映画化!『ベートーヴェン捏造』結末までのネタバレあらすじと感想考察!

私たちが信じていたベートーヴェンの姿は嘘だった!?かげはら史帆の描く歴史ノンフィクションが『ベートーヴェン捏造』として待望の映画化、2025年9月12日公開予定です。 この記事では原作『ベートーヴェン捏造 名プロデューサーは嘘をつく』のネタバレあらすじを紹介します!
映画『ベートーヴェン捏造』のあらすじ 【ネタバレなし】
公開年 | 2025年9月12日 |
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監督 | 関和亮 |
キャスト | 山田裕貴 . 古田新太 |
文筆家・かげはら史帆が自身の修士論文を元に作り上げた小説『ベートーヴェン捏造 名プロデューサーは嘘をつく』が待望の映画化! 1977年の国際ベートーヴェン学会で明らかになったのは、ベートーヴェン(古田新太)の秘書であったアントン・シンドラー(山田裕貴)による捏造の数々でした。これまで信じられてきたベートーヴェンの史実には、多くの「嘘」が含まれていたのです。 本作ではベートーヴェンの本当の姿やシンドラーとのいびつな関係性、そしてなぜシンドラーが敬愛するベートーヴェンの史実を改変したのか、その謎に迫ります。
【ネタバレ】小説『ベートーヴェン捏造』の結末までのあらすじ
【起】「ベートーヴェン捏造」の発覚
1977年に開かれた「国際ベートーヴェン学会」で衝撃の事実が明らかになります。それは「ベートーヴェン」の史実に、大量の捏造が含まれていたこと。その犯人は、ベートーヴェンの晩年を支えた秘書、アントン・フェリックス・シンドラーでした。 ベートーヴェンの史実は、主にシンドラーが残した「ベートーヴェン伝」によるもの。伝記の中で、家族や側近の印象が悪く書かれている一方で、シンドラーは献身的で誠実な人物として描かれています。かねてからその内容を疑う研究者がおり、この学会で捏造が明らかになりました。 耳の聞こえなくなったベートーヴェンは、相手が会話帳に筆談したものを見て言葉で返すコミュニケーションを取っていました。シンドラーは、その「会話帳」の不都合な部分を大量に廃棄していたのです。
【承】シンドラーとベートーヴェンの出会い
法律を勉強するため、片田舎から大都会・ウィーンへとやってきたシンドラー。そこで音楽家として既に名を成していたベートーヴェンと出会い、秘書として仕えることを決めました。 シンドラーは実際、第九の初演に際してアーティストの斡旋や日取りの準備など、優れたプロデュース力を発揮します。しかし彼にはコミュニケーションに少々難があったのです。会話の中でも見当違いのリアクションを取り、嫌気が差したベートーヴェンの皮肉や悪口さえ気付けない鈍感さがありました。 ベートーヴェン側の性格にも難があり、何人もの使用人が逃げ出しています。一方でシンドラーは忠誠心とその鈍感力で、ベートーヴェンに付き随えるのでした。
【転】ベートーヴェンの会話帳
しかしベートーヴェンの過剰な嫌がらせ行為により、ついにシンドラーも彼の元を離れていきます。しかし数年後、再び戻ってきたのです。シンドラーは自分が離れていた間の記録を「会話帳」で知ることに。この時、会話帳がベートーヴェンの歴史を語る重要な資料であることをシンドラーは認識します。 シンドラーはベートーヴェンが亡くなる最期の時まで秘書として仕えました。葬儀には数万の参列者が集まり、ベートーヴェンとの別れを惜しみます。アマチュア・ヴァイオリニストでベートーヴェンの秘書を務めた、カール・ホルツが伝記を作ろうと発案しました。 伝記のプロジェクトを聞いたシンドラーは、「会話帳」を持って逃げ出してしまったのです。
【結末】嘘を貫け!ラストの大勝負は?
「会話帳」を持ち出したシンドラーは、自ら伝記づくりをスタートさせました。ベートーヴェンを悪く言う相手に対しては伝記の中でこき下ろし、新聞でも反論を掲載するなど、行動がエスカレートしていきます。 「ルートヴィヒ・ヴァン・ベートーヴェンに関する覚書」という、少々踏み込みすぎたベートーヴェンに関する伝書が出たことを知り、ついに「会話帳」の捏造に走ってしまうのです。 同じようにベートーヴェンのエピソードを盛って話す19世紀最大のピアニスト、フランツ・リストに対しては嫉妬心に駆られてしまうシンドラー。彼を超えるピアニストを生み出そうと愛弟子・ヴュルナーを育成しますが、途中で逃げられてしまいます。 ラストはベートーヴェンを研究するアメリカの伝記作家・セイヤーとの対峙となりーー。
小説『ベートーヴェン捏造』の感想・評価


ベートーヴェンのイメージが180度変わった作品です。少なくとも私が思っていたイメージのベートーヴェンは、シンドラーが作り出した偶像寄りだったことにびっくりしました。シンドラーの執念恐るべし…。

音楽史を辿る作品でありながら「リア充」など若者言葉も使った文体で、とっつきやすかったです。ただやり過ぎ感もあり、人によっては苦手と感じるかもしれません。もともとが修士論文だけあって、情報はしっかり裏取りがされている印象でした。
【解説】シンドラーの嘘・捏造を振り返る
シンドラーの嘘・捏造の中でも「音楽」関連は今でもその影響が大きく残っています。ベートーヴェンの「交響曲第5番第1楽章」。冒頭「ジャジャジャジャーン」を「運命はかく扉を叩く」と表現した言葉から「運命」として知られていますが、この逸話はシンドラーの捏造説が有力です。 さらに「テンペスト」として親しまれる17番のソナタ。こちらはベートーヴェンが作品を解釈するために「シェイクスピアの『テンペスト』を読みなさい」と言った、とシンドラーは書いていますが、こちらも捏造が疑われています。 プライベートな部分では、怠惰で女たらしなベートーヴェンをあたかも「偉大で誠実な偉人」に仕立て上げます。友人の妻に向けたラブレターも、貴族令嬢であった元カノ・ジュリエッタ宛に書き換えられ、あくまで純愛を作り上げたのです。
【考察】バカリズムが映画の脚本を担当した理由は?

映画『ベートーヴェン捏造』(2025)の脚本は、ドラマや映画の脚本を数多く手掛ける芸人・バカリズムが担当しました。 原作小説ではシンドラーのちょっと間抜けなキャラクターと、それに対して意地悪な返しをするベートーヴェンの姿が笑いを誘います。中には「てめえは無駄口を叩くな」などの強烈な現代言葉も。 ボケとツッコミ、言葉の間合いを熟知した芸人だからこそ、普通の史実小説ではない本作の魅力をさらに引き出してくれるのではないでしょうか。 また、バカリズム脚本をもとにメガホンを取るのが関和亮です。監督を務めた『地獄の花園』(2021)では、永野芽郁のヤンキー口調が話題になりました。バカリズムらしいウィットに富んだ脚本と、関和亮の独特な映像センスによって、今まで見たことがないベートーヴェンがスクリーンに現れる予感です。
小説『ベートーヴェン捏造』をネタバレ解説・考察でおさらい!映画公開は9月!
映画『ベートーヴェン捏造』は、2025年9月12日公開予定。ベートーヴェン演じる古田新太と、シンドラー演じる山田裕貴、W主演によるユーモアたっぷりの会話劇に注目です。 シンドラーと対峙する音楽家や秘書のキャストが誰になるのか今から気になりますね。続報が入り次第、ciatrでもまとめていきます!