2025年7月2日更新

映画『木の上の軍隊』をネタバレ解説!実話と原作舞台の「その後」に違いはある?

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実話に着想を得た井上ひさしの同名舞台劇を原案に、堤真一と山田裕貴主演で映画化された『木の上の軍隊』が2025年7月25日に公開されます。 この記事では、『木の上の軍隊』の原作ネタバレあらすじ、実話との違いやキャストなどについて紹介します。

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映画『木の上の軍隊』作品概要・あらすじ

タイトル 『木の上の軍隊』
公開日 2025年7月25日(2025年6月13日沖縄先行公開)
上映時間 128分
監督 平一紘
キャスト 堤真一 , 山田裕貴

映画『木の上の軍隊』のあらすじ

太平洋戦争末期。沖縄県伊江島に米軍が侵攻し、島は壊滅的な状態に陥っていました。宮崎から派兵された山下一雄(堤真一)と沖縄出身の安慶名セイジュン(山田裕貴)は、敵の銃撃に追い詰められ、大きなガジュマルの木の上に身を潜めます。 圧倒的な戦力の差を目の当たりにし、援軍が来るまでその場で待機することを決断する山下。のんきな安慶名とどこか噛み合わないながらも、2人はじっと恐怖と飢えを耐え忍んでしました。 やがて戦争は終結しますが、それを知るすべもない2人は、孤独な戦いをつづけていきます。

映画『木の上の軍隊』キャスト・登場人物を解説

少尉・山下一雄役/堤真一

堤真一

宮崎県出身の山下一雄(やました かずお)少尉は厳格な性格で、国家への忠誠と「恥」の意識に囚われています。 山下を演じる堤真一は、多くの舞台、映画、ドラマで活躍。2005年には『ALWAYS 三丁目の夕日』第29回日本アカデミー賞で最優秀助演男優賞を受賞しました。

新兵・安慶名(あげな)セイジュン役/山田裕貴

山田裕貴

沖縄出身の新兵・安慶名セイジュン(あげな せいじゅん)。純朴な性格で、故郷に帰り、家族に会いたいという思いから生き延びようとします。 安慶名を演じるのは、「HiGH&LOW」シリーズや「東京リベンジャーズ」シリーズなどへの出演で知られる山田裕貴です。

映画『木の上の軍隊』のネタバレ!

木の上での「孤独な戦争」

太平洋戦争末期の1945年。米軍は沖縄県伊江島に侵攻し、激しい攻防戦の末に島は壊滅状態になってしまいます。敵兵に追い詰められた山下一雄少尉(堤真一)と、沖縄出身の新兵・安慶名セイジュン(山田裕貴)は、ガジュマルの木に登って敵をやり過ごします。 しかしその間にも仲間たちが次々と倒れ、山下は援軍が来るまで木の上で待機することを決断。極限状態で恐怖と飢えを耐え忍ぶ彼らは、夜な夜な木を降りて焼け残ったキャベツを食べたり、米軍が捨てた食糧や物資を漁って生活していきます。 木の下には死体が増えつづけ、日に日に拡大する敵軍陣地は、彼らが隠れている場所のすぐそばまで迫っていました。 連絡手段もなく、外部からの情報が完全に遮断された状態で、ただひたすら援軍を待ち続ける「孤独な戦争」を2人はつづけていました。

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衝撃の事実と「恥」の意識

「戦争はつづいている」と信じ込んでいる彼らは精神的に疲弊していき、やがてなんのために戦っているのか、なんのために木の上にいるのか、わからなくなってきてしまいます。 そんなある日、彼らは自分たちが隠しておいた食糧を島民に盗まれたことに気が付きます。亡くなった占有の名前で手紙を書いて島民に渡すと、その返事には戦争は終わったことが書かれていました。衝撃の事実を知った山下でしたが、彼はすぐにそのことを安慶名に告げることはできません。 山下は彼らが降伏することなく隠れ続けたこと、またそれによって無駄な時間を過ごしてしまったことに対して強い「恥」を感じ、安慶名に真実を告げることができなかったのです。 そんななか、安慶名が病に冒され、このままでは命が危ないという状況に陥ってしまいます。彼を助けるため、山下はようやくすべてを告白し、木を降りる決意をしました。 その後、命が助かった安慶名と山下はそれぞれ故郷に帰るのでした。

原作は舞台『木の上の軍隊』

本作の原案となっているのは、故・井上ひさし作の舞台劇『木の上の軍隊』です。 この舞台は実話を基にしており、「ガジュマルの樹上で2人の日本兵が生き延びた」というわずか2行のメモから着想を得て作られたものです。 この舞台は井上ひさしの「戦後“命”の三部作」の二作目に位置づけられており、戦争という極限状態で人間の「生」を掘り下げる、普遍的なテーマを持っています。

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実話のその後はどうなった?映画と舞台の比較も

映画や舞台では、2人の日本兵は2年間木の上で生活していたとされていますが、実際には約6日間だったといわれています。 また映画では、山下と安慶名が木を降りた後、それぞれ帰郷し再会することはなかったことが描かれています。これは実話でも同じで、モデルとなった山口静雄氏と佐次田秀順氏が、その後二度と会うことはなかったことがそのまま描かれました。 極限状態でなんとか生き延びようと協力した2人でしたが、その間には大きな溝があり、それが埋まることはなかったのです。

映画『木の上の軍隊』の感想・評価

木の上の軍隊』の総合評価
4.5 2人のレビュー
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30代男性

圧巻。すごい映画だった。踏みにじられたマイノリティの叫びがしっかり描かれていた。沖縄出身の平監督ということで納得。戦争映画だけど戦闘シーンほとんどないから、だれでも観られます。主演の2人の演技も素晴らしい。

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30代女性

戦争映画だけど戦争映画じゃない。人と人の映画。経験させられてしまった人にだけ戦争がある。事実を基に作られている作品なので、ぜひ多くの人に見てほしい。ずっとシリアスかとおもいきや、クスッと笑えるシーンもあり。

映画『木の上の軍隊』の全国公開日は2025年7月25日!

戦後80年の今年、日本で唯一陸上戦が行われた沖縄を舞台とした本作は、非常に強いメッセージと意味を持つ作品です。 『木の上の軍隊』は、2025年7月25日全国ロードショー。沖縄では6月13日から先行上映されています。