2025年5月13日更新

映画『消滅世界』ネタバレ考察!村田沙耶香の原作小説から結末まであらすじを紹介

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『消滅世界』書影

芥川賞作家・村田沙耶香のディストピア小説『消滅世界』が映画化!2025年秋に公開予定です。性愛や出産といった根源的なテーマを深くえぐる衝撃作が、どのように映像として描き出されるのか、注目が集まります。 この記事では原作『消滅世界』をネタバレありであらすじ紹介!ラストの意味も考察します。

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映画『消滅世界』作品概要・あらすじ【ネタバレなし】

タイトル 『消滅世界』
公開日 2025年秋
上映時間 -
監督 川村誠
キャスト 蒔田彩珠 , 柳俊太郎

映画『消滅世界』あらすじ【ネタバレなし】

舞台は、人工授精による妊娠が当然となった近未来です。夫婦間のセックスは「近親相姦」として忌避され、恋愛対象は二次元やパートナー以外へと広がっていました。そんな異質な世界で、セックスによって生まれた主人公・雨音(蒔田彩珠)は何を感じ、いかに生きていくのか。 「恋愛」「結婚」「出産」といった、普遍的な概念を根底から揺さぶる衝撃作。この世界は、あなたにとって理想郷か、それとも悪夢でしょうか。

村田沙耶香の原作小説『消滅世界』を結末までネタバレ!

『消滅世界』は、2015年12月に河出書房から発売された小説。著者は『コンビニ人間』で第155回・芥川龍之介賞を受賞した村田沙耶香です。 ここからは『消滅世界』のあらすじをラストまで、起承転結で振り返ります。

【起】夫婦のセックスがタブーになった世界

近未来の日本は、子どもを望む夫婦が精子バンクを利用した人工授精で妊娠するのが当たり前となっていました。しかも夫婦間のセックスは「近親相姦」としてタブー化。フィクションのキャラクターや、外での恋愛が認められた世界です。 主人公・雨音は、小学校高学年の時に母親から「セックスによって自分が生まれた」と告げられます。母親から聞かされる「セックスによって生まれるのが正常」という言葉と、この世界との乖離に雨音は何が正しいのか悩むようになりました。 成長して愛し合うセックスに憧れを持った雨音は、何度かそれをパートナーと試みます。しかし相手には行為の意味が理解できず、付き合っても自然と離れていってしまいました。

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【承】社会実験都市「楽園(エデン)」

しかし、そんな雨音もやがて朔という男性と出会い、結婚。雨音のセックスに対する悩みも理解してくれる朔と、ようやく理想的な結婚生活が始まったのです。 その頃、千葉では大規模な社会実験都市「楽園(エデン)」が開始されようとしていました。それは、住んでいる人々みなが「家族」であり、人工授精で生まれた子どもは全員の共有財産になるというもの。 そして2人も楽園への移住を決意します。楽園内で人工授精によって生まれた子どもたちは、センターと呼ばれる1つの施設で街の大人たちによって育てられていました。

【転】夫の妊娠

楽園では、なんと男性の人工授精による出産も研究が進んでおり、大人は誰であろうと子どもたちから「お母さん」と呼ばれていたのです。 やがて2人は、自分たちの子供を持つと決意します。雨音と朔は同時に人工授精を受け、2人で妊婦(夫)としての生活がスタート。雨音は流産してしまいますが、朔のお腹の子は順調に成長していきます。 しかし、夫婦の間には徐々に溝ができていました。「自分の遺伝子を受け継ぐ子供と会いたい」という雨音の切なる願いがあり、朔も「2人で子どもを育てよう」と約束してくれていたことで、かろうじて「家族」という繋がりが保っていたのです。

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【結】雨音の選択、衝撃のラスト

やがて夫は無事に子どもを出産。雨音が夫に「あの子は?」と尋ねると、夫はあっさりと「センターに預けたよ」と答えます。約束を破られ、いきどおる雨音に対して「僕たちの子供なら、この町にたくさんいる」とこともなげに言い放ちました。 雨音のもとに母親がやって来ます。雨音は事の顛末を明かしました。「夫は帰ってこないこと。そして子どもはセンターに預けたこと」。話を聞き、楽園のルールに不快感を抱く母親に対して、雨音は睡眠薬を飲ませ、夫の部屋に閉じ込めてしまいーー。 そして雨音は、たまたま出会った街中の見知らぬ子どもに声をかけセックスするという、衝撃のラストを迎えます。

原作小説『消滅世界』ラストの意味を考察!隣の部屋の声は母親?

やはり気になるのは雨音のラストシーン。「楽園」という世界に対する雨音の痛烈な抵抗と、失われた人間性の断片が垣間見える場面ではないでしょうか。 ラストのセックスを作る時に聞いた声は、やはり母親だと思われます。母親は旧世界の価値観を持つ唯一の存在。雨音は楽園に順応するがゆえの猟奇的な行動を取りながら、母の声を「ヒトが動物だったころの鳴き声」として懐かしく聞いていました。 楽園の異常性に疑問を持ち続けてきた雨音が、動物ではないヒトになっていく=「楽園側の正常」に順応していくとも考えられます。

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原作小説『消滅世界』は気持ち悪い?感想・評価を紹介!

消滅世界
消滅世界』の総合評価
4 / 2人のレビュー
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40代男性

スタートからずっと衝撃の連続。特に「楽園」に入ってからはとんでもない世界が広がっていました。ディストピア小説として評判ですが「ユートピアとして書いたつもり」と作者の村田先生が言っていて、正しさや善悪とは、を考えてしまいます。

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30代女性

気持ち悪いと言うか想像したくないというか、終盤はなかなかえげつなかったです。まったく突拍子もない世界なのですが、現代の日本で問題となっている少子高齢化、結婚率低下、セックスレスなどが行き着く先なのかな、とも考えながら読んでいました。

映画『消滅世界』登場人物・キャスト情報!主人公は誰が演じる?

雨音役/蒔田彩珠

蒔田彩珠

本作の主人公で、この世界に疑問を持ちながら生きている女性・雨音は、蒔田彩珠が演じます。 ドラマ「ゴーイング マイ ホーム」での演技を、同作品の監督・是枝裕和が高く評価。是枝映画『三度目の殺人』(2017)や『万引き家族』(2018)への出演に繋がりました。

朔役/柳俊太郎

柳俊太郎

楽園に順応してしまう雨音の夫・朔は、柳俊太郎が演じます。 「MEN'S NON-NO」のモデルグランプリを受賞し、芸能界デビュー。俳優・浅野忠信との出会いから俳優の道へ進み、近年では『ゴールデンカムイ』(2024)や『#真相をお話しします』(2025)など、話題作への出演が続いています。

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芥川賞作家・村田沙耶香の『消滅世界』が映画化!2025年秋公開

日本の未来をも予見した衝撃作『消滅世界』が映画化決定。2025年秋、劇場公開予定です。 芥川賞作家・村田沙耶香が描くパラレルワールドがどのように映像化されるのか、期待とともにその衝撃的な内容に心をざわつかせている方もいるのではないでしょうか。ciatrでは続報が入り次第、更新します。