2025年4月15日更新

映画『Love Letter』結末までのネタバレあらすじと感想!「お元気ですか?」は韓国でも人気の名シーン

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映画『Love Letter』、ラブレター、中山美穂
©フジテレビジョン

1995年に公開された岩井俊二監督の長編映画デビュー作『Love Letter』。この記事では、『Love Letter』のあらすじをネタバレありで紹介し、作品の見どころやテーマを解説・考察していきます。

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映画『Love Letter』のあらすじ

公開年 1995年3月25日
メインキャスト 中山美穂 , 豊川悦司
監督 岩井俊二

山の遭難事故で亡くなった婚約者・藤井樹の三回忌に出席した渡辺博子(中山美穂)。樹の実家で中学時代の卒業アルバムを見て、彼が昔住んでいた小樽の住所を見つけて腕にメモを残します。 その小樽の住所に出した博子の手紙は、彼と同姓同名の女性・藤井樹(中山美穂・一人二役)のもとに届きました。樹はまったく覚えのない宛名からの手紙に驚きつつ、その不思議な手紙に返事を出し、いつの間にか博子と樹は文通を始めていたのでした。

【ネタバレ】映画『Love Letter』の結末までのあらすじ

【起】届くはずのない恋人への手紙から始まる不思議な文通

神戸に住む渡辺博子(中山美穂)は、2年前に山の遭難事故で亡くなった婚約者・藤井樹の三回忌に参列していました。樹の母親を車で送った博子は、彼の実家で中学時代の卒業アルバムを目にします。そこには彼がその当時住んでいた北海道・小樽の住所が書かれていました。 博子はその住所が今は県道になっていることを知りつつも、ぶつける場所のない彼への想いを届くはずのない住所へ手紙にして送ります。ところがその手紙は、小樽に住む同姓同名の「藤井樹」(中山美穂)のもとへ届きました。「渡辺博子」に心当たりのない樹は、不思議に思いながらも返事を出します。 その返事をきっかけに博子も返事を出し、いつの間にか2人はお互いを知らないまま文通を始めていました。博子は樹の山の仲間で彼女に想いを寄せる秋葉茂(豊川悦司)にそのことを打ち明け、文通相手が本当は誰なのかを明らかにします。

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【承】同姓同名の「藤井樹」は中学時代の同級生

現在の小樽に住む藤井樹が、実は博子の婚約者・藤井樹とは中学時代の同級生で、女性であることが判明。お互いに事情がわかったところで、博子は彼女の知らない中学時代の樹のことを知りたいと文通を続けるのでした。 小樽の樹は中学時代の様々な思い出を手紙に綴り、そのほとんどが同姓同名の苦々しいエピソードだったことを振り返ります。クラスメイトたちの冷やかしで2人で図書委員をすることになりますが、男子の樹は誰も借りないような本の図書貸し出しカードに「藤井樹」と書くことを面白がる変わった人物でした。 そんな様々な話を聞き、博子は樹に学校を撮ってきてほしいとインスタントカメラを送ります。久しぶりに母校に足を踏み入れた樹は、図書委員の間で今も図書カードに残っている「藤井樹」を探すゲームが流行っていることを聞きました。

【転】想いを断ち切るため叫び続けた「お元気ですか?私は元気です」

秋葉は今も藤井への想いを断ち切れない博子に、彼が遭難した山へ登ってみようと提案します。それでもやはり、直前になって躊躇する博子。何とか説得して、その晩は山のふもとのログハウスに泊まることに。 一方小樽では、風邪をこじらせた樹が大雪の中、祖父に背負われて病院に運び込まれていました。実は樹の父親も同じように風邪をこじらせて大雪の中で祖父に運ばれ、手遅れになって亡くなっていたのです。 その翌朝、秋葉に起こされた博子は樹が亡くなった山が見える場所に連れて行かれます。秋葉は「博子ちゃんは俺がもろたで!」と叫びますが、博子は初めの手紙に書いた通り「お元気ですか?私は元気です!」と何回も繰り返し叫び続けるのでした。

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【結末】ラストに明かされる、もう1つの初恋の物語

博子が山に向かって叫んでいた頃、小樽ではそのまま入院していた樹が目を覚ましていました。樹は博子に呼応するように、うわ言で「お元気ですか」とつぶやきます。思い切り叫び続けた博子は、そこで恋人への想いをようやく断ち切ろうとしていました。 博子は小樽の樹との文通を通じて、自分と彼女の顔が似ていることを知り、彼が中学時代の女子の樹に恋心を抱いていたからこそ自分を選んだのだと気付いていたのです。そして、博子は退院した樹にこれまでの手紙をすべて送り返し、彼が図書カードに「藤井樹」と書いていたのはあなたの名前だったのでは?と問います。 樹の家に図書委員の女子たちが訪ねてきて、1冊の本を彼女に渡します。それは彼が中学を転校する前日に返すよう渡されたプルーストの『失われた時を求めて』で、「藤井樹」と書かれた図書カードの裏面には彼女の似顔絵が描かれていたのでした。

映画『Love Letter』の感想・評価

Love letter
©フジテレビジョン
Love letter』の総合評価
4 / 2人のレビュー
吹き出し アイコン

30代女性

岩井俊二監督らしさがギュッと詰め込まれている長編デビュー作にしてマスターピース。中山美穂の一人二役の演技が素晴らしく、山に向かって叫び続ける「お元気ですかー!」で涙腺崩壊。主演女優賞を総なめにしたのも納得です。

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40代男性

まったく違うタイプの人物を一人二役で演じた中山美穂もさることながら、男女2人の藤井樹の中学時代を演じた酒井美紀と柏原崇もとても良かった。豊川悦司のちょっとクセのある関西弁が気になりつつも、どの登場人物にも愛おしさを感じられるのが素敵。

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【解説】中山美穂が主演女優賞に輝いた一人二役

本作で主人公の渡辺博子と藤井樹の一人二役を演じた中山美穂は、1995年度の数々の国内映画賞で主演女優賞に輝きました。この一人二役は「藤井樹」という同姓同名の男女も絡んできて、相関図を把握するのが一苦労! 神戸に住む渡辺博子は、2年前に婚約者の藤井樹を山の遭難事故で亡くした女性。藤井樹が中学時代を過ごした北海道・小樽には、彼と同姓同名の同級生だった女性・藤井樹が今も住んでいます。博子は今は亡き藤井樹に届かない手紙を送ったつもりが、同姓同名の藤井樹のもとに届き、彼女が返事を出したことで文通が始まるのです。 現在の博子と樹の物語と並行して、中学時代の2人の藤井樹の物語も語られ、現在と過去の不思議な三角関係が展開。最後に少年・藤井樹が中学時代、少女・藤井樹に想いを寄せていたことを図書室の貸し出しカードで表していたのも心憎い演出でした。

【考察】韓国・台湾でも流行した名シーン「お元気ですか?」の影響

日本で本作が公開された4年後、1999年に韓国と台湾でも公開され、大ヒットを記録。博子が亡き樹が遭難した山に向かって「お元気ですかー?!私は元気です!」と叫び続ける名シーンからこのセリフが流行語になったり、舞台となった小樽への聖地巡礼も盛んに行われました。 現在でも本作の人気は衰えておらず、2024年の藤井道人監督による日台合作映画『青春18×2 君へと続く道』には、雪原で「お元気ですか」と言うシーンを含め本作への数々のオマージュが登場しています。 また岩井俊二監督自身、本作から25年後の2020年にアンサー映画として『ラストレター』を制作。さらにその3年後の『キリエのうた』では冒頭とラストに本作のセルフオマージュともいえる雪原のシーンが登場しました。

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映画『Love Letter』をネタバレ解説・考察でおさらい

公開当時大ブームを起こし、今も愛され続けている『Love Letter』。2025年には公開30周年を記念して4Kリマスター版が4月4日よりリバイバル上映されています。この機会にぜひスクリーンで観たい恋愛映画の名作です。