2020年8月24日更新

「ジョーズ」シリーズのあらすじや制作秘話を解説!曲が最大のネタバレ?

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『ジョーズ』ポスター
© UNIVERSAL/Zeta Image

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人々にトラウマを植えつけた!『ジョーズ』のあらすじや制作秘話を紹介

『ジョーズ』は1975年に制作・公開されたアメリカの映画です。監督はスティーヴン・スピルバーグが務めており、彼はこの作品で世界的に有名になりました。 本作のストーリーを要約すると、ビーチで楽しむ人たちが巨大なホオジロサメに襲われ、警察署長や海洋学者たちがそのサメと戦うというもの。映画のジャンルとしてはホラーやパニックなどに分類されています。 子供がサメに襲われて食べられたり、海に引きずり込まれていったりする描写など、多くの人たちにトラウマを植え付けたパニック映画の代名詞的作品です。 この記事ではそんな『ジョーズ』の制作秘話やトリビアから、続編3作を含むシリーズ全作品のあらすじまで、詳しく紹介していきます。

映画『ジョーズ』(1975年)のあらすじ【ネタバレ注意】

『ジョーズ』
© UNIVERSAL/zetaimage

アメリカ東海岸にある田舎町・アミティで、ビーチに打ち上げられた女性の遺体が発見されました。警察署長のブロディは、事件はサメの仕業によるものと考え、海を遊泳禁止にしようとします。しかし夏の観光シーズンを前に、市長はそれを拒否。 そんな中、さらに1人の少年が犠牲になってしまいました。ブロディが海洋学者のフーパーに意見を求めると、彼らの死因は大型のサメによる襲撃だと判明します。 犠牲となった少年の両親がサメに懸賞金を懸けたことで、それを目当てに町には多くの人が集まってきました。そのころ町では1匹のサメが捕獲され、住民たちはこれで危険は去ったと喜びます。

しかしブロディとフーパーは納得がいきません。捕まったイタチザメは小型で、その口径は遺体と一致しなかったのです。犯人のサメは別にいると考えた2人は改めて市長に遊泳禁止を訴えますが、やはり聞き入れられませんでした。 ブロディは対策としてビーチに武装した警備隊を配備しますが、サメの被害は収まりません。そこで彼は地元の漁師クイントを雇い、彼の船に乗りフーパーを含めた3人でサメ退治に向います。 数時間後、彼らは沖合でとうとう目当てのサメを発見。それは体長8m、体重3tもある巨大なホオジロザメでした。クイントは早速イカリでサメを仕留めようとしますが歯が立ちません。しかも怒ったサメは船に体当たりをくり返し、徐々に船は壊れていきます。 フーパーはそこで一策を講じ、金属の檻に入って海に潜り水中銃をサメに撃ち込もうとしました。しかし檻はあっさりと壊され、彼は海の底へと沈んでしまいました。船上で懸命に戦うクイントも海に引きずり込まれ、サメの餌食となってしまいます。 残されたブロディはサメに酸素ボンベをくわえさせ、ライフルを発射。その爆発で、やっとサメを倒すことに成功します。そこに海に沈んだはずのフーバーが現れ、2人は船の破片につかまって陸を目指すのでした。

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恐ろしいサメに立ち向かう!『ジョーズ』に登場したキャストを紹介

マーティン・ブロディ役:ロイ・シャイダー

マーティン・ブロディは、海辺の観光地アミティに赴任したての警察署長です。ニューヨーク市警から赴任してきた彼は、人食いサメの影響を考え遊泳禁止を提案しますが、市長からは却下されてしまいます。 ブロディを演じたのは、俳優のロイ・シャイダー。アメリカ出身の1932年生まれで、2008年にガンで亡くなりました。 映画やテレビに関する情報サイトAllmovie では「全てのハリウッド俳優の中で最もユニークであり優れた俳優の1人」だったとされています。

サム・クイント役:ロバート・ショウ

サム・クイントは地元の荒くれ漁師。賞金目当てで、サメ退治に挑戦します。 そんなクイントを演じたのは、俳優で作家でもあるロバート・ショウ。1927年にイギリスで生まれた彼は、作家として有名になった後に俳優デビュー。1978年に心臓発作を起こし、51歳という若さで亡くなっています。 映画俳優としての出世作は、1963年公開の『007 ロシアより愛をこめて』(日本公開時のタイトルは『007 危機一発』)です。彼はこの作品で殺し屋のドナルド・レッド・グラントを演じ、俳優として脚光を浴びました。

マット・フーパー役:リチャード・ドレイファス

マット・フーパーは海洋学者をしている若者です。軟弱だとクイントからバカにされつつも、豊富な知識と行動力でサメ退治に挑戦します。 フーパーを演じたのはリチャード・ドレイファス。1947年生まれのアメリカの俳優です。1960年代半ばからテレビ番組でキャリアを積みはじめ、人気ドラマ『奥様は魔女』(1966年)への出演でも有名。1977年の映画『グッバイガール』では、第50回アカデミー賞主演男優賞を受賞しました。 スピルバーグ監督の作品には、本作のほかにも『未知との遭遇』(1977年)や『オールウェイズ』(1989年)に出演しています。

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スピルバーグが手がけた『ジョーズ』制作秘話を紹介!

『ジョーズ』ポスター
© UNIVERSAL/Zeta Image

ここからは、名作パニック映画『ジョーズ』の制作秘話を紹介していきます。あまり知られていない本作の秘密は、タイトルそのものにも隠されていました。 実は「ジョーズ(jaws)」とは本来、英語で「顎」を意味する単語。しかし本作が世界的なヒットを記録したことから、「サメ」を意味する言葉としても使われるようになったのです。

原作小説のもとになった実際の事件がある

映画『ジョーズ』は、ピーター・ベンチリーの同名小説が原作となっています。この小説には、アイディアのもとになった実際の事件がありました。 1916年、アメリカのニュージャージー州の海岸でのこと。ビーチで泳いでいた男性がサメに襲われて死亡します。しかし当時の海洋学者たちは、サメが人間を襲うという認識はありませんでした。 唯一人を襲う可能性のあるホオジロザメは、北半球には生息していないと考えられていたので、この事件はサメによるものではないと主張していたのです。 最初の事件から5日後に、今度はホテルの従業員がサメに襲われてしまいます。従業員は両足を食いちぎられ死亡し、この事件は大々的に報じられました。これにより海水浴客が訪れなくなってしまい、現地の観光産業は打撃を受けることになったのです。

サメロボット「ブルース」によって撮影は難航

ジョーズ、サメ
©Universal Pictures/Photofest/zetaimage

『ジョーズ』に登場する巨大で恐ろしいサメは、実は機械仕掛けの模型です。スタッフの間では「ブルース」と呼ばれていました。 「ブルース」は事前にテストができない状態で撮影がスタートしてしまったために、機械の故障が多発。これは模型が海水を吸って、地上で組み立てた状態と変わってしまったことが原因でした。そのため撮影期間は、予定よりも大幅にオーバーしてしまったそうです。 当時の撮影は35ミリフィルムで行われ、音声もモノラルで録音されていました。2012年に『ジョーズ』がブルーレイディスク化された際には、時間と共に劣化してしまう映像を公開当時の状態に近づけようと、大幅な修復作業が行われたそうです。

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ホオジロザメの天敵はシャチ?映画ではコテンパンに

シャチ_フリー素材

地球上最も恐ろしくどう猛な動物・ホオジロザメには、天敵など存在しないように思えますが、実は存在するのです。 それは英語で「キラー・ホエール(クジラの殺し屋)」と呼ばれるシャチ。知能がとても高いシャチは、ときに群れでホオジロザメを襲うこともあり、自然界に天敵なしと言われています。 本作に登場する荒くれ者漁師・クイントの船の名はオルカ号ですが、「オルカ」とはシャチの学名。そんな名前の船ですが、クライマックスではサメの攻撃によって海底へ沈んでしまうのです。 また『ジョーズ2』では、現実世界での恨みをぶつけるかのように、シャチがサメの餌食となった姿で登場しています。

原作者がリポーター役でカメオ出演!

本作はピーター・ベンチリーの同名小説をもとにしていますが、スピルバーグ監督は原作に初めて目を通した時あまり良い印象を持っていませんでした。人間のキャラクターに感情移入出来なかったスピルバーグは、人間よりもある意味でサメに肩入れするような映画に仕上げたそうです。 それでも監督と原作者の関係はそれほど悪いものではなかったよう。原作者のベンチリーはビーチでニュースを伝えるレポーターとしてカメオ出演し、堂々とした演技を見せています。 彼は小説家になる前はワシントンポストのジャーナリストだったため、レポーターはまさに適役だったのでしょう。

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スピルバーグ監督もこっそりカメオ出演

スティーブン・スピルバーグ
Brian To/WENN.com

監督であるスティーブン・スピルバーグもまた、本作にこっそりとカメオ出演しています。彼が担当しているのは、サメの捕獲がうまくいかずイラつくクイントと、無線で交信している相手の声です。 彼はこれまでにも『インディジョーンズ/魔宮の伝説』(1984年)や『グレムリン』(1984年)、『バニラスカイ』(2001年)などにカメオ出演してきました。 なかでも彼のもっとも素晴らしい演技が見られるのは『ブルース・ブラザーズ』(1980年)の納税課職員役です。監督業だけでなく俳優としても活躍できることを証明していますね。

なんとスピルバーグの愛犬まで登場していた!

原作者ピーター・ベンチリーと監督スティーブン・スピルバーグに加え、監督の愛犬エルマーもまたカメオ出演していました。 エルマーはブロディのペットとして出演していますが、ソファーで寝ていることがほとんどで見せ場はあまりありません。もう1匹の老犬ピペットは海へ棒を取りにいき、2度と戻って来なかったため、恐らくサメの餌食となってしまったのでしょう。 エルマーはその後もたびたびスピルバーグ作に出演。スピルバーグの初期作品『続・激突!/カージャック』(1974年)や『未知との遭遇』(1977年)、『1941』(1977年)などでもその姿を見ることができます。

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映画『白鯨』(1956年)を意識して作られていた!

『白鯨』はハーマン・メルヴィルの同名小説をもとに、1956年に制作された映画です。本作は巨大な白クジラに片足を食いちぎられた捕鯨船の船長・エイハブが、復讐を誓う物語。 スピルバーグは『ジョーズ』を制作するにあたり、この『白鯨』を意識していたといいます。サメに恨みを抱くクイントという役も、クジラを憎むエイハブ船長のイメージでキャスティングしようとしていたそうです。

『ジョーズ』は『激突!』の続編だった?

『激突!』
© UNIVERSAL TELEVISION/zetaimage

クライマックスでホオジロザメが息絶えるシーンでは、なぜか車のマフラー音が轟いています。これを不思議に思った人も多いのでは?実はこれはスピルバーグ監督初期作品『激突!』(1971年)に、深く関係しているのです。 『激突!』はセールスマンが謎のトラックにしつこく追跡されるスリラー映画。『ジョーズ』のオファーを受けた時にスピルバーグの頭の中では、サメが人を次々に襲うプロットが『激突!』と重なっていました。 『ジョーズ』と『激突!』の間に不思議なリンクを感じたスピルバーグ。その結果、本作でサメが息絶えるシーンにも、『激突!』のクライマックスで崖から落ちるトラックの轟音を使用することにしたそうです。

テーマ曲が重大なネタバレに?

『ジョーズ』といって真っ先に思い浮かぶのが、ジョン・ウィリアムズが作曲した本作のテーマ曲です。映画を観ていなくても、曲だけは知っているという人が世界中にいるのではないでしょうか。 印象が強すぎて、作中では終始流れていたように思えるほどですが、実際にはサメがその場にいるシーンでしか流れていません。 例えばビーチの人たちがサメがいると勘違いして大パニックが起こるシーンや、クイントがサメを捕まえたと思ったものが実はサメではなかったシーンなど、ホオジロザメがそこにいない時はあのテーマ曲は流れていないのです。 あの曲が流れるかどうかに注目して観ると、そこにサメがいるかどうか分かるという、最大のネタバレになっていたのですね。

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クイントという役に大きな影響を与えた人物

本作で不運な漁師のベン・ガードナーを演じたクレイグ・キングスベリーは、俳優としてだけなく裏方としても作品に大きく貢献した人物です。彼は特にクイントのキャラクターを構築するために、重要な役割を果たしています。 キングスベリーは『ジョーズ』の撮影場所マーサズ・ヴィニヤードで漁師をしており、もともとはクイントを演じるロバート・ショウの指導担当として雇われていました。 彼が2週間かけて専門用語や漁の技術などを指導し、荒くれ漁師のクイントというキャラクターが作り上げられていったのです。 キングスベリー演じるベンの登場シーンを見れば、クイントが彼にどれほど影響を受けているか知ることができます。

クイントと人喰いザメの末路は暗示されていた?

『ジョーズ』
© UNIVERSAL/zetaimage

クイントがクライマックスで死んでしまうことは、映画冒頭で既に暗示されていました。クイントがアミティの人たちに自身をサメハンターとして売り込んでいたとき、彼は「あのサメは人を丸のみだ。小刻みに揺れながら、肉を柔らかくする、それで終わりだ」と言っています。 まさかこの発言が自分の身に降りかかるとは、思いもよらなかったことでしょう。映画のクライマックスを知ったうえでこのセリフを聞くと、とても皮肉に響きます。 さらにホオジロザメの末路も暗示されていました。ブロディがスキューバーのタンクの上で本を読んでいると、クイントが「あいつはタンクも食っちまうかも」と言います。これらはクライマックスの爆発シーンを暗示していたのですね。

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声帯がないサメが吠えている!

シリーズ4作目『ジョーズ’87 復讐編』(1987年)はバカらしいプロットやひどい特殊効果で、辛辣な評価を得ている作品です。 中でもひどいのは、サメがライオンのように吠える設定。実際のサメには声帯がないため、この描写はありえません。 しかし1作目の『ジョーズ』に登場するホオジロザメも、実は唸り声を上げているのです。海上に現れたサメをクイントがモリで刺すシーンや、オルカ号が沈んでいく中でブロディを襲うシーンなど、いくつかの箇所でその声を聞くことができます。 こういった描写はおそらく恐怖感を倍増させるために、撮影後に足されたものなのでしょう。あまり目立ったものでなかったため、映画の評価に傷をつけるものではありませんでした。

続編3本のあらすじもあわせて紹介!【ネタバレ注意】

『ジョーズ2』(1978年)

ジョーズ2
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続編『ジョーズ2』の舞台は、前作から3年後のアミティです。 サメとの戦いで沈没した船を探索しに、海に出ていったダイバーが失踪。この失踪事件を皮切りに、町に再びサメへの恐怖が訪れます。 再びブロディが動き出しますが、彼はある日小魚の群れをサメと勘違いして、銃の乱射事件を起こしてしまうのです。3年前の恐怖を拭いきれずにいた彼は、ほかの人々よりもサメに対して敏感になっていました。

その結果、ブロディは警察署を解雇されてしまいました。 そんな頃、ブロディの息子・マイケルが制止を聞かず海に乗り出し、サメに襲われてしまいます。 ブロディは息子の危機をきっかけに過去のトラウマを乗り越え、サメとの戦いに勝利したのでした。

『ジョーズ3』(1983年)

ジョーズ3
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『ジョーズ3』の主人公は、ブロディの息子・マイケルです。成長した彼は、海洋水族館のチーフエンジニアとして働いていました。 水族館の売りは、海底に張り巡らされたガラス製のトンネル。しかしオープン直前に水族館と海底を仕切るゲートに不具合が発生し、修理に向かったスタッフはそのまま行方不明になってしまいます。 行方不明のスタッフを捜索していたマイケルと海洋学者のキャスリンは、体長3mのホオジロザメの捕獲に成功し、それを水族館で人工飼育することに。 水族館は無事にオープンしましたが、館長が飼育担当のキャスリンに無断でサメを公開してしまいます。その直後にサメは死んでしまいました。 一方で海底トンネルでは、訪れた来場客によって行方不明だったスタッフの無残な死体が発見されます。マイケルはすぐさまそれがサメの仕業だと判断し、調査に乗り出しました。

彼は海底に体長10mの超巨大ザメを発見。実はそのサメは、マイケルたちが捕獲したホオジロザメの母親だったのです。 子供の死に怒った母ザメはトンネルを襲撃し、再びサメ対人間の戦いが勃発します。最終的にはマイケルが投げた手榴弾によって、サメは海の藻くずと消えていきました。

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『ジョーズ’87 復讐篇』(1987年)

ジョーズ '87
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シリーズ完結編『ジョーズ’87 復讐篇』の舞台は、3作目から数年後のアミティ。ブロディは心臓発作でこの世を去り、未亡人となった妻のエレンは、マイケルの弟・ショーンと暮らしていました。 ショーンは父と同様に、アミティ警察署で保安官を務めています。ところがクリスマスイブの夜、彼は流木を除去するために海に向かい、そこで巨大サメに襲われ死亡してしまいました。 悲しみに暮れ、海自体に嫌悪を抱くようになったエレン。長男のマイケルはそんな母を慰めようと、彼女を自分が住んでいるバハマに呼び寄せます。

彼女はバハマでの生活で元気を取り戻していましたが、そこにまた巨大サメが出現します。孫娘のシーアも襲われ、間一髪のところで助け出されますが、それを見たエレンはサメ退治を決意。 ヨットで海に乗り出した彼女は、息子やその仲間と協力してサメに勝利したのでした。

海に行くのが恐ろしくなる?サメ映画の金字塔『ジョーズ』

公開当時、サメの恐ろしい描写で観客を震え上がらせた『ジョーズ』。その後の海洋パニック映画に多大な影響を与えたことは言うまでもありません。 本作を観ると海で泳ぐのが怖くなってしまうのも、それだけリアルに作られているという証拠なのでしょう。 この記事では、そんなサメ映画の金字塔として知られる本作について、さまざまな制作秘話や苦労話を紹介してきました。これを知ってから『ジョーズ』を見返すと、さらに楽しめそうですね!