【ネタバレ】実写映画『シンデレラ』(2015年)は原作&アニメ版と何が違う?6つの点で比較してみた
実写映画『シンデレラ』(2015年)は原作やアニメ映画とどう違う?
ディズニープリンセスの中では、白雪姫に次いで2番目に誕生したシンデレラ。1950年に製作されたアニメ版『シンデレラ』と、65年の時を経て2015年に公開された実写版『シンデレラ』は、一体どこが違っているのでしょうか。2作品の違いを原作とも比較しながら解説していきます。 ※この記事には「シンデレラ」の原作、アニメ映画、実写映画の結末までのネタバレがあります!作品を未鑑賞の方、結末を知りたくない方はご注意ください。
実写版『シンデレラ』のあらすじ・キャストはこちらをチェック!
1. 原作、アニメ、実写 「シンデレラ」のストーリーの違い
原作はシャルル・ペローによる『サンドリヨン』
ディズニーの「シンデレラ」は、アニメ版も実写版も、フランスの詩人シャルル・ペローがヨーロッパ各地に伝わる民話がもとにして創作した『サンドリヨン』を原作としています。 同じ民話をベースにしたドイツのグリム兄弟による『灰かぶり姫(アシェンプテル)』も有名ですが、こちらには、ペロー版とは大きく違う点がいくつかあります。ガラスの靴や魔法使い(フェアリー・ゴッドマザー)が登場せず、終盤にかけて残酷なシーンがあるなど、いかにもグリム童話らしい展開です。 ペローの原作とディズニーアニメ版の違いは、舞踏会が2晩に渡って行われ、シンデレラも2晩つづけて参加したことだけです。
ディズニーアニメーション版『シンデレラ』(1950年)のあらすじ
実母を早くに亡くしたエラ(シンデレラ)が、父が迎えた後妻トレメイン夫人と2人の義姉からその美貌を妬まれて、召使いとして扱われる日々が描かれます。 それでも「信じていれば、いつか夢は叶う」と、明るく前向きに生きてきたシンデレラ。王子の帰国祝いと花嫁探しを兼ねた舞踏会への招待状が届きますが、意地悪な義母と義姉たちに、せっかく直した母のドレスも破かれてしまいます。しかしそこに突如現れたフェアリー・ゴッドマザーの魔法によって、彼女は舞踏会に参加し、王子に見初められるのでした。 しかし、魔法が解ける真夜中までに、シンデレラは家に帰らなければいけません。慌てて王子のもとから走り去った彼女は、ガラスの靴を片方落としてしまいました。その後、王子はシンデレラを探すため、国中の娘にガラスの靴を履かせてみることにしますが……。
ディズニー実写版『シンデレラ』(2015年)のあらすじ
実写版の『シンデレラ』でも、彼女が継母や義姉にいじめられている境遇は、原作やアニメーション版と同じです。しかし、実写版ではそれ以前に彼女の母親の記憶、死の床で母がエラに「優しさと勇気を持つこと」が大切だと語りかけるシーンが追加されています。 その後、つらい日々のなかでエラはキットという青年に出会い、ふたりは惹かれ合います。彼女はこのとき、キットが王子であることを知りませんでした。その後、病床にある父王から早く結婚相手を決めろと言われた王子は、エラを見つけるために国中の娘を“花嫁を探すための”舞踏会に招きます。 継母たちに舞踏会に連れて行ってもらえない点やフェアリー・ゴッドマザーの登場、そして彼女の魔法、真夜中前に急いで帰路についたエラがガラスの靴を落としていくなど、その後はアニメーション版と同じ展開に。 さらに実写版では、ガラスの靴を頼りにエラを探しはじめた王子に対して、政略結婚を目論む大公とエラの継母が手を組むという展開も追加されています。
2. シンデレラのキャラクターの違い
アニメ版から65年も経っていることもあり、2015年公開の実写映画では現代ならではの視点でシンデレラの人生が描き直されました。 例えば、アニメ版のシンデレラはただ過酷な境遇に耐え忍んでいましたが、実写版シンデレラは「今までしあわせに暮らしていた家を守りたいから」という強い意志を持って、つらいばかりの家に留まっています。 また、アニメ版では「信じていれば夢は叶う」と夢見る少女というキャラクターだったシンデレラですが、実写版では「優しさと勇気を持って」運命を切り開く女性に変化しました。 受動的なヒロインが能動的な主人公に変わったというのは、とても現代的ですね。
3. 王子や継母のキャラクターの違い
シンデレラと同様に、大きな変化があったキャラクターといえば王子です。アニメ版では彼には名前すらなく、本編では登場しませんが『白雪姫』(1937年)の王子と同じく、「プリンス・チャーミング」という愛称で呼ばれています。また、父に言われるままに結婚相手を探す舞踏会を開き、そこで初めて出会ったシンデレラに一目惚れしました。 しかし実写版では、彼には「キット」という名前が与えられています。また、気の進まない政略結婚をさせられそうになっている苦悩や、ちやほやされることにうんざりし、エラと初めて出会ったときに身分を隠すなど、彼がどんな人間でなにを考えているかも、きちんと描かれました。 アニメ版の継母は完全な悪人として描かれており、強欲で自分のことにしか興味がなく、血のつながった娘たちでさえ見捨てるような言動も見せていました。しかし実写版では、彼女が「悪人」になってしまった理由がほんの少しだけ示されています。
4. キャラクターの衣装の違い
シンデレラ
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— #Cinderella (@CinderellaMovie) November 4, 2015
アニメ版と実写版では、まず彼女の普段着が違っているのに気がつくでしょう。アニメ版で彼女が家事をしているときに着ているのは、茶色の胴体と淡いグリーンの袖のトップスとベージュのスカート、そして白いエプロンです。実写版では、薄いブルーのワンピースに茶色のエプロンを着けています。 舞踏会のドレスはアニメ版と同じくブルーで、きらきらと輝く演出のためにスワロフスキーが1万個も手縫いで付けられたのだとか。ドレス全体のシルエットは実写版のほうがシンプルなものになっていますが、スカート部分の広がりはとてもゴージャスです。 ちなみに、舞踏会のシーンでは、ほかのディズニープリンセスのドレスをモチーフにしたものが数多く登場しています。白雪姫、ベル、ムーラン、ティアナらのドレスを見つけることができますので、このシーンではぜひほかのドレスにも注目してみてください。
フェアリー・ゴッドマザー
フェアリー・ゴッドマザーといえば、アニメ版の襟元にピンクのリボンがついた、ブルーのケープを着ている印象が強い人もいるのではないでしょうか。 実写版では、最初に彼女は老女の姿でエラの前に現れます。そのときにはケープを着ていますが、これはボロボロに汚れたものでした。そして美しいフェアリー・ゴッドマザーに変身した後は、白く輝くふんわりとしたドレスをまとっています。
継母、義理の姉たち
アニメ版では、継母は赤や紫、ドリゼラが緑系、アナスタシアがピンク系の服を着ています。しかし実写版ではアナスタシア以外は色が変更され、継母が青や緑系、ドリゼラが黄色系の服を着ているのがわかります。 これはもしかすると、「嫉妬」を意味する緑色を継母に着せたかったための変更かもしれません。 またアニメ版の彼女たちは、舞踏会と寝間着以外は大抵いつも同じデザインの服を着ていますが、実写版ではたくさん服を持っている様子が伺えます。
5. ミュージカル要素の違い
アニメ版の『シンデレラ』はミュージカル作品でしたが、実写版はミュージカルではなくなっています。そのため、誰もが知っている劇中歌は本編中では流れませんが、その代わり、本編中でエラの歌う「ラベンダーズ・ブルー」が強い印象を残しました。 実写版のエンドソングは、アニメ版でもおなじみの「夢はひそかに」。エラを演じたリリー・ジェームズが歌っています。ちなみに日本語吹替版では、この曲はエラ役の高畑充希とキット王子役の城田優のデュエットバージョンに。 またエンドロールでは、フェアリー・ゴッドマザー役のヘレナ・ボナム=カーターによる「ビビディ・バビディ・ブー」を聞くこともできます。
6. 【ネタバレ】結末の違い
アニメ版でも実写版でも、継母は舞踏会で王子と踊った娘がシンデレラであることに気づいていました。その後、王子の従者たちがガラスの靴を履くことができる女性を探しにやってきます。継母はシンデレラからもう片方のガラスの靴を奪って破壊。彼女を屋根裏部屋に閉じ込められてしまいました。 アニメ版では、そこへ彼女が普段から仲良くしていたネズミや鳥が現れ、シンデレラを部屋から脱出させます。そして彼女は従者たちの目に止まり、ガラスの靴を履くことに。それがぴったりとフィットしたことから、彼女こそ王子が探していた娘であることが判明。こうしてシンデレラは、王子と結婚することになりました。 実写版では、王子がガラスの靴がぴったり合う娘を探す裏で、継母は自分の娘たちの縁談と引き換えに、大公と政略結婚の陰謀を巡らせます。そして王子がやってきたとき、彼女はエラを屋根裏部屋に閉じ込めました。
エラはそこで、むかし母が歌ってくれた歌を歌います。その歌声が王子の耳に入り、ふたりは再会。めでたく結婚することに。 その後、トレメイン夫人と娘たち、そして大公は人知れず国外へ消えました。ここで、エラが継母たちを許すというラストが加えられているのです。
一方で“変わらなかった”点は?
2015年に公開されたディズニー実写版『シンデレラ』は、現代の価値観に合うように、キャラクターの性格や背景などに細かな変更がいくつもありました。 しかし、本作が王道のラブストーリーであることや、美しい映像や音楽で、観る者に夢を与えるという点は変わっていません。アニメ版と同様に、これからも長く人々に愛される作品となっています。