2017年11月30日更新

デスイーター(死喰い人)、闇の魔法使いに迫る14のこと

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デスイーターを知って「ハリー・ポッター」をさらに楽しむ

闇の帝王ヴォルデモートに仕える者たちには、人狼や巨人など怪物的な存在の他に、デスイーター(死喰い人)がいます。 彼らは人狼たちとは違いただの人間ですが、人間の弱さをもっているからこそ深みが感じられる多彩なキャラクターが多いです。忠誠心を持ち仕えている者もいれば、逆らうことによってもたらされるであろう死や苦しみへの恐れから、半ば強制的に仕えさせられている者もいるのです。 それぞれのデスイーターたちの境遇を思いながら見てみると、「ハリポタ」シリーズがまた違った見え方をしてくるはずです。この記事では、デスイーターの基礎知識からそのメンバーまで迫っていきます。

1:デスイーター(死喰い人)とは

デスイーターとは、J・K・ローリング原作の大人気ファンタジー小説『ハリー・ポッター』に出てくる闇の魔法使いの集団のことを言います。主人公ハリーの宿敵であるヴォルデモートの考え方に賛同し、忠誠を誓った者たちです。 闇の魔術に長けていて戦闘が得意であるため、不死鳥の騎士団のメンバーをたびたび手こずらせていました。 メンバーの中には魔法界で大きな権力を持っている人物も所属しています。 また巨人や狼人間、ディメンター(吸魂鬼)も味方となってヴォルデモートの援護を行い、ハリーの前に立ちはだかる手強い存在となりました。 優れた闇の魔法使いであると認められたい一心でデスイーターに憧れる魔法使いも多くいる一方、服従の呪文や脅しによってヴォルデモートに無理やり従わされた者もいるようです。

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2:デスイーターの思想

デスイーターのメンバーは純血主義の思想を持ち、自身も純血である者が大半を占めています。またホグワーツのスリザリン寮出身が多いことも特徴です。ヴォルデモートもトム・リドルとしてホグワーツに在籍していた頃はスリザリンに所属する生徒でした。

純血主義にこだわるヴォルデモート

純血主義の思想を持っていながら、ヴォルデモート自身はマグルの父親と魔法使いの母親の間に生まれた子供です。ホグワーツに在学中に純血主義に目覚めたトム・リドルは、コンプレックスであった孤児院育ちの自分の出生を調べて突き止めました。 母親メローピーの親戚筋であるゴーント家は純血にこだわることで有名な名家でした。トム・リドルは魔法使いの中でも特別な地位を持った母親を平凡なマグルの父親が棄てたと認識して、マグルを差別視することに大きな影響を与えたようです。 自分が父親と同じ名前であることに嫌悪感を抱き、トム・リドルは名前のスペルを並べ替えたヴォルデモート卿を名乗るようになりました。そしてマグルの父親に対して、母親の代わりに復讐をしたいと考えます。自分の血筋に抱く嫌悪感や葛藤によって純血主義にいっそう拍車がかかり、最終的にはデスイーターたちを率いて魔法界を恐怖に陥れるほどの大きな言動力となったのです。

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3:闇の印

ヴォルデモートに付き従う者の印として、デスイーターの左腕には「闇の印」が刻印されています。ドクロの口から蛇が出ているこの印は、主にデスイーターを招集する際に使われます。 ヴォルデモートが一人デスイーターの印に触れると、離れた所にいたとしてもメンバー全員の印が黒く変色して熱くなります。 これを合図にデスイーターたちはヴォルデモートの元に集まるのです。また「Morsmordre(モースモードル、闇の印を)」と唱えて上空に打ち上げられる緑色の闇の印は、恐怖の象徴として人々から恐れられています。

実はこの闇の印、デザインを忠実に再現したタトゥーシールがユニバーサルスタジオジャパンで販売されていて、かわいいとファンの間で評判になっています!お値段も500円とお手頃なので、USJに行った際にはぜひチェックしてみてください。

4:セブルス・スネイプ

闇の印によって招集され、ヴォルデモートを援護する優秀なデスイーターたち。ハリーとの最終決戦を盛り上げた陰の立役者とも言える主要人物をご紹介しましょう! まずはこの人、ホグワーツでスリザリンの寮監を勤めていたセブルス・スネイプです。もともとはデスイーターとしてヴォルデモートから信頼され、スパイとして不死鳥の騎士団の動向を見張っていました。 しかし「ヴォルデモートを倒す者が7月の終わりに生まれる」という予言を密告したために、ポッター一家が狙われてしまいます。ハリーの母親であるリリーは、セブルスの学生時代からの想い人。彼女を守りたい一心でアルバス・ダンブルドアに助けを求め、不死鳥の騎士団のメンバーとなりました。

ハリーの父親、ジェームズとは犬猿の仲であったために生き写しのハリーのことは快く思っていなかったようです。しかしリリーが遺したハリーを守ると心に誓って、ヴォルデモートの企みを内部から調べていました。二重のスパイとして暗躍し、魔法界をヴォルデモートの脅威から救うために大きな働きをもたらした人物と言えます。 物語の終盤まで敵とも取れる態度を取っていたセブルスですが、ヴォルデモートへの忠誠心はリリーが亡くなった頃からすでになくなっていたようです。最期はハリーに自分の真実を打ち明け、ロンやハーマイオニーに看取られながら亡くなりました。

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5:マルフォイ一家

マルフォイ家は「間違いなく純血の血筋」とされている聖28一族のひとつである純血の名家で、莫大な資産を持つ魔法界では有名な血筋です。ルシウス・マルフォイはデスイーターの中でも特にヴォルデモートの信頼を受けていて、リーダー的な存在として大きな力を持っていました。 息子のドラコを溺愛しつつも躾や教育に関しては厳しく、私情より風紀を尊重する人物として周りから評価を受けています。 秘密の部屋の一件でヴォルデモートからの信頼を失ったことで最終決戦にはあまり参加せず、事件が収束を迎えた後もマルフォイ家の人々が罪に問われることはありませんでした。ルシウスはその後、生き残ったデスイーターの捕獲に協力しています。

ルシウスの息子であるドラコ・マルフォイは、ハリーのライバルとも言える人物です。マルフォイ家の子供らしく純血主義の思想を受け継ぎ、マグル生まれのハーマイオニーのことをたびたび「穢れた血筋」と侮蔑している描写があります。 原作の中でドラコがデスイーターであるとは明言されていませんが、父ルシウスの失敗を帳消しにするためにヴォルデモートから与えられた任務を遂行するなど、デスイーターと変わらない働きをしています。

ルシウスの妻であり、ドラコの母親である人物がナルシッサ・マルフォイです。純血の名家であるブラック家の出身で、ハリーの名付け親であるシリウス・ブラックのいとこにあたります。純血主義者ですが、夫と違ってデス・イーターではありません。 マルフォイ邸に現れたハリーとロンに応戦する描写があり、名家の出身なだけあって魔力の高さが伺えます。最終決戦でナルシッサがヴォルデモートを恐れ、失踪した息子を探すために「ハリー・ポッターは死んだ」と嘘をついたことで、結果的にハリーがヴォルデモートに打ち勝つ手助けをしました。

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6:ピーター・ペティグリュー

ホグワーツに在学中、シリウスやリーマス・ルーピンとともにハリーの父ジェームズとつるんでいた人物です。動物もどきとして身体をネズミに変えることができる能力を持っています。ポッター家の居場所をヴォルデモートに密告しジェームズを死に追いやった張本人で、魔法省と他のデスイーターの追っ手から逃れるためロンの家でネズミのペットとして飼われていました。 自分の右手を捧げてヴォルデモートの復活に一役買い、代わりに銀色の手を授かります。最終決戦でハリーの殺害をためらった際、この銀色の手に首を絞められ命を落としました。

7:バーテミウス・クラウチ・ジュニア

魔法省のエリート官僚であったバーテミウス・クラウチ・シニアを父に持ち、最も古い純血の血筋と言われるクラウチ家の末裔です。ヴォルデモートの復活のためにハリーを導き、自分の使命を完遂しました。 ポリジュース薬を利用してアラスター・ムーディに成りすましていたことがばれ、ハリーを殺そうとしたところをアルバス・ダンブルドアに捕まります。 最後は吸魂鬼に魂を吸われ、生きながらにして死んだような姿になりました。 父と同じ名前を持ち、父を憎んで殺したという共通点からヴォルデモートには特に高い忠誠心を誓っています。またヴォルデモートからも「最も忠実なる下僕」と称されるほど信頼を得ていたようです。

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8:ベラトリックス・レストレンジ

ベラトリックス・レストレンジはデスイーターの中でも高い戦闘力を誇る人物です。ドラコ・マルフォイの母、ナルシッサの実の姉でいとこのシリウスを殺害した張本人でもあります。 ヴォルデモートの「最後の、そして最強の副官」との評価を持ち、実力を持っている魔女です。許されざる呪文の扱いを得意とし、「磔の呪文」を使う際には「相手を痛めつけたいと本気で思い、それを楽しむ必要がある」と発言しているほど良心が欠落した人格の持ち主とも言えます。 ホグワーツでの戦いの最中にロンの妹であるジニーを殺そうとして母モリーを激怒させ、女同士で決闘を行います。モリーの呪文が心臓に当たったことでベラトリックスは絶命しました。

9:死の呪文「アバダケダブラ」

『ハリー・ポッター』シリーズの世界には「許されざる呪文」と呼ばれ、人間に使うと終身刑になるほど禁忌とされる3つの呪文が存在します。そのうちの一つが死の呪文「アバダケダブラ」です。 一瞬で相手の命を奪うこの呪文は緑色の閃光が特徴で、反対呪文が存在しない絶対の呪文です。 同時に強大な魔力がないと効果は発動せず、実力を持つ限られた人だけが呪文を扱うことができます。 ハリーが1歳の時、ヴォルデモートはゴドリックの谷に住むポッター家を襲撃して死の呪文を使用しました。ハリーの両親はまもなく命を落としましたが、母の愛情が呪いに対する防衛魔法となり、ハリーは額に傷を受けただけで生き延びることができたのです。

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10:ヴィンセント・クラッブ、グレゴリー・ゴイル

マルフォイの腰巾着として目立った活躍をしてきたクラッブとゴイルの二人ですが、彼らもマルフォイと同じように父親がデスイーターとしてヴォルデモートに仕えています。本人たちは公式にはデスイーターとして認められてはいないようです。 クラッブは純血の一族出身であり、代々闇の魔法使いの家系で、おそらくは彼の祖父の世代からデスイーターの一員だったようです。 ハリーたちから頭が悪いことを揶揄されていたため、無能な印象の強いキャラクターですが、ホグワーツの最終学年のときに闇の魔法使いとなり、闇の魔術を習得しています。そして最終的に自らの闇の魔術の暴走が原因で命が断たれてしまうのです。

ゴイルもクラッブと同じく父親がデスイーターの、純血一家出身です。クラッブよりもさらに頭が悪く、授業では落第ばかりでした。しかし、彼も闇の魔術の実地使用となると才能を見せ、サディスティックな性格を遺憾なく発揮します。 彼はホグワーツの戦いでは、マルフォイの指示を無視して暴走するクラッブとは違い、我を失うことはありませんでした。そのおかげで、ロンとハーマイオニーによって助けられ、生き永らえます。

11:クィリナス・クィレル、イゴール・カルカロフ

教師の中にも印象的なデスイーターたちがいました。ここでは、第1巻「賢者の石」で登場するクィリナス・クィレルと、第4巻「炎のゴブレット」で登場するダームストラング専門学校の校長イゴール・カルカロフを紹介します。 まずは、一見臆病で闇の魔術の世界とは無縁に見えるクィレルです。頭に被ったターバンで隠していた後頭部にヴォルデモートを宿らせていた衝撃を、多くの人は忘れられないことでしょう。 彼はレイブンクロー出身の、半純血です。子供の頃、優秀ではあったけれど臆病な性格だったためいじめにあっており、周りを見返すために闇の魔術に興味を持ち始めます。そして大人になり、失脚したヴォルデモートを見つけ出せば、自分は二度と他人から笑われることはないだろうと考え、旅に出ました。幸か不幸か本当にヴォルデモートを発見してしまったことで、彼に奴隷として消耗され悲惨な最期を遂げるのです。

次にカルカロフですが、彼は「炎のゴブレット」の時点では元デスイーターです。彼は特に原作で、徹底的に信用できない人物として描かれており、それはかつて仲間であったデスイーターたちにとっても同様です。一度目のヴォルデモート失脚の際には、アズカバンの刑期を少しでも短くするため、知っている限りの仲間の名前を売りました。 ヴォルデモートの復活を誰よりも恐れており、信用はできない人間でありつつもヴォルデモートの手引きをする危険性はないことから、害のない人物とも言えるでしょう。

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12:フェンリール・グレイバック

闇の陣営でも目立つ活躍をする、子供を襲うことを好む冷酷無比の人狼フェンリール・グレイバックですが、彼はデスイーターの一員ではありません。人狼は純潔の魔法使いとは言えないからです。 しかしグレイバックは、その忠誠心と恐れを知らぬ残忍さからヴォルデモートに一目おかれていて、本来であればデスイーターのみが着用するローブを着ることも許されています。デスイーターの中に混じり、その中で高い地位を占めてもいるのです。 このことからデスイーターは、表面上は純潔主義を保ちながらも、実のところ純潔かどうかよりも、ヴォルデモートの思想とどれだけ親和性が高いかで評価される集団であると言えるでしょう。

13:スリザリンとデスイーター

スリザリンは寮の掲げる価値観から、純潔主義者の集まりであり、デスイーターと近しいものと思われがちですが、実はそうとは言い切れません。デスイーターにスリザリン出身が多いのは事実ですが、スリザリン出身の魔法使いが全員デスイーターになるわけではないのです。 スリザリンの寮生はほとんどが純血を重視しマグル生まれを嫌っていますが、中には純潔主義を重視しない、もしくはそれに反対する人もいます。たとえば、謎のプリンスに出てくる教師のスラグホーンもその一人です。彼は能力のある魔法使いは愛しますが、純潔主義者は嫌っています。 また、不死鳥の騎士団メンバーであるニンファドーラ・トンクスの母親、アンドロメダもスリザリン出身ですが純血主義ではなく、マグル生まれのテッド・トンクスと結婚をしています。

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14:デスイーターの純潔主義

デスイーターの思想の核となっているのは、魔法族出身であることを重視する純潔主義ですが、そんな彼らの中でさえも本物の純潔の者は少ないようです。そもそも、トップに立つヴォルデモートでさえ父親がマグルである非純潔なのですから、端から純潔の者のみの集団とは言い難いでしょう。 原作第6巻「謎のプリンス」の中で、デスイーターのほとんどは半純潔だけれど純潔のフリをしており、マグル生まれを嫌っているだけなのだとハーマイオニーが語っています。ハーマイオニーのようなマグル生まれを穢れた血とまで呼び、純潔の正当性を説く彼らですが、実際のところ自らを棚に上げて自分よりも地位の低い者を痛ぶっているだけなのです。

いかがでしたでしょうか?完全なる悪役のデスイーターたちといえども、それぞれのキャラクターにはそこに至った背景があり、思想があることが分かります。また、デスイーターたちが重視している純血主義が、いかに不徹底で不安定な思想であるかが分かることで、よりハリー・ポッターの世界観への理解が深まるのではないでしょうか? まだまだ奥の深いハリー・ポッターの世界、存分に楽しみましょう!