2019年11月30日更新

『寄生獣』の名言を厳選して紹介!稀代の鬼才・岩明均の名作

寄生獣

代わりのない間と空気感、キャラクターの常人離れしていても不思議と活き活きとした描写が特徴の岩明均。彼の代表作『寄生獣』は昨今、アニメ化と映画化して人気を博しました。今回はそんな『寄生獣』から厳選した名言を紹介します。

目次

『寄生獣』に登場する名言を厳選して紹介!

『寄生獣』は1988年から約7年間にわたって連載された、岩明均による人気マンガ。2014年に主演・染谷将太で実写映画化されたことをキッカケに、再び認知度と人気を高めました。 突如として地球上に降り注いだ、多数の生命体(パラサイト)。正体不明のそれらは、人間の体の一部分から侵入すると脳に到達し、意思や肉体を完全に支配下に置きます。そして彼らは人間を捕食し始めたのです。 主人公・泉新一も、1匹の生物に寄生されかけます。しかし、間一髪で脳への浸食は防ぎ、その生命体は彼の右手に宿ることになったのです。彼らは奇妙な共同生活を送りながら、他のパラサイトたちと戦う運命に巻き込まれていくのです。 今回は、そんなSF漫画の金字塔『寄生獣』に登場する名言を厳選してお届けしていきます!

「泣くってのは人間独特のものだよな!」

『寄生獣』の第15話で登場する言葉です。パラサイトに寄生されるも、脳までは浸食されてなかった宇田守。そんな彼は、主に顎に寄生しているそのパラサイトにジョーと名付けます。そしてジョーが放った言葉が「泣くってのは人間独特のものだよな!」でした。 伊豆のホテルに勤める守は、両親の離婚が原因で自殺しようと考えていました。そんな中でジョーに襲撃され、そのまま崖から落ちてしまう事態に。 そこでジョーは、せっかく寄生したのにこのまま死んでしまっては困ると考え、守を生命を維持しようと努力します。その結果、脳までたどり着くことができませんでした。 そのため守もジョーもどちらも意識を持っており、さらには共生できているレアなタイプに。ジョーが言ったこの言葉からも、人間に敵意むき出しというよりも冷静に分析しているような印象を受けます。

「シンイチ……『悪魔』というのを本で調べたが……いちばんそれに近い生物は、やはり人間だと思うぞ……」

世界中でパラサイトによるミンチ殺人事件が発生。そこでパラサイトの存在を知る新一は、ミギーの存在を明らかにしようかと悩みます。しかしミギーからするとその事件は、同種族の仲間たちが食事を摂っているにすぎません。そんな齟齬から、2人は口論に発展していきます。 自分に危害を加えるのであれば視力や聴力くらい奪えると、ミギーに言われた新一。それに対して彼は「悪魔…!」と放ち、それに答えるようにミギーが言ったのが「シンイチ……『悪魔』というのを本で調べたが……いちばんそれに近い生物は、やはり人間だと思うぞ……」でした。 さらに続けて「人間はあらゆる種類の生物を殺し食っているが わたしの「仲間」たちが食うのは ほんの1~2種類だ……質素なものさ」と言います。こう言われた新一はその後、何も答えることができませんでした。 私たち人間は多くの命を奪っているということを再認識させるような言葉であり、人間の本質を突いたような名言です。

「3人いれば勝てると思ったのか?」

新一の学校に赴任してきたパラサイトの田宮良子。高い知能・探究心を持つ彼女ですが戦闘力もピカイチで、1度はミギーに「正面から戦った場合に勝ち目は無い」と言わせたほど、強い力を持っています。 そんな彼女が放ったのがこの言葉。彼女の強さが表れている言葉ですよね。他にも良子は「もしその気になればひとクラス 3秒で皆殺しにできるわ……」と発言していたことも。 しかし良子は、パラサイトの中で殺めた人の数は少なめ。人を食べて栄養を補うパラサイトですが、彼女は珍しく、普通の食事で補いながら生活を送っていました。 無駄な殺生をしない彼女だからこそ、凄みのある言葉です。

「やったのか!!新一!!」

良子が作った最強のパラサイト・後藤との戦いに敗れ、ミギーを失った新一。傷を負いながらも逃げていた彼を匿ってくれたのが、田舎住みの老婆・美津代でした。 言い方はキツい美津代ですが根は優しく、後藤との再戦ばかり考えていた新一を諭してくれた人物です。また、新一が後藤と再び戦っていたときには、無事であるようにと亡くなった夫の遺影に祈り続けていたことも。 そんな美津代によるこの言葉は、新一と後藤の再戦後に登場します。近所で化け物の死体が見つかったと騒ぎになり、どっちが勝ったのかと不安になっていた美津代。 そんな中、新一に貸した鉈が家に立てかけられているのを見つけ、美津代が心の中で叫んだのがこの言葉でした。彼が無事であることにどこか安心しているような表情も印象的な場面です。

「きみ、泉新一くん……、だよね?」

新一のガールフレンド・村野里美の言葉。パラサイトのミギーに寄生されてどんどん変化していく新一に問いかける言葉であり、作中で何度も登場する印象的な名言です。 最初に登場するのは、第2話。ミギーを宿した新一の変化に気づき、やや呆然としながらも「きみ……泉新一くん……だよね?」と問いかけます。これに対して新一は「当たり前だろ」と誤魔化すのでした。 その後もなにか変化がある度に新一に尋ねる村野。ミギーに寄生された彼はどこまでが新一なのか、いつまで新一なのかと問うているようで、まるで哲学的な質問のようでもあります。 質問される度に自分は以前の自分と同じなのかと考えざるを得ない新一と、彼の変化に苦しむ村野にとって残酷な言葉でもあり、見逃せない名言です。

「ひょっとしておまえ、鉄でできてるんじゃないのか」

第20話にて登場するこの言葉。新一に向けて、父である泉一之が放った言葉です。一之はパラサイトによって妻の泉信子を失い、憔悴しきった様子。新一にとっては母である人物だからこそ、一之は彼も狼狽えているのではないかと思ったのでしょう。 しかし新一は非常に落ち着いており、父はそれに驚きを隠しきれなかったのです。そこで問いかけるように言ったのがこの言葉でした。彼女を失ったことを引きずる父と、まるでもう気持ちの切り替えができているかのような新一。そんな対称的な2人が印象的な場面での言葉です。 そして、ミギーに寄生された新一が身体能力のみならず、心も大きく変貌を遂げていたことに気づかされる印象深いワンシーンでもあります。

「一秒でもはやく! かあさん! かあさんいま! その化け物を切り離してやるからね!」

本作序盤の大きな見せ場ともいえるシーンでの台詞。新一が母・信子に寄生したパラサイトへ、怒りと憎悪をぶつけるように放った言葉です。 新一がまだ幼い頃。大やけどを負いそうになった彼を信子がかばい、代わりに手にやけどしてしまったことがありました。そんなこともあり新一に反抗期はなく、母からの愛情を存分に受けて育ちました。 しかし寄生されてからの信子は新一への愛情が一切なく、冷酷非情なパラサイトに。新一はどうにか信子のパラサイトを倒そうとするも、初めて対峙した際には致命傷を負ってしまいます。それでも彼は母の仇を取るためにもう1度戦い、無事倒すことに成功するのでした。 そんな戦いの場面での言葉で、これまで愛情をもって育ててくれた母への気持ちがこもっているような、胸を打つ名言でもあります。

「人間に寄生し生物全体のバランスを保つ役割を担う我々から比べれば、人間どもこそ地球を蝕む寄生虫!! いや……寄生獣か!」

パラサイトに協力的な政治家・広川剛志の言葉。読者にとって寄生獣とは、人間に寄生するパラサイトのことだと思っていたはず。しかしこの言葉で一転。本作のタイトルは、地球に寄生する人間という意味であったことが分かる衝撃的な名言です。 広川にとって人間とは、地球を汚し、生物のバランスを崩す憎むべき存在。そのため、人間を食べるパラサイトに好意的で、彼らが食事をしやすいような場所や住居を確保するほど肩入れしています。 本作で伝えたいテーマがはっきりと表れている言葉であり、読者にも訴えかけてくるような名言です。

「この前人間のまねをして、鏡の前で大声で笑ってみた。なかなか気分が良かったぞ」

パラサイトだと見抜かれ、拳銃で撃たれた田宮良子。そんな良子が力尽きる寸前の、最期の言葉です。 良子はパラサイトでありながらもむやみやたらに人間を食べず、人間とはどういうものなのかと研究していました。さらにはパラサイトとは何なのかについても調べていた彼女は、自身が作り上げた最強のパラサイト・後藤との間に子どもをもうけ、育てていました。 そんな彼女の最期のとき。銃で撃たれ、血まみれの状態のまま新一の元へ向かいます。そして抱いていた赤ん坊を彼に託し、「この前人間のまねをして……鏡の前で大声で笑ってみた……なかなか気分が良かったぞ」と言うのでした。 本来ならパラサイトは不合理な感情を持たないはずですが、人間について探求し、自らの子どもと触れ合う中で、新たな感情が生まれたのでしょう。後に新一とミギーに大きな影響を与えた名言です。

「心に余裕(ヒマ)がある生物。なんて素晴らしい!」

最終話で登場するこの言葉は、ミギーが新一へ贈ったもの。最強のパラサイト・後藤との戦いから1年、ミギーは新一に別れを告げて眠りについていました。 そんなある日、ガールフレンドの村野が、殺人鬼の浦上に連れ去られてしまう事件が発生します。ビルの屋上へと連れて行かれた村野を追いかけてやって来た新一。どうにか助けようとするも、彼女は屋上から落下してしまうのでした。 何もできずに泣く新一。そんな中、彼の頭の中に現れたのがミギーでした。お互いに知り合いになった生き物が死んでしまうと悲しくなるのは、人間がヒマな動物だからだと言うミギー。さらに「だがなそれこそが人間の 最大の取り柄なんだ」と語り、それに続けて言ったのがこの言葉でした。 そして、ハッと意識を取り戻した新一の右手には村野の手があり、無事彼女を助けることができたのでした。

「『バカヤロー』という言葉は自分よりバカな相手に使うべきだ」

ある日の体育の時間。新一が村野に応援されているのをよく思わない人物がいました。その人物とは、同級生の古谷という男子生徒。彼は村野に片想いしているため、新一のことを疎んでいました。 そんな中、古谷は新一が1人になったときを狙って喧嘩をふっかけます。そこで登場したのはミギーで、古谷を容赦なく殴ってしまいます。しかしパラサイトであるミギーの力は強烈で、彼は少しの間気絶してしまう事態に。 これにはさすがに新一も「少しは手加減しろよバカヤロー」とミギーを怒鳴りつけます。そこでのミギーの返しがこちら。冷静に物事を考えられるミギーらしさが溢れた名言です。

「それは新一くん……きみが新一くんだから……」

『寄生獣』の最終話にて登場。新一が、殺人鬼の浦上に誘拐された村野を助けた後のこと。 かつて新一と村野は、道路で倒れていた子犬の最期を看取ったことがありました。その後、新一は息を引き取った子犬をゴミ箱へ捨ててしまい、村野に激しく怒られます。 しかしさらにその後、ミギーからの言葉を受けた新一は、改めて子犬を埋葬してあげていました。それを彼女に明かしたところ、村野は「知ってるよ」と言い、続けて「それは新一くん……きみが新一くんだから……」と告げるのでした。 ミギーを宿してからどんどんと変わっていった新一。時には人として冷たいのではないかと思われるような悲しい変化もありました。それを身近で見ていた村野ですが、そんな彼女だから重みのある、優しい言葉です。