2019年2月1日更新

スカーレット・ヨハンソンが“強い女性”となった理由を出演映画から紐解く【アベンジャーズ他】

OTTAVIA DA RE/SINTESI/SIPA/Newscom/Zeta Image

アベンジャーズのブラックウィドウ役で知られるスカーレット・ヨハンソン。ブラックウィドウの他にも、『ルーシー』や『ゴースト・イン・ザ・シェル』など強い女性を演じることが多い彼女の経歴に迫ります。

“強い女性”の象徴といえばスカーレット・ヨハンソン!

アベンジャーズに所属する女性ヒーロー、ブラックウィドウ役で知られるスカーレット・ヨハンソン。2020年夏にはブラックウィドウの単独映画公開が噂され、彼女の活躍の勢いはとどまることを知りません。 今回はそんなスカーレット・ヨハンソンのこれまでの活躍を振り返り、彼女が“強い女性”の象徴となった理由に迫ります。

スカーレット・ヨハンソンのプロフィール

1984年11月22日生まれのスカーレット・ヨハンソンは、ニューヨークで双子の姉として生まれました。建築家の父と映画製作者の母を持ち、名前の由来は、1939年公開の映画『風と共に去りぬ』のスカーレット・オハラからきているんだとか。 1992年、8歳のときにオフブロードウェイの『ソフィストリー (原題)』で初めて舞台に立ち、2年後の1994年には『ノース 小さな旅人』でスクリーンデビューを果たします。 私生活では多くの恋愛を経験し、2008年から2010年までデッドプール役で知られるライアン・レイノルズと結婚していました。その後ジャーナリストのロマン・ドリアックと2014年に再婚しますが、2017年に離婚しています。現在はロマン・ドリアックとの間にもうけた1人娘の母でありながら、女優としても活躍しています。

「アベンジャーズ」のブラックウィドウがハマリ役に

1992年で舞台に立ち、そこから常に第一線で活躍してきたスカーレット・ヨハンソン。特に彼女の知名度を世界規模に広げたのは、マーベルコミックスに登場する人気ヒーローチーム「アベンジャーズ」の一員・ブラックウィドウの実写キャストに抜擢されたことでしょう。 ブラックウィドウ(ナターシャ・ロマノフ)として映画に初めて登場したのは2010年に公開された『アイアンマン2』。S.H.I.E.L.D.のエージェントとしてスターク社に潜入し、トニー(アイアンマン)をサポートしつつアベンジャーズとしての適正調査を行っていました。 2年後の2012年に公開された『アベンジャーズ』では、アイアンマンを中心としたアベンジャーズ結成に尽力し、自身もチームの一員として敏腕スパイの能力を存分に発揮しています。 アイアンマンやハルク、キャプテンアメリカ、ソーのようにスーパーパワーはないキャラクターですが、アベンジャーズの一員として戦いに貢献。スカーレット・ウィッチが登場するまでは、紅一点であることをうまく利用して、圧倒的な存在感と安心感を放ち、強い女性を見事体現しました。

スカヨハがブラックウィドウについて思っていること

アベンジャーズ エイジ・オブ・ウルトロン、 ブラックウィドウ、ブラック・ウィドウ
© Walt Disney Studios Motion Pictures

スカーレット・ヨハンソンは、ブラックウィドウを演じるにあたってどのようなことを思っているのでしょうか?ハマリ役すぎて、ブラックウィドウ=スカーレット・ヨハンソンそのものなんじゃないかと思う人も少なくないはず。 ブラックウィドウは、ヒーローものによくある悲劇か恋のどちらかで揺れるヒロインではなく、気取らず、強くて迫力がある女性です。そんな彼女を演じていて面白いというヨハンソン。ブラックウィドウが“強い女性”となったバックグラウンドを原作コミックスで研究しながら、自分なりの味を加えていると言います。 しかし彼女は、自身とブラックウィドウは正反対のタイプだと『アベンジャーズ』のパンフレットで語りました。 常に冷静で一歩引いて物事を考え、感情的にならないブラックウィドウに対し、スカーレット・ヨハンソンはいつも感情的に物事を判断してしまうそうです。しかしこういった感情の動きは、女優という仕事をする上で大切なもの。正反対のタイプの役をここまでなりきって演じてしまう、彼女の演技力には感服ですね!

そんな今のスカヨハになるまでを出演映画から紐解く

スカーレット・ヨハンソンが女優として成功するまで、彼女のバックグラウンドには何があったのでしょうか?ここからは彼女のこれまでの出演映画を辿って、“強い女性”の象徴となったヒントを探ります。

『ゴーストワールド』(2001)ではみ出し者の高校生を演じる

2001年に公開された『ゴーストワールド』。はみ出し者の高校生2人の成長を描いた青春映画で、公開されて15年以上経った今でも、静かに根強く支持されている作品です。 スカーレット・ヨハンソンは、本作の主人公・イーニド(ソーラ・バーチ)の友人レベッカとして出演。イーニドがなかなか前を向くことができなかったのに対し、レベッカは自立するためバイトを始めます。いつしか2人の間にはすれ違いが生じて……。

2003年、2つの映画で各映画祭を席巻

幼いころから舞台に立ち演技の技術を身に着けてきたヨハンソンは2003年に早速花開きます。 2003年に公開された『真珠の耳飾りの少女』と『ロスト・イン・トランスレーション』での演技が高く評価され、ゴールデングローブ賞、英国アカデミー賞でダブルノミネートとなりました。

『真珠の耳飾りの少女』では画家・フェルメールの使用人として働く少女・グリートを演じています。天性の芸術センスを持った少女が、フェルメールの闇に触れその深淵を垣間見る様子を見事演じ切りました。『ロスト・イン・トランスレーション』では夫の仕事で日本にやってきた孤独な女性を演じ、本当の気持ちを伝える過程で大切な意味が失われてしまうという相互理解の難しさを繊細に表現。 彼女のキャリアを振り返って見ると、初期の作品から“強い女性”という印象はなく、スカーレット・ヨハンソン自身の性格に近い感情的で繊細な役が評価されることが多かったのです。

2004年にはゴールデングローブ賞にノミネート

母を亡くした少女の成長していく姿を瑞々しく描いた映画『ママの遺したラブソング』。この作品でスカーレット・ヨハンソンはゴールデングローブ賞の主演女優賞にノミネートされるなど、大きな注目を集めました。 母・ローレンの死をきっかけに故郷に戻ることになった娘のパーシー。実はパーシーは長い間母と離れて暮らしており、これまでの母の生活を全く知りませんでした。家には2人の男が住んでいて、母の友人と名乗っています。母が最後を過ごした家で、パーシーと男2人の奇妙な共同生活が始まるのでした。

2005年、SFアクション映画に挑戦

近未来の地球を舞台に描かれた『アイランド』で、スカーレット・ヨハンソンは、コロニーに住むヒロインのジョーダンを演じています。『アイランド』はスリリングな展開のストーリーと迫力あるアクションが見どころのSFサスペンス。ヨハンソンの華麗なアクションに注目です。

実際の殺人事件を元にした衝撃サスペンス『ブラック・ダリア』(2006)では刑事に

『ブラック・ダリア』は、実際に起きた『ブラック・ダリア事件』を元に描かれる衝撃のサスペンス映画です。この作品では、元ボクサーの刑事ブライカートの相棒リーの彼女・ケイを演じるスカーレット・ヨハンソン。主人公ブライカートも、ケイに惹かれ翻弄されてしまいます。 名コンビと噂される刑事のブライカートとリーのもとに、ある日女優志望の若い女性の惨殺事件の知らせが。不可解なその事件になぜか異様なまでにのめり込んでいくリーでしたが、一方ブライカートは、被害者が生前出入りしていた場所で謎の美女・マデリンと出会い、惹かれていきます。

2人のマジシャンの愛憎劇『プレステージ』(2007)に出演

2人のマジシャンの因縁の物語を描く映画『プレステージ』は、19世紀末のロンドンを舞台にした作品です。19世紀当時の衣装が、スカーレット・ヨハンソンの華やかでノーブルな魅力をさらに引き立たせてくれています。 ヨハンソンが演じるのは、マジシャン・アンジャーの助手で元女優のオリヴィア。ライバルのマジシャン・ボーデンへの復讐のために、アンジャーが自分を利用しようとしていることに気づいています。過去にはマジック中にボーデンのミスで妻が死亡してしまったアンジャー。復讐心とライバル心をボーデンに燃やし続けていたのでした。

名コメディエンヌぶりを発揮する隠れた名作『私がクマにキレた理由』(2007年)

上流階級の家庭でベビーシッターをすることになったアニー。彼女の夢見た、ニューヨークでの気ままな生活は、セレブの家族でぶち壊され……。 セレブとべビーシッターの差の実態を描き、スカーレット・ヨハンソンのセクシーなイメージが一新される1本です。

ウディ・アレンとタッグを組んだラブコメディ『それでも恋するバルセロナ』(2008年)

大親友の二人なのに、恋愛に関する考え方だけはおかしなくらい違っている、そんな女性同士の友情にありがちなことをコミカルに描く『それでも恋するバルセロナ』。スカーレット・ヨハンソンのキュートな一面がみられるおすすめの1本です。

『her/世界でひとつの彼女』(2013)では声の演技が称賛される

「アベンジャーズ」シリーズへ出演した後も意欲的に女優活動を続けていたスカーレット・ヨハンソンは、2013年に『her/世界でひとつの彼女』に人工知能OSのサマンサ役として出演。 声だけの出演にも関わらず、彼女の演技は高く評価され当時アカデミー賞へのノミネートが期待されていました。実際ノミネートには至りませんでしたが、第8回ローマ映画祭においては最優秀女優賞を受賞しています。

『ドン・ジョン』(2013)でポルノ中毒男の彼女を演じる!?

理想の愛を求めるあまり、ポルノ中毒になってしまった男が、二人の美女の間で揺れ動く様をコミカルに描いた『ドン・ジョン』。主人公ジョンが恋に落ちるバーバラに扮したスカーレット・ヨハンソンは、セクシーな見た目とは裏腹な、お堅い美女を好演しています。

立て続けに強い女性役に抜擢『LUCY/ルーシー』(2014)

彼女に対して“強い女性”というイメージがつき始めたのは、アベンジャーズでの活躍と並行して、立て続けにアクション映画で主演を飾ったからかもしれません。 2014年に公開された『LUCY/ルーシー』は、『レオン』や『96時間』で知られるリュック・ベッソンがメガホンを取ったアクション映画。普段10%しか使われていない人間の脳が、新種の麻薬によって限界まで解放されてしまうというストーリーで、スカーレット・ヨハンソンは誤って麻薬を体内に入れてしまい脳が100%覚醒する女性・ルーシーを演じました。 映画が公開されるとラストシーンや脚本に対する批判が目立ち、高く評価された作品とはいえませんでした。しかしスカーレット・ヨハンソンの演技に対する批判は少なく、ある意味、彼女の演技の評価の高さだけが際立つ結果となりました。

『ゴースト・イン・ザ・シェル』出演時に巻き起こったホワイトウォッシング論争

2017年に公開された映画『ゴースト・イン・ザ・シェル』。士郎正宗の漫画『攻殻機動隊』を原作に、スカーレット・ヨハンソンは主人公のミラ・キリアン少佐(草薙素子)を演じました。 これまでアニメ映画化、テレビアニメ化などメディアミックスされていた本作は、日本のSF作品として世界中にファンがいて、実写映画化が決定した際も世界的に話題になりました。 しかし原作ではアジア人キャラクターとして描かれている主人公・草薙素子を、映画で白人であるスカーレット・ヨハンソンが演じることについて、人種的不適当(=ホワイトウォッシング)であるという批判が多く寄せられたのです。

ヨハンソンはこの批判に対して「(少佐には)国籍はないと思っていたの。彼女の体はロボットだし、彼女にはアイデンティティがないのよ」とテレビ番組で発言し、作品のキャスティングは間違っていないという意思を示しました。 また1995年のアニメ映画の監督を務めた押井守はインタビューで、草薙素子というキャラクター自体、名前も体も生まれつきのものではなく、アジア人女性が演じなければいけないという主張に根拠はないと発言。 海外を中心に起こったこの論争は結果的に作品に対する賛否両論に繋がりましたが、このような批判がありながらも、原作やアニメ映画へのリスペクトが感じられるとの声も多く上がっています。

2018年には性的マイノリティ役として主演予定だった作品を降板

人種問題に巻き込まれる形となったスカーレット・ヨハンソンでしたが、2018年には性的マイノリティの役を演じる予定だった作品から降板していたことが明らかになりました。 彼女が出演予定だった『ラブ&タグ (原題)』は、「風俗街の帝王」として名を馳せたジーン・マリー・ジルにスポットを当てた作品。女性の身体をもって生まれたジルは、精神的には男性だったとされ男性名ダンテ・“テックス”・ジルとして知られていました。 このキャスティングが報じられるとトランスジェンダーではないヨハンソンが、ダンテを演じることについて、一部で強い批判の声が上がり、トランスジェンダーの役者もこの配役に疑問を呈していました。 このような批判を受けて、彼女はLGBTQメディアに「道徳的な観点から謹んでこのプロジェクトを降りることにした」と声明を発表。 当初はダンテの物語に関われることを嬉しく思っていたと言いますが、批判に対して理解を示し「トランスのコミュニティに大きな尊敬と愛を抱くとともに、ハリウッドにおいて包括性に関する議論が続いていくことに感謝しています。」と、この論争に意味があったことをアピールしました。 2018年11月現在『ラブ&タグ (原題)』は主演の降板により、企画が中止になる可能性があると報じられています。

スカーレット・ヨハンソンが“強い女性”である理由は……。

8歳から舞台に立ち、これまで多くの役を演じてきた女優スカーレット・ヨハンソン。 彼女が“強い女性”の象徴となった背景には、ブラックウィドウがハマり役なだけでなく、華麗なアクションを披露できるからだけではなく、彼女自身の芯の強さにあるのかもしれません。 常に第一線で活躍しているからこそ、多くの壁にぶつかっているように思います。これらを乗り越えることで、母として女優として女性として強く成長しているのでしょう。これからの活躍からも目が離せません。