2019年12月3日更新

『四月は君の嘘』物語を彩る美しい名言まとめ

『四月は君の嘘』

『四月は君の嘘』は、ピアノが弾けなくなってしまった天才ピアニスト・有馬公生と型破りなヴァイオリニスト・宮園かをりの出会いから始まる恋と復活の物語です。ここでは、心を打つ各キャラクターの名言を集めてご紹介していきます。

目次

『四月は君の嘘』に登場した名言・名シーンを厳選してお届け!

講談社漫画賞を受賞した新川直司の『四月は君の嘘』。アニメが2014年10月から2015年3月までフジテレビのノイタミナ枠で放送され、その美しい作画や音楽、心を打つセリフにより大きな感動を呼びました。 幼少期から指導者である母の厳しいピアノレッスンを受けた主人公・有馬公生。楽譜通りに完璧に弾きこなし、数々のコンクールで賞を総なめにしてきました。しかし、ある時母に酷い言葉を発し、その後の母の死をきっかけにピアノが弾けなくなってしまいます。 しばらくピアノから離れていた公生ですが、ヴァイオリニストの宮園かをりと出会い、そのクリエイティブな演奏に魅了され、戸惑いながらも再び音楽の道へ。公生の復活を願う幼馴染みの澤部椿や渡亮太、ライバルたちも重要なキャラクターとして登場します。 本作で特に注目されたのが各キャラクターの美しいセリフでした。それでは、物語を鮮やかに彩った名言を、有馬公生と宮園かをりを中心にまとめていきましょう。

有馬公生の名言

「一次予選で花をもらった人を初めて見た。しかも知らない子たちだろ。花を用意しているわけでもないし、あの子たちにとって、君の演奏を聴いて慌てて花を買って渡した今日の演奏は忘れられないよ」

コンクールでのかをりの演奏が終わり、子供たちから花束を受け取るかをり。その様子を見ていた公生が、かをりから感想を訊かれ答えたセリフです。 かをりの演奏を聴き心から感動した子どもたちの喜びや公生が受けた衝撃、かをりの音楽の素晴らしさが十二分に込められた最高の称賛の言葉です。

「もう一度、聴きたいけど聴きたくない。もう一度、会いたいけど会いたくない」

初めてかをりの演奏を聴いた公生の心情を表したセリフです。公生は亡くなった母から楽譜通りに正確に演奏することを教えられてきました。母とは全く逆の音楽を目指すかをりの演奏に惹かれながらも、今まで知らなかったタイプの音楽に触れることへの恐怖や葛藤がひしひしと感じられます。 また、かをりへの恋心が芽生えつつ、まだ自覚のない公生の素直な気持ちも伝わってくるようです。

「たくさんの人と、音を共有できた時、たくさんの人に、音が届いた時、心を重ねた時、音楽は言葉を超えるのかもしれない」

公生は、亡くなった母の友人であり名ピアニスト・瀬戸紘子の指導を受けます。長年のライバルである相座武士の妹・凪も瀬戸のもとに通っていて、公生がレッスンに身が入らなかったある日の帰り道、追い掛けてきた凪に公生が言ったセリフです。 これを凪は「陳腐」とバッサリ切り捨てますが、公生にとって病床のかをりは亡き母を思い起こさせます。今自分がかをりのためににできることは音楽しかないという想いが込められているのではないでしょうか。

宮園かをりの名言

「弾ける機会と聴いてくれる人がいるなら、私は全力で弾く。聴いてくれた人が私を忘れないように、その人の心にずっと住めるように」

かをりのヴァイオリンの伴奏を引き受けたものの、コンクール当日になっても躊躇う公生へ向けたかをりのセリフ。 物語の後半の展開をふまえて聞くと、よりいっそう心に響いてきます。この言葉通りに、かおりは公生にとってけっして忘れることのできないかけがえのない存在となっていくのでした。

「違うよ。音楽が自由なんだよ。さあ旅に出よう、サンサーンスが私たちを待ってるよ」

コンクールでの演奏直前、不安を隠しきれない公生を超ポジティブな言葉で励ますかをりに「君は自由そのもの」と公生が言った後のかをりのセリフです。 音を楽しむから音楽。魂のままに自由に楽しく弾こうよ!という趣旨のかをりの言葉は、音楽の本質を表したとも言える名言です。

「君は君だよ “君らしく”なんてあいまいなものじゃない。何やったって変わったってカンケーない。君はどうせ君だよ」

飼っていた猫に公生が手をひっかかれ母親が次の日捨てたこと。その行為に対して何も言えずできなかったこと。それから母親の呪縛から逃れられないでいることを、かをりに吐露したシーンでの言葉です。 かをりの一言一言は、公生に新しい光を照らし導きます。このセリフも公生のことを心から想うかをりの心情が溢れる名言でした。

渡亮太の名言

「心魅かれる子に好きな人がいるのは当然。恋をしているからその子は輝くんだよ。だから人は理不尽に恋に落ちるんだ」

公生がかをりの演奏を聴いた後日、音楽室での公生と渡のシーン。かをりのことを考えていたことを渡に見抜かれた公生が、かをりが好きなのは渡で自分ではないと言った時の渡のセリフです。 中学生なのにおそるべきかっこよさ。プレイボーイキャラの渡だからこその恋愛マスターな名言でした。

「スーパースターに挫折はつきものさ。逆境でこそそいつが本物かどうかわかる。だってよ、星は夜輝くんだぜ」

「毎報音楽コンクール」で公生の演奏が始まったその矢先、音が聴こえなくなる症状が発生。鍵盤を叩いても音が鳴らない中、公生がふと思い出した渡の言葉です。 彼はある夜の会話を思い出していました。サッカー部の親友、渡が大会で敗れた直後のときのこと。彼は渡を励まそうと、スーパースターに挫折はつきものだと言います。 その言葉を受けた渡は「じゃあ、お前にぴったりだな」と返事。続けざまにこの言葉を公生に贈りました。 ここでは逆境と夜は同義です。渡は公生が天才的なピアニストであることも、音が聴こえなくなることも知っています。従って、スーパースターは公生のことで、逆境は彼の不安を指したもの。音が聴こえなくなる逆境の中でも輝ける者こそが、本物のスーパースターなのです。 プレイボーイの渡らしい、歯の浮くようなキザなセリフ。同時に、彼が周囲を非常によく気にかけていることがわかります。

「スターになりそこねちまった 後はお前に任せるわ」

サッカー部敗退の直後、応援に来ていた公生に渡が言ったひと言。スターへのバトンは渡から公生へと渡りました。 渡がキャプテンのサッカー部は試合に敗北。試合終了後、彼は泣き崩れる部員たちを励ますように声を掛けていました。応援席前に挨拶に来た渡に、カッコよかったと伝える公生たち。そのとき、彼から公生に返ってきた言葉がこれです。 1人になった渡は、トイレの個室にこもると、大粒の涙をこぼし始めました。キャプテンらしく気丈に振る舞っていましたが、本当は誰よりも悔しかったのでしょう。周囲を気遣える彼ならではのシーンといえます。 渡は中学でスターとなることはできませんでした。彼は、コンクールを目前に控える公生にバトンを託します。 渡は公生の才能を知っていました。だからこそ公生に、スターになるのはお前に任せたと言ったのでしょう。単なる励ましではなく、鋭い洞察力を持った彼ならではの言葉のチョイスといえます。

澤部椿の名言

「ちっちゃい頃からいちばん近くにいたのに、いつの間にかいちばん遠くにいる」

公生とかをりを見る椿の心情です。再びピアノに向かう公生を心底応援する気持ちと同時に、大きな疎外感も感じずにはいられない椿。いろいろな感情がグチャグチャと入り交じり、整理のつかない複雑な女の子の心がよく表れています。

「変なの 負けて悔しいのに 落ちこんでるのに 足が痛いのに 目が涙でぐしょぐしょなのに 最悪なのに どうして星がこんなにキラキラしてるんだろう」

中学地区総体の日、公生の背中で泣きながら夜空を見上げたときの心のつぶやき。この日が椿にとっての大きな転換点となったことを表すひと言です。 椿はあるとき、前から好きだった先輩から告白され、OKします。憧れの人との恋が実るだなんて、うれしくないわけがありません。しかし、彼女の心はなぜか「キラキラ」しませんでした。その一方で、彼女は公生とかをりを見て嫉妬の念を覚えます。 こうして別のことに気を取られ、散々な結果となった中学最後の大会。後悔の中、足をくじいた彼女は迎えに来た公生におんぶしてもらうことに。 帰り道、椿の目から涙があふれ出ます。この時の涙は、部活の悔しさ以上に、公生のそばにいるうれしさによるものでしょう。目に映る星空は、「キラキラ」と輝いていました。 頼りなかった背中は、今やおぶってくれるほどに大きなものに。彼女にとって公生が弟同然の存在だったのは、過去の話。この出来事以降、椿は彼を男の子として見るようになるのです。

「進め、踏み出せ、私……私の時間、動け。」

この言葉は、椿が公正への気持ちを自覚した夜のエピソードがあった後に発せられています。椿が自分の気持ちにしっかりと向き合ったうえでの決意そのものです。 ある日、彼女は交際中の斎藤先輩から「他に好きな人ができた」と言われます。彼は椿が自分とは別に好きな人がいること、またそれが誰なのかに気付いていました。そのため、自分から別れ話を切り出したのです。椿は、先輩と向き合えなかったことを泣いて謝ることしかできませんでした。 その夜、椿が音楽室でピアノを弾いていると、公生が現れます。隣に座ってピアノを弾き始めた彼を見て、椿は先輩にフラれたことを告白。彼は今までのように、ピアノを弾きながら彼女の話に耳を傾けていました。 距離が近すぎたために見えなかった、本当の気持ち。辛いときも悲しいときも、いつだって側で一緒にいてくれる人。公生のことが誰よりも好きだということ。 彼女自身の時間は、自分の気持ちに正直になってようやく動き出しました。椿とその恋は、ここから決意の一歩を踏み出したのです。

瀬戸紘子の名言

「早希、ちゃんと見ててよ。私達の息子が最後のお別れをしに行くから」

かをりが演奏会場に現れず、ひとりで弾くことになった公生。母親の呪縛から抜け出し、新しいスタートを切った公生が映るモニターを見つめた瀬戸の言葉です。 公生をピアニストにしようと公生の母・早希にすすめたのは瀬戸であり、瀬戸はピアノが弾けなくなった公生に対して自責の念を感じていました。公生のピアニストとしての再生は、瀬戸にとっても何よりも嬉しいものだったことでしょう。

「無い胸張りな、ピアニストにはスポットライトが良く似合う」

新たに弟子となった相座凪(あいざなぎ)に対するひと言。重圧でギリギリの彼女に、ユーモア交じりに檄を飛ばしています。 凪は相座武士の妹であり、自身もピアニスト。彼女は紘子の下で、ライバル有馬公生に嫌がらせしようと考えていました。紘子に認められた凪でしたが、なぜか公生からも指導を受ける奇妙な関係に。 学園祭のピアノで公生と連弾することになった凪。1回の練習で確実に上手くなる公生は、彼女にとってプレッシャーです。学校も、期待と嫉妬で押しつぶされそうな日々で13歳の少女の心はパンク寸前でした。 紘子は凪に寄り添ってこう言います、どんな天才でも本番前に手は震えるが、彼らはピアノを止めません。それは全て、演奏の先の“報われる瞬間”を味わいたいため、と。 みんな一緒だと知った凪は、泣くのを止めます。そして彼らの優しさにほだされ、再び目に涙を浮かべるのでした。紘子らしいこの言い回しは、凪に対する照れ隠しだったのかもしれません。

「公生の演奏はカラフルに色づいている 悲しげに色づいている」

物語のラストで公生が宮園かをりに贈ったピアノ。この演奏は多くの者の心を動かしました。そんな公生の演奏を紘子の視点で捉え、言葉にしたものがこの心の独白です。 有馬公生は、ピアノに愛され、ピアノに人生を狂わされた人間。彼にとってピアノは、死の恐怖の象徴に他なりません。 そこにやってきた少女、宮園かをり。強引に背中を押してくれたのは、いつだって彼女でした。彼は音楽の楽しさや、かをりと見たカラフルな景色を思い出していきます。 その彼女が、余命いくばくもないこと。母親と初恋の人、愛する者を2度も失う悲しみ。しかし、彼の演奏はなお、白黒の世界をカラフルに塗り替えています。 皮肉にも、大切な者の死を乗り越えることでさらに輝きを放つのが、公生のピアノ。紘子は既に見抜いていました。 かをりに、必死に想いを伝えていく公生の音。今までで最もカラフルに色づく彼の演奏は、紘子には悲しいほど鮮やかで切ないものでした。

相座武士の名言

「全身全霊でぶつかれるスゲー奴らがいる。俺は幸せだ」

東日本コンクールでの相座武士の心情を表したセリフです。武士は海外でのチャンスを断ってまで、ライバルの公生たちと競うためにコンクールに参加していました。 互いに切磋琢磨し合う仲間が居ることのすばらしさ。この時の演奏で、武士もまた過去と決別し大きく成長しています。

「『次こそは 次こそは』って 手を精一杯伸ばして 捕まえたと思ったら 蜃気楼のように遠くにいる」

これは、2年ぶりにピアノコンクールに現れた公生に対する武士の気持ち。彼の中における有馬公生の存在の大きさが、端的に示されたものです。 公生の2年ぶりのコンクールには、同世代の絵見や武士も出場していました。 彼らはともに、かつての公生の正確無比なピアノに憧れ、ピアノを学び始めた者たち。2人は彼を目標に、2年間練習を重ねてきました。特に武士は、このコンクールに公生が出るのを知ると、自分も出場を表明。同時期に届いたドイツのコンクールの招待を断ってまで、成長した公生との闘いを望んだのです。 武士にとって公生は雲の上の存在でしたが、ここにきてまさかの好機。公正がピアノから去っていた2年の間に、自分は公正を追い越せているのか。その一方で、復活した彼がどれだけ進化を遂げたのかにも注目していました。 武士にとっての目標であり、ライバルでもある、有馬公生。この言葉は、彼の公生に対する2つの見方が同時に表れています。

「恥ずかしい奴だな この演奏は告白だ」

東日本ピアノコンクール当日は、奇しくもかをりの手術日でもありました。彼はかをりたちに自分の音を届けようと、渾身のピアノを演奏します。そんな彼のピアノを聞いて武士がふいにこぼした言葉です。 公生は、かをりとのこれまでの思い出を振り返っていました。今の自分があるのは、自分と関わってくれた多くの人々のおかげ。彼は今心の中にある色々な想いを、全部ピアノに乗せることにしました。 一方、公生を再びピアノに向き合わせ、楽しさを思い出させてくれたのはかをりでした。彼にとっては、この出会いがあって今があります。だからこそ、真っ先に彼女に伝えなければならないのです。公生のピアノはまさしく、かをりへの告白でした。 そんな公生の演奏を聞いて武士のひと言がこちら。告白だと言い当てているところは流石です。 武士は公生の演奏を聴き入っていました。ライバルであるピアニストの演奏を素直に認めているところから、彼もまた生粋の演奏者であることがわかります。

『四月は君の嘘』心を調律する色彩豊かな名言の数々

本作に登場するキャラクターたちは皆それぞれ人生における重荷を背負っています。ですがその重荷を、友人やライバルたちと共に紐解くことで中身が色彩豊かであることに気がつくのです。 本記事では、キャラクターごとに心打つ名言をピックアップして紹介しました。心の微妙な揺らぎは自分では気がつきにくいものです。『四月は君の嘘』はそんな心を調律し直して、新たな一歩を踏み出すことができる作品です。