『時をかける少女』の主題歌「変わらないもの」と「ガーネット」歌詞の意味を考察!劇中曲一覧も【時かけ】
タイムリープものの名作アニメ『時をかける少女』(2006)。その感動的な物語を彩ったのが、シンガーソングライター・奥華子による「ガーネット」「変わらないもの」の2曲でした。 この記事では、主題歌「ガーネット」「変わらないもの」の制作秘話や歌詞考察、さらに作品の挿入歌一覧など、「時かけ」の"歌"情報を一挙に紹介します! ※『時をかける少女』のネタバレを含みます。
『時をかける少女』の主題歌・曲一覧

| 変わらないもの | 残った1回のチャンスで、千昭に会いにタイムリープするシーン |
|---|---|
| ガーネット | エンドロール |
| 夏空 オープニングテーマ | オープニングから慌てて学校に向かう真琴の姿〜千昭と功介が待つ教室に到着するまでのシーン。 |
| スケッチ | 学校での授業や昼休憩の日常シーン(タイムリープで複数回流れる)。 |
| からくり時計 ~タイムリープ | ①自転車のブレーキが効かなくなり、踏切に突っ込むシーン。真琴が初めてタイムリープをする瞬間。 ②終盤、功介を助けようと千昭が坂道を転がり落ちるシーン。 |
| 少女の不安 | ①初めてタイムリープした後に、真琴が再挑戦するシーン。 ②功介が自転車を借りてしまい、真琴が踏切にダッシュするシーン。 |
| Daylife | 千昭が真琴に告白〜親友・友梨が怪我をするまでのシーン。 |
| 未来の記憶 | 終盤、真琴がタイムリープして功介に自転車に乗らないよう伝え、千昭に会いに走るシーン。 |
| 静寂 | 千昭が未来から来たことを明かしたシーン |
『時をかける少女』の主題歌は奥華子「ガーネット」
主題歌を担当したのは人気女性シンガーソングライター・奥華子。2005年にシングル『やさしい花』にてメジャーデビューした彼女は、この『時をかける少女』にて初めての主題歌担当として「ガーネット」を書き下ろしました。 細田守監督からの「映画を観終わったときに青空を見上げたくなるような曲」というリクエストから生まれた1曲。「ガーネット」は石言葉で「友愛」という意味があり、真琴と千昭、功介にぴったりなタイトルとなっています。 「時かけ」の2曲でブレイクを果たした奥華子は、現在では200曲以上の楽曲を制作。デビュー20周年の2025年は「全国弾き語りツアー」や『THE FIRST TAKE』での「ガーネット」披露など、精力的に活動しています。
物語の余韻を感じさせる「ガーネット」の歌詞を考察

「ガーネット」の歌詞には、別れを単なる悲劇として描くのではなく「あなたと出会えた事が何よりも私を強くしてくれたね」という歌詞があるように、別れへの肯定的な言葉も散りばめられています。 同時に、「あなたと過ごした日々をこの胸に焼き付けよう〜またこの季節が巡ってく」というサビ部分は、 「もう戻れない時間」「叶わなかった願い」への決別の宣言が込められており、「別れ=感謝」という“成長の物語”の余韻が感じられます。
細田守監督も惚れ込んだ奥華子の歌

『時をかける少女』の主題歌候補には初めの頃にたくさんの候補作が挙げられていました。 どんな大ヒット曲を提示されても細田守監督は頑として首を縦に振らず、主題歌に歌はつかないのではないかと多くのスタッフが予想していました。ですが、ある日スタッフの一人が持ってきた奥華子のCDを聴き、彼女に主題歌を担当してもらうこととなりました。 この映画のコンセプトとして映画を観終わって劇場から出てから青空を見上げるまでが作品の1つというものがあります。その点において切なさを持たせつつも恋愛青春ドラマとしての色が強いこの作品に相応しいノスタルジックさのある奥華子はまさに適役でした。
絵コンテを読み込み「変わらないもの」をテーマに!

奥華子が初めての主題歌を制作するにあたって分厚い絵コンテを何度も繰り返して読み、『時をかける少女』のテーマとして頭に浮かんだのが、挿入歌になっている『変わらないもの』でした。 そののちに主題歌として作られた『ガーネット』は、とにかく苦労して作られた曲だそう。努力の甲斐あってか奥華子自身の代表曲となり、ロングセラーを記録しました。
「ガーネット」は真琴、「変わらないもの」は千昭目線

「いつまでも忘れないと あなたが言ってくれた夏 時間が流れ 今頃あたしは涙がこぼれてきた」という歌詞。この文章から、真琴が過去を思い出して切なく感じている様子が伺えます。 一方で「変わらないもの 探していた あの日の君を忘れはしない 時を越えてく思いがある」という前向きな歌詞もあります。 千昭と真琴はお互いが違う世界を生きることとなりますが、真琴が想う気持ち、そして千昭が真琴をずっと想う気持ちは"変わらない"のではないでしょうか。まさにこの歌詞は、去りゆく千昭の気持ちにぴったりなのです。
時間をめぐる二つの主題歌「ガーネット」と「変わらないもの」

「ガーネット」と「変わらないもの」は、異なる視点から「時間」と「想い」を描く対の楽曲です。 「変わらないもの」は、真琴が千昭に会うためタイムリープするシーンで流れました。これまでの「過去への郷愁」とともに、真琴・千昭の「君に会いたい」という想いを描いています。 対して「ガーネット」は、別れを経たエンディングで流れる一曲です。真琴の「別れの受容」とともに、未来への一歩を歌っており、この2曲は物語の中で響き合っているのです。
『時をかける少女』の歌「ガーネット」「変わらないもの」は時を超えて愛される

アニメ映画『時をかける少女』(2006)の挿入歌や楽曲を一挙に紹介しました! 「変わらないもの」と「ガーネット」は、奥華子のきらびやかな声と、真琴たちの想いとマッチする歌詞で、『時をかける少女』のみならず、細田守監督作品の中でも屈指の名曲となりました。 主題歌・挿入歌にも注目して『時をかける少女』を視聴してみてはいかがでしょうか。


