ、段ボールに入れて地下室に置いていたという逸話を思い起こさせます。

【考察】「いびつな家族像」は監督の実体験を反映

『ロングレッグス』
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『ロングレッグス』で主人公のリーは、母親から重大な秘密を隠されたまま成長した存在として描かれています。実はこれは、パーキンス監督の実体験を反映したものだそうです。 パーキンス監督の父親は俳優のアンソニー・パーキンスで、『サイコ』(1960年)で殺人鬼ノーマン・ベイツを演じたことでよく知られています。一方で彼は同性愛者または両性愛者であり、そのことを隠して生活していました。 アンソニーは41歳のときに写真家のベリー・ベンソンと結婚し、2児の父となりました。長男であるオスグッドは、母親から父のセクシュアリティを隠されて育ったといいます。子どもたちは父の裏の顔になんとなく気づいていながら、母は「うちの家族にはなにも問題ない」というように振る舞っていたそうです。 『ロングレッグス』でもリーの母ルースは、娘を守るためにロングレッグスを匿っていました。「子どものために子どもに嘘をつく親」というのは、機能不全の家庭に育った監督の実体験と重なる部分があります。

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ニコラス・ケイジのシリアルキラーが怖すぎる

ドリームシナリオ、ニコラス・ケイジ
© 2023 PAULTERGEIST PICTURES LLC. ALL RIGHTS RESERVED

オスカー俳優でありながら借金返済のため、B級作品にも数多く出演してきたニコラス・ケイジ。冴えない教授役から探検家、さらにはダークヒーローまでさまざまな役を演じた彼が、本作では陰湿な殺人鬼へと変貌します。 魔女のような腫れた唇に死人のような白色の肌、というごてごてのメイクにニコラス・ケイジだと気づかない方もいるはず。いつ叫びだすか分からない狂気の演技は恐怖を超えてクセになってきます。 車を爆走させながら「マミー!ダディー!」と叫ぶ姿や、笑顔で顔を打ち付け大量の血を流す最期など、刺激的なシーンの連続。ニコラス・ケイジがスクリーンに登場するたびに身構えてしまいますよね。

映画『ロングレッグス』海外のネタバレ感想

『ロングレッグス』
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ロングレッグス』の総合評価
4 / 2人のレビュー
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30代女性

最初から最後まで緊張感や不吉な雰囲気が漂うホラー映画。オカルトなホラーだが、ミステリーパートがあるおかげで「リアルにいるかも」と感じられた。ニコラス・ケイジが演じるロングレッグスは、新たなホラー映画のアイコンになれるだけの狂気がある。人物描写はほとんどないが、地下室の装飾から70年代ロックが好きな一面も垣間見え、過去の彼を知りたくなった。

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20代男性

低予算とは想像できないほどしっかり作り込まれた作品だった。複数回見ると登場人物の微妙な表情の変化や隠れたサタンの影などがあり、伏線に気づいて鳥肌が立つような恐怖を味わえる。グロテスクなシーンはいくつかあるので注意すべき。しかし血や死体より何倍も、何を考えているかわからないロングレッグスの方が怖かった。

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映画『ロングレッグス』結末をネタバレ解説しました

映画『ロングレッグス』の日本公開は2025年3月14日です! 予算1,000万ドル(約15億円)以下で制作された本作は、日本公開前で1億2,500万ドル(約185億円)を突破し、ますます勢いに乗っています。 ぜひ『ロングレッグス』の底知れぬ恐怖を映画館で感じてください。